2018年最新のAmazonの動向と将来性【EC未来予想図】
EC未来予想図では、EC業界のこれから先、未来の状況を、ECサイト運営歴10年以上の現役ネットショップ店長が
現場の状況と店舗運営経験から予想するというコーナーです。
ネット通販業界は、iPhoneなどのスマホが市場に流通してから、大きな変貌を遂げてながら、成長を続けている業界です。
2017年にはEC市場の規模は16兆円超となり、百貨店などの市場規模を上回りました。
ネット通販業界にどっぷり浸かっている現役店長が、今後のEC業界の未来を予想します。
2018年上半期までのAmazonの歩み
Amazonの2018年上半期までのショッピングモールの状況について、現役Amazon店長がお話したいと思います。
アマゾンでは、一般向けのビッグセールイベントとしては、一年に一度開催されている「アマゾンプライムデー」というイベントがあります。
2018年のアマゾンプライムデーは、2018年 7月16日(月祝)12時から17日の23時59分まで開催されました。
アマゾンプライムデーの特長としては、まず、プライムデーに参加する資格があるのは「アマゾンプライム会員のみ」であるという点です。
アマゾンプライムデーをきっかけに、新規でアマゾンプライム会員になるユーザーは多く、一年で一番プライム会員登録が増えるのが
アマゾンプライムデーでもあります。
アマゾンはネット通販の売上高では、2017年に1兆円を突破しました。
これは、非公開情報ではありますが、おそらく楽天市場よりも流通額ではAmazon.co.jpの方が上だと思われます。
アマゾンの躍進もあり、楽天市場が焦りを感じたことから、楽天EXPO2018の三木谷社長講演でも「ワンデリバリー構想」を強調していたのかもしれません。
また、アマゾンは、2017年秋ごろに契約物流会社であったヤマト運輸と、物流面で一悶着ありました。
その結果として、一部のプライム便が、ヤマト運輸から、デリバリープロバイダーと呼ばれる個人物流などに流れたためプライム便の
品質が低下するという問題も発生しています。
また、アマゾンは、これまではBtoCのショッピングモールの印象が強かったのですが、現在は、BtoB、対法人向けのサービスも強化しており、現在、法人間取引の専門売り場として、アマゾンビジネスというサービスがあります。
また、商標を所有するメーカーに限りますが、アマゾンストアというサービスも展開しています。
アマゾンストアは、簡単に言えば、アマゾン内にメーカー別特集ページを作成できるというサービスです。
アマゾン出店者が誰でも利用できるわけではなく、商標を所有するメーカー、ブランド企業などのみがアマゾンストアを利用できます。
アマゾンは、型番商品のカタログ販売的な売り方では、日本国内ではヨドバシカメラのヨドバシ・ドット・コムを超えて、最大手のショッピングプレイスと言えます。
2018年のAmazonの年末商戦へ向けて
アマゾンにおける年末商戦の対策について、考察してみたいと思います。
アマゾンでは、年末商戦には、特設ページが設けられます。
主に、クリスマスプレゼント関連と、おせち料理関連、お歳暮に、自分へのご褒美プレゼントといった特集です。
アマゾンでは、楽天市場
とことなり、年末商戦特有の売り方というのは特集ページからの訴求以外には特にはありません。
楽天市場は、年末商戦、ギフトやグルメに強いモールですが、
アマゾンでも同様の商品を販売してはいるものの、楽天市場のような画像訴求が弱いため
グルメやギフトは少々売れにくい売場でもあります。
アマゾンで年末商戦の売場作りとしては、まずは出品している商品のカートボックスを獲得することが最重要です。
アマゾンという売場は、ショッピングカートボックスが獲得できていれば、飛ぶように商品が売れますが、
逆に、カートボックスが獲得できていないと、商品が1点も売れないという状態になる傾向があります。
また、アマゾンでは、いかに商品をユーザーの検索結果に露出できるかというのも売れるために重要なポイントです。
現在当店でも運用を継続しているAmazonの商品露出広告に「スポンサープロダクト広告」という広告があります。
当店では、飲料製品や日用消耗品がアマゾンでの売れ筋商品なのですが、広告の費用対効果は、非常に高い結果を出しています。
これは、商品ジャンルとの相性にもよるので、すべての商品に対してスポンサープロダクト広告がここまで高い費用対効果になるわけではありません。
ただ、スポンサープロダクト広告は、利用しているかいないかで商品露出は大きく変わってきますので、まだ一度もスポンサープロダクト広告を利用されたことが無いという方は
一度利用されてみてはいかがでしょうか。
年末商戦では、ギフト、プレゼント商品はアマゾンでも売れやすくなる傾向がありますので、仕入れ先との兼ね合いもあると思いますが、
売れ筋系の人気商品を早めに仕入れることができれば、予約販売的な売り方で先に売り抜けるという方法も有効だと思います。
2019年以降のAmazonの予想
2019年以降のAmazonがどのような変貌を遂げるのか、という未来予想を、アマゾン現役店長が考察してみたいと思います。
Amazonで一年間を通じてもっとも流通額が高まるのは、前述した「アマゾンプライムデー」であり、2019年以降もこの傾向は変わらないと思います。
アマゾンでは、アマゾンの総売り上げの70%以上をアマゾンプライム会員が作っているというデータがありますから、
今後もアマゾンは、プライム会員の獲得に注力していく事が予想されます。
アマゾンプライム会員は配送料の無料化と、翌日お届けなどのプライム便に加えて、アマゾンプライムビデオなどコンテンツ面でのメリットも大きく新規会員獲得に貢献しています。
また、アマゾンでは、AmazonEchoをはじめとしたAIスピーカーを販売しており、スマートスピーカーの世界シェアではAmazonEchoのアシスタント「アレクサ」がGoogleアシスタントを抜いてトップとなっています。
今後は、AIスピーカーを介してネットショッピングを音声で実現させる方向で進んでいくと思われます。
AIスピーカーというスマートフォン依頼の新デバイスを所有しているアマゾンが、日本国内のEC業界をけん引する可能性は十分に高く、楽天市場などが展開する楽天経済圏を超えるポイントでもあると思います。
また、アマゾンはアマゾンID決済、アマゾンペイが他のECサイトなどにも導入されている状況ですから、ますます会員の増加は期待できると思います。
あとは、2020年に開催される東京オリンピックの際に、世界共通のAmazonが、どのような展開を用意してくるのか、(ポップアップ店舗など)インバウンドやアウトバウンド需要をどうやって捉えるのかは今後も注目していきたいポイントです。
EC未来予想図:Amazon編のまとめ
今回は、EC未来予想図、アマゾン編として、アマゾンに現役出店中の店長が解説いたしました。
アマゾンは、型番商品、メーカー既製品の販売においては、国内最大のインフラといってもよいECサイトとなりました。
流通総額1兆円を超え、右肩上がりの成長は続いていますが、BtoCからBtoB、より大口取引にも注力しはじめています。
個人のアマゾン出店に関しては、価格競争が激しくなりつつも、やはりAmazon自らもAmazon内に出品していることで
アマゾンでネット販売する方の多くは、Amazon.co.jpと戦うことが前提となります。
アマゾンに配送料などで勝つことはほとんど不可能に近いですから、アマゾンの配送を出店者としても利用できるFBA(フルフィルメントbyAmazon)に商品を出品してしまうという方法が得策かもしれません。
FBAとは?FBAのメリットとデメリット
また、FBAは保管料などの問題もあり、サイズの大きな商品は不向きですが、小型商品に特化したFBAも用意されています。
アマゾンの出品者としての攻略法は以下のページにもまとめていますので参考にしてみてください。
今回の記事の内容が、アマゾンに出店されている方、またアマゾンの現在の動向を調査されている方の参考になれば幸いです。