売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】ネットショップの開業資金はいくら必要ですか?
ネットショップを新規で開業しようと検討されている方から、開業資金としていくらくらい必要ですかというご質問をいただきました。
ネットショップの開業は10年以上前と比較すれば、非常に低価格、場合によってはBASE (ベイス)
などで無料の出店も可能となっています。
今回の質問者さんは、ある程度の予算を確保できている上で、できれば費用がかかってもいいので本格的なECサイトを構築したいというご相談内容でした。
今回はネットショップ、それもある程度本格的な機能が搭載されているECサイトで、初期費用、開業資金がいくらくらい必要になるかを現役店長が試算してみます。
ネットショップの新規開業の際に確認しておくこと
ネットショップ、ECサイトを新規で開業しようと検討されている方に、まず最初に確認しておく必要があることをご紹介いたします。
ネットショップを新規開設するにあたり、店舗運営をどのような体制で行うかということが重要となります。
「ネットショップを開業した直後から注文が殺到するのでは?」
と期待されている方もおられるかと思いますが、往々にして、ネットショップを開業した直後は、ほとんど商品が売れるということはありません。
しいて言えば、知り合いの方にSNS経由で紹介したところ、お祝い的に注文をくれる程度は期待できるかもしれませんが、一般のお客様からの購入は、開業直後はほぼないと思っていた方がよいでしょう。
ネットショップ新規開業の際に、まず覚えておいてほしいことは、「開業から半年くらいは、売上がゼロでもいい」という決意が必要なのです。
ネットショップを事業として、やっていこうと決めた場合、開業資金もしっかりと準備して、しっかりとした制作会社にECサイト構築を依頼される方も多いかと思います。
このパターンは、約80%程度は「失敗する」と思っていただいてもいいと思います。
なぜ、最初からガッツリとECサイト構築を行うと失敗しやすいのかについては、後程詳しくご説明いたしますが、ネットショップの新規開業の際には、とにかく「過度な期待はしない」ということが大切です。
もし初期費用がある程度確保できるのであれば、開業資金に費やすのではなく、ネットショップ運営を継続していくための資金に回されることをおすすめします。
では、具体的なネットショップの開業資金の目安について、いくつかのパターン別にご説明していきたいと思います。
ネットショップの開業資金の目安について
ネットショップを新規開業する際に必要となる開業資金について、予算別にどんな開業ができるかをご紹介いたします。
今回は、開業予算として、ゼロ円、5万円以下、20万円以下、50万円以下、50万円以上という5種類の予算別ネットショップ開業プランを考えてみました。
ネットショップの新規開業の検討材料として、参考になれば幸いです。
年間予算ゼロ円
ネットショップの新規開業予算として、まったく初期費用、開業資金が用意できないという方でも、ネットショップを開業することは可能です。
無料でネットショップを開設できるサービスとして、筆者が特に優れていると思うのは、BASE (ベイス)
という簡単ECサービスです。
BASEは無料でネットショップを開業できるサービスとして、現在までに50万店舗以上の出店者がいる人気のサービスです。
無料であっても、ネットショップ運営に必要な機能はほとんどそろっていますし、有料となるのは、BASEのロゴを非表示にしたり、出金サイクルを早めたりといった機能に対してですから、ネットショップ運営において問題になるポイントはほとんどありません。
BASEについては、以下のページに実際に筆者が出店してみての感想から、メリットや機能をまとめていますのでこちらを参考にしていただければと思います。
また、BASE以外にも無料で出店できるネットショップは多数存在します。無料開業できるECサイト、ネットショップについては以下のページを参考にしていただければと思います。
年間予算5万円以下
ネットショップの開業について、年間予算が5万円以下で開業したいという方におすすめの開業方法をご紹介します。
年間5万円の予算であれば、月額で約4000円程度の出店費用となります。
月額4000円前後で出店できるおすすめのECサービスとしては、カラーミーショップ
がおすすめです。
カラーミーショップなら、エコノミープランであれば、月額900円と更に費用を抑えることができます。
ただ、エコノミープランは機能制限があるため、カラーミーショップで本格的なECサイトを構築するのであれば、レギュラープラン以上の機能は必要だと思います。
カラーミーショップも筆者が実際に出店していますので、出店してみての感想などを以下のページにまとめています。
こちらも参考にしてみてください。
年間予算5万円~20万円
年間の開業費用が、5万円以上となれば、ネットショップ出店の選択肢は大きく広がってきます。
特に抑えておきたいのは、インターネットショッピングモールであれば、Amazonへの大口出品プランでの出店です。
Amazonは、言わずと知れた、日本のECサイトの中で、楽天市場
と並び比較されるショッピングプレイスです。
Amazonにネットショップを出店する場合、小口出品と大口出品という二つの出品プランがあるのですが、基本的に小口出品は制限が多く、既にAmazon上に販売されている商品しか出品できないというデメリットがあります。
アマゾンで大きな月商を狙うのであれば、大口出品(月額4900円)一択ですね。
Amazonの出店プランの違いについては以下のページをご覧いただければ、具体的に何が異なるのかはご理解いただけると思います。
あと、アマゾンに商品を出品するなら、スポンサープロダクト広告を利用することを強くおすすめします。
スポンサープロダクト広告は、当店に関して言えば非常に費用対効果の高い露出広告となっています。
当店のケースでは、ROAS(費用対効果)がだいたい4%~6%で広告が運用できているのですが、広告予算の適正金額が一日当たり2500円程度とAmazonのアナウンスで言われています。
スポンサープロダクト広告を最適に稼働させるなら、一日2500円×30日=75000円の広告予算があると非常に売上を作りやすいかと思います。
Amazonのスポンサープロダクト広告を実際に運用したレビューを以下のページにまとめていますのでこちらも参考にしていただければと思います。
年間予算20万円~50万円
年間の開業費用が、20万円以上となれば、ネットショップ出店の選択肢は更に広がってきます。
特に抑えておきたいのは、ASPカートなら、MakeShop
でのネットショップの構築です。
Makeshopは、先ほどのカラーミーショップと同じくASP、カート型のネットショップ構築サービスですが、カラーミーショップと比較した場合、より高度な機能が備わっているサービスです。
特に、法人向け、BtoBに関しては、強さがあり、BtoBオプションという追加料金は必要となりますが、より法人向けに特化した機能は、カラーミーショップにはない強みだと思います。
Makeshopに出店してみての感想、機能などは以下のページにまとめていますのでこちらも参考にしていただければと思います。
年間予算50万円以上
ネットショップの開業資金として、50万円以上の資金力がある方は、是非、楽天市場
への出店を検討してみていただければと思います。
楽天市場は、出店の固定費がある程度高いことはご存知かと思いますが、やはり売れるネットショップになると、売上金額も非常に大きくなる売場であることは間違いありません。
ただし、どのネットショップにも言えることですが、出店した直後から売れることはほぼありませんので、長期的な店舗運営計画を立てることは前提となります。
また、楽天市場の場合、商品との相性も出店の際には非常に重要となります。
相性のあまり良くない商品で楽天市場に出店しても、出店の固定費ばかりがかさんで、結果赤字運営になるというケースは本当に枚挙に暇がありません。
是非、楽天市場に出店を検討される方は、筆者が実際に体験した事をもとに以下のページに楽天の感想などをまとめていますのでこちらも参考にしていただければと思います。
そして50万円以上になると、独自のECサイトを制作会社に外注するという選択肢も見えてきます。
ただ、筆者の個人的な意見となりますが、やはり初期投資は極力抑えるべきであると思っています。
制作会社にECサイトを開発してもらえば、自分の望むデザイン、性能の備わったECサイトを作ることはできると思います。
ただし、機能が増えれば増えるほど、制作の見積金額は高額になる上、操作や日々の運営にHTMLなどの専門知識が求められる場合もあります。
予算が潤沢にあったとしても、その予算は、運営コストや集客コストとして利用すべきであり、初期構築コストに回すことはあまりおすすめできないのが正直な感想です。
こだわりのECサイトを作りたい場合でもASPを利用すれば、ある程度のベースが用意されているうえ、月額のコストとしては、自社開発のECサイトよりはるかに低コストで済むと思います。
まずは、コストを抑える!これを肝に銘じていただければと思います。
新規開業の際は、リーンスタートアップを意識しよう
ネットショップに限らず、新規ビジネスを立ち上げる際に重要となるのが、初期費用をかけすぎないということです。
ECサイトの構築の場合、最近ではIT導入補助金の影響もあって、補助金を目当てにした初期費用の捻出を行う企業や個人事業主が非常に増えている傾向にあります。
確かに、IT導入補助金は、使うべき補助金制度だと筆者も考えていますが、IT導入補助金のために、本来捻出する必要のなかった初期投資を行うというのは、本末転倒にも思います。
アメリカのシリコンバレーでは、数多くのITベンチャーが生まれては、消えている状況ですが、多くのベンチャー企業が、市場に価値があるかどうかということを踏まえずにイニシャルコストを投下してビジネスを展開し、結果としては資金回収ができないまま、廃業していくケースが非常に多いそうです。
日本においても、この傾向は良くある事業失敗の例で、キャッシュフローが悪化することで倒産するケースがほとんどだと思います。
リーンスタートアップは、そうした意味では、初期投資を極力抑え、自分のサービスが市場に受け入れられるものであるかどうかを試しながら事業を拡大させるか、撤退するかを判断するという非常にスモールなところからビジネスを展開させていくモデルとして有効だと思います。
リーンスタートアップについては、以下のページに具体例なども合わせて紹介していますので、こちらを参考にしてください。
ネットショップの開業資金のまとめ
今回はネットショップの新規開設の際の開業資金について、予算別におすすめの出店方法をご紹介いたしました。
今回紹介した各予算別のECサイト、ASPサービスなどは、筆者が実際に現在出店しているもののみから選びましたので、選択肢は他にもあると思います。
ただ、共通してお伝えしたかったのは、リーンスタートアップの考え方、初期費用を抑え、市場に商品を投じながら、様子を見て、追加投資を行うか、撤退するかを走りながら考える事です。
筆者も過去に、ECサイトの構築で初期費用をかけすぎて、運営コストが捻出できず、資金ショートして失敗した経験があるからこそ、今回質問をいただいたことをきっかけに記事にまとめてみた次第です。
ネットショップというビジネスモデルは、一朝一夕に成功を掴めるビジネスモデルではなく、日々の積み重ねが何十何百と繰り返された結果として、売れるネットショップへと成長していくという長期スパンで動かすビジネスモデルであると感じています。
今日開業して、明日売れるというものではなく、人によっては、出店してから一年間、月商5万円以下というのも珍しくはないビジネスモデルです。
非常に難しいからこそ、途中であきらめてしまう方も多い反面、成果が出る前に諦めてしまっている方も多いと思います。
是非、初期費用を抑えながら、IT補助助成金なども活用しつつ、最適な出店方法を探してみてください。
ネットショップの新規出店で、お困りの方は、いつでも当サイト、売れるネットショップの教科書の無料相談へご相談くださいませ。
今回の記事の内容が、ネットショップの開業資金について検討されている方の参考になれば幸いです。