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ECサイトの損益分岐点とは?計算方法と黒字になる売上を具体例で解説【2026年】

ECサイトの損益分岐点とは?計算方法と黒字になる売上を具体例で解説【2026年】

ECサイトの損益分岐点とは?計算方法と黒字になる売上を具体例で解説【2026年】

ECサイトの損益分岐点とは?計算方法と黒字になる売上を具体例で解説【2026年】

ネットショップを運営していると、「月商はいくらあれば黒字になるのだろう?」と考えることはありませんか?月商100万円で黒字になるショップもあれば、月商500万円あっても赤字になるショップがあります。

なぜなら、同じ売上でも商品原価、送料、決済手数料、広告費、人件費、システム費など、かかっている費用が違うからです。そこで知っておきたいのが損益分岐点です。

損益分岐点が分かれば、「月商いくらから黒字になるのか」「月に何件注文が必要なのか」を数字で判断できるようになります。また、固定費や変動費を見直したときに、黒字ラインがどこまで下がるのかも確認できます。

エビス店長
私もECの相談を受けるとき、「月商はいくらですか?」だけでは判断しません。売上を作るために何へいくら使っているのかを確認して、そのEC事業がどこから黒字になる構造なのかを見ます。

この記事では、ECサイトの損益分岐点の計算方法を具体的な数字を使って解説します。難しい会計知識がなくても、自社の黒字化に必要な月商と注文数を考えられるようにしていきましょう。

ECサイトの損益分岐点とは?

損益分岐点とは、簡単にいうと売上と費用がちょうど同じになり、利益が0円になるラインです。

例えば、自社ECの損益分岐点が月商200万円だったとします。この場合、月商150万円なら赤字、月商200万円なら利益0円、月商250万円なら黒字というイメージです。

損益分岐点より売上が少ない → 赤字

売上が損益分岐点と同じ → 利益0円

損益分岐点より売上が多い → 黒字

損益分岐点の基本図

つまり損益分岐点が分かれば、「とりあえず月商500万円を目指そう」といった感覚的な目標だけではなく、自社が最低限クリアすべき売上ラインを数字で考えられるようになります。

エビス店長
「去年が月商300万円だったから、今年は400万円を目指そう」という目標設定も悪くありません。でも、その前に「いくら売れば黒字になるのか」を知っておきたいところです。ここが分かると、売上目標の意味がかなり変わります。

ECサイトの損益分岐点はどう計算する?

ECサイトの損益分岐点売上高は、基本的に次の式で計算できます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

限界利益率は、次の式で求めます。

限界利益率 =(売上高-変動費)÷ 売上高

変動費率を使う場合は、次のように考えることもできます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)

「限界利益率」「変動費率」と言われると難しく感じるかもしれませんが、最初から計算式を覚える必要はありません。まずやることは、EC運営にかかっている費用を「固定費」と「変動費」に分けることです。

まずECの費用を「固定費」と「変動費」に分けよう

損益分岐点を計算するときに、EC担当者さんが迷いやすいのがここです。ECには商品原価だけでなく、送料、決済手数料、モール手数料、広告費、ポイント、システム利用料など、さまざまな費用があります。

これらを、まず固定費と変動費の2種類に分けて考えてみましょう。

固定費とは?

固定費とは、基本的に売上が増減しても一定額発生する費用です。例えば売上が0円でもECカートの月額料金が3万円発生するのであれば、その3万円は固定費として考えます。

  • ECカートの月額基本料金
  • サーバー代
  • 固定料金の受注管理システム
  • 月額固定の各種ツール
  • 事務所・倉庫の固定賃料
  • 固定給の人件費
  • 毎月固定契約している外注費

変動費とは?

変動費とは、商品が売れたり注文数が増えたりするほど増える費用です。1件注文が入るごとに送料や決済手数料が発生するなら、それらは変動費として考えます。

  • 商品原価
  • 決済手数料
  • モール販売手数料
  • 送料
  • 梱包資材
  • 出荷作業費
  • ポイント原資
  • クーポン負担
  • 成果報酬型広告
  • 注文数に応じたシステム従量料金

ECの固定費・変動費

ECの固定費・変動費一覧

費用 基本的な考え方
商品原価 変動費
決済手数料 変動費
モール販売手数料 変動費
注文ごとの送料 変動費
梱包資材 変動費
ポイント原資 変動費
クーポン負担 変動費として考える場合が多い
ECカート月額料 固定費
サーバー代 固定費
固定給の人件費 固定費
倉庫の固定賃料 固定費
月額固定ツール 固定費
受注数によるシステム従量料金 変動部分は変動費
広告費 運用方法によって判断

ここで大切なのは、会計上の勘定科目を機械的に分けることではありません。損益分岐点を分析するときは、「売上や注文数が増えたとき、その費用も増えるのか?」と考えると分けやすくなります。

広告費は固定費?変動費?

ECでは、広告費を固定費と変動費のどちらに入れるべきか迷うことがあります。結論からいうと、実際の広告運用方法に合わせて考えるのが分かりやすいでしょう。

例えば「毎月必ず広告費30万円を使う」と決めている場合は、損益分岐点分析では固定費的に扱う方法があります。一方で、「売上の10%を広告へ使う」「売上や注文数に応じて広告費を増減する」という運用なら、変動費として考えた方が実態に近くなります。

エビス店長
「広告費は固定費ですか?変動費ですか?」と聞かれることがありますが、私はまず実際の運用を聞きます。毎月30万円必ず使う会社と、売上に合わせて広告費を増減させる会社では、お金の動きが違うからです。分類そのものより、自社の実態に合わせることが大切です。

広告費については、単純にROASだけを見るのではなく、売上に対して広告費をどこまで使えるのかを利益から逆算することが重要です。

ECの広告費率は何%が目安?ROASだけでは判断できない理由

【具体例】ECサイトはいくら売れば黒字になる?

ここから実際に数字を入れて計算してみましょう。あるECサイトの月間固定費が次のようになっているとします。

固定費 月額
人件費 300,000円
EC・受注システム 30,000円
倉庫固定費 50,000円
その他ツール 20,000円
合計 400,000円

このECサイトの固定費は、月40万円です。次に、売上100万円を作ったときの変動費を見てみます。

変動費 金額
商品原価 400,000円
決済・販売手数料 50,000円
送料・梱包費 100,000円
ポイント・販促費 50,000円
合計 600,000円

売上100万円に対して変動費が60万円なので、変動費率は60%です。すると限界利益率は、100%-60%=40%になります。

変動費率:600,000円 ÷ 1,000,000円 = 60%

限界利益率:100%-60% = 40%

損益分岐点:400,000円 ÷ 40% = 1,000,000円

つまり、このECサイトの損益分岐点は月商100万円です。月商100万円で利益が0円となり、100万円を下回れば赤字、100万円を超えれば黒字になるという考え方です。

月商100万円の計算例

「月商100万円」ではなく「月200件」と考えてみよう

ここからもう一歩、EC担当者さんが日々の運営で使いやすい数字へ変えてみましょう。先ほどのECサイトの平均客単価が5,000円だったとします。

1,000,000円 ÷ 5,000円 = 200件

つまり、黒字化に必要な注文数は月200件です。30日で割ると、1日平均では約6.7件となります。

200件 ÷ 30日 = 約6.7件/日

「月商100万円」と言われるより、「1日平均約7件の注文が黒字ライン」と考えた方が、EC運営では具体的ではないでしょうか。

例えばCVRが2%なら、単純計算では1日約7件の注文を得るために約350セッションが必要です。すると「黒字化には1日約7注文→CVR2%なら約350セッション→その集客をどう作るか」というように、売上目標を日々のEC施策へ落とし込めます。

エビス店長
私なら「月商100万円を目指しましょう」だけでは終わらせません。客単価5,000円なら月200件、1日約7件です。ここまで分解すると、アクセスを増やすべきなのか、CVRを改善するべきなのか、客単価を上げるべきなのかが考えやすくなります。

売上が増えても赤字になるECサイトがある理由

損益分岐点を理解すると、「とにかく売上を増やせばいい」という考え方では不十分なことも見えてきます。ECでは売上を増やすと同時に、広告費、送料、ポイント、クーポン、決済手数料、出荷費、システム従量料金なども増えることがあるからです。

例えば固定費50万円、変動費率80%のECサイトなら、限界利益率は20%です。

500,000円 ÷ 20% = 2,500,000円

この場合、損益分岐点は月商250万円です。月商200万円あっても、まだ損益分岐点には届いていません。

「月商200万円」という数字だけを見ればかなり売れているように感じますが、費用構造によっては赤字ということもあります。

エビス店長
私が実際に支援した楽天市場の食品ECでも、月商約1,000万円まで売れているのに、広告費やポイント、クーポンなどを積極的に使った結果、利益率が1%も残っていないケースがありました。だから私は、売上だけを見てECの状態を判断しないようにしています。

特に注意したいのが、売上を増やすための施策そのものが利益を圧迫しているケースです。広告を増やす、クーポンを配る、送料無料にする、ポイント倍率を上げるといった施策は売上にはプラスでも、利益にはマイナスになることがあります。

売上は増えたのに利益が減ったECサイトで確認する7項目

ECサイト全体の利益構造から見直したい場合は、利益改善ハブで全体像を確認できます。

ECの損益分岐点で見落としやすい7つの費用

損益分岐点を計算したのに実際の利益と合わない場合は、費用を入れ忘れている可能性があります。ECでは特に、次の7つを確認してください。

1.送料無料の店舗負担

お客様にとって送料が0円でも、配送会社への支払いまで0円になるわけではありません。送料無料商品が多い店舗ほど、1注文あたりの実際の送料負担を確認しておきましょう。

送料無料ラインを設定している場合は、「競合が○円以上送料無料だから」という理由だけで決めるのではなく、客単価や粗利率から利益が残るラインを考えることが大切です。

ECの送料負担を見直す方法|送料無料ラインの決め方と利益計算

2.決済手数料

クレジットカードや各種決済サービスの手数料です。売上に対して数%でも、年間売上が大きくなれば無視できない金額になります。

3.モールの販売関連手数料

楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどのモールでは、利用するサービスや販売条件に応じて各種費用が発生します。月額固定費だけではなく、売上に連動して増える費用まで確認してください。

4.ポイント原資

ポイント施策はEC、とくにモール運営では重要な販促手段ですが、店舗側の負担まで含めて採算を見る必要があります。「ポイントを増やしたら売上が伸びた」だけで判断せず、利益まで確認しましょう。

5.クーポン・値引き

クーポンや値引きを実施すると売上だけでなく粗利も変わります。セール後の売上高だけではなく、値引き後にいくら利益が残ったのかを確認してください。

例えば10%OFFだからといって、利益も10%しか減らないとは限りません。原価が変わらなければ、粗利益はそれ以上の割合で減る場合があります。

ECの値引き・クーポンで利益はいくら減る?割引率の決め方

6.梱包・出荷費

ダンボール、緩衝材、ラベルなどは1件あたりでは小さな金額に見えます。しかし月1,000件、5,000件と注文数が増えると、大きな変動費になります。

7.受注管理などのシステム費

ここは私が特に確認している項目です。受注管理システムの中には、注文数などに応じて利用料金が増える料金体系があります。

ネットショップを始めた頃は安かったとしても、事業が成長して注文数が増えた結果、年間ではかなりの金額を支払っているケースがあります。

ECで見落としやすい7つの費用

エビス店長なら損益分岐点をこの7項目から確認します

EC事業の採算について相談を受けた場合、私はいきなり複雑な会計分析から始めるわけではありません。まずは次の7項目を並べます。

  • ① 売上
  • ② 商品原価
  • ③ 送料
  • ④ 決済・モール手数料
  • ⑤ 広告・ポイント・クーポン
  • ⑥ 人件費
  • ⑦ システム費

ここまで並べるだけでも、「どこにお金を使っているのか」がかなり見えてきます。そして現在の月商だけではなく、いくら売れば黒字になるのか、何件注文があれば黒字になるのかまで確認します。

特に支援していて多いと感じるのが、ECを始めた初期段階で導入した受注管理システムを、そのまま使い続けているケースです。受注数が少なかった頃には問題がなかった料金体系でも、注文数が増えることで利用料が大きく膨らんでいることがあります。

私が支援してきた中では、受注管理システムを定額制のシステムへ見直したことで、年間100万円以上のコストダウンにつながったケースが10件以上あります。

売上を年間100万円増やすには、商品を仕入れ、集客して、販売しなければなりません。一方、現在発生している固定費や変動費を年間100万円改善できれば、その効果は利益に反映されやすくなります。

エビス店長
売上が伸びている会社ほど、昔から使っているシステム料金を一度確認してみてください。受注数が増えるほど料金も増える契約だと、成長と一緒にコストも膨らんでいることがあります。「もっと売る」以外にも利益を増やす方法はあります。

受注件数が増えているECサイトでは、現在のシステム料金が注文規模に合っているか一度比較してみることをおすすめします。

ECサイトの損益分岐点を下げる5つの方法

損益分岐点を計算して「思っていたより高い」と分かったら、次は黒字ラインを下げられないか考えてみましょう。基本的には、固定費を下げる、または変動費率を下げて限界利益率を高めることで損益分岐点を下げられます。

ただし、コストは削れば削るほどよいわけではありません。売上や顧客満足につながっている広告、人材、システムまで削ってしまえば、逆にEC事業を弱くしてしまう可能性があります。

1.固定費を見直す

ECカート、受注管理、在庫管理、分析ツール、メール配信、外注費などを一覧にしてみましょう。使っていないサービスや、現在の事業規模に合わなくなった契約があれば見直します。

ただし、業務効率を大きく高めているシステムまで「高いから」という理由だけで解約するのはおすすめしません。費用の金額だけではなく、費用対効果で判断することが大切です。

2.商品原価・仕入条件を見直す

販売量が増えている場合は、仕入条件を見直せる可能性があります。仕入単価だけでなく、発注ロット、発注頻度、仕入時の送料なども確認しましょう。

商品ごとの粗利率・粗利額まで確認すると、どの商品を伸ばすべきか、どの商品で原価改善が必要なのかも判断しやすくなります。

ECサイトの粗利率とは?計算方法・目安と利益を残す7つの改善方法

3.送料・物流費を見直す

配送会社、梱包サイズ、発送方法、送料無料ラインなどを確認します。送料を下げるためにサービス品質を落とすのではなく、現在の発送量に適した条件になっているかを見直します。

ECの送料負担を見直す方法|送料無料ラインの決め方と利益計算

4.ポイント・クーポン・販売手数料を確認する

ポイントやクーポンは売上を作るための有効な施策ですが、「売上が増えたから成功」で終わらないことが大切です。その施策を使ったあとに限界利益がどれくらい残ったのかまで確認しましょう。

ECの値引き・クーポンで利益はいくら減る?割引率の決め方

5.利益を残しやすい商品を伸ばす

商品によって粗利率や粗利額は違います。低利益の商品ばかり売上が伸びれば、売上全体は増えても利益が思うように残らないことがあります。

売上ランキングだけでなく、粗利額・粗利率も見ながら、どの商品を伸ばすべきか考えてみてください。

売上ランキングと粗利ランキングを比較する方法を見る

固定費を5万円減らすと損益分岐点はどう変わる?

先ほどのECサイトをもう一度使ってみましょう。元々は固定費40万円、限界利益率40%だったため、損益分岐点は月商100万円でした。

400,000円 ÷ 40% = 1,000,000円

ここでシステム費や固定契約などを見直して、固定費を月5万円削減できたとします。固定費は40万円から35万円になります。

350,000円 ÷ 40% = 875,000円

損益分岐点は、月商100万円から87万5,000円まで下がります。毎月必要な黒字ラインを12万5,000円下げられたことになります。

さらに平均客単価5,000円なら、黒字化に必要な注文数も変わります。

項目 Before After
固定費 400,000円 350,000円
限界利益率 40% 40%
損益分岐点売上高 1,000,000円 875,000円
必要注文数 200件 175件

つまり、月200件必要だった黒字ラインが175件まで下がり、毎月25件分の注文を減らしても損益分岐点へ到達できる計算になります。

固定費5万円削減 Before / After

これはEC運営で非常に大切な考え方です。売上を12万5,000円増やす方法だけではなく、同じ利益構造なら固定費を5万円下げることで、損益分岐点そのものを12万5,000円下げられるからです。

変動費率を5ポイント改善するとどうなる?

固定費だけでなく、変動費率の改善も損益分岐点へ大きく影響します。先ほどと同じ固定費40万円、変動費率60%、限界利益率40%なら、損益分岐点は100万円です。

仮に仕入条件、送料、手数料、商品構成などを改善し、変動費率を60%から55%へ下げられたとします。この場合、限界利益率は45%になります。

400,000円 ÷ 45% = 約889,000円

損益分岐点は、月商100万円から約88万9,000円まで下がります。

このように損益分岐点を計算すると、「もっと売る」以外にも、固定費を下げる、変動費率を下げる、利益を残しやすい商品構成に変える、といった改善方法が見えてきます。

自社の損益分岐点が高い原因を切り分けよう

損益分岐点を計算できたら、数字を見るだけで終わらせず、なぜ黒字ラインがその金額になっているのかを確認してみましょう。

気になる状態 まず確認したい項目
商品を売っても粗利が少ない 商品別の粗利率・粗利額
広告費が大きい 広告費率と広告後の利益
セールをすると利益が残らない 値引き・クーポン後の利益
送料無料の負担が大きい 送料負担と送料無料ライン
人件費・作業時間が増えている EC運営の人件費・工数
在庫に資金が滞留している 在庫回転率と適正在庫
売上は伸びたのに利益が減った 利益減少の7項目診断

損益分岐点は、単なる会計上の数字ではありません。どの費用を改善すればECサイトが黒字になりやすくなるのかを見つけるための診断指標として使うと、実務に活かしやすくなります。

損益分岐点まで売れればOKではない

ここは注意しておきたいところです。損益分岐点は、あくまで利益が0円になるラインです。

月商100万円が損益分岐点なら、「100万円売れれば十分」という意味ではありません。その時点では利益がほとんど残っていないからです。

事業を継続・成長させるためには、人材への投資、新商品の開発、広告投資、設備投資、在庫確保、将来の成長資金なども必要になります。

エビス店長
損益分岐点は「目標売上」ではなく、最低限超えておきたい基準線だと考えると分かりやすいです。黒字ラインが分かったら、その上に「どれくらい利益を残したいか」という目標を置いていきましょう。

ECの損益分岐点は一度計算して終わりではない

損益分岐点は、一度計算したらずっと同じというわけではありません。商品原価が上がる、配送料が改定される、人を採用する、広告費が増える、システム料金が変わる、売れる商品の構成が変わるなど、ECを取り巻く条件は常に変化します。

特に、次のようなタイミングでは損益分岐点を再計算してみることをおすすめします。

  • 仕入価格が改定された
  • 配送料が変更された
  • 人員を増やした
  • 広告予算を大きく変更した
  • EC・受注管理システムを変更した
  • モールなどの料金体系が変更された
  • 主力商品の構成が大きく変わった

大きなコスト変更があったときに再計算するだけでも、「以前は黒字だった売上ラインが、今は赤字になっている」といった変化に気付きやすくなります。

ECサイト損益分岐点チェックリスト

自社のECでどこまで把握できているか、最後に確認してみましょう。

  • 月間固定費が分かる
  • 商品原価が最新になっている
  • 決済・モール手数料を把握している
  • 店舗負担の送料が分かる
  • 梱包・出荷費を把握している
  • ポイント・クーポン負担を把握している
  • 広告費をどう扱うか決めている
  • システムの従量料金を把握している
  • 月商ベースの損益分岐点が分かる
  • 注文数ベースの損益分岐点が分かる
  • コスト変更時に損益分岐点を再計算している
エビス店長
最初から完璧な損益計算表を作らなくても大丈夫です。まず「毎月必ず出ていくお金」と「売れるほど増えるお金」を分けるだけでも、かなり見えてきます。数字を細かくするのは、そのあとで十分です。

損益分岐点からECの利益改善をさらに進める

損益分岐点を計算したら、黒字ラインを高くしている原因に合わせて次の改善へ進みましょう。

ECサイトの損益分岐点についてよくある質問

損益分岐点とは簡単にいうと何ですか?

売上と費用が同額になり、利益が0円になる売上ラインです。損益分岐点を下回ると赤字、上回ると黒字になるという考え方です。

ECサイトの損益分岐点はどう計算しますか?

基本的には「固定費÷限界利益率」で計算します。限界利益率は「(売上高-変動費)÷売上高」で求められます。変動費率が分かっている場合は、「固定費÷(1-変動費率)」でも計算できます。

送料は固定費と変動費のどちらですか?

注文が発生するごとに配送費が増える一般的なECでは、変動費として考えると分かりやすいでしょう。ただし、物流会社との契約内容などによって固定部分と変動部分が混在する場合があります。

広告費は固定費ですか?変動費ですか?

運用方法によって変わります。毎月一定額を使うなら固定費的に、売上などに応じて増減させるなら変動費として考える方法があります。損益分岐点分析では、自社の実際の広告運用に合わせて分類しましょう。

人件費は固定費ですか?

固定給の社員など、売上に関係なく毎月発生する人件費は基本的に固定費として考えます。一方で、出荷件数に応じた作業委託費などは変動費として考えた方が実態に合う場合があります。

損益分岐点は低い方がいいですか?

基本的には、損益分岐点が低いほど少ない売上で固定費を回収でき、黒字化しやすい構造になります。ただし、必要な広告、人材、システムまで削って売上やサービス品質を落としてしまっては意味がありません。コストの金額だけではなく、費用対効果まで確認しましょう。

粗利率と損益分岐点は何が違いますか?

粗利率は、売上から売上原価を差し引いた粗利益が売上に対してどれくらいあるかを見る指標です。一方、損益分岐点は固定費や変動費を含めて、いくら売れば利益が0円になるのかを見るための指標です。

ECサイトの粗利率とは?計算方法・目安と利益を残す7つの改善方法

損益分岐点を下げるにはどうすればいいですか?

基本的には、固定費を下げるか、変動費率を下げて限界利益率を高めることで損益分岐点を下げられます。ECでは商品原価、送料、広告費、値引き、システム費、人件費などを確認すると改善ポイントを見つけやすくなります。

売上が損益分岐点を超えているのに利益が少ないのはなぜですか?

損益分岐点は利益が0円になる境目です。そのため、少し超えただけでは大きな利益は残りません。また、広告費や送料、値引きなどを正しく変動費へ反映できていない場合は、計算上の損益分岐点と実際の利益に差が出ることがあります。

まとめ|「月商目標」の前に「黒字になる月商」を知ろう

ECでは「月商100万円を目指す」「今年は月商500万円にしたい」といった売上目標を立てることが多いと思います。もちろん目標を持つことは大切ですが、その前に一度、「自社ECはいくら売れば黒字になるのか?」を計算してみてください。

基本となる計算式は、「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」です。ECでは商品原価、決済手数料、モール手数料、送料、ポイント・クーポン、広告費、人件費、システム費などを整理して計算します。

さらに損益分岐点を平均客単価で割れば、月に必要な注文数まで分かります。そこまで見えるようになると、「売上を増やすべきか」「客単価を上げるべきか」「固定費を見直すべきか」「変動費率を改善するべきか」という次の施策を考えやすくなります。

エビス店長
私がEC支援で大切にしているのも、単純に「もっと売りましょう」ではありません。今の売上と費用を整理して、どこから黒字になるのかを把握したうえで、利益が残る売上を作ることです。

損益分岐点を計算してみて「思ったより黒字ラインが高い」と感じても、それ自体が悪いことではありません。固定費なのか、送料なのか、原価なのか、販促費なのか、システム費なのか。改善すべき場所が数字で見えるようになったということです。

EC全体の利益構造から改善したい場合は、粗利・広告費・値引き・送料・人件費・在庫まで含めて利益改善の全体像を確認してください。

「自社の損益分岐点が分からない」「売上はあるのに利益が残らない」「どの費用から見直せばいいか分からない」という場合は、現在の売上と費用を整理しながら改善ポイントを一緒に確認することもできます。