
「ECの広告費は、売上の何%くらいまで使っていいですか?」EC支援をしていると、よく聞かれる質問の一つです。
売上の5%、10%、20%など、広告費率の目安はいろいろなところで紹介されています。しかし、私は「広告費率が10%だから問題ない」「20%だから使いすぎ」とは判断しません。
例えば、同じ広告費率10%でも、粗利率20%の商品を販売しているECと、粗利率60%の商品を販売しているECでは、広告を使ったあとに残る利益がまったく違うからです。さらに、新規顧客を獲得するための広告なら、初回購入では広告費を回収できなくても、その後のリピート購入によって利益を回収できる場合があります。
この記事では、ECの広告費率の計算方法や目安から、粗利・ROAS・CAC・LTVを使って「自社はいくらまで広告費を使えるのか」を判断する方法まで、具体例を使って分かりやすく解説します。
- 1 ECの広告費率とは?
- 2 ECの広告費率は何%が目安?
- 3 広告費率10%なら高い?低い?
- 4 適正な広告費率は「粗利」から逆算する
- 5 広告費の上限を計算してみよう
- 6 ROASが高ければ広告費を増やしていい?
- 7 広告費率とROASはどう違う?
- 8 ROASだけでは広告を判断できない5つの理由
- 9 新規顧客獲得広告は「初回利益」だけで判断しない
- 10 広告費率を見るならCACも確認しよう
- 11 エビス店長なら広告をこの6項目で判断します
- 12 【実例】月商1,000万円でも利益率が1%も残らなかったEC
- 13 広告を「止める・続ける・増やす」はどう判断する?
- 14 広告予算を増やすときは「限界利益」を確認する
- 15 広告費を削る前に確認したい5つのこと
- 16 広告費率を下げれば利益は増える?
- 17 広告費率と損益分岐点を一緒に考えよう
- 18 自社の適正広告費率を決める5STEP
- 19 広告費率が高い原因を切り分けよう
- 20 EC広告費率チェックリスト
- 21 ECの広告費率についてよくある質問
- 22 広告費からECの利益改善をさらに進める
- 23 まとめ|広告費率の「平均」ではなく「自社の利益」から決めよう
ECの広告費率とは?
広告費率とは、売上に対して広告費をどれくらい使っているかを表す割合です。広告費が高いか安いかを金額だけで判断するのではなく、売上に対する割合として確認できます。
計算方法はシンプルです。
広告費率(%)= 広告費 ÷ 売上高 × 100
例えば、月商500万円のECサイトが月50万円の広告費を使っている場合は、次のように計算します。
50万円 ÷ 500万円 × 100 = 10%
つまり、このECサイトは売上の10%を広告へ使っていることになります。

広告費率を毎月確認しておくと、「売上は伸びているけれど、それ以上に広告費が増えていないか」「広告への依存度が高くなっていないか」といった変化にも気付きやすくなります。
ECの広告費率は何%が目安?
「結局、ECの広告費率は何%くらいが目安なの?」というのが、一番知りたいところだと思います。
EC・通販企業の広告宣伝費を見ると、売上に対して一定割合の広告費を使っている企業は多くあります。一方で、その比率は業態や商材によってかなり異なります。新規顧客の獲得が重要なD2Cと、リピート顧客が多いEC、モール中心の店舗、自社EC中心の店舗では、広告へ使える金額は同じではありません。
そのため、「ECなら広告費率10%が正解」などと一律に決めることはおすすめしません。業界平均は、自社の広告費率が極端ではないかを見るための参考値として使い、最終的には自社の利益構造から判断する必要があります。
つまり、本当に知りたいのは平均値ではなく、「自社はいくらまで広告費を使っても利益が残るのか?」です。
広告費率10%なら高い?低い?
広告費率の適正値を考えるうえで、まず確認したいのが粗利率です。同じ広告費率でも、商品の粗利率によって広告費を負担できる余力は大きく変わります。
分かりやすく、売上100万円・広告費10万円の2つのECサイトを比較してみましょう。どちらも広告費率は10%です。
粗利率20%のECサイト
売上100万円、粗利率20%なら粗利は20万円です。ここから広告費10万円を引くと、広告後の粗利は10万円しか残りません。さらに、送料、決済手数料、人件費、システム費などを支払う必要があります。
粗利率60%のECサイト
一方、売上100万円、粗利率60%なら粗利は60万円です。同じ広告費10万円を使っても、広告後の粗利は50万円残ります。

どちらも広告費率は10%ですが、広告費を負担できる余力はまったく違います。つまり、広告費率を見るときは必ず粗利率とセットで確認することが大切です。
商品の粗利率や粗利の計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
ECサイトの粗利率とは?計算方法・目安と利益を残す7つの改善方法
適正な広告費率は「粗利」から逆算する
では、自社はいくらまで広告費を使えるのでしょうか。私は、広告費から考えるのではなく、残したい利益から逆算して考える方法をおすすめします。
売上 → 商品原価を引く → 粗利 → 広告以外の必要経費を引く → 残したい利益を確保する → 広告へ使える金額を考える
例えば、月商500万円、粗利率40%なら粗利は200万円です。しかし、この200万円をすべて広告へ使えるわけではありません。
ここから送料、決済手数料、梱包・物流費、人件費、システム費、その他の固定費などを支払う必要があります。さらに、会社として残したい利益も確保しなければなりません。
仮に粗利200万円、広告以外の費用100万円、残したい利益50万円なら、広告へ使える金額は次のように考えられます。
200万円-100万円-50万円=50万円
売上500万円に対して広告費50万円なので、この場合の広告費率は10%です。
ここで重要なのは、「広告費率は10%が目安だから50万円使う」のではなく、「自社の利益構造から逆算した結果、広告費率10%になった」という順番です。
広告費の上限を計算してみよう
広告予算を決めるときは、「広告費率○%」から始めるよりも、次の計算式で考えると分かりやすくなります。
広告へ使える金額の目安 = 粗利-広告以外の費用-残したい利益
さらに、その金額を売上で割れば、自社が許容できる広告費率の目安を計算できます。
許容広告費率 = 広告へ使える金額 ÷ 売上高 × 100
例えば月商1,000万円、粗利率40%、広告以外の費用250万円、毎月残したい利益50万円なら、粗利は400万円です。
粗利:1,000万円 × 40% = 400万円
広告費上限:400万円-250万円-50万円=100万円
広告費率:100万円 ÷ 1,000万円 × 100=10%
このECサイトでは、現在の利益構造を前提にすると、広告費100万円・広告費率10%が一つの基準になります。
ただし、これは「10%までなら必ず広告を使うべき」という意味ではありません。実際には広告を追加したときに売上や粗利がどれくらい増えるのかを確認しながら予算を調整します。
ROASが高ければ広告費を増やしていい?
広告運用では、広告費率と並んでROASもよく使われます。ROASは、広告費に対してどれだけ広告経由売上を作れたかを見る指標です。
例えば、広告費10万円で広告経由売上50万円を作った場合、ROASは500%です。
50万円 ÷ 10万円 × 100 = ROAS 500%
一見すると、かなり良さそうに見えます。しかし、仮に広告経由で売れた商品の粗利率が10%なら、50万円の売上から得られる粗利は5万円です。広告費は10万円なので、粗利だけで見ても広告費を回収できていません。
つまり、ROASが高い=利益が出ている、とは限りません。
ROASそのものの意味や計算方法、損益分岐ROASについては、以下の記事で詳しく解説しています。
広告費率とROASはどう違う?
広告費率とROASは似ているように見えますが、見る方向が違います。
| 指標 | 計算方法 | 分かること |
|---|---|---|
| 広告費率 | 広告費 ÷ 売上 × 100 | 売上に対して広告費をどれくらい使っているか |
| ROAS | 広告経由売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告費に対して広告経由売上をどれくらい作ったか |
例えば、同じ売上範囲を使って単純計算するなら、広告費率10%はROAS1000%、広告費率20%はROAS500%、広告費率25%はROAS400%に相当します。
ただし、実務では注意が必要です。サイト全体の売上を使って計算する広告費率と、広告計測上の売上を使うROASでは対象となる売上が異なることがあります。そのため、広告費率とROASを単純に裏返した数字として扱わないようにしましょう。
ROASだけでは広告を判断できない5つの理由
ROASは広告効果を見るうえで重要な指標ですが、ROASだけを見て広告の継続や停止を決めると、判断を誤ることがあります。
1.商品によって粗利率が違う
同じROAS500%でも、粗利率20%の商品と粗利率60%の商品では広告後に残る利益が違います。複数商品を扱っているECでは、ショップ全体のROASだけでなく、商品・カテゴリ別の利益も確認しましょう。
2.送料や決済手数料が含まれていない
商品が売れれば、送料、決済手数料、梱包費、出荷費なども発生します。広告費だけを回収できていても、その他の変動費まで含めると赤字になる可能性があります。
ECの送料負担を見直す方法|送料無料ラインの決め方と利益計算
3.ポイントやクーポンの負担がある
楽天市場などのモールでは、広告だけでなくポイントやクーポンも積極的に使うケースがあります。広告経由売上が増えていても、販促費全体で見ると利益がほとんど残っていないことがあります。
4.新規顧客と既存顧客では広告の意味が違う
新規顧客を獲得する広告と、すでに自社を知っている既存顧客へ再購入を促す広告では役割が違います。特に新規顧客獲得では、初回購入だけで広告効果を判断すると、本来の価値を見誤る場合があります。
5.その後のLTVが考慮されていない
リピート購入が多い商品では、初回購入時点では広告費を回収できなくても、2回目、3回目の購入によって利益を回収できる可能性があります。逆に、一度購入したら長期間買い替えない商品なら、将来の購入による回収を期待しすぎるのは危険です。
新規顧客獲得広告は「初回利益」だけで判断しない
例えば、広告費10万円を使って新規顧客を20人獲得したとします。この場合、新規顧客1人を獲得するために使った広告費は5,000円です。
100,000円 ÷ 20人 = 5,000円
仮に初回購入で得られる利益が3,000円なら、初回購入だけを見ると1人あたり2,000円の赤字です。
初回利益3,000円-顧客獲得コスト5,000円=▲2,000円
しかし、その顧客がその後も購入し、一定期間で1人あたり15,000円の利益を残すのであれば、顧客獲得時の5,000円を回収できる可能性があります。

だからこそ、リピート型ECでは初回ROASだけではなく、LTVと顧客獲得コストの関係まで確認することが重要です。
広告費率を見るならCACも確認しよう
広告費率と一緒に確認したいのが、CAC(Customer Acquisition Cost)です。日本語では顧客獲得コストと呼ばれ、新規顧客を1人獲得するためにどれくらいの費用を使っているかを見る指標です。
広告費だけを使って簡易的に確認する場合は、次のように考えられます。
顧客獲得コスト = 新規顧客獲得に使った広告費 ÷ 新規顧客数
例えば、広告費50万円で新規顧客100人を獲得した場合は、1人あたり5,000円です。
500,000円 ÷ 100人 = 5,000円
「広告費率10%」という数字だけを見るよりも、「新規顧客を1人獲得するために5,000円かかっている」と分かった方が、その後のリピート購入による利益と比較しやすくなります。
なお、厳密なCACでは広告費だけでなく、新規顧客獲得に使ったマーケティング関連費用などを含めて計算する場合があります。社内で比較するときは、どこまでの費用をCACへ含めるか定義をそろえておきましょう。
エビス店長なら広告をこの6項目で判断します
私がECの広告について相談を受けたときは、一つの数字だけを見て判断しないようにしています。最低限、次の6項目を確認します。
- ① 広告費率:売上に対して広告費をどれくらい使っているか
- ② ROAS:広告費に対してどれくらい広告経由売上を作れているか
- ③ 商品の粗利率:広告で売れている商品にどれくらい粗利があるか
- ④ 新規顧客獲得コスト(CAC):新規顧客1人を獲得するためにいくら使っているか
- ⑤ リピート率・LTV:獲得した顧客がその後どれくらい購入してくれているか
- ⑥ 最終的に残る利益:広告や各種費用を差し引いたあとに利益が残っているか

【実例】月商1,000万円でも利益率が1%も残らなかったEC
実際に私が支援した楽天市場の食品ECで、月商約1,000万円まで売れている店舗がありました。月商1,000万円と聞けば、かなり順調なECサイトに見えると思います。
しかし、詳しく数字を確認すると、利益率は1%も残っていませんでした。
原因は広告費だけではありません。売上を伸ばすために、広告、ポイント、クーポンなどの販促施策を積極的に使っていました。それぞれの施策だけを見ると「売上が伸びているので成功」に見えますが、すべての費用を合わせて利益まで確認すると、ほとんど残っていなかったのです。

私はこのようなケースでは、広告費だけを単独で見るのではなく、広告費+ポイント+クーポンなどを「売上を作るために使った販促コスト」として一度並べて確認します。
売上は増えているのに利益が残らない場合は、広告だけでなくEC事業全体の費用構造を確認してみてください。
広告を「止める・続ける・増やす」はどう判断する?
広告運用では、「この広告は止めるべきですか?」「もっと予算を増やしても大丈夫ですか?」という判断も必要になります。私はROASだけで即座に判断するのではなく、利益やLTVまで含めて考えます。
| 状況 | 確認したいこと |
|---|---|
| ROASが高く利益も残る | 増額しても利益と効率を維持できるか |
| ROASが高いのに利益が残らない | 粗利・送料・ポイント・クーポンなどを確認 |
| 初回ROASが低くLTVが高い | 何か月で顧客獲得費を回収できるか |
| ROASもLTVも低い | 広告・商品・LPなどの見直しを検討 |
| 新規顧客が増えている | CACとその後のリピートを確認 |
| 既存顧客の購入が中心 | 広告による純増効果を確認 |
特に注意したいのは広告予算を増やすときです。広告費10万円でROAS500%だったとしても、広告費を50万円へ増やしたときに同じ500%を維持できるとは限りません。
広告費を増やすときは、ROASだけでなく「広告費を増やした結果、利益額まで増えたか」を確認することが重要です。
広告予算を増やすときは「限界利益」を確認する
広告を増額するときに重要なのは、現在の平均ROASだけではありません。追加した広告費によって、追加でどれだけ利益が増えたかを見ることが大切です。
例えば広告費を50万円から70万円へ20万円増額し、その結果、追加で80万円の売上が増えたとします。追加売上80万円の粗利率が40%なら、追加粗利は32万円です。
追加売上80万円 × 粗利率40% = 追加粗利32万円
追加粗利32万円-追加広告費20万円=12万円
この例では、広告費を20万円増やした結果、単純計算では12万円分の利益余力が増えています。
反対に、広告費を20万円増やしても追加粗利が15万円しか増えないのであれば、広告費を増やしたことで利益を5万円圧迫していることになります。
広告費を削る前に確認したい5つのこと
「利益が少ないから広告費を削ろう」と考える前に、広告そのものが悪いのか、別のところに原因があるのかを確認してみましょう。
1.利益の低い商品へ広告を出していないか
売れている商品が、必ずしも利益を残している商品とは限りません。広告で売れている商品の粗利率・粗利額を確認し、広告費をかけても利益を残せる商品なのかを確認します。
2.広告費を多くの商品へ分散しすぎていないか
成果の出ていない商品へ少額ずつ広告費を使い続けると、一つひとつは小さくても全体では大きな金額になります。利益を作れる商品へ広告を集中できないか確認してみましょう。
3.新規顧客と既存顧客を分けて見ているか
新規獲得のために広告を使っているのか、既存顧客の再購入を促しているのかによって広告の評価方法は変わります。まず広告の目的を明確にすることが大切です。
4.ポイント・クーポンまで含めているか
広告費だけでは黒字でも、ポイントやクーポンを加えると赤字になる場合があります。広告費単独ではなく、販促費全体で確認しましょう。
5.広告以外の集客経路を育てているか
SEO、SNS、メルマガ、LINE、リピーターなど、広告以外からの売上が増えれば、広告だけに依存しない集客構造を作れます。
広告をゼロにすることが目的ではありません。広告を使いながら、広告に依存しすぎないECへ変えていくことが重要です。
広告費率を下げれば利益は増える?
広告費率を下げれば、必ず利益が増えるわけではありません。利益を生み出している広告まで削ってしまえば、広告費の削減額以上に粗利を失う可能性があるからです。
例えば広告費を50万円削減した結果、売上が300万円減ったとします。粗利率40%なら、失われる粗利は120万円です。
300万円 × 40% = 粗利120万円
広告費50万円を削るために120万円の粗利を失うのであれば、単純なコスト削減が利益改善につながるとは限りません。
広告費率と損益分岐点を一緒に考えよう
広告費はECサイトの損益分岐点にも影響します。広告費を売上に連動する変動費として考える場合、広告費率が上昇すると変動費率も上がり、限界利益率が下がります。
広告費率が上がる → 変動費率が上がる → 限界利益率が下がる → 損益分岐点が上がる
つまり、広告を増やして売上が伸びていても、広告費率がそれ以上に高くなれば、黒字になるために必要な売上まで上がってしまう可能性があります。
広告費を見るときは売上だけでなく、EC事業全体の黒字ラインへの影響まで確認しておきましょう。
ECサイトの損益分岐点とは?計算方法と黒字になる売上を具体例で解説【2026年】
自社の適正広告費率を決める5STEP
ここまで読んで、「結局、自社は広告費率を何%にすればいいの?」と思った方もいるでしょう。私は次の順番で考えることをおすすめします。
STEP1.現在の広告費率を計算する
まず「広告費÷売上×100」で現在の広告費率を確認します。この段階では、業界平均との比較は参考程度で構いません。
STEP2.粗利率を確認する
次に、自社の商品からどれくらい粗利が残るのかを確認します。可能であればショップ全体だけでなく、商品・カテゴリ別でも確認してみましょう。
STEP3.広告以外の費用を確認する
粗利からは、送料、決済手数料、ポイント、クーポン、物流費、人件費、システム費なども支払う必要があります。広告費だけを切り離して考えないことが重要です。
STEP4.いくら利益を残したいか決める
「赤字にならなければ広告費はいくら使ってもいい」という考え方では、事業を成長させるための利益が残りません。会社として毎月いくら利益を残したいのかを先に決めます。
STEP5.残った金額から広告費の上限を逆算する
最後に、粗利から広告以外の費用と残したい利益を引いて、広告へ使える金額を考えます。
広告へ使える金額の目安 = 粗利-広告以外の費用-残したい利益
その金額を売上で割れば、自社の広告費率の目安が見えてきます。

広告費率が高い原因を切り分けよう
広告費率を計算して「高い」と感じた場合も、すぐに広告を削る必要はありません。どこに原因があるのかを切り分けてみましょう。
| 気になる状態 | 確認したい項目 |
|---|---|
| 広告後に粗利がほとんど残らない | 商品別の粗利率・粗利額 |
| セール時だけ広告効率が悪化する | 値引き・クーポン後の利益 |
| 広告経由の注文は多いのに利益が少ない | 送料・物流費 |
| 売上増加とともに人件費も増えている | EC運営の人件費・工数 |
| 広告を増やすほど黒字化が難しくなる | 損益分岐点 |
| 売上は増えたのに利益が減っている | 売上増・利益減の7項目診断 |
広告費率は、広告運用だけの問題とは限りません。粗利・送料・値引き・人件費などを含めたEC全体の利益構造と一緒に確認することで、本当に改善すべき場所が見えてきます。
EC広告費率チェックリスト
最後に、自社の広告運用をどこまで把握できているか確認してみましょう。
- 毎月の広告費率を把握している
- 商品・カテゴリ別の粗利率を把握している
- ROASだけで広告を判断していない
- 新規顧客と既存顧客を分けて見ている
- 新規顧客獲得コストを把握している
- リピート率を把握している
- LTVを確認している
- ポイント・クーポンも販促コストとして見ている
- 広告後に残る利益を確認している
- 損益分岐点への影響を確認している
- 広告増額後の追加利益を確認している
- 広告以外の集客経路も育てている
全部できていなくても問題ありません。まずは「広告費率」「粗利率」「広告後に残る利益」の3つから確認してみてください。
ECの広告費率についてよくある質問
ECの広告費率は売上の何%が目安ですか?
すべてのECサイトに共通する適正広告費率はありません。業界平均は参考になりますが、商材の粗利率、送料、手数料、新規顧客比率、LTVなどによって許容できる広告費は変わります。平均値から決めるのではなく、自社の利益構造から逆算することをおすすめします。
広告費率10%は高いですか?
広告費率10%という数字だけでは判断できません。粗利率20%の商品と粗利率60%の商品では、同じ広告費率10%でも広告後に残る利益が大きく違います。
ネットショップの広告費はいくら必要ですか?
売上規模だけで決めるのではなく、粗利、広告以外の費用、必要利益から逆算して考えます。また、立ち上げ期と安定期、新規顧客獲得型とリピート型でも必要な広告投資は変わります。
広告費の上限はどう計算すればいいですか?
一つの考え方として、「粗利-広告以外の費用-残したい利益」で広告へ使える金額を計算できます。その金額を売上で割れば、自社の利益構造から見た広告費率の目安を確認できます。
ROASは何%あればいいですか?
一律の正解はありません。必要なROASは商品の利益構造によって変わります。粗利率や送料、決済手数料などを考慮したうえで、自社の損益分岐ROASを確認することが大切です。
広告費は固定費ですか?変動費ですか?
運用方法によって考え方が変わります。毎月一定額を広告予算として使うなら固定費的に、売上に応じて広告費を増減させるなら変動費として扱う方法があります。損益分岐点分析では、自社の実際の広告運用に合わせて考えると分かりやすいでしょう。
広告費を削れば利益は増えますか?
必ずしも増えません。利益を生み出している広告を削れば、広告費の削減額以上に粗利を失う可能性があります。広告費の金額ではなく、広告を使った結果としていくら利益が残ったかを確認しましょう。
広告費を増やすタイミングはどう判断しますか?
現在のROASだけでなく、広告費を追加した結果として売上・粗利・最終利益がどれくらい増えたかを確認します。広告予算を増やすと効率が低下することもあるため、少しずつ増額しながら追加投資による利益の変化を見ることが大切です。
広告費からECの利益改善をさらに進める
広告費率を確認したら、数字を見るだけで終わらせず、利益を圧迫している原因に合わせて次の改善へ進みましょう。
まとめ|広告費率の「平均」ではなく「自社の利益」から決めよう
ECの広告費率について調べると、「売上の5%」「10%」「20%」など、さまざまな目安が出てきます。しかし、平均値は参考にはなっても、そのまま自社の広告予算にする数字ではありません。
広告費率を判断するときは、広告費率、粗利率、ROAS、新規顧客獲得コスト、リピート率・LTV、最終的に残る利益まで確認してみてください。
そして最終的には、「粗利-広告以外の費用-残したい利益」から、広告へ使える金額を逆算します。これなら「平均が10%だから10%使う」のではなく、自社の利益構造に合った広告予算を考えられます。
広告費率を計算して「思ったより高かった」としても、すぐに広告を止める必要はありません。粗利が低いのか、ポイントやクーポンを使いすぎているのか、新規顧客獲得コストが高いのか、リピートされていないのか、広告費以外のコストが高いのか。一つずつ分解すると、改善すべき場所が見えてきます。
EC全体で利益が残らない原因を整理したい場合は、粗利・広告費・値引き・送料・人件費・在庫まで含めて利益構造全体を確認してみてください。
「広告費をどこまで使っていいのか分からない」「売上は伸びているのに利益が残らない」「広告・ポイント・クーポンを含めた販促費を見直したい」という場合は、現在の数字を整理しながら改善ポイントを一緒に確認することもできます。