ROASとは「Return On Advertising Spend」の略で、日本語では一般的に広告費用対効果と呼ばれます。広告に使った金額に対して、どれだけの売上・コンバージョン価値を獲得できたかを見る指標です。
ECサイトでは、Google広告、Meta広告、ECモール内広告など、広告費を使って商品を販売する場面が多くあります。しかし広告から売上が発生していても、広告費をかけすぎて利益が残っていないことは珍しくありません。そこで、広告の売上効率を確認するために使われるのがROASです。
基本的な計算式は、「ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」です。たとえば10万円の広告費を使って50万円の売上が発生した場合、ROASは500%となります。
ただし、ここで最も重要なのは、ROASが高い=利益が出ている、とは限らないことです。商品原価、送料、決済手数料、モール手数料などを考えずにROASだけを見ると、「広告は好調に見えるのに利益が残らない」という状態になることがあります。
この記事では、ROASの意味と計算方法だけでなく、ROIやCPAとの違い、EC広告ではROAS何%を目標にすればよいのか、損益分岐ROASの求め方、ROASを改善する方法まで分かりやすく解説します。
- ROAS(広告費用対効果)の意味
- ROASの計算方法
- ROAS100%でも黒字とは限らない理由
- 損益分岐ROASの考え方
- ROI・CPA・CVRとの違い
- ROASが低くなる原因
- ROASを改善する方法
- Google広告の目標ROASの考え方
- 1 ROASとは?
- 2 ROASの計算方法
- 3 ROAS100%なら黒字という意味ではない
- 4 ECで重要な「損益分岐ROAS」とは?
- 5 ROASは何%なら高い?
- 6 ROASとROIの違い
- 7 ROASとCPAの違い
- 8 ROAS・CPA・CVRは一緒に見る
- 9 ROASが低くなる主な7つの原因
- 10 ROASを改善する8つの方法
- 11 Google広告の「目標広告費用対効果」とは?
- 12 ROASを上げすぎることが正解とは限らない
- 13 EC広告でROASを見るときの注意点
- 14 EC担当者がROAS改善で最初に確認したい3つ
- 15 ROASについてよくある質問
- 16 まとめ|ROASは「広告の売上効率」を見る数字。利益とセットで判断する
ROASとは?
ROASは、広告費に対してどれだけの売上やコンバージョン価値を獲得できたかを見る指標です。EC広告では、広告キャンペーンごとの売上効率を比較したり、広告予算を増減する判断材料として使われます。
たとえば同じ10万円の広告費でも、広告経由の売上が30万円ならROAS300%、50万円なら500%、80万円なら800%となります。
| 広告 | 広告費 | 広告経由売上 | ROAS |
|---|---|---|---|
| 広告A | 100,000円 | 300,000円 | 300% |
| 広告B | 100,000円 | 500,000円 | 500% |
| 広告C | 100,000円 | 800,000円 | 800% |
ROASだけを見れば広告Cが最も高い広告費用対効果となります。ただし、販売している商品の原価率や送料などが異なる場合、ROASが高い広告が必ず最も利益を残しているとは限りません。

ROASの計算方法
ROASの基本的な計算式は非常にシンプルです。
ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
たとえば広告費が20万円、広告経由の売上が100万円の場合、「100万円 ÷ 20万円 × 100」となるため、ROASは500%です。これは広告費1円に対して5円の売上を獲得した状態を意味します。
| 広告費 | 広告経由売上 | ROAS | 意味 |
|---|---|---|---|
| 100,000円 | 100,000円 | 100% | 広告費1円に対して売上1円 |
| 100,000円 | 300,000円 | 300% | 広告費1円に対して売上3円 |
| 100,000円 | 500,000円 | 500% | 広告費1円に対して売上5円 |
| 100,000円 | 1,000,000円 | 1,000% | 広告費1円に対して売上10円 |
ROAS100%なら黒字という意味ではない
ROASを初めて見る方が特に間違えやすいのが、「ROAS100%=損益ゼロ」と考えてしまうことです。
たとえば販売価格10,000円の商品が1個売れ、その注文を獲得するために広告費10,000円を使った場合、ROASは100%です。しかし商品原価が5,000円なら、「売上10,000円-商品原価5,000円-広告費10,000円」となり、この時点ですでに5,000円の赤字です。
さらにECでは、送料、決済手数料、梱包費、モール手数料なども発生します。そのためROASでは、広告費に対してどれだけ売上を作れたかは分かっても、利益が出ているかまでは判断できません。
ECで重要な「損益分岐ROAS」とは?
ROASを実務で使うなら、自社の損益分岐ROASを把握しておくことが重要です。損益分岐ROASとは、それよりROASが低くなると、広告経由の販売で利益が残らなくなる境界線です。
たとえば販売価格10,000円の商品について、商品原価、送料、決済手数料など広告以外の費用を差し引いたあと、広告費として使える金額が4,000円残るとします。
この場合の損益分岐ROASは、次のように計算できます。
10,000円 ÷ 4,000円 × 100 = 250%
つまり、この条件ではROAS250%前後が損益分岐点です。ROASが250%を下回れば赤字になりやすく、250%を上回るほど広告経由の注文から利益を残しやすくなります。
| 項目 | 金額例 |
|---|---|
| 販売価格 | 10,000円 |
| 広告以外の変動費 | 6,000円 |
| 広告に使える金額 | 4,000円 |
| 損益分岐ROAS | 250% |
ここでいう費用は単純な商品原価だけではなく、送料、決済手数料、販売手数料なども含めて考える方が実務では安全です。

ROASは何%なら高い?
「ROASは何%あれば良いですか?」という質問はよくありますが、すべてのECサイトに共通する正解はありません。商品原価、客単価、送料、モール手数料、リピート率などによって必要なROASが大きく変わるためです。
たとえば利益率の高い商品と、原価率の高い家電では、同じROAS300%でも最終的に残る利益は大きく異なります。そのため「ROAS500%なら優秀」「300%なら低い」と他社と比較するのではなく、まず自社の損益分岐ROASを計算してください。
広告運用で見るべきなのは、一般的な平均ROASではなく、「自社に必要なROASを超えているか」です。
ROASとROIの違い
ROASとよく混同される指標がROIです。ROASは広告費に対する売上を見る指標ですが、ROIは投資に対してどれだけ利益を得られたかを見る考え方です。
| 指標 | 主に見るもの | 考え方 |
|---|---|---|
| ROAS | 広告費に対する売上 | 広告からどれだけ売上を回収したか |
| ROI | 投資に対する利益 | 投資によってどれだけ利益を生み出したか |
EC広告では、ROAS=広告の売上効率を見る指標、ROI=投資による利益効率を見る指標と考えると分かりやすいでしょう。
ROASが高くても、商品原価やその他の費用が高ければROIは低くなる可能性があります。そのため、本当に広告が事業利益へつながっているかを判断する場合は、ROASだけでなく利益も確認する必要があります。
ROASとCPAの違い
CPAは「Cost Per Acquisition」の略で、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費を表します。
CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
たとえば10万円の広告費で20件の注文を獲得した場合、CPAは5,000円です。
| 指標 | 見るもの | ECでの使い方 |
|---|---|---|
| ROAS | 売上金額 | 広告費に対する売上効率を見る |
| CPA | 獲得件数 | 1件の注文獲得にいくらかかったかを見る |
| CVR | 購入率 | アクセスの何%が購入したかを見る |
客単価がほぼ一定の商品ならCPAでも判断しやすいですが、注文ごとの購入金額が大きく異なるECでは、ROASも合わせて確認した方が広告効果を把握しやすくなります。
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ROAS・CPA・CVRは一緒に見る
EC広告を改善するときは、ROASだけを単独で見るより、CPAやCVR、客単価などを組み合わせると原因を見つけやすくなります。
たとえばROASが下がったとしても、広告クリック単価が上がったのか、CVRが下がったのか、客単価が下がったのかによって必要な対策は異なります。
EC広告では、次の流れで数字を確認すると原因を切り分けやすくなります。
広告費 → アクセス → CVR → 注文件数 → 客単価 → 売上 → ROAS
ROASは最終結果として便利な指標ですが、その数字が変化した理由を知るには、その手前にある指標まで分解して見ることが重要です。
ROASが低くなる主な7つの原因
ROASが低いからといって、すぐ広告配信を停止する必要はありません。広告そのものに問題がある場合もあれば、商品ページや客単価、計測設定に原因がある場合もあります。
1.広告クリック単価が高い
同じ売上でも広告費が増えればROASは下がります。競合増加、配信対象、キーワード、クリエイティブなどによってクリック単価が上昇していないか確認しましょう。
2.広告と商品が合っていない
広告がクリックされても、広告で伝えた内容と商品ページが一致していなければ購入されません。広告文やクリエイティブだけでなく、クリック後のページまで一つの導線として確認します。
3.CVRが低い
アクセスは来ていても購入率が低ければ、広告費だけが増えてROASは下がります。商品ページ、価格、送料、レビュー、支払い方法、配送条件、購入フォームなどを確認してください。
4.客単価が低い
注文件数が同じでも客単価が下がればROASも低下します。セット販売、まとめ買い、関連商品などによって、顧客にとって自然な形で客単価を上げられないか検討します。
5.利益率の低い商品へ広告費を使っている
商品ごとに利益率が異なる場合、全体ROASだけでは広告投資の良し悪しを判断できません。商品別の売上だけでなく利益まで確認し、広告予算を配分する商品を見直します。
6.広告計測に問題がある
広告経由の購入金額が正しく計測されていなければ、実際よりROASが低く表示される可能性があります。購入コンバージョン、購入金額、タグ、計測期間などを確認してください。
7.新規顧客獲得を短期ROASだけで判断している
初回購入では広告費が高くROASが低く見える商品でも、その後の継続購入によって長期的に利益が出るケースがあります。リピート商材ではLTVまで含めて評価することが重要です。

ROASを改善する8つの方法
ROASを改善するときは、広告管理画面の設定だけを変更するのではなく、広告から購入完了までの流れ全体を確認します。
- 1.広告ターゲットを見直す
- 2.広告クリエイティブを改善する
- 3.広告と商品ページの訴求を合わせる
- 4.商品ページのCVRを改善する
- 5.客単価を改善する
- 6.利益率の高い商品へ予算を配分する
- 7.不採算の商品・広告を見直す
- 8.リピーターやLTVまで含めて評価する
特にECでは、広告そのものより商品ページに原因があるケースも少なくありません。広告で集客できているのに購入されない場合は、商品画像、価格、送料、配送時期、レビュー、FAQ、決済方法など、購入判断に必要な情報を見直しましょう。
Google広告の「目標広告費用対効果」とは?
Google広告には「目標広告費用対効果(目標ROAS)」を設定して、コンバージョン価値を重視しながら入札を自動調整する方法があります。
ただし、ROASは高ければ高いほどよいからといって、現実離れした数値を目標に設定すればよいわけではありません。目標を高くしすぎることで配信機会が減り、獲得できる売上やコンバージョン量まで小さくなる可能性があります。
自社の損益分岐ROAS、過去の広告実績、商品利益率などを確認し、利益を確保しながら広告を配信できる現実的な目標を設定することが重要です。
ROASを上げすぎることが正解とは限らない
ROASは高いほど広告効率が良く見えますが、ECでは「ROAS最大化=売上最大化」でも「利益最大化」でもありません。
たとえば次の2つの広告を比較してみます。
| 広告 | 広告費 | 売上 | ROAS |
|---|---|---|---|
| 広告A | 10,000円 | 100,000円 | 1,000% |
| 広告B | 1,000,000円 | 5,000,000円 | 500% |
ROASだけなら広告Aの方が優秀ですが、売上規模は広告Bの方が圧倒的に大きくなります。広告Bでも十分な利益が残るのであれば、ROASが多少低くても広告費を増やし、売上や利益総額を拡大する方が事業として有効な場合があります。
EC担当者が目指すべきなのは「ROASを最高にすること」ではなく、利益を確保しながら、どこまで広告投資を拡大できるかを判断することです。
EC広告でROASを見るときの注意点
広告管理画面に表示されるROASを、そのまま会社全体の広告効果だと判断しないようにしましょう。広告媒体ごとにコンバージョンの計測方法や成果の割り当て方が異なるため、同じ注文が複数の広告媒体で成果として計測される可能性もあります。
また、ブランド名検索の広告などはROASが高くなりやすい一方で、その広告がなくても購入した可能性のある顧客が含まれている場合があります。
そのため広告管理画面ではROASを見るだけでなく、最終的には次の数字まで確認してください。
- 売上
- 粗利益
- 広告費
- 利益総額
- 新規顧客数
- リピート率
- LTV
媒体上の広告効率と、会社全体として本当に売上・利益が増えたかの両方を見ることが重要です。
EC担当者がROAS改善で最初に確認したい3つ
ROASを改善したいときに、広告管理画面の細かな設定から入りすぎると原因を見失いやすくなります。まずは次の3つを確認してください。
- 自社の損益分岐ROASはいくらか:何%以上なら利益が残るのかを把握する
- どの商品・キャンペーンで利益が出ているか:全体ROASだけでなく商品別・キャンペーン別に確認する
- 原因が広告なのかECサイトなのか:クリック単価、CVR、客単価などを分解して確認する
そもそも自社の損益分岐ROASが分からなければ、ROAS500%が高いのか低いのかも判断できません。まず採算ラインを決め、そのうえで原因を分解して改善することが基本です。
ROASについてよくある質問
ROASとは何の略ですか?
「Return On Advertising Spend」の略です。広告費に対してどれだけの売上・コンバージョン価値を獲得したかを見る指標です。
ROAS500%とはどういう意味ですか?
広告費1円に対して5円の売上を獲得した状態です。たとえば10万円の広告費から50万円の売上が発生すればROAS500%となります。
ROAS100%なら赤字ではありませんか?
商品原価や送料、決済手数料などが発生するECでは、通常ROAS100%では利益が残りません。自社の商品利益率から損益分岐ROASを計算する必要があります。
ROASとROIの違いは何ですか?
ROASは広告費に対する売上を見る指標で、ROIは投資に対する利益を見る指標です。広告の売上効率を判断するならROAS、最終的な投資収益性を見るならROIも確認します。
ROASとCPAはどちらを見るべきですか?
どちらか一方ではなく、目的に応じて両方確認します。CPAは1件獲得するための費用、ROASは広告費に対して獲得した売上を確認する指標です。
ROASは高いほど良いですか?
必ずしもそうとは限りません。ROASを高く保つために広告配信を絞りすぎれば、利益を出せる販売機会まで失う可能性があります。利益率、売上規模、LTVなどと合わせて判断してください。
ROASが下がったら広告を止めた方がよいですか?
すぐ停止するのではなく、損益分岐ROASを下回っているか、その原因が広告費、CVR、客単価、商品構成、計測などのどこにあるのかを確認します。新規顧客獲得が目的の場合はLTVまで考慮する必要があります。
まとめ|ROASは「広告の売上効率」を見る数字。利益とセットで判断する
ROASとは、広告費に対してどれだけの売上・コンバージョン価値を獲得したかを見る指標です。基本的には「ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で計算します。
ただし、EC運営で最も重要なのはROASの数字そのものを高くすることではありません。商品原価、送料、決済手数料などを踏まえて自社の損益分岐ROASを把握し、それを超えながら売上と利益をどこまで伸ばせるかを考えることが重要です。
ROASが低ければ広告だけを疑うのではなく、クリック単価、CVR、客単価、商品利益率、商品ページまで確認します。逆にROASが高くても広告予算が小さすぎれば、利益を出しながら事業を拡大できる余地が残っている可能性があります。
EC広告を見るときは、「ROASを見る → 損益分岐ROASと比較する → 利益を見る → 売上規模を見る → 新規顧客やLTVまで見る」という順番で判断すると、広告を単なる数字ではなく、売上と利益を伸ばすための投資として捉えやすくなります。
「広告費は使っているのに利益が残らない」「ROASは高いのに売上が伸びない」「広告とECサイトのどこに問題があるか分からない」という場合は、広告だけでなく商品ページや購入導線まで含めて確認することが重要です。無料EC診断では、ECサイト全体から優先して改善すべきポイントを整理します。