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パレートの法則とは?80対20の意味・具体例・ECでの活用方法

パレートの法則とは?80対20の意味・具体例・ECでの活用方法

パレートの法則とは?80対20の意味・具体例・ECでの活用方法

パレートの法則とは?80対20の意味・具体例・ECでの活用方法

「売上の80%は、上位20%の商品から生まれる」「売上の8割は、2割の優良顧客が支えている」という話を聞いたことはありませんか。

これはパレートの法則と呼ばれる考え方です。「80対20の法則」「2対8の法則」「ニハチの法則」とも呼ばれ、マーケティングや経営、営業、業務改善など、さまざまな場面で活用されています。

ただし、最初に知っておきたいことがあります。パレートの法則は、どんなビジネスでも必ず80対20になるという意味ではありません。

例えば、売上の80%を上位10%の商品が生み出すネットショップもあれば、上位30%の商品で売上の70%を占めるショップもあります。重要なのは80対20という数字そのものではなく、売上や利益がどの商品・顧客・施策に集中しているのかを把握することです。

私自身、ネットショップの運営やEC事業者の支援に携わる中で、商品数や作業量を増やすことよりも、優先順位を整理することの大切さを感じてきました。

例えば、100商品のうち10商品が売上の大部分を生み出しているなら、その10商品の在庫切れを防いだり、商品ページを改善したりすることは重要です。一方、売上上位の商品でも利益率が低ければ、優先して販売を伸ばすべきとは限りません。

この記事では、パレートの法則の意味や具体例から、ECサイトでの活用方法、顧客別・商品別のABC分析、Excel・Googleスプレッドシートでの計算方法、パレート図の作り方まで分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • パレートの法則・80対20の法則の意味
  • ビジネスやEC運営での具体例
  • 顧客別・商品別の売上分析方法
  • パレートの法則とABC分析の違い
  • Excel・スプレッドシートでの計算式
  • パレート図の作り方と読み方
  • 利益を重視したEC売上改善への活かし方

パレートの法則とは?80対20の意味を分かりやすく解説

パレートの法則とは、全体の成果や結果の大部分が、一部の要素によって生み出される傾向があるという経験則です。

例えば、売上の80%を上位20%の商品が生み出している場合や、問い合わせの大部分が一部の原因に集中している場合などに使われます。

パレートの法則の本質は、すべての商品や顧客、業務が同じ割合で成果を生み出しているわけではないという点にあります。

100人の顧客のうち20人が売上の80%を生み出す例

例えば、月間100人のお客様が商品を購入するネットショップを考えてみましょう。月商は100万円です。

顧客ごとの購入金額を調べたところ、次のような結果になったとします。

顧客グループ 人数 売上金額 売上構成比
売上上位20人 20人 80万円 80%
残り80人 80人 20万円 20%
合計 100人 100万円 100%

この場合、全顧客の20%にあたる20人が、売上の80%を生み出しています。まさにパレートの法則を説明する典型的な例です。

ただし、これは仕組みを理解するための仮定であり、すべてのネットショップがこのような売上構成になるわけではありません。実際には、自社の注文履歴や顧客データを調べて確認する必要があります。

パレートの法則は誰が発見した?

パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの名前に由来しています。

パレートは19世紀末、所得や富の分布を研究し、その分布が均等ではなく、一部に集中する傾向を示しました。この考え方は後にビジネスや品質管理などの分野にも応用されるようになりました。

現在では、売上分析、商品管理、顧客分析、業務改善などで広く知られています。

パレートの法則は必ず80対20になる?

いいえ、必ず80対20になるわけではありません。80対20は成果の偏りを表す典型的な例です。

実際のビジネスでは、次のような分布になることもあります。

上位グループ 全体の成果に占める割合
上位10%の商品 売上の60%
上位20%の商品 売上の75%
上位30%の商品 売上の80%

※上記は説明用の仮想例です。

いずれも成果が一部の商品に集中している状態です。パレートの法則を活用する際は、80対20になっているかを探すことよりも、どこに成果が集中しているかを確認しましょう。

エビス店長
「80対20の法則」と聞くと、何でもきっちり8対2に分かれると思いがちですよね。でも、そこにこだわる必要はありません。私なら、まず売上上位の商品を並べて、全体の何%を占めているのか確認します。その結果が70%でも90%でも、改善のヒントになりますよ。

パレートの法則の身近な具体例5選

パレートの法則は、ネットショップ以外の仕事でも活用されます。代表的な5つの例を紹介します。

1. 売上と商品数の関係

100商品を販売している店舗で、上位20商品が全体売上の80%を生み出しているケースです。

この場合、売上上位の商品を欠品させないことや、商品ページの購入率を改善することが重要な施策になります。ただし、残り80商品が不要という意味ではありません。売上が小さい商品でも、集客や品揃え、セット購入などの面で役割を持っている可能性があります。

2. 売上と顧客数の関係

ネットショップの売上の大部分を、購入頻度や購入単価の高い一部の顧客が生み出しているケースです。

この場合、既存顧客の満足度向上やリピート購入を促す施策が重要になります。ただし、上位顧客だけを優遇しすぎると、新規顧客の獲得や将来の優良顧客育成を妨げる可能性もあります。

3. 広告と成果の関係

複数の広告キャンペーンを運用している場合、一部のキャンペーンに売上や利益が集中することがあります。

どの広告が成果を生み出しているのか分析することで、予算配分を見直せます。ただし、広告経由の売上が多くても、広告費を差し引くと利益がほとんど残らない場合があります。広告を評価するときは、売上だけでなくROASや利益も確認しましょう。

4. 問い合わせと原因の関係

ネットショップのお問い合わせでも、一部の原因に相談が集中することがあります。

例えば、配送日の問い合わせ、商品のサイズ確認、返品方法の質問などです。同じ問い合わせが繰り返されているなら、商品ページや配送案内、FAQを改善することで対応時間を減らせる可能性があります。

5. 業務時間と成果の関係

EC運営では、商品登録、受注処理、広告管理、問い合わせ対応、分析など、多くの作業があります。しかし、すべての業務が同じ割合で売上改善につながるわけではありません。

例えば、商品登録を増やすより、すでに売れている商品の購入率を改善する方が効果的な場合もあります。限られた時間をどこに使うか考える際にも、パレートの法則が役立ちます。

EC運営でパレートの法則が重要な3つの理由

ネットショップの運営では、商品、顧客、広告、在庫、業務など、管理すべき項目が数多くあります。そのすべてを同じ優先順位で改善しようとすると、時間も費用も不足してしまいます。

そこで役立つのが、成果が集中している部分を把握する考え方です。

1. 売上への影響が大きい商品を見つけられる

例えば、100商品を扱うショップで、売上上位10商品の購入率が改善した場合、ショップ全体の売上にも影響する可能性があります。

一方、ほとんど売れていない商品の小さな改善だけでは、全体売上が大きく変わらない場合があります。もちろん、将来売れる可能性のある新商品まで軽視してよいわけではありません。

ただ、現在の売上を改善したいときには、影響の大きい商品から確認することが合理的です。

2. 優良顧客への対応を改善できる

購入頻度の高い顧客や、継続的に購入している顧客を把握できれば、商品案内やリピート施策を考えやすくなります。

例えば、同じ消耗品を定期的に購入するお客様が多ければ、再購入しやすい導線を整えることが重要かもしれません。

ただし、顧客データを分析する際は、必要な範囲で適切に取り扱い、個人情報の管理にも注意しましょう。

3. 人手と予算の使い方を見直せる

EC事業者の方から相談を受けていると、「改善したいことが多すぎて何から手をつければよいか分からない」という悩みがあります。

商品ページも直したい、広告も改善したい、メルマガも始めたい。在庫や受注管理にも時間がかかる。こうしたとき、私は最初に売上や利益に大きく関係する部分を確認することが大切だと考えています。

そのために役立つのが、商品別・顧客別の売上分析です。

パレートの法則を使った顧客分析の方法

まずは、顧客別の売上分析から考えてみましょう。顧客ごとの購入金額を集計し、売上金額の大きい順に並べることで、どの顧客グループが売上に貢献しているかを把握できます。

STEP1. 顧客別の売上データを集める

ECカートや受注管理システムから、一定期間の注文データを取得します。例えば、直近12か月分の購入履歴をもとに、顧客ごとの購入金額を集計します。

ゲスト購入などにより同一顧客を正確に識別できない場合は、その制約を理解したうえで分析する必要があります。また、キャンセルや返品、値引きなどを売上集計へどのように反映するかも統一しておきましょう。

STEP2. 購入金額の高い順に並べる

顧客ごとの売上合計を集計し、金額の大きい順に並べます。例えば、顧客数が100人なら、上位20人の売上が全体の何%を占めているか計算してみましょう。

売上構成比 = 対象グループの売上合計 ÷ 全体売上 × 100

仮に上位20人の売上が60万円、全体売上が100万円なら、売上構成比は60%です。この場合は「上位20%の顧客が売上の60%を占めている」と整理できます。

STEP3. 購入頻度・購入回数も確認する

売上金額だけでは、顧客の特徴を十分に把握できません。例えば、1回だけ10万円購入したお客様と、毎月1万円ずつ購入しているお客様では、購入傾向が異なります。

そのため、購入金額に加えて、購入回数や最終購入日も確認しましょう。顧客の購入状況を整理する際には、RFM分析という方法も活用できます。

RFM分析では、最終購入日、購入頻度、購入金額などから顧客を分類します。パレート分析と組み合わせることで、売上への貢献度が高い顧客の特徴をより詳しく確認できます。

STEP4. 利益も含めて優良顧客を判断する

ここが特に重要です。売上金額が大きい顧客でも、大幅な値引きや高い配送費、特別対応などが必要であれば、利益があまり残らない場合があります。

そのため、顧客別の売上だけでなく、可能な範囲で粗利益や追加対応コストなども確認しましょう。

売上上位の顧客と、利益への貢献が大きい顧客は、必ずしも同じではありません。

エビス店長
売上金額だけを見ると、たくさん購入してくれるお客様が一番大切に見えます。でも、値引きや送料を含めて考えると、利益への貢献度は違う場合があります。売上上位の顧客を見つけたら、次は「どれくらい利益が残っているか」も確認したいですね。

商品別のパレート分析|売れ筋商品は何%の売上を作っている?

次に、商品別の売上分析を考えてみましょう。ここでは、商品10種類を販売しているネットショップを例にします。

1か月の売上が100万円だった場合、商品別の売上が次のようになったとします。

順位 商品 月間売上 売上構成比 累積構成比
1 商品A 50万円 50% 50%
2 商品B 30万円 30% 80%
3 商品C 7万円 7% 87%
4 商品D 4万円 4% 91%
5 商品E 2.5万円 2.5% 93.5%
6 商品F 2万円 2% 95.5%
7 商品G 1.5万円 1.5% 97%
8 商品H 1.2万円 1.2% 98.2%
9 商品I 1万円 1% 99.2%
10 商品J 0.8万円 0.8% 100%
合計 10商品 100万円 100% —

※計算方法を説明するための仮想データです。実在のネットショップの販売実績ではありません。

このショップでは、10商品のうち売上上位2商品、つまり全商品の20%が売上の80%を生み出しています。パレートの法則を説明しやすい例です。

しかし、大切なのは、この数字から何を判断するかです。

上位2商品の在庫切れを防ぐ

商品Aと商品Bだけで月商100万円のうち80万円を占めています。もし商品Aが在庫切れになれば、売上全体への影響が大きくなる可能性があります。

そのため、まずは上位商品の発注タイミングや在庫数を確認する必要があります。仕入れまでに時間がかかる商品なら、欠品する前に発注できる仕組みを整えましょう。

上位商品の購入率を改善する

商品Aと商品Bは、すでに一定の需要がある商品です。商品画像や説明、購入導線などを改善すれば、全体売上への影響が比較的大きい可能性があります。

ただし、商品ページへのアクセスや購入率を確認し、本当に改善余地があるか判断しましょう。

売上の低い商品をすぐに削除しない

ここは誤解しやすいところです。商品Iや商品Jは売上が少ないですが、だからといって不要とは限りません。

売上が少なくても利益率が高い場合がありますし、特定の検索キーワードからお客様を集める役割を持っているかもしれません。また、商品Aと一緒に購入される関連商品として役立っている場合もあります。

商品数を減らすかどうかは、売上だけでなく利益、在庫費用、集客への貢献も含めて判断することが大切です。

パレートの法則とABC分析の違い

パレートの法則と一緒によく登場するのが「ABC分析」です。

パレートの法則は、成果が一部の要因へ集中する傾向を表す経験則です。一方、ABC分析は、実際の売上や利益などのデータをもとに、商品や顧客を重要度ごとに分類する分析方法です。

項目 パレートの法則 ABC分析
主な役割 成果の偏りを理解する 重要度で分類する
考え方 80対20などの集中傾向 累積構成比によるA・B・C分類
対象 商品・顧客・業務など 商品・顧客・在庫など
主な活用 優先順位を考える 管理方法や改善施策を決める

ABC分析では累積構成比を使う

ABC分析では、一般的に売上や利益が大きい順に対象を並べ、累積構成比を計算します。

例えば、次のような基準で分類できます。

  • Aランク:累積構成比80%以下
  • Bランク:累積構成比80%超〜95%以下
  • Cランク:累積構成比95%超

この基準は一例であり、すべての企業に共通する固定ルールではありません。また、境界の数値をまたぐ商品をどちらに分類するかは、運用ルールを決めて統一しましょう。

今回の10商品を、上記の基準で分類すると次のようになります。

ランク 対象商品 累積売上構成比 管理の考え方
A 商品A・B 80%まで 欠品・利益・購入率を重点確認
B 商品C・D・E 93.5%まで 改善余地や成長性を確認
C 商品F〜J 100%まで 維持コスト・役割・将来性を確認

今回の例では、上位2商品をAランクに設定できます。商品Fを加えた累積構成比は95.5%となり、今回採用した基準ではCランクに入ります。

ABC分析を行う目的は、Cランクの商品をすべて削除することではありません。Aランクは売上への影響が大きいため重点管理する、Bランクは成長性を確認する、Cランクは保有する意味や費用を検討する、といった判断に役立てることが重要です。

エビス店長
ABC分析をすると、Cランクの商品を減らしたくなるかもしれません。でも、売上が少ないからといって、必ずしも不要とは限りません。利益率の高い商品や、人気商品と一緒に買われる商品もあります。売上で分類した後に、それぞれの商品が持つ役割まで確認したいですね。

Excel・Googleスプレッドシートでパレート分析をする方法

パレート分析は、ExcelやGoogleスプレッドシートでも行えます。ここでは、先ほど紹介した10商品の売上データを使って説明します。

STEP1. 商品別の売上を入力する

まず、次のように表を作成します。

列 入力する内容
A列 商品名
B列 売上金額
C列 累積売上
D列 累積構成比
E列 ABCランク

A2〜A11へ商品名を入力し、B2〜B11へ各商品の売上金額を入力します。今回の例では、商品Aが500,000円、商品Bが300,000円というように入力します。

STEP2. 売上金額の大きい順に並べる

B列の売上金額を基準に、商品を降順に並べます。このとき、商品名と売上金額の対応が崩れないよう、表全体を選択して並べ替えましょう。

STEP3. 累積売上を計算する

C2へ次の式を入力します。

=SUM($B$2:B2)

この式をC11までコピーすると、上から順番に売上を合計した累積売上を計算できます。

例えば、商品Aの累積売上は500,000円、商品Bまでの累積売上は800,000円となります。

STEP4. 累積構成比を計算する

D2へ次の式を入力します。

=C2/SUM($B$2:$B$11)

この式をD11までコピーし、D列の表示形式をパーセントに変更します。

これで、売上上位から何%を占めているか確認できます。今回の例では、商品Aが50%、商品Bまでで80%となります。

STEP5. ABCランクを表示する

今回は、累積構成比80%以下をA、80%超95%以下をB、それより上をCとします。

E2へ次の式を入力します。

=IF(D2<=0.8,"A",IF(D2<=0.95,"B","C"))

この式をE11までコピーすれば、商品をABCランクに分類できます。

なお、この式では商品単位で累積比率が基準を超えた場合、その商品は次のランクになります。例えば、ある商品を加えると累積比率が79%から83%になる場合、その商品はBランクです。

ABC分析の境界にはいくつかの運用方法があるため、自社で使う基準を決めておきましょう。また、商品別売上がすべて0円の場合は、構成比の計算で0除算が発生するため、売上がある期間のデータを使うか、例外処理を設定してください。

パレート図とは?売上の偏りをグラフで確認する方法

パレート図とは、項目別の数値を大きい順に並べた棒グラフと、累積構成比を示す折れ線グラフを組み合わせたものです。

例えば、商品別の売上を分析する場合、棒グラフで各商品の売上金額を表し、折れ線で累積構成比を表示します。

これにより、売上上位の商品が全体の何%を占めているのか、視覚的に確認できます。

パレート図の見方

先ほどの10商品では、商品Aと商品Bだけで売上の80%を占めています。パレート図にすると、商品A・Bの棒が大きく、商品C以降の棒が小さくなる様子が分かります。

また、累積構成比の折れ線は、商品Bの位置ですでに80%へ到達します。このように、少数の商品へ売上が集中していることが一目で分かります。

Excelでパレート図を作成する手順

まず、商品名、売上金額、累積構成比の3列を用意します。次に、商品名と売上金額から縦棒グラフを作成します。

その後、累積構成比を折れ線グラフとして追加し、折れ線を第2軸へ設定します。累積構成比の軸を0〜100%にすると、どの商品までで売上の80%に達するのか確認しやすくなります。

Excelのバージョンによって操作画面は異なりますが、基本的には「棒グラフ+累積構成比の折れ線」を作る考え方です。

パレート図は、分析結果を社内で共有するときにも役立ちます。単に「上位商品が売れています」と説明するより、グラフで示す方が、改善対象を共有しやすくなるからです。

広告運用にもパレートの法則を活用できる

パレートの法則は、広告運用でも役立ちます。例えば、楽天市場やAmazon、Google広告などで複数のキャンペーンを実施している場合、成果が一部の広告へ集中していることがあります。

こうした広告を見つけることで、予算の使い方を見直せます。ただし、ここでも重要なのは売上だけで判断しないことです。

売上の大きい広告が利益を生むとは限らない

例えば、次のような広告キャンペーンがあるとします。

項目 広告A 広告B
広告経由売上 100万円 30万円
広告費 40万円 5万円
ROAS 250% 600%

※説明用の仮想データです。

この場合、広告Aの売上は広告Bより大きいですが、ROASは広告Bの方が高くなっています。

ただし、ROASだけでも利益は判断できません。販売している商品の利益率、送料、販売手数料などによって、採算は変わります。

広告予算を増やすかどうかは、商品ごとの利益率や在庫状況なども考慮して判断しましょう。

詳しくは、ROASとは?計算方法と損益分岐ROASの考え方でも解説しています。

パレートの法則とロングテールの法則は矛盾する?

パレートの法則と関連して、よく比較されるのがロングテールです。

パレートの法則では、少数の売れ筋商品が売上の大部分を生み出すような集中傾向に注目します。一方、ロングテールでは、販売数の少ない商品が多数集まることで、一定の売上を生み出すことに注目します。

この2つは矛盾する考え方ではありません。売れ筋商品の重要性と、それ以外の多くの商品が持つ役割を、異なる角度から見ていると考えると分かりやすいでしょう。

例えば、100商品を扱うネットショップで、上位20商品が売上の80%を占めているとします。残り80商品は、合計で20%の売上を生み出しています。

このとき、上位20商品を重点管理することは重要ですが、残り80商品をすべて削除すべきとは限りません。

特定の検索キーワードから集客する商品や、人気商品と一緒に購入される商品もあるかもしれません。また、品揃えの豊富さが購入者にとって価値になる場合もあります。

ロングテールの考え方については、ロングテールとは?意味とECサイトでの活用方法で詳しく解説しています。

パレートの法則を活用するときの5つの注意点

パレートの法則は便利な考え方ですが、使い方を間違えると判断を誤ることがあります。特にEC運営では、次の5つに注意しましょう。

1. 80対20という数字を無理に当てはめない

最初にお伝えしたとおり、パレートの法則は必ず80対20になるものではありません。70対30や90対10など、実際の売上構成はショップによって異なります。

大切なのは、自社の数字をもとに成果の偏りを把握することです。

2. 売上だけでなく利益も確認する

売上上位の商品でも、利益率が低ければ、売上への貢献と利益への貢献が大きく異なる場合があります。

例えば、月商80万円を生み出している2商品でも、利益率が10%なら利益は8万円です。一方、残りの商品群が月商20万円で利益率40%なら、こちらも利益は8万円になります。

商品グループ 売上 利益率 利益
売上上位2商品 80万円 10% 8万円
その他8商品 20万円 40% 8万円
合計 100万円 — 16万円

※説明用の仮定です。利益率の算出範囲は同一条件としています。

この例では、売上上位2商品が全体の80%を生み出していますが、利益への貢献は50%です。つまり、売上だけを見て上位2商品に集中すればよいとは限りません。

3. 新商品や将来性のある商品を軽視しない

販売を始めたばかりの商品は、販売実績が少ないためCランクになる可能性があります。しかし、新商品はまだ十分な露出が得られていないだけかもしれません。

そのため、発売からの期間や広告・販促の状況も確認し、実績が少ないという理由だけで判断しないことが大切です。

4. 分析期間を適切に設定する

ネットショップの売上は、季節やセール、イベントなどによって変化します。例えば、クリスマス商品を1月の売上だけで評価すれば、重要度を正しく判断できない場合があります。

月次・四半期・年間など複数の期間で確認し、商品の特性に合った分析を行いましょう。

5. 少数の商品や顧客への依存リスクを確認する

売上が一部の商品や顧客に集中することは、効率的な面がある一方、リスクにもなります。

例えば、売上の50%を1商品が占めている場合、その商品の欠品や競合の値下げによって、ショップ全体が大きな影響を受ける可能性があります。

パレート分析は、重点的に改善する対象を見つけるだけでなく、事業の依存リスクを把握するためにも使えます。

エビス店長
売上の8割を少数の商品が支えていると分かったら、その商品をさらに伸ばす方法を考えたいですね。ただ、同時に「もし売れなくなったらどうなるか」も確認しておきましょう。売上への貢献が大きい商品ほど、欠品や競合の影響にも備えておきたいところです。

EC運営でパレートの法則を活かす30日間の実践手順

「パレートの法則は分かったけれど、何から始めればいいか分からない」という方のために、実践手順を紹介します。

1週目:商品別の売上データを集計する

まずは、直近3か月または12か月の商品別売上を確認しましょう。

販売金額の大きい順に並べ、上位10%、20%、30%の商品が全体売上の何%を占めているのか調べます。

この段階では、難しい分析をする必要はありません。まずは売上がどの商品へ集中しているのかを把握することが目的です。

2週目:利益と在庫状況を確認する

次に、売上上位商品の利益率や在庫状況を確認します。

売上が大きいのに利益が少ない商品はないか、在庫切れのリスクがある商品はないかを調べましょう。また、売上が低くても利益率が高い商品や、伸びる可能性のある商品がないかも確認します。

3週目:改善する商品を絞り込む

集計したデータをもとに、改善する商品を選びます。

例えば、売上上位商品の在庫管理を見直す、購入率の低い商品ページを改善する、利益率の高い商品の露出を増やすなどです。

一度にすべての施策を実行する必要はありません。まずは、売上や利益への影響が大きそうなものから取り組みましょう。

4週目:改善前後の数字を比較する

最後に、実施した施策の結果を確認します。

売上、購入率、利益、在庫回転など、施策に合った指標を比較しましょう。ただし、30日間だけで効果を断定する必要はありません。

販売数が少ない商品や季節変動のある商品では、より長い期間で確認することも重要です。

エビス店長が考える、パレートの法則をEC運営で使う本当の目的

パレートの法則は、80対20という数字を覚えるためのものではありません。

私がEC運営で重要だと思うのは、限られた時間や予算をどこに使うべきか判断することです。

ネットショップを運営していると、改善したいことはいくらでも見つかります。商品写真を撮り直したい、商品ページを修正したい、広告を改善したい、メルマガを配信したい、新商品も追加したい。しかし、すべてを同時に行うのは現実的ではありません。

だからこそ、まず数字を確認し、ショップ全体へ与える影響が大きい部分を見つけることが大切です。

ただし、売上上位の商品だけに集中することが正解というわけでもありません。将来性のある新商品や、リピート購入につながる商品、利益率の高い商品など、目先の売上以外にも考えるべき要素があります。

パレートの法則は、売れない商品を切り捨てるためではなく、改善の優先順位を考えるために活用する。

これが、私がおすすめしたい使い方です。

エビス店長
ネットショップを運営していると、つい「あれもこれも改善しないと」と思ってしまいます。でも、まずは売上上位の商品や顧客を確認するだけでも、やるべきことが見えてきます。数字を見て優先順位を決める。それだけでも、日々の運営が少し楽になると思いますよ。

パレートの法則についてよくある質問

Q1. パレートの法則とは簡単にいうと何ですか?

パレートの法則とは、全体の成果の大部分が、一部の要因によって生み出される傾向があるという経験則です。一般的には「80対20の法則」として知られています。

Q2. パレートの法則は必ず80対20になりますか?

いいえ、必ず80対20になるわけではありません。80対20は成果の偏りを表す典型的な例です。実際の割合は、商品や顧客、事業の状況によって異なります。

Q3. パレートの法則とABC分析の違いは何ですか?

パレートの法則は成果が一部に集中する傾向を表す考え方です。一方、ABC分析は、実際の売上や利益などを集計し、重要度に応じてA・B・Cに分類する分析方法です。

Q4. パレート図とは何ですか?

パレート図とは、項目別の数値を大きい順に示した棒グラフと、累積構成比を示す折れ線グラフを組み合わせたものです。商品別売上や問い合わせ原因など、成果の偏りを視覚的に確認できます。

Q5. パレートの法則はネットショップでも使えますか?

はい。商品別売上、顧客別売上、広告成果、問い合わせ原因などの分析に活用できます。ただし、実際の割合は自社のデータで確認する必要があります。

Q6. パレート分析でCランクになった商品は削除した方がいいですか?

必ずしも削除する必要はありません。売上が少なくても、利益率が高い商品、集客に役立つ商品、売れ筋商品と一緒に購入される商品などがあります。売上だけでなく、利益や在庫コスト、商品の役割も確認して判断しましょう。

Q7. パレートの法則とロングテールは矛盾しますか?

矛盾しません。パレートの法則は売上が一部の商品へ集中する傾向に注目します。一方、ロングテールは売上の少ない多数の商品が集まって一定の売上を生み出すことに注目します。両方の考え方を使うことで、商品構成をより深く分析できます。

Q8. パレート分析はExcelでできますか?

はい。商品別や顧客別の売上データを降順に並べ、累積売上と累積構成比を計算することで分析できます。さらに棒グラフと折れ線グラフを組み合わせれば、パレート図も作成できます。

まとめ|パレートの法則はEC売上改善の優先順位を見つける考え方

パレートの法則とは、成果の大部分が一部の要因へ集中する傾向があるという経験則です。

80対20の法則として知られていますが、すべてのビジネスで必ず80対20になるわけではありません。

ネットショップでは、商品別売上や顧客別売上、広告成果などを分析することで、改善の優先順位を考える際に活用できます。

特に重要なのは、次の3つです。

  1. 売上や利益がどの商品・顧客に集中しているかを把握する
  2. ABC分析やパレート図を使って、改善の優先順位を整理する
  3. 売上だけで判断せず、利益や将来性、在庫リスクも考慮する

私がEC運営者の方へおすすめしたいのは、まず商品別の売上データを一度並べてみることです。普段は気づかない売上の偏りや、意外な商品への依存が見えてくるかもしれません。

ただし、数字を分析すること自体が目的ではありません。分析から改善すべき点を見つけ、実際の施策につなげることが大切です。

パレートの法則を、売上を伸ばすための優先順位を決める道具として活用してみてください。

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私自身、ネットショップを運営していた頃は、何から改善すればよいのか分からず、手探りで試行錯誤していました。だからこそ、まず現在の数字と課題を整理して、改善する順番を考えることが大切だと思っています。

EC分析・売上改善の関連記事

パレートの法則を理解したら、次は自社の課題に合った分析方法や改善施策を確認してみましょう。

参考情報・関連資料

パレートの法則は、成果の偏りを理解するための経験則です。実際の80対20の割合は、業種や商品、顧客、分析する期間によって異なります。

パレート図やABC分析を使用する際は、実際の売上・利益データに基づいて判断しましょう。

※記事内の顧客別売上、商品別売上、広告成果などの数値は、計算方法と活用方法を説明するための仮想データです。実際のECサイトの調査結果や運用実績を示すものではありません。