ネットショップの心理学

ネットショップ心理学|顧客の心理と不思議な法則

ネットショップと顧客の心理について

ネットショップの運営において、顧客心理を把握しておくことは
売上アップに直結する非常に重要なポイントです。
顧客は何を検討材料に商品を探しているのか?
本当に自分が欲しい商品を購入しているのか?
衝動買いは起きないのか?などなど。
商品の検索、購入検討を行う際の検討のポイントであったり、
実際にネットショップに来店して、何を重要視して
回遊しているのかなどが事前にわかっていれば
転換率はおのずと上がっていくはずです。

今回は顧客の心理学として、
インターネットショッピングを行う
ユーザーの心の動きや心をとらえる方法などを
認知バイアスや法則を中心にご紹介します。

返報性の法則とは

人は他人から何かしらの恩恵を受けた場合、その恩を返さなくてはいけないという意識もつこと

例えば、友人から誕生日プレゼントをもらったとしたら、その友人の誕生日には
自分もプレゼントを渡さなくてはという使命感ともいえる気持ちを持ちます。

また、よくある返報性の法則を利用した日常の出来事としては
スーパーマーケットなどで「試食」をすすめられるケースです。
試食したあと、必要なければ買わなければいいだけの事なのですが、
この「返報性の法則」が強く働いてしまう人は、商品をカゴに入れることになります。

ネットショップにおいては、「お試し商品」などが良い例でしょう。
テレビ通販でも化粧品の初回完全無料などのサービスがありますが、
こうした入口の壁を低く設定して、さらに「返報性の法則」を利用しています。
「無料でこんなにいい商品をもらったし、ちょっとだけ買ってみようかな」
という心理状況に立たされるわけです。もちろん、商品が良いからこそ、
こうした「次のステップ」へつながるわけで、商品のできが悪いものであれば、
たとえ初回無料でも「2回目の購入」にはつながらないのは言うまでもありません。

希少性の法則とは

希少性の法則は、そのままの意味ですが、「手に入れることが非常に稀」なものであれば
人は、本来欲しいと思っていないものでもありがたがって手に入れようとするという法則

例えば、トレーディングカードなどでも「レア」や「スーパーレア」などという何百枚に1枚の封入率の
カードが存在していますが、ネットオークションなどで非常に高額で取引されるケースも少なくありません。

ネットショップにおいては、「職人の手作りによる1点もの」などの商品自体が希少である場合や、
「本日限定タイムセール」や「在庫限りで終売!追加なし!」など、商品の販売形態を希少化(有期限化)する
方法を取ることもあります。ただ、こうしたあおり文句的な方法については、「在庫限り」といったのに
数日後に再販売されているような店舗もあります。実店舗の「閉店セール」がそれに近いかもしれません。
いつ行っても閉店セールをやっていたら「いったいこの店はいつ閉店するんだろう?」と顧客の信頼を
失うことになりかねませんので、使い方には注意しましょう。

ハロー効果とは

ハロー効果とは、ある対象(物事・人物)を評価する際に、
一部の目立ちやすい特徴に引きずられて本来の評価がゆがめられて正当な評価ができなくなる現象のこと。

ハロー効果には、ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果とがある。

ちなみに、ハロー効果のハローは、Hello(こんにちは)ではなくhalo(聖像の背後に描かれる後光、光輪、光背)のことだそうです。

よく言われる言葉でいえば、「人は見かけで判断する」ということです。
例えば、運転中にガードマンの制服を警察官と見間違えてドキッとしてスピードを緩めたりするのも一種のハロー効果です。
見間違いとはいえ、制服という情報に影響されて、ガードマンを警察官と見間違えたわけです。

ネットショップでのハロー効果としては、「あの人気TV番組で紹介された商品です!」と
商品そのものではなく、商品がメディアに紹介されたというポイントを強調して、商品を必要以上に
良いものに見せようとする場合。TVに出ている人気タレントにブログで商品を「自分も愛用してます」と
紹介してもらうなど、いわゆる「ステルスマーケティング(通称ステマ)」と呼ばれる商品の紹介方法などは
過去に問題になったケースもあります。
また、商品の産地について「○○県産」という表記を強調することによるハロー効果を期待する場合があります。
もちろん、産地偽装はもってのほかですが、ただ○○県産だからいいんだとはならないことに注意が必要です。

カクテルパーティー効果とは

パーティーなど人がたくさん集まっている雑踏の中でも、自分の名前を呼ばれた時は、きちんと聞き取ることができるという現象。自分に当てはまる情報や興味のある情報については、敏感にキャッチする性質を持っているという効果のこと。

カクテル

ネットショップにおいては、商品検索時に、ユーザーの目に留まるような「商品名」「キャッチコピー」をつけるかが
非常に重要となります。
例えば、「冷え症にお悩みの女性にピッタリの商品」「30代からの小じわケア」「40代脱メタボ宣言!3ヶ月で-10kg!」「50代でも遅くない!資格取得」など、年代や性別を指定することで
検索時にユーザーが「あ、これは私の事だ!」という「自分事意識」を持たせることで、その商品の詳細を見てみたくなるという効果を狙います。

自分に当てはまる情報には、人は皆敏感に反応します。

バンドワゴン効果とは

バンドワゴン効果の「バンドワゴン」とは、行列の先頭の楽隊車のことで、
「バンドワゴンに乗る」とは、時流に乗る、流行に乗る、勝ち馬に乗るといった意味で使われる。
ちなみに、対義語は「アンダードッグ効果」という。

バンドワゴン効果は、簡単に言えば、人はみな流行ものには乗っかりたい、乗っかりやすいという性質のことです。
スマホなどもみんなが持っているから自分も持たないと、時代遅れに思われてしまうなどと不安になることはないでしょうか。
みんながやっている(流行っている)から、自分もそれに追従しておかなくては、というのがバンドワゴン効果です。

ネットショップでバンドワゴン効果を利用した販売方法としては、よく、グルメや食品ジャンルで
商品ページに記載のある「楽天ランキング1位を獲得しました。しかも○○週連続受賞!」といった
みんなに人気の商品であるというアピールや、「累計○○万個販売!ありがとうございます!」など、
こちらも、たくさんの商品が売れ続けている印象を与える謳い文句を掲載して、初見ユーザーにも
「こんなに人気なら、私も買わないと流行に乗り遅れちゃう!」
という気持ちにさせる効果が期待できるわけです。

楽天市場のグルメ・食品ジャンルは、売れているネットショップのほとんどと
言っていいほどの店舗が、このような記載で顧客心理をうまくとらえています。

ザイオンス効果とは

ザイオンス効果とは、同じ人や物に何度も接触し、接触回数が増えれば増えるほど、その対象に対して、好意を持つようになる効果のこと。別の言い方では「単純接触効果」ということもあります。

ザイオンス効果
ネットショップで言えば、「メルマガ」による接触が「ザイオンス効果」を与えるのに
適していると思います。楽天市場であれば、週一回は無料でメルマガの配信が可能です。
多くの店舗は、セール前はセール終わり直前に、メルマガによる顧客の呼び込みを実施します。
こうした、セール時以外のメルマガ配信が、ネットショップにおいては非常に重要です。

セール時にメルマガが配信されるのは、多くの店舗も行っていることですが、
セール以外の平日に、それも毎日メルマガが届いたとしたら、どう思いますか?
しかも、そのメルマガの内容は、「商品やサービスの売り込み」ではなく、
日常の事、季節の事、天気の事、ショップスタッフの趣味のことなど、
他愛もない内容のメルマガ(メール)がほとんどだとしたら。
メルマガを煩わしいものと捉える人は、即時メルマガを解除するでしょう。
逆に、メルマガが毎日届くのが当たり前になっている人は、
そうした、売り込みの少ないメルマガは、いつしか日常の習慣に変わっていくはずです。
そうして、知らないうちにその他愛のないショップメルマガから、
ネットショップの「ファン」になっていることも少なくありません。

メルマガを利用したザイオンス効果は、時間と手間はかかりますが、
長い期間をかけてより強固なファンを作ることができる点では非常に魅力のある
方法だと思います。

また、最近ではFacebookやTwitterなどのSNSを利用して
フォロワーに接触を繰り返すという方法もあります。
こちらも、商売っ気をあまり出すとフォローをやめる方が増える傾向にありますが、
逆に、商売と関係ない部分で、面白い情報やコンテンツを発信できる
店舗であれば、ファンは次第に増えていくでしょう。

アンカリング効果とは

アンカリングとは、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、
判断された数値がアンカーに近づく傾向のこと。

ネットショップでのアンカリング効果は、商品の販売価格や、ポイント還元率などで行う場合があります。
例えば、「通常5000円の商品が、今だけ20%OFFの4000円で購入できます!」という記載が
商品ページにあったとします。顧客は、最初に「通常5000円」を見せられているため、
20%OFFの「4000円」が非常に魅力のある価格に思えてくるわけです。
一時期、楽天市場は「二重価格問題」で社会的にも大きな批判を受けました。
元々、4000円で販売していた商品の通常価格を「5000円」と偽り、
そこから、20%OFFで「4000円」にて販売したという手法です。

販売者からすれば、もともとの定価である「4000円」でより
多くの商品が売れたわけですが、購入者は、本来よりも
まったく安くなっていない商品を買ってしまったというわけです。

現在、楽天市場では、二重価格の設定には、
各商品に対して、エビデンス(証明書)の提示を必須化していますので
以前のような、顧客を騙す二重価格の設定はできなくなっています。

松竹梅の法則とは

人は、3種類の価格帯のプランが存在するとき、一番真ん中のプランを選びやすいという法則

松竹梅の法則
松竹梅の法則は、一般的にも広く使われている手法で、
商品、サービスに対して、3つの価格帯のプランが用意されている場合、
人は、真ん中(竹)のプランを選びやすいという法則のことです。

料亭などで、1万円コース、5,000円コース、2,000円コースの
3つのプランから選ばなければならない場合、
5,000円のプランが最もバランスよく見えてくるという心理現象ですね。

ネットショップでも、同じことが起こります。
お正月の福袋商品などは、この松竹梅の法則に
ピッタリはまって竹商品が一番売り上げが高いという
データもあります。

ネットショップの運営をされている方であれば、
この松竹梅の法則を意識して、商品の配列などを
検討してみてください。

ネットショップの顧客心理のまとめ

様々な顧客心理を紹介してきましたが、リアルでもネットショップでも
この心理、法則を意識した出来事に出会う機会は多いと思います。
ネットショップの運営者であれば、こうしたユーザーの心理を
しっかりと理解したうえで、商品ページやキャッチコピーの作成、
商品の並び方の工夫の参考にしてみてください。

参考になれば幸いです。
【参考】
返報性の原理 – Wikipedia




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