ECサイトの売上を伸ばすとき、アクセス数と同じくらい重要なのがCVR(コンバージョン率・転換率)です。
アクセスを2倍に増やさなくても、同じアクセス数のままCVRを1%から1.5%へ改善できれば、注文数は1.5倍になります。
そのためECサイトでは「もっと集客する」だけではなく、今来ているお客様が購入しやすい状態になっているかを確認することが重要です。
この記事では、ECサイトにおけるCVRの意味と計算方法、平均値の考え方、CVRが低くなる原因、商品ページ・カート・決済の改善方法、GA4を使った分析まで、ネットショップ運営者向けにわかりやすく解説します。
- ECサイトのCVRとは何か
- CVRの計算方法
- 平均CVRをどう考えればよいか
- CVRが低くなる主な原因
- 売上につながりやすい改善方法
- GA4で購入ファネルを確認する方法
- 1 ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは?
- 2 CVRが少し変わるだけでもEC売上は大きく変わる
- 3 ECサイトの平均CVRは何%?
- 4 CVRが低いときに最初に確認すること
- 5 GA4でECサイトの購入ファネルを確認する
- 6 ECサイトでCVRが低くなる主な原因
- 7 ECサイトのCVRを改善する10の方法
- 8 CVR改善は商品ページだけを直せばよいわけではない
- 9 流入元ごとにCVRを分けて確認する
- 10 新規客とリピーターでもCVRを分ける
- 11 CVRを改善するときは一度に全部変更しない
- 12 ECサイトのCVRについてよくある質問
- 13 まとめ|CVR改善は「売れない理由」を数字で見つけることから始める
ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは?
CVRとは「Conversion Rate(コンバージョンレート)」の略で、ウェブサイトへ訪れたユーザーのうち、設定した成果へ到達した割合を表す指標です。
一般的なECサイトでは、商品の購入完了をコンバージョンとして設定します。
そのためECサイトのCVRは、簡単にいえば「サイトへ来た人のうち、何%が購入したか」を示す数字です。
たとえば月間10,000セッションのECサイトで100件の注文が発生している場合、
100 ÷ 10,000 × 100 = CVR 1%
となります。
なお、CVRは「転換率」「購入率」「成約率」と呼ばれることもあります。
CVRが少し変わるだけでもEC売上は大きく変わる
CVR改善が重要なのは、アクセス数を増やさなくても注文数を増やせる可能性があるためです。
| 月間セッション数 | CVR | 注文数 |
|---|---|---|
| 100,000 | 1.0% | 1,000件 |
| 100,000 | 1.2% | 1,200件 |
| 100,000 | 1.5% | 1,500件 |
| 100,000 | 2.0% | 2,000件 |
月間10万セッションのサイトなら、CVRを1%から1.5%へ改善するだけで、単純計算では注文数が1,000件から1,500件へ増えます。
もちろん実際の売上は客単価やキャンセル率などにも左右されますが、CVR改善がEC事業へ与えるインパクトは非常に大きいといえます。
広告費を増やしてアクセスを集める前に、現在のサイトで取りこぼしている注文がないかを確認することも重要です。
ECサイトの平均CVRは何%?
「ECサイトの平均CVRは何%ですか?」という質問は非常によくあります。
ただし、ECサイト全体で一律に「○%なら良い」と判断することはおすすめしません。
CVRは、商品ジャンル、価格帯、ブランド認知度、購入頻度、集客チャネル、新規客とリピーターの割合などによって大きく変わります。
たとえば、日常的に購入する食品や消耗品と、数万円以上する家具や高額商品では、ユーザーが購入を決断するまでの時間が異なります。
また、ブランド名で検索して訪問したユーザーと、SNS広告を初めてクリックしたユーザーでも購入意欲は異なります。
平均値だけを追いかけるよりも、
- 前年同月との比較
- 前月との比較
- 商品カテゴリごとの比較
- 新規客とリピーターの比較
- 広告・自然検索・SNSなど流入元ごとの比較
- スマホとPCの比較
といった自社サイト内での比較を重視した方が、改善につながりやすくなります。
CVRが低いときに最初に確認すること
CVRが低いからといって、すぐに商品ページを全面改修する必要はありません。
まず重要なのは、購入までのどの段階でユーザーが離脱しているのかを確認することです。
ECサイトでは、おおむね次の流れでユーザーが購入へ進みます。
「商品ページは見られているがカートに入らない」のか、「カートには入るが購入手続きで離脱する」のかによって、直すべき場所はまったく違います。
GA4でECサイトの購入ファネルを確認する
Google Analytics 4(GA4)では、ECサイトの購入行動をイベントとして計測できます。
| イベント | 意味 |
|---|---|
| view_item | 商品詳細ページを閲覧 |
| add_to_cart | 商品をカートに追加 |
| begin_checkout | 購入手続きを開始 |
| add_shipping_info | 配送情報を追加 |
| add_payment_info | 支払い情報を追加 |
| purchase | 購入完了 |
Google公式のGA4「購入経路」レポートでは、
セッション開始 → 商品表示 → カート追加 → 購入手続き開始 → 購入
という流れを確認できます。
CVR改善では、サイト全体のCVRだけを見るのではなく、どのステップで離脱率が高くなっているのかを確認してください。
ECサイトでCVRが低くなる主な原因
ECサイトのCVRが低い場合、商品そのものが原因とは限りません。
購入意欲があるユーザーでも、送料、配送日、決済方法、入力フォーム、サイトへの不安などが原因で購入をやめることがあります。
Baymard Instituteがまとめている調査では、オンラインショッピングの平均的なカゴ落ち率は約70%となっています。
つまり、商品をカートへ入れたユーザーであっても、多くが購入完了まで進んでいないということです。
EC運営者としては、「商品が売れない」と一括りにするのではなく、購入までのどこに問題があるのかを分解して考える必要があります。
ECサイトのCVRを改善する10の方法
1.商品ページのファーストビューを改善する
商品ページを開いたユーザーが最初に確認するのは、商品画像、商品名、価格、特徴などです。
何の商品なのか、誰向けなのか、どのようなメリットがあるのかがすぐに分からなければ、ユーザーはページを読み進めてくれません。
特にスマートフォンでは表示領域が限られるため、最初の画面に情報を詰め込みすぎず、
- 商品が分かるメイン画像
- 商品名
- 価格
- 重要なメリット
- 購入ボタン
などを優先して確認してください。
2.商品画像と商品説明で購入前の不安を減らす
ECでは実物の商品を手に取れないため、商品ページの情報量が購入判断に大きく影響します。
商品の正面写真だけでなく、サイズ感、使用シーン、裏面、素材、付属品など、購入前に知りたい情報を用意します。
商品説明もスペックを並べるだけではなく、「この商品を使うとユーザーにどのようなメリットがあるのか」まで伝えることが重要です。
3.送料・手数料を早い段階で分かるようにする
商品をカートへ入れたあと、想定していなかった送料や手数料が追加されると離脱につながりやすくなります。
商品ページや送料案内ページなどで、
- 送料はいくらか
- 送料無料になる条件
- 地域別追加送料の有無
- 代引きなどの決済手数料
を分かりやすく表示してください。
「送料無料」にすること自体がCVR改善の正解ではありません。重要なのは、購入直前に想定外の料金が発生しないことです。
4.配送予定日を分かりやすく表示する
ユーザーは「いつ届くのか」が分からない商品を購入しにくい傾向があります。
特にプレゼント、食品、イベント用品など、利用日が決まっている商品では配送予定日の表示が重要です。
「3~5営業日以内に発送」だけではなく、システム上可能であれば「○月○日頃お届け」のように具体化するとユーザーが判断しやすくなります。
5.決済方法をユーザーに合わせる
決済方法が少ない場合も購入離脱の原因になります。
ただし「可能な限りすべて導入する」のではなく、自社のお客様が利用する決済方法を優先することが重要です。
クレジットカードのほか、ショップによっては、
- PayPayなどのスマホ決済
- Amazon Pay
- 楽天ペイ
- コンビニ決済
- 後払い
- 銀行振込
などの導入を検討します。
6.会員登録を必須にしない
初めて利用するECサイトで「購入するには会員登録が必要」となると、それだけで離脱するユーザーがいます。
可能であればゲスト購入を用意し、会員登録は購入後に案内するなど、注文完了までのハードルを下げます。
会員登録してもらいたい場合は、「次回入力不要」「会員限定クーポン」など、登録するメリットを説明することも重要です。
7.購入フォームの入力項目を減らす
チェックアウト画面の入力項目が多いほど、購入完了までの負担が大きくなります。
注文に必要のない項目まで入力必須にしていないか確認してください。
たとえば、
- 性別
- 生年月日
- アンケート
- 購入理由
など、注文処理に必要ない項目は任意化または削除を検討します。
8.スマートフォンで購入しやすい状態にする
現在のECサイトは、PCで見やすいだけでは不十分です。
スマートフォンで、
- 文字が小さすぎないか
- 購入ボタンを押しやすいか
- 横スクロールが発生していないか
- 入力フォームが操作しやすいか
- 画像が大きすぎて表示を邪魔していないか
を実機で確認してください。
EC担当者がPCで更新していると、スマホ側の問題に気づかないケースが少なくありません。
9.レビューや利用者の声を掲載する
初めて購入する商品では、「自分以外の人がどう評価しているか」が判断材料になります。
レビューを掲載する場合は、高評価だけを不自然に並べるのではなく、実際の購入者がどのように商品を利用したのか分かる内容の方が参考になります。
レビュー数が少ない場合は、購入後メールなどで自然にレビュー投稿を依頼する仕組みを整えます。
10.返品・交換・運営者情報を分かりやすくする
初めて利用するネットショップでは、
- 本当に商品が届くのか
- 返品できるのか
- 何かあったとき連絡できるのか
といった不安があります。
返品条件、交換方法、問い合わせ先、会社概要、特定商取引法に基づく表記などを分かりやすい場所に設置してください。
「安心してください」と書くだけではなく、ユーザーが確認できる具体的な情報を用意することが大切です。
CVR改善は商品ページだけを直せばよいわけではない
CVR改善というと、商品画像やキャッチコピーの変更だけを考えることがあります。
しかし、実際には購入ファネル全体を見る必要があります。
| 離脱している場所 | 確認するポイント |
|---|---|
| 商品閲覧前 | 流入キーワード、広告ターゲティング、ページ表示速度 |
| 商品ページ | 画像、価格、商品説明、レビュー、送料、配送日 |
| カート | 追加料金、クーポン、数量変更、送料 |
| 購入手続き | 入力項目、会員登録、決済方法、操作性 |
| 決済直前 | 決済エラー、利用可能カード、サイトへの信頼性 |
たとえば商品ページからカート追加率が低ければ商品ページを改善します。
一方、カート追加率は高いのに購入完了率が低い場合は、商品ページではなくチェックアウトや送料、決済方法を疑った方がよいでしょう。
流入元ごとにCVRを分けて確認する
サイト全体のCVRだけでは、問題の原因を見つけにくいことがあります。
自然検索、広告、SNS、メール、直接流入など、チャネルごとにユーザーの購入意欲が異なるためです。
たとえば、
- ブランド名検索:CVRが高い
- 商品名検索:比較的高い
- 一般的な情報検索:低め
- SNS広告:初回訪問が多く低め
- 購入者向けメール:高い
といった違いが生じることがあります。
広告流入のCVRが低い場合、ECサイトではなく広告ターゲティングに問題がある可能性もあります。
「CVRが低い=サイトが悪い」と決めつけず、流入元まで含めて分析してください。
新規客とリピーターでもCVRを分ける
初めてショップへ来たユーザーと、すでに購入経験があるリピーターでは、ショップに対する信頼度が違います。
一般的には、商品の品質や配送品質を理解しているリピーターの方が購入しやすい傾向があります。
そのため、全体CVRだけを見るのではなく、新規顧客とリピーターを分けて確認することで改善ポイントが見つかることがあります。
新規客だけCVRが低い場合は、
- 初回購入への不安
- 商品説明不足
- レビュー不足
- ショップへの信頼不足
- 初回購入メリット不足
などを重点的に確認します。
CVRを改善するときは一度に全部変更しない
CVRを上げたいからといって、商品画像、価格、購入ボタン、送料、説明文を一度に全部変更すると、何が改善につながったのか分からなくなります。
まずGA4やECカートのデータから問題箇所を特定し、優先順位の高い部分から改善してください。
たとえば、
① カート追加率が低い
↓
② 商品画像と訴求を改善
↓
③ 数週間データを見る
↓
④ 改善したか確認
↓
⑤ 次の施策へ
という形で進めると、改善施策の効果を判断しやすくなります。
ECサイトのCVRについてよくある質問
ECサイトのCVRは何%なら高いですか?
一律の基準はありません。商品ジャンル、価格帯、流入チャネル、新規・リピーターなどによって大きく異なります。
業界平均だけで判断するより、自社の前年・前月データやチャネル別CVRを比較することをおすすめします。
CVRが1%なら低いですか?
1%という数字だけでは判断できません。高額商品や比較検討期間が長い商品では1%未満でも事業として成立する場合があります。
逆に消耗品やリピート商品では、より高いCVRを目指せることがあります。
アクセス数とCVRはどちらを優先すべきですか?
両方重要ですが、アクセスがあるのに売れていない場合は、先にCVR改善を検討する価値があります。
購入しにくいサイトへ広告で大量のアクセスを送っても、広告費だけが増えてしまう可能性があるためです。
CVR改善で最初に見るべき数字は?
まずはサイト全体のCVRだけでなく、商品閲覧数、カート追加率、購入手続き開始率、購入完了率を確認してください。
GA4では `view_item`、`add_to_cart`、`begin_checkout`、`purchase` などのイベントを使って分析できます。
カゴ落ちを減らすには何を改善すればよいですか?
送料などの追加費用、会員登録、入力項目、配送日、決済方法、チェックアウトの操作性を優先して確認してください。
商品ページではなく、カート以降に原因があるケースも少なくありません。
まとめ|CVR改善は「売れない理由」を数字で見つけることから始める
ECサイトのCVRは、サイトへ訪れたユーザーのうち、どれだけ購入へつながったかを示す重要な指標です。
ただし「平均CVRより低いから悪い」「3%を超えれば優秀」といった単純な判断はおすすめしません。
商品ジャンル、価格帯、流入元、新規客・リピーターなどによってCVRは大きく変わります。
まず、
商品を見る → カートへ入れる → 購入手続きを始める → 決済する → 購入する
という購入ファネルのどこでユーザーが離脱しているのかを確認してください。
商品ページに問題があるなら商品ページを改善し、チェックアウトで離脱しているなら送料・決済・入力フォームを改善します。
CVR改善で大切なのは、施策をたくさん実施することではありません。
「どこで売上を取りこぼしているのか」を数字で確認し、原因に近いところから一つずつ改善することです。