売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】販売手数料が無料のECサイト、ネットショップやモールはありますか?
ネットショップを新規出店したいという方からのご質問で、最近増えてきたのが
「販売手数料が無料のネット販売の方法はありますか?」というご質問です。
インスタントECで人気のあるBASE (ベイス)
は、ネットショップ開設自体は無料ですが、商品の販売が成立した際には、
決済手数料と販売手数料を合わせた「6.6%+40円/件」が販売手数料として必要です。
商品が売れた際に、販売手数料がかからないECサイト、ネットショップは確かに存在しますが、クレジットカード決済などの決済手数料はだいたい4%程度必要となります。
完全無料のネット販売方法があるのか?販売手数料がかからないネットショップとは?
今回は、新規でネットショップを出店したいと検討されている方に、商品販売時に手数料が無料、もしくは限りなく低料率のネット通販方法をご紹介いたします。
ASPショッピングカートなら販売手数料は不要?
低価格でネットショップを開設できることで人気のカラーミーショップ
などのASP系ショッピングカートサービスでは、ショッピングモールの「楽天市場
」などと比較して
「販売手数料が0円である」というポイントをメリットとして掲げています。
こうして公式サイトの表記を見てみると、商品が売れた、販売成立時には、販売手数料はかからないと感じられる方は多いのではないでしょうか?
確かにこの記載には「嘘」はありません。
突然ですが、あなたがネットショッピングを行う際に使う「決済方法」は何ですか?
多くの方は、「クレジットカード決済」を利用されるのではないでしょうか?
ショッピングモールの楽天市場
では、楽天カード
を利用することでポイントが常時+4倍となるメリットがあります。
また、同じくショッピングモールのヤフーショッピングでは、ヤフーカード
を利用することで、こちらも3~5倍のポイント還元を受けることができます。
最近では楽天PAYやApplePay、Googleペイといった、ID決済も増えてきましたが、ネット通販の主流の決済方法は、まだまだクレジットカード決済が主流です。
多くのユーザーが決済方法として、「クレジットカード決済」を利用すると、カード決済手数料が発生することになります。
銀行振込やコンビニ決済の場合は、ネットショップの方針にもよりますが、決済手数料をお客様、ユーザーに負担してもらうことは一般的と言っていいと思います。
ただし、クレジットカード決済については、基本的に手数料は「店舗側の負担」となることが通例です。
ちなみに、カラーミーショップ
では、各決済手数料は以下のような手数料率となっていました。
クレジットカード決済については、だいたい4%~5%程度が一般的な手数料率です。
販売手数料は確かに「0円」無料ですが、決済手数料が4%程度必要となるため、商品の販売成立時に手数料がかからないということはASPカートサービスにおいてはほぼないと言っていいでしょう。
販売手数料が無料だとしても、「決済手数料は必ずかかる」ということを覚えておいて下さい。
販売手数料がかからないネット販売方法とは?
では、ご質問いただいた「販売手数料がかからないネット販売方法」についてご紹介したいと思います。
「えっ?決済手数料は絶対必要なんじゃないの?」
そう思われた方、実は販売手数料も決済手数料も「無料」のネット販売方法は・・・
正確には「ネットショップ」や「ECサイト」ではなく、「フリマアプリ」になりますが、楽天が運営する「ラクマ」なら、販売手数料は「無料」でネット販売できます。
フリマアプリと言えば、多くの方は「メルカリ」を思い浮かべるのではないでしょうか?
メルカリは、商品の販売成立時に販売手数料として10%が必要です。
ラクマやメルカリなどのフリマアプリの具体的な違いについては以下のページにより詳しく説明しておりますので興味のある方はこちらを参考にしてください。
なぜ、メルカリでも10%の販売手数料が必要なのに、ラクマは販売手数料を無料にできるのでしょうか?
これは、筆者の推測となりますが、ラクマの目的が「メルカリのユーザーシェア獲得」と「楽天会員の獲得」という二つの目的を持っているからだと思います。
2018年4月時点で、ラクマは「フリル」というフリマアプリともともと楽天が運営していた「旧ラクマ」が統合されたサービスとして楽天に運営されています。
ラクマが販売手数料を無料にしているのは、フリマアプリ業界が「メルカリ一強」という市場の独占状態にあるため、そのシェアを獲得するべく「赤字覚悟」で手数料無料という対応をしているのだと思います。
利用者にとっては、ラクマで出品した商品の売上が販売手数料なしでまるごと売上になるわけですから、メリットは大きいと言えます。
ただ、ラクマはメルカリと比較した場合に、まだまだ市場認知が低いというデメリットがあります。
そのためメルカリのアクティブユーザー数と比較した場合に、ラクマは利用者が少ないため、商品が売れにくいというデメリットもあります。
メルカリは、ビットコインなどの仮想通貨決済導入にも意欲的な姿勢をみせたり、メルカリNOWなど、CASHへの同質化戦略的な手法も見せている先鋭的なサービスです。
ラクマは楽天の資本力があるとはいえ、楽天グループとしては、「赤字運営」の事業であり、このまま販売手数料を無料のまま続けていく事は困難だと思います。
楽天のグループ力を使い、ラクマの認知を向上させて、メルカリユーザーをラクマへ流出させ、フリマアプリ市場シェアがある程度獲得できた後は、販売手数料を徴収する方針に変更することでしょう。
ただ、楽天グループ自体、増収増益となっているとはいえ、楽天市場は今一つ伸び切れていないという印象が、出店者としては日々感じています。
ラクマの赤字を楽天銀行や楽天カード
、楽天証券などの金融事業で補填しながら、楽天全体で増収を目指していく方針なのだろうと、楽天社長の三木谷さんの講演などを聞くたびに感じています。
ラクマの動向には今後も注目していくとともに、メルカリの更なるサプライズ運営にも同じように注目していきたいと思います。
大事なのは「固定費」と「流動費」のバランスと「利益率」
ネットショップを初めて開業される際に、ショッピングモールでは販売手数料で利益を圧迫するから、自社ECサイトで販売手数料をゼロ円で対応しようと考える方は本当に多いです。
ただし、先にもご説明しましたが、多くの自社ECサイト、ASPショッピングカート系サービスでは、販売時の手数料はゼロ円、無料ですが、クレジットカード決済などの手数料は実費として必要となることがほとんどです。
かといって、支払方法を「銀行振込」のみにしたりすれば、ユーザーは、そのネットショップでの注文を止めて離脱してしまうことも、考えなくてはなりません。
一概に、販売手数料がかかる、かからないという一点で売場を選ばず、固定費と販売手数料、売上と利益をしっかりと把握するように心がけてください。
無料出店可能と言われているヤフーショッピングも出店に関する出店費用と月額利用料、販売手数料は無料ですが、ポイント原資や決済手数料、アフィリエイト手数料などを含めると、販売金額の8%程度の手数料が必要となります。
KDDIグループが運営するWowma!(ワウマ)は、出店に関する初期費用と月額利用料を2019年3月末まで無料としていますので、販売が成立した際に販売手数料を約10%程度払えば固定費自体はゼロ円でネットショップの運営が可能です。
イニシャルコスト(初期費用・固定費)をとるか、ランニングコスト(販売手数料・流動費)を優先するか、このあたりの見極めが本当に重要になります。
もし、あなたがどのショッピングモール、自社ECサイトでネットショップを始めたらよいか迷ったら、売れるネットショップの教科書にご相談ください。
また、初めてのネットショップで失敗しないための無料メールセミナーも行っています。
現役店長である筆者が7日間、失敗しないためのネットショップの基礎知識をメールでお届けします。
また、セミナー最終日にはネットショップでの販売価格を算出できる「価格設定ツール」を無料でプレゼントいたします。本日もショップ運営の際に利用しているツールですのできっとあなたのお役にたつと思います。
販売手数料がかからないネット通販方法のまとめ
販売手数料が一切かからないネット販売方法として、楽天が運営するラクマをご紹介いたしました。
ラクマは、まだまだ世間の認知が低く、メルカリのシェアには遠く及びません。
ただし、ラクマは販売時の手数料が無料であることと、楽天スーパーポイントの利用で、楽天会員ユーザーの取り込みも視野に入れていると思います。
今後フリマアプリ業界は、メルカリとラクマの一騎打ち状態が続いていくことが予想されます。
EC市場としては、販売手数料、出店費用、月額利用料や決済手数料、ポイント原資に割引原資、広告予算など、様々な費用をバランスよく配分して、売上アップだけでなく利益アップも目指していく必要があると思います。
今後ネットショップサービスでも、出店料、固定費、販売手数料に加えて、決済手数料まで「ゼロ円」というサプライズサービスが生まれる可能性はゼロではありません。
今回の記事の内容が、ネット販売時に手数料がかからない方法を探されている方の参考になれば幸いです。