売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】ネットショップはラッピングや熨斗紙などのギフト対応をした方がいいの?
ネットショップの運営において、お客様からのしやラッピングなどの希望をいただくことがあります。
ネットショップの顧客対応として、「ギフト対応」を行った方がよいかどうかというご相談をいただきました。
楽天市場
やヤフーショッピングに出店されている店長さんなら、ECコンサルタントなどからも「ギフト商品」を登録すると売上アップにつながるというアドバイスをもらった経験はありませんか?
今回は、ネットショップを運営していると、お客様から必ず問合せされる「ギフト対応」について、現役店長がギフト対応のメリットや方法などをご紹介いたします。
ネットショップのギフト対応は必要か?
ネットショップ、ECサイトを運営していると、お客様から「ラッピング対応はできますか?」「熨斗紙はつけてもらえますか?」といった相談、リクエストをいただくことがあります。
ネットショップにおいて、ギフト対応をした方がいいのかどうかというご質問には、結論から言えば「ギフト対応はした方がいい」と思います。
例えば、日用品などの消耗品をメインで取り扱っているネットショップの場合、「ギフト対応なんて必要ない」と思われる方もおられるかもしれませんが、実は、どんな商品であってもギフト需要はあるものなのです。
例えばですが、サランラップなどの日用品は、通常であれば、自宅で利用する消費者か、景品で配る法人などに需要があると思います。
サランラップなどの消耗品は、自分で使ったり景品で配る以外に、「引越しのあいさつの粗品としてご近所に配る」というニーズがある商品でもあります。
これは、洗剤や高品質なティッシュペーパーなどにも言えるのですが、引越しのあいさつなどの際には、誰でも使える消耗品が喜ばれる傾向があります。
ただし洗剤の場合、食品洗剤であればそれほどこだわりもないかもしれませんが、洗濯用洗剤の場合、普段使っている洗剤以外の洗剤をもらっても使いにくいという場合があります。
普段ある海外メーカーの液体洗剤を使っているのに、引越しのあいさつとして国内ブランドの粉洗剤をもらったとしたら、どうでしょう?
せっかくいただいたけど、こだわりや品質の問題で、自分で使わずに誰かにあげるといったことになるかもしれません。
サランラップなどの場合、どんな家庭でも使っている雑貨ですし、サランラップ以外のメーカーラップであっても、それほど困るということはありません。
こうした理由で、日用品にもギフト、誰かに贈る需要があるということがお分かり頂けたかと思います。
ギフト対応は商品が売れるチャンスを増やすという意味では、どんな商品を販売するネットショップでも可能であれば、対応する方が良いと思います。
ギフト対応を行うメリット
ネットショップの運営において、ギフト対応を行うメリットとしては、売上アップ、客単価アップにつながりやすいというメリットがあげられます。
ギフト商品の場合、日頃使っている日用品や消耗品と異なり、「価格が安いから」という購入動機が薄れ、「相手に喜んでもらいたいから」という動機に変わります。
購入動機が価格ではなく、商品の質、配送のスピードや、ギフト対応などに重点が置かれ、価格も安いではなく、逆に「ある程度の価格帯のもの」が選ばれる傾向があります。
みなさんは「松竹梅の法則」という法則をご存じですか?
レストランのメニューなどで、コースの価格として、「2000円」「5000円」「1万円」の3つのコースが予め用意されていた場合、真ん中の価格帯(松竹梅の「竹」)が最も売れやすくなるという法則が松竹梅の法則です。
しかも、この松竹梅の法則では、一番高い「1万円(松)」も一定数売れるというデータがあります。
この松竹梅の法則は、楽天市場
などのショッピングモールへの商品出品の際にも有効な方法ですので、ぜひ、ギフト商品を登録される際は、価格帯がことなる3種類の商品を用意してみてください。
ネットショップの運営において、客単価をアップさせる方法は、以下のページにより詳しくまとめていますのでこちらも参考にしてください。
ギフト対応を行う事のもう一つのメリットは、ギフト需要を取り込めるという点にあります。
ギフト需要とは、お誕生日祝いや出産祝い、入園入学祝、引越し祝いや開店祝いなどのお祝いごとから、母の日や父の日といったギフト商戦の需要のことです。
ネット通販では、こうしたギフト需要は年々高まっていますし、特に楽天市場
では、母の日ギフト商戦や父の日ギフト商戦、お中元にお歳暮などのギフト需要が非常に高い傾向があります。
ギフト需要については後程より詳しく解説したいと思います。
ギフト対応でよくある方法
ではネット通販における商品のギフト対応について、お客様からリクエストの多いギフト対応をいくつかご紹介いたします。
これから紹介する内容にもしも対応が可能であれば、商品ページ上に、対応可能なギフト対応について記載されることをおすすめします。
ネット通販でよくあるギフト対応の事例
ラッピング対応
ラッピング対応といえば、ギフト対応の定番ですが、ネット通販の場合は、商品を発送する都合上、ラッピングした商品をダンボールなどの梱包で送る必要があります。
ラッピングは、無料で対応するネットショップもありますが、有料での対応としているネットショップもあり、どちらがいいかといえば、可能であるなら無料対応ができるとユーザーにとってはメリットがあると思います。
ただし、ラッピングの袋や紙にも原価がかかっているはずですから、必ずしも無料対応する必要はないと思います。
簡易なラッピングであれば無料、ちょっとデザインや質が高いラッピングは有料とわければ、ニーズに合わせた対応となり、店舗のコスト的負担も軽減できるでしょう。
小さな商品である程度単価の高いもの、たとえば腕時計などの商品を販売しているネットショップは、ラッピング対応はぜひ行う事をおすすめします。
のし(熨斗)紙の対応
のし・熨斗紙の対応は、お中元やお歳暮、またちょっと畏まったお祝いを贈る時には、お客様から要望をいただくことがあります。
熨斗の種類としては、地域や慣わしによって異なることがありますが、基本的な熨斗の種類としては、水引の結び方で決まります。
水引の結び方
- 蝶結び・花結び
- 結び切り
- あわじ結び
「蝶結び・花結び」とは、何度も繰り返してよい意味を込めて、お礼や出産祝い、栄転などのお祝いの際に用いられる水引です。
「結び切り」は、二度と繰り返すことがない願いを込めて、婚礼や全快祝い、弔事などに用いられる水引です。
水引の本数は、慶事では奇数(3本・5本・7本)の水引を用い、5本1組が主流とされています。婚礼関係は10本1組ですが、「5本」の2束と解釈します。
水引の本数が、3本の場合は5本を簡素にしたもので、主に粗品などに使用されます。
7本は5本をより丁寧にしたものといわれています。
ただし贈るお品のサイズが小さいときに7本にすると、水引だけ目立って不格好になる場合ありますので、こういった場合には5本にしておけばよいでしょう。
ちなみに9本も奇数ですが「9」は「苦」と考えられることから、縁起が悪い数字とされているので、水引の本数に9本はあまり用いられません。
「あわじ結び」は、末永いお付き合いをという願いを込めて、一般的な慶事、弔事の両方に用いられる水引です。婚礼やお見舞いなどにも用いられます。
筆者のネットショップでも熨斗紙の対応を一部商品で行っていますが、自分で調べるまで熨斗紙の種類の意味について、恥ずかしながら理解していませんでした。
熨斗紙には、お客様から依頼される内容として熨斗の種類のほか、表書き、名入れの希望があります。
名入れはそれぞれのお客様毎にことなりますが、表書きにはこれまた決まった種類が存在しますので、熨斗の表書きについても参考までにご紹介いたします。
熨斗紙の表書きの種類
- 結婚御祝(結び切り10本)
- 寿(結び切り10本)
- (結婚の)内祝(結び切り10本)
- 出産御祝(蝶結び)
- 出産内祝(蝶結び)
- (一般的な)御祝(蝶結び)
- (一般的な)内祝(蝶結び)
- ご挨拶(蝶結び)
- 粗品(蝶結び)
- 快気祝(結び切り5本)
- お中元(蝶結び)
- お歳暮(蝶結び)
- 御供(黒白)
- 粗供養(黒白)
- 満中陰志(黒白)
- 志(黒白)
メッセージカードを添える
お誕生日のギフトなど、ちょっとした気持ちを添えたいというお客様もおられると思います。
お誕生日のプレゼントに熨斗紙を付けるという方はまずいないと思いますが、誕生日プレゼントとしてのリクエストの場合は、ラッピングに加えて、メッセージカードを付けてもらえるとお客様にはとても喜ばれると思います。
手間のかかることもあり、店舗によっては予め用意されている定型文(お誕生日おめでとう・ありがとう等)のコピーを利用するショップもありますが、やはり、お客様からのメッセージを短文でもいいので、メッセージカードに印刷してあげられるとお客様からは喜ばれると思います。
メッセージカード対応は、できれば無料で対応してあげると良いでしょう。
そこまで品質やデザインにこだわったメッセージカードを用意する必要はないでしょうが、数種類から選べると尚良いと思います。
商品への名入れ
名入れギフトは、商品の種類にもよりますが、敬老の日のギフトや出産祝いの贈り物などには、名入れが喜ばれる傾向があります。
名入れ自体、特殊な機械などが必要なケースもあるので、対応できる店舗さんは限られるでしょうが、名入れ対応ができるのであれば、是非対応してあげてください。
また、最近では、インスタグラムなどのSNSにお弁当をアップする際にインスタ映えすることから、曲げわっぱというお弁当箱が人気ですが、この商品も名入れ対応ができるようです。
名入れギフトも対応が可能な商品がある場合は、是非対応する事を検討してみてください。
アレンジフラワーなどの完成品の写真を注文者に送る
お祝いのお花をギフトとして贈る時に、フラワーアレンジメント商品を注文したことはありませんか?
筆者も以前、母の日のギフトでアレンジフラワー商品を贈ったのですが、アレンジフラワーなどは、実際の商品を確認することができないまま作成された商品が、相手先に届くことがあります。
この店舗さんの場合、商品の発送完了メールを送る際に、制作したフラワーアレンジの写真を画像として添付するサービスを行っています。
「こんな商品が届くんだ」ということが事前にわかるので、商品を贈ったあとのお礼の連絡の際にも、共通した商品イメージを持つことができることで多くのお客様に喜ばれています。
フラワーアレンジメントや、ハンドメイド系商品の場合、出来上がった商品が、購入時に見た商品画像とことなることがあります。
制作後に商品写真を送ってくれるというひと手間が、お客様にとっては何倍も大きくなって喜び、満足度に変わります。
この対応は、どんなネットショップでも誰でも対応ができますから、是非ご自身の店舗で対応可能な商品があれば、対応してあげてください。
ネット通販におけるギフト商戦需要について
ネット通販市場における、主なギフト商品需要をまとめてみました。
今回は、楽天市場
で実際にそのギフト需要で売れている商品も参考にご紹介いたします。
ネット通販におけるギフト需要の参考になれば幸いです。
ネットショップのギフト対応のまとめ
今回は、ネットショップでギフト対応をした方がよいかどうかというご相談をいただきましたので、ネットショップにおけるギフト対応についてまとめてみました。
ネット通販では、ギフト需要は右肩上がりで拡大しているため、今後もますますネット通販でのギフト需要は拡大していくことになるでしょう。
「こんな商品がギフトになるの?」
という意外な商品もギフト、贈り物として利用されることがありますので、ご自身のネットショップにはギフト商品がないと思われている方も、今一度商品ラインナップを確認してみてください。
また、ギフト対応といっても必ずしもすべてのお客様がラッピングやのしの対応を絶対視しているわけではなく、可能であればというお客様も多いと感じています。
ご自身の店舗運営で可能な範囲でのギフト対応を実施してみてください。
今回の記事の内容が、ネットショップでギフト対応をするかどうかで悩まれている方の参考になれば幸いです。