楽天新春カンファレンス2018参加レポート 三木谷さんの講演のすべて
2018年2月7日に行われた楽天市場の店長が一堂に集う楽天新春カンファレンス2018に現役楽天店長が参加しました。
社長である三木谷さんの基調講演でのお話は、楽天市場をはじめ、楽天グループの未来について語られていました。
今回は、楽天新春カンファレンス2018で三木谷さんが語られた楽天の未来についてご紹介いたします。
楽天市場に出店されていて、新春カンファレンスや夏に開催される楽天EXPOにまだ参加されたことがない方は
是非、このレポートを一読していただき、次回の夏の楽天EXPOに参加してみて、答え合わせをしてもらえればと思います。
- 楽天新春カンファレンスとは
- 三木谷社長の基調講演のすべて
- 楽天市場の2018年の動向
- SPUポイントアップの更なる倍率アップ
- 楽天証券への会員誘導
- 楽天PAYの導入による楽天市場の決済統一
- 楽天モバイルの支払を楽天ポイントでも可能に
- WalmartとSEIYUとの協力で生鮮食品も注力
- 楽天経済圏の更なる拡大と連携
- OnePayment(ワンペイ)
- チャット機能の導入と拡大
- BigData×AI(人工知能)
- デリバリー戦略
- ラストワンマイルへの超挑戦
- クラウドデリバリーへの超挑戦
- Eコマースの拡張・再定義
- 新モビリティへの超挑戦
- 楽天新春カンファレンス2018に参加しての感想
- 楽天新春カンファレンス2018のまとめ
楽天新春カンファレンスとは
楽天新春カンファレンスとは、楽天市場の出店者と、楽天市場のパートナー企業が参加する、一年に一度、年始に開催されるイベントのことです。
夏に開催されるのが、楽天EXPOというイベントで、楽天新春カンファレンスと同じような構成で開催されます。
ちなみに、前回開催された、楽天EXPO2017の講演の模様は以下のページにまとめています。こちらも必見です。
楽天新春カンファレンスでは、午前中は、社長の三木谷さんの講演があり、楽天市場をはじめ、楽天グループとしての将来像や取組などを説明してくれます。
2018年の新春カンファレンスのテーマは「Connect(コネクト)」というテーマで開催され、店舗とユーザーがつながる楽天市場を目指しているということでした。
今回は、現役楽天店長が、楽天新春カンファレンス2018に実際に参加して学んだ内容をレポートとして、ご紹介いたします。
三木谷社長の基調講演のすべて
楽天新春カンファレンスで最も注目されるのが、社長の三木谷さんの講演です。
2018年以降の楽天市場、楽天グループが目指すものと、具体的な施策などをご紹介してくださいました。
ダイジェストとして、三木谷社長が講演してくださった内容をご紹介したいと思います。
楽天新春カンファレンスに参加されていない楽天店舗さんの参考になれば幸いです。また、これをきっかけに是非、一度楽天のEXPOなどに足を運んでみてください。
楽天市場の2018年の動向
楽天市場の2018年以降の動向について、三木谷さんは、「グローバル」という言葉で表現していました。
楽天市場の全世界のグループ流通総額は2017年におよそ13兆円規模へと成長を遂げたそうです。
特に2017年に衝撃的だったのが、サッカーの世界的人気クラブチーム「バルセロナ」の公式スポンサーになったことですね。
あと、アメリカプロバスケットボールリーグの「NBA」の日本の放送権も楽天が購入したというのも大きな話題となりました。
2018年において、楽天グループとしては、先ほどの「グローバル」戦略を掲げていますが、具体的には「楽天の会員ID」と「楽天スーパーポイント」の連携を強化することのようです。
三木谷さんは講演で、「Global ID Integration」と「Global Point Integration」という言葉を強調されていました。
そして、今回の新春カンファレンスで意外だったのが、この「覚悟」という言葉を三木谷さんがあげたことでした。
覚悟というのは、「社運をかけての事業である」ともおっしゃっていました。
もうひとつ、今回の新春カンファレンスの大きなテーマとして「超挑戦」という言葉が出てきました。
覚悟というのは、おそらくですが「Amazon」への脅威があることがうかがえる感じでした。
楽天市場での流通総額は、公式公開されていませんが、Amazonの2017年度の流通総額が「1兆1,768億円」に達したことが、危機的状況にあるということだと思います。
そして、楽天市場としての「覚悟」の向かう先は、「楽天経済圏の超拡大」という楽天グループの総力を挙げた戦略でした。
楽天の強みは、「楽天スーパーポイント」の普及率にあります。現在楽天スーパーポイントが利用できる店舗は70万店舗以上になりました。
累計の発行ポイントは、1兆ポイントを突破し、もはや楽天スーパーポイントは、「通貨」と同じような価値にまで高まってきていると言えます。
講演の中で三木谷さんは「楽天スーパーポイントは今後ますます通貨に近づく」ということもおっしゃっていました。
どこでも使えて、何でも交換することができる、それはポイントというよりも、貨幣、通貨に近しいものと言えます。
SPUポイントアップの更なる倍率アップ
今回の楽天新春カンファレンスで、筆者としては待ちに待っていた情報がこの「SPUのポイント倍率の更なる上昇」でした。
【参考】楽天市場のSPUが常時8倍に!スーパーポイントアップの仕組みとは?
三木谷さん曰く、2018年は、これまでのSPU8倍から12倍程度までは引き上げる予定であるということでした。
楽天市場は、モール主体のイベントとして、「楽天スーパーセール」と「お買い物マラソン」という2つのビッグイベントがあります。
楽天スーパーセールは、3ヶ月に1回の周期、お買い物マラソンは、スーパーセール以外の月に開催されており、主にショップの買い回りによってポイント還元倍率が、最大36倍程度まで引きあがるというイベントです。
直近では2018年3月が次回の楽天スーパーセール開催予定月ですので、この時にSPUの倍率が向上していると、決算商戦の拡大にもつながることが期待できそうです。
楽天証券への会員誘導
楽天証券でも楽天スーパーポイントの利用を可能にするとのことでした。
株価の上昇が続いている昨今で、株式投資に興味のある楽天会員も多いと思います。
楽天ポイントで株が買えるというのは、かなり新規株式ユーザーの取り込みにつながるのではないかと思われます。
楽天PAYの導入による楽天市場の決済統一
今回の楽天新春カンファレンスの注目は「楽天PAY(楽天市場決済)」の全店舗導入に向けた説明でした。
楽天市場では、これまで決済方法は店舗ごとに異なる設定となっていました。
当店の場合、銀行振込やクレジットカード、コンビニ決済、代金引換には対応していますが、後払い決済などには対応していません。
また、別の店舗の場合、クレジットカードと銀行振込のみで、代金引換やコンビニ決済に対応していないという店舗もあり、楽天市場としては、決済方法がバラバラでユーザーの商品選択の際の障壁となっていました。
今回、2018年中には楽天ペイが全店舗に導入されることがほぼ決まっています。
楽天市場のユーザーの利便性を高めながら、店舗側としても負担なくあらゆる決済方法をネットショップに導入できるメリットがあります。
楽天モバイルの支払を楽天ポイントでも可能に
楽天は、携帯通信事業にも本格参入を発表しています。
携帯キャリアといえば、NTTdocomo、AU、ソフトバンクの3キャリアがシェアの大半を獲得していますが、楽天モバイルは4番手となります。
まだまだ楽天モバイルは事業規模は小さいですが、ここでも楽天スーパーポイントとの連携により、携帯代金の支払いを楽天ポイントで行えるというメリットを提示しています。
今後、SIMフリーの普及もますます盛んになりそうですから、楽天モバイルは成長性が高い事業だと思います。
WalmartとSEIYUとの協力で生鮮食品も注力
Walmartとの提携も非常に大きなニュースとして取り上げられました。
楽天は、生鮮部門も強化する方針ということで、SEIYUとも協力した体制をとっていくそうです。
生鮮の宅配などでは、Amaoznの「Amazonフレッシュ」などと競合することになりますね。
楽天経済圏の更なる拡大と連携
2018年以降の楽天は、楽天グループの総力を挙げて、楽天会員IDと楽天スーパーポイントの連携を高めた戦略を行うようです。
楽天は、楽天銀行や楽天証券、楽天カード
などの金融事業も展開しているうえ、先日は損害保険事業にも参入を発表しました。
楽天市場は、迫りくるAmazonの脅威を、楽天グループ全体の力を楽天市場に還元する形で迎え撃つようです。
OnePayment(ワンペイ)
今回のカンファレンスで、三木谷さんが最も強調したと言ってもいいのがこの「ワンペイメント」です。
楽天市場は、決済方法をRペイ(楽天市場決済)に統一することが決まっています。
決済方法の統一により、楽天ユーザーは、支払方法を自由に選べるメリットがあります。
出店者のメリットは、これまで対応していなかった決済方法にも対応できることと、クレジットカード決済については入金サイクルが約10日ほど早まるため、キャッシュフローの面で大きなメリットがあります。
ただ、デメリットもあり、受注処理などをベンダー製品を使っていたり、自社システムを構築している場合は、CSVやAPIとの連携に対応作業が必要であることです。
予定としては、2018年8月には、全店舗の楽天PAY完全移行となるようですが、場合によっては、楽天ペイ導入時期を延長しなくてはならない店舗も出てくると思います。
チャット機能の導入と拡大
チャット機能については、実はすでに試験的に導入している楽天店舗も存在しています。
チャット機能は、楽天を利用するユーザーが気軽に即座に質問ができるため、転換率の向上に非常に効果的という結果が出ています。
実際にチャット機能を利用している店舗さんの感想としては、顧客にチャットで対応した際には、約50%程度は購入に繋がっているとのことでした。
たしかに、親切丁寧なチャット対応をされれば、即座に購入を決める心理が働くのも理解できます。
チャットの導入は、2018年中に全店舗で利用が可能になるスケジュールということですから、今から待ち遠しいですね。
チャットについては、AIチャットボットの開発も進めているそうです。
ユーザーの趣味嗜好や過去の購入履歴、楽天トラベルなどの利用履歴などから、最適な商品提案を自動で行う事を目的に開発をすすめているそうです。
BigData×AI(人工知能)
今年の新春カンファレンスでもうひとつ重要なキーワードが「AI(人工知能)」についてでした。
楽天は、現在9300万人の楽天会員IDをデータとして所有しています。
楽天トラベルや楽天の保険事業、楽天市場の購入履歴などのビッグデータを利用して、AIによる学習能力から、楽天会員に最適な商品やサービスをレコメンドしていくことが期待されています。
必要なものを、最適のタイミングで提案することで、より高いコンバージョンレートが期待できるとのことでした。
AIの話題が急に増えてきたのは、シンギュラリティ(技術的特異点)が近いことも影響しているように感じます。
デリバリー戦略
楽天の超挑戦にデリバリー戦略がありました。
楽天は、現在楽天ダイレクトという独自物流を行っていますが、Amazonを超える技術開発も行われているということでした。
自動ピッキングなどは、確かにすごいと思いますし、また、日本郵便と協力して、楽天市場の商品を全国2万局の郵便局での受取可能にした物流改革も行っています。
AI(人工知能)の活用と、配送網の拡充により、受け取り方を柔軟にすることで、物流クライシスを乗り越えようという姿勢が見られました。
現在、楽天の物流拠点は3か所ですが、これを10拠点まで増やす計画とのことでした。
ラストワンマイルへの超挑戦
物流面での改革としては、以前から取り組んでいる「ドローンによる自動配送」に更なる挑戦を行うとのことでした。
重量の問題などがあり、まだ実用化は先になりそうですが、テストマーケティング的にすでに運用しているホテルなどもあるそうです。
より高度なドローンが開発され、AIとの連携がうまくいけば、ドローンによる自動配達は夢ではなく現実として利用できる日が来ると思います。
クラウドデリバリーへの超挑戦
また、クラウドデリバリーにも超挑戦を行うと発表がありました。
これは、先ほど出てきたWalmartやSEIYUとの協力によるものですね。
Eコマースの拡張・再定義
楽天は、楽天市場としてこれまで行ってきたEコマースから、AIやビッグデータといった新しい技術を導入したEコマースへと再定義を行うとのことでした。
フィンテックなども積極的に拡大していくことを三木谷さんはおっしゃっていました。
新モビリティへの超挑戦
シェアリングエコノミーについてもしきりに参画を表明されていましたが、日本ではライドシェアなどの普及がまだまだという問題もあります。
楽天としては、ライドシェアなどの世界企業を買収して、自動運転などへも積極投資しているようです。
2018年の楽天グループとしては、とにかく「超挑戦」をテーマに、これまで以上のスピードで、新規事業の参入や楽天経済圏の拡大を図っていくということでした。
楽天新春カンファレンス2018に参加しての感想
2018年の楽天新春カンファレンスに参加してみて、三木谷さんの講演を聞いて一番感じたことは、「楽天グループの総力をあげた経済圏拡大」が今年の楽天の動向なのだということです。
楽天ペイの導入にも言えることですが、楽天会員IDと楽天スーパーポイントという二つの強いカードを徹底して利用していくことが、楽天市場の流通を盛んにする方法であると思っているようです。
楽天スーパーポイントは、今後ますます使える場所、貯まる場所が増え、その楽天ポイントの80%以上は、楽天市場で消費されるというデータがあります。
出店店舗数こそ4万5千店舗からの伸び悩み状態にありますが、楽天グループとして成長、楽天市場への還元は、まだまだ期待できると思いました。
楽天新春カンファレンス2018のまとめ
楽天新春カンファレンス2018の三木谷社長の講演内容について、まとめて解説いたしました。
三木谷さんの講演の節々に、Amazonへの対抗心が感じられましたが、それだけ楽天としても危機感を持っていることもわかりました。
2017年は、SPUが8倍になった程度の進化しかなかった楽天市場ですが、2018年は楽天ペイやチャット機能などというあたらな進化が確実に行われます。
楽天スーパーポイントと楽天IDの更なる拡大に期待したいところですね。
本日の情報が、楽天市場出店者の方、楽天に出店を検討している方の参考になれば幸いです。