売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】メルマガの効果があまりないのですが、SNSに切り替える方が良いでしょうか?
ネットショップの運営で、非常に多いご質問が「メルマガ」「メールマガジン」の効果についてのご相談です。
FacebookやTwitter、インスタグラムやLINEといったSNSツールが利用者を増やしている反面、メールマガジンは、確かに以前のような強い集客効果は薄れつつあります。
「メルマガはオワコン」「メルマガなんて見ないで捨てる」というお声も耳にしますが、果たして本当にメルマガはオワコン、終焉直前のツールなのでしょうか?
今回は、ネットショップの運営において、追客施策で重要な「メルマガ」について、現役店長が解説いたします。
メルマガ・メールマガジンとは?
メルマガ・メールマガジンとは、発信者が定期的にEメールによって情報を発信し、読みたい人(読者)が購読するようなメールの配信携帯のことを言います。
メールマガジンは、メルマガと略されることが一般的ですが、主に1990年代前半あたりに広まった「メーリングリスト」がその前身的なサービスだったとされています。
メーリングリストとは、登録されているメールアドレス間で、Eメールのやりとりを行うことができる「連絡網」のような形式のメールサービスです。
メールマガジンとメーリングリストの違いは、メールマガジンが発行者が読者に向けての配信なのに対して、メーリングリストは、登録者全てにメールの返信が可能である「双方向」のサービスである点です。
メールマガジンは、初期のころは企業か一部の個人が発行しているものがほとんどでしたが、メルマガの存在が一般化するに従い、行政府、自治体、NGOなど公的な機関などもメールマガジンを発行するようになりました。
次に、メルマガの歴史と、ECサイトとメルマガの関係についてご説明いたします。
ECサイトとメルマガの歴史
メルマガが一般的に利用されはじめたのは1990年代後半と言われています。
メルマガが普及した大きな原因として、1997年1月にまぐまぐがメールマガジンの配信サービスを開始したことが挙げられます。
1997年当時は、インターネット環境も、現在のように高速転送かつ常時接続が当たり前の時代ではありませんでした。
ISDNやADSLといった通信方法もまだ普及する前だったため、インターネット利用者自体が非常に少ない社会情勢でした。
1990年代末に、夜中の間だけインターネットに低額で接続できるサービスが開始され、インターネット利用者が一気に増えはじめることになります。
当時は、画像の読み込みだけでも非常に時間のかかる通信速度であったため、容量の軽いEメールなどのテキスト情報を送信するようなやりとりがインターネットを利用したコミュニケーション手段として主流の時期でした。
Eメールを中心として、メーリングリストが生まれ、その後メルマガ、メールマガジンがまぐまぐ誕生をきっかけとして一挙に普及し始めたのがかんたんなメルマガの歴史です。
ECサイト、ネットショップとメルマガの関係も、1990年代後半~2000年代前半に最も効果が高かった時期でもあります。
楽天市場が誕生したのが、1997年ですから、今から20年以上前となります。
当時は、インターネット通信の環境もまだまだ整っていない時代でしたので、インターネット上でのショッピング、Eコマースに至っては、パソコンに詳しい一部のユーザーのみが行う行為でした。
楽天市場も、開業当時は出店者も少なく、楽天の流通総額は、40万円程度だったと、三木谷社長は楽天EXPOなどで、振り返っています。
当時の楽天市場では、出店店舗数も少なく、メルマガ自体を配信している店舗も稀な方でした。
そのため、メルマガを配信すること自体がめずらしいことで、メール通数も非常に少ないこともあり、メルマガの開封率や精読性などは現在とは比較にならないほど高い効果がありました。
また、当時のネット通販は、顔が見えない上に、ネットショッピング自体が一般的ではなかったこともあり、インターネットでモノを購入するのにはかなりの勇気が必要となりました。
こうした、電子商取引とまだ言われることの方が多かった時代のEC、ネット販売において、メルマガは、ひとつの「顧客との信頼を高めるためのツール」として大変有効だったわけです。
また、当時流行していたメルマガ配信テクニックとして「プレゼント応募メルマガ」というものがありました。
メルマガに登録することで、抽選でプレゼントを送るという手法ですね。
今でもプレゼント企画を行う店舗さんは多いと思いますが、当時はメルマガを中心とした「顧客リスト集め」の最たる方法として流行していました。
そんなメルマガ黎明期、楽天黎明期から、ネットショップを出店して顧客を集め、ファンを作り続けた店舗が、楽天市場でショップオブザイヤーなどを受賞するほどに売れているネットショップへと成長したわけです。
ネットショップの運営は、「積み上げ型のビジネスモデル」であると表現されることがあります。
他者よりもいち早くから、楽天市場に出店したり、メルマガに取り組み顧客を育て続けることで、その業界、立ち位置での第一人者ともいえる店舗ブランドを築くことができるわけです。
2018年におけるネットショップ運営、メルマガ施策がなぜ難易度が高くなっているのかは、ある程度成熟した状態、イノベーター理論で言えば、「アーリーマジョリティ」から「レイトマジョリティ」へ移行しはじめているからかもしれません。
メルマガからSNSへ移行するべきか?
では、売れるネットショップの教科書によくあるご質問のひとつ、「メルマガからSNSに移行するべきか?」というご質問について、筆者の考えをご紹介いたします。
メルマガはオワコン、と思われる方が多いですが、売れているネットショップほど、メルマガをしっかりと発行しているという事実があります。
もちろん、メルマガ黎明期から顧客へのメルマガ配信をおこなっていたため、配信数が多いことも理由のひとつですが、メルマガにはSNSとことなり一定の「効果」があるからです。
メルマガ配信の目的は、「店舗への誘導」から「商品の購入」に至るのが最良の結果ですが、もうひとつの『効果』が期待されるため配信を継続的に行っています。
それは、「顧客とつながり続ける」「接触を続ける」という効果です。
メルマガがメールボックス、受信トレイに届けば、メルマガが開封されなくとも、顧客接触の効果はしっかりと伝えることができます。
ただし、スマホの普及によって、携帯メールアドレスは、特に若い世代で利用率がかなり低下しているという事実は否めません。
ビジネスシーンにおいて、丸一日メールを見ないという方は、職種にもよりますが、デスクワーク系の方であればほとんどいないのではないでしょうか?
ビジネスのツールとして、メールは20年前から今に至るまで、一度も廃れることなく続いています。いわば「普遍的」ツールと言えるのがEメールです。
SNSは、確かに話題性やスピード感は、メール以上ですが、メールと異なり、情報が蓄積されない、蓄積されにくいというデメリットがあります。
TwitterやFacebookなどは、投稿がタイムライン上で流れていくため、友達やフォロワーが多ければ多いほど、すべての情報を閲覧することが困難になります。
ビジネスシーンにおいてはメールは、どんなに大量に送信されたとしても、「送信者」と「件名」を見て、開封するか削除するか、の判断を行うことが前提となります。
ここが、SNSとメール、メルマガとの違いです。
筆者としての結論は、「メルマガからSNSに移行」するのではなく、「メルマガ」も「SNS」も上手に取り入れていくことが最良の選択だと思っています。
SNSには、メルマガとことなり、「シェア」「拡散する」機能が備わっています。
また、画像や動画を投稿できるため、「インスタ映え」といった言葉のように、自分が良いとおもう商品写真や動画などを友人などのフォロワーにボタンひとつで紹介することができます。
これは、一種の「口コミ」マーケティングであり「バイラルマーケティング」とも言える非常に効果の高いマーケティング手法です。
自分の知人や友人が、「この商品よかったよ」「これかわいいよ」と紹介すれば、普通の広告に比べて反応率は非常に高くなる傾向があります。
こうした効果はメールでは難しく、SNSとの親和性が高い施策だと思います。
重要なのは、それぞれのツールの特性を理解して、最適化して運用することにあります。
是非、メルマガだから、SNSだから、という固定観念を捨てて、使えるものは全て利用するくせをつけてください。
そして、メルマガもSNSもそのほとんどが「無料」で利用できるものばかりです。
フリーミアムな時代に感謝しなければなりませんね。
メルマガについてのまとめ
今回は、メルマガについて、SNSへ移行する方がよいのかというご質問を中心にご説明いたしました。
メールは個人利用のシーンでは確かに10年前よりも重要度は低くなりました。
逆にビジネスシーンでは、メールの重要度は10年前よりも高くなっていると感じます。
メルマガは、顧客とつながり続けることのできる普遍的な手法です。
是非、大切なファン、優良顧客の方とメルマガでつながり続け、更なる顧客拡大をめざしてください。
また、インスタグラムやLINEなどのSNSツールも集客効果、拡散効果は非常に高いです。
メルマガとSNSの両方の役割をしっかりと理解して、ユーザーに対して最適なタイミングでご自身が販売される商品を露出してください。
今回の内容が、ECサイトのメルマガについて悩まれている方の参考になれば幸いです。