「副業でネットショップを始めてみたい」
そう考えたとき、多くの人が最初に調べるのが「どのネットショップサービスを使えばいいのか?」ではないでしょうか。
今は個人でもネットショップを作れるサービスが増え、以前と比べればネットショップを開設すること自体は難しくありません。ただ、ここで一つ注意してほしいことがあります。
副業ネットショップは、ショップを作るところから始めない方がいいです。
先に考えたいのは、「何を売るのか」「誰に売るのか」「1個売ったらいくら残るのか」「限られた時間で運営できるのか」という部分です。
ネットショップは作れても、商品が売れなければ副業にはなりません。逆に売れても、梱包や発送に時間を取られすぎたり、利益がほとんど残らなかったりすれば、長く続けるのは難しくなります。
副業ECで大切なのは、本業のEC事業者と同じことを限られた時間ですべてやろうとしないことです。
この記事では、これまで600社以上のEC支援に関わってきた経験も踏まえ、これから副業でネットショップを始めたい人に向けて、何から始めればいいのか、どこで失敗しやすいのか、どうすれば無理なく利益を残せるのかを順番に解説します。
- 1 まず確認|あなたはどこから始めればいい?
- 2 副業ネットショップが自分に向いているか5項目チェック
- 3 副業でネットショップを始める7ステップ
- 4 副業ネットショップで失敗しやすい7つのパターン
- 5 副業ネットショップは「月商」だけでなく「時間あたりの利益」で考える
- 6 月5万円の利益を目指すなら「何件売ればいいか」から逆算する
- 7 副業ネットショップでは「商品数」より「売れる商品」を作る
- 8 副業ネットショップに必要な法律・税金も確認しておこう
- 9 副業ネットショップで売上を作る7つのコツ
- 10 副業ネットショップで一番大切なのは「続けられる仕組み」を作ること
- 11 まとめ|ショップを作る前に「商品・顧客・利益」を決めよう
- 12 すでにネットショップを作ったけれど売れない方へ
まず確認|あなたはどこから始めればいい?
すべての人が同じところから始める必要はありません。現在の状況によって、最初に考えることは変わります。
| 現在の状況 | 最初にやること |
|---|---|
| まだ売る商品が決まっていない | 商品候補を出して、利益と運営負担を確認する |
| 売りたい商品は決まっている | 誰に売るか、1個売るといくら残るかを確認する |
| 商品・顧客が決まっている | 自分の商品に合った販売場所を選ぶ |
| すでにショップを作っている | アクセス数と購入状況を確認して改善点を探す |
| 売れているが時間が足りない | 発送・在庫・問い合わせなどの運営業務を効率化する |
副業ネットショップが自分に向いているか5項目チェック
ネットショップを作る前に、次の5つを確認してみてください。
| チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
| 週に一定の時間を確保できる | 商品登録・問い合わせ・発送などに対応できるか |
| 売りたい商品や得意分野がある | 「誰に何を売るか」を考えられるか |
| 利益を確保できる商品がある | 売上ではなく最終的に利益が残るか |
| 梱包・発送方法を決められる | 注文が増えても対応できるか |
| すぐ大きく稼ぐことを期待していない | 小さく始めて改善を続けられるか |
すべてにYESでなくても、ネットショップを始められないわけではありません。ただし、副業の場合は使える時間に限りがあります。
- 商品数を増やしすぎない
- 販売チャネルを増やしすぎない
- 薄利の商品を選ばない
- 発送作業を複雑にしない
副業ECでは「何をするか」と同じくらい、何をしないかを決めることが重要です。
副業でネットショップを始める7ステップ
STEP1.まず「何を売るか」を決める
最初に考えるのはショップのデザインではありません。商品です。
副業で扱う商品を考えるときは、「売れそうか」だけでなく、副業として運営しやすいかも確認してください。
例えば、副業と相性がよい商品の条件としては次のようなものが考えられます。
- ある程度の粗利を確保できる
- 小さく発送しやすい
- 壊れにくい
- SKUが多すぎない
- 問い合わせが頻繁に発生しない
- 在庫管理が複雑ではない
- 自分の知識や経験を活かせる
- リピート購入が期待できる
反対に、1件売れても利益がほとんど残らない商品、大型で送料が高い商品、SKUが非常に多い商品、購入前後に個別対応が大量に必要な商品は、副業では運営負担が大きくなりやすいです。
もちろん、こうした商品が売れないという意味ではありません。重要なのは、「売れるか?」と「自分一人で運営できるか?」の両方を見ることです。
STEP2.「誰に売るか」を決める
次に考えるのがお客様です。
例えば「アクセサリーを売る」だけでは、まだ販売戦略を作りにくい状態です。20代女性向けなのか、プレゼントを探している男性向けなのか、子育て中の人向けなのか、特定の趣味を持つ人向けなのか。お客様が変われば、商品の見せ方、価格、写真、SNS、広告、商品説明も変わります。
最初から細かなペルソナを何十項目も作る必要はありません。
まずは、「誰の、どんな悩みや欲求に応える商品なのか」を一文で説明できるところまで考えてみてください。これだけでもショップの方向性はかなり決めやすくなります。
STEP3.原価・送料・手数料まで入れて「1個売った利益」を計算する
ここは副業ネットショップで特に重要です。
例えば5,000円の商品が売れたからといって、5,000円が副収入になるわけではありません。
基本的には、販売価格 − 商品原価 − 送料 − 梱包資材 − 決済・販売手数料 − 広告費などを考える必要があります。
| 販売価格 | 5,000円 |
|---|---|
| 商品原価 | 2,000円 |
| 送料 | 500円 |
| 梱包資材 | 150円 |
| 各種手数料 | 350円 |
| 集客コスト | 500円 |
| 残る金額 | 1,500円 |
この数字を把握せずに「月商10万円」を目標にしてしまうと、思ったほどお金が残らないことがあります。
副業ネットショップでは、売上目標より先に、「1個売れたらいくら残るのか」を計算してください。
STEP4.商品に合った販売場所を決める
商品と利益構造が決まったら、ここで初めて「どこで売るか」を考えます。
まず低コストで自分のショップを持ちたい場合は、BASEやSTORESなどを比較します。
将来的に本格的な自社ECへ育てたい場合は、必要な機能や拡張性も含めてShopifyなども比較対象になります。
すでに検索需要がある商品を販売したい場合は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのモール型ECも候補です。
一点物・中古品などを販売したい場合は、商品の性質によってフリマ・マーケットプレイス型サービスから販売を試す方法もあります。
大切なのは、「有名だから選ぶ」のではなく「自分の商品をどうやって見つけてもらうか」で選ぶことです。
どのサービスを選べばよいか迷っている方は、ネットショップ作成サービスを比較した記事も参考にしてください。
副業なら、最初から4店舗も5店舗も運営する必要はありません。まず1つの販売チャネルで売れる形を作り、それから広げていく方が管理しやすくなります。
STEP5.決済・配送・返品ルールを決める
ネットショップを公開する前に、実際に注文された後のことも決めておきます。
- どの決済方法に対応するか
- 送料はいくらにするか
- 何日以内に発送するか
- どの配送会社を使うか
- 返品・交換にはどう対応するか
- 不良品の場合はどうするか
- 問い合わせにはいつ対応するか
副業では本業の勤務中に注文や問い合わせが入ることもあります。そのため、「平日の注文は翌日以降に発送」など、自分が無理なく守れるルールを決めることも重要です。
ネット通販では、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品等に関する事項、事業者情報など、特定商取引法上の表示についても確認しておきましょう。
STEP6.最初は「売るために必要なページ」だけ作る
ネットショップを始めると、「もっとおしゃれにしたい」「ロゴを作りたい」「トップページを豪華にしたい」と、デザインに時間を使いたくなります。
もちろんデザインも大切ですが、最初から100点のショップを作る必要はありません。
優先したいのは、商品が何なのか、誰におすすめなのか、価格はいくらなのか、送料はいくらなのか、いつ届くのか、どんな人が販売しているのか、返品・交換はどうなるのかがきちんと分かることです。
副業ECでは、何か月もかけて完璧なショップを作るより、最低限必要な情報を揃えて販売を始め、実際のお客様の反応を見ながら改善する方が学べることも多くあります。
STEP7.小さく販売して「売れた理由・売れなかった理由」を見る
ショップを公開したら、そこで完成ではありません。むしろ、ここからがスタートです。
- 商品ページは見られているか
- カートには入っているか
- どこからアクセスされているか
- どの商品が見られているか
- 問い合わせでは何を聞かれているか
アクセス自体がなければ、商品ページだけを直しても売上は増えません。アクセスはあるのに購入されないなら、価格、商品説明、写真、送料、信頼性などに改善余地があるかもしれません。
「売れない=商品が悪い」と決めつけず、購入までのどこで止まっているのかを見る。これは副業でも本格的なEC事業でも同じです。
副業ネットショップで失敗しやすい7つのパターン
1.最初から商品数を増やしすぎる
「商品が多い方が売れそう」と考えて、最初から50商品、100商品と登録する必要はありません。
商品数が増えれば、撮影、商品登録、在庫管理、価格変更、問い合わせ、発注などの作業も増えます。
副業なら、まずは少ない商品数から始めて、何が売れるのかを確認する方が運営しやすいでしょう。
2.売上だけを見て利益を計算していない
「今月10万円売れた」という数字だけを見るのではなく、その10万円からいくら残ったのかを確認してください。
商品原価だけでなく、送料、梱包資材、決済・販売手数料、広告費などもかかります。売上が増えているのにお金が残らない、という状態を防ぐためにも利益を定期的に確認しましょう。
3.ショップを作れば人が来ると思っている
ネットショップは、公開しただけでお客様が集まるわけではありません。
そのため、SEO、SNS、広告、モール、既存顧客、口コミ、コンテンツなど、何らかの集客方法が必要です。
「ショップを作る」と「お客様を集める」は別の仕事だと考えてください。
4.楽天・Amazon・Yahoo!・自社ECを一度に始める
販路を増やせば売上機会も増えます。しかし同時に、商品登録、在庫、注文、問い合わせ、価格、キャンペーンなど、管理対象も増えます。
副業なら、最初から多店舗展開するよりも、まず一つの販売先で売れる仕組みを作る方が現実的です。
5.SNSを全部やろうとする
Instagram、X、TikTok、YouTubeを全部始めても、副業で毎日すべてを更新するのは大変です。
重要なのはSNSの数ではありません。自分の商品を買いそうなお客様がどこにいるのかを考えて、優先順位をつけます。
1つを継続できる方が、4つを中途半端に運用するよりよい場合があります。
6.発送作業を甘く考える
1日1〜2件なら、それほど大変ではないかもしれません。ところが1日20件になれば、商品の確認、梱包、伝票作成、発送、発送通知だけでも時間がかかります。
売れ始めたら、梱包方法の統一、資材の事前準備、発送日の整理、必要に応じた外注・発送代行など、作業を減らせる仕組みも検討しましょう。
7.「売上=副収入」だと思ってしまう
例えば月商20万円になったとしても、その20万円がそのまま自分の収入になるわけではありません。
| 売上 | 200,000円 |
|---|---|
| 商品原価 | 100,000円 |
| 送料 | 20,000円 |
| 手数料 | 10,000円 |
| 梱包費 | 5,000円 |
| 広告費 | 20,000円 |
| 残る金額 | 45,000円 |
実際の費用構造は商品や販売方法によって異なりますが、SNSなどで見かける「月商○○万円」という数字だけを目標にしないことです。
副業では売上より「いくら残ったか」を見る習慣をつけてください。
副業ネットショップは「月商」だけでなく「時間あたりの利益」で考える
私は、副業ECではここがかなり重要だと考えています。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 月商 | 20万円 | 10万円 |
| 粗利益 | 8万円 | 5万円 |
| 月の作業時間 | 40時間 | 10時間 |
| 粗利益÷作業時間 | 2,000円/時間 | 5,000円/時間 |
月商だけを見るとAさんの方が大きいですが、副業としての時間効率はBさんの方が高くなります。
もちろん、実際には粗利益からさらに必要経費等を考える必要があり、単純な「時給」と同じではありません。
それでも、副業ECでは「残る利益 ÷ 使った時間」という視点を持っておくことをおすすめします。本業とは別に使える時間には限りがあるからです。
月5万円の利益を目指すなら「何件売ればいいか」から逆算する
例えば「副業で月5万円の利益を目指したい」とします。
1件売れたときに2,000円残る商品なら、必要な販売数は次のようになります。
50,000円 ÷ 2,000円 = 25件
月25件なら、30日で考えると1日平均1件未満です。
一方、1件あたり500円しか残らなければ、
50,000円 ÷ 500円 = 100件
必要になります。
同じ月5万円でも、必要な注文数は4倍です。そして注文数が4倍になれば、梱包・発送・問い合わせ対応も増えます。
これが、副業ECで商品選びと利益設計が重要な理由です。
副業ネットショップでは「商品数」より「売れる商品」を作る
最初から100商品を並べる必要はありません。
私はむしろ、まず1商品を10件売るところから考えることをおすすめします。
1商品が10件売れれば、誰が買ったのか、なぜ買ったのか、どこから来たのか、何を評価されたのか、どんな質問があったのかという情報が集まります。
そこで分かったことを商品ページや集客に反映し、10件を20件、20件を30件へ増やしていきます。
売れない商品を100個並べるより、売れる理由が分かっている商品を一つ持つ方が、その後のEC運営は進めやすくなります。
副業ネットショップに必要な法律・税金も確認しておこう
副業であっても、ネットショップとして商品を販売する以上、必要なルールを確認しておく必要があります。
会社員なら最初に勤務先のルールを確認する
会社員が副業を始める場合は、勤務先の就業規則や副業に関するルールを確認してください。本業との競業や会社情報の利用などについて規定が設けられている場合もあります。
「20万円」は売上20万円という意味ではない
副業の税金について「20万円を超えたら確定申告」と聞いたことがあるかもしれませんが、ここは誤解しやすいところです。
年末調整済みの給与所得者など一定の条件では、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合などに所得税の確定申告が必要になります。単純に「ネットショップの売上が20万円を超えたら」という意味ではありません。
また、個々の状況や申告内容によって扱いが異なるため、自分のケースについては国税庁の最新情報や税務署、税理士などで確認してください。
特定商取引法の表示も確認する
インターネット通販には特定商取引法によるルールがあります。販売価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、返品・契約解除に関する事項、販売事業者に関する情報など、自分の販売方法で必要になる表示を確認してください。
ネットショップサービスに入力欄が用意されているから終わりではなく、自分が販売事業者として何を表示する必要があるのかを確認することが大切です。
商品によっては別の許可・規制も確認する
中古品、食品、酒類、医薬品・医療機器、化粧品など、販売する商品や販売方法によっては許可・届出・表示などのルールが関係する場合があります。
「ネットで売れる商品か」だけでなく、「自分がその商品を販売するために必要な手続きは何か」も、仕入れや販売を始める前に関係省庁や自治体などの最新情報で確認してください。
副業ネットショップで売上を作る7つのコツ
- 商品数を増やす前に、1商品を売れるようにする
- 売上ではなく1件あたりの利益を把握する
- 自分が勝ちやすい狭い市場から始める
- 販売チャネルを広げすぎない
- 集客方法を1つずつ育てる
- 梱包・発送・問い合わせを仕組み化する
- 売れた理由を分析して次の商品・施策へ広げる
副業だから不利なのではありません。
大企業のように大量の商品を扱ったり、大きな広告費を使ったりできない代わりに、小さな市場へ絞って素早く試せることは、副業・小規模ECの強みでもあります。
副業ネットショップで一番大切なのは「続けられる仕組み」を作ること
副業でネットショップを始めるとき、「月商100万円を目指そう」「商品を100点登録しよう」「毎日SNSを更新しよう」と、最初から大きな目標を立てる必要はありません。
それよりも、次の4つを考えてください。
- 週に何時間なら使えるのか
- 月に何件なら発送できるのか
- 1件売ればいくら残るのか
- どの集客方法なら続けられるのか
例えば週5時間しか使えないなら、週5時間で回せるネットショップを作ればいいのです。
副業ECは、本業のEC事業者と同じ規模で戦う必要はありません。
限られた時間で勝てる場所を見つける。
これが副業ネットショップを長く続けるための大切な考え方です。
まとめ|ショップを作る前に「商品・顧客・利益」を決めよう
副業でネットショップを始めること自体は、以前よりずっと簡単になりました。しかし、簡単にショップを作れることと、売上や利益を作れることは別です。
これから始めるなら、次の順番で考えてみてください。
- 何を売るか
- 誰に売るか
- 1個売ったらいくら残るか
- どこで売るか
- どう届けるか
- どう見せるか
- どう集客・改善するか
特に副業では、売上の大きさだけを追わないことです。月商20万円でも毎日何時間も作業が必要なショップより、月商10万円でも少ない作業時間でしっかり利益が残るショップの方が、自分に合っているかもしれません。
最初から100商品を売る必要もありません。
まず1商品を10件売る。
そこでお客様が買ってくれた理由を知り、改善して20件、30件へ増やしていく。副業ネットショップは、そのくらい小さく始めて大丈夫です。
「ネットショップを作ること」を最初の目標にするのではなく、無理なく売れて、利益が残り、続けられる仕組みを一つ作ること。そこから始めてみてください。
すでにネットショップを作ったけれど売れない方へ
すでにショップを公開していて、「アクセスはあるのに売れない」「何を改善すればいいのか分からない」という場合は、ショップを作り直す前に原因を整理することをおすすめします。
売れるネットショップの教科書では、ECサイトを実際に確認し、売上改善のためにどこから見直すべきなのかを整理する無料EC売上診断を行っています。
これからショップを始める段階であれば、まずはこの記事の7ステップから進めてみてください。すでに運営していて改善点が分からなくなっている場合は、第三者の視点で一度整理する方法もあります。