売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】高額商品の場合、ネット販売方法でおすすめはありますか?
ネットショップで販売価格の高い商品、高額商品、高級品などを取り扱われる方もおられると思います。
ネットショップでの商品の販売は、基本的には「顔の見えない商売」が前提となるため、販売価格が高い商品を購入する場合には、非常に難易度は高くなります。
高額商品をネット販売するのにも、ある種のコツ、セオリーが存在します。
今回は、ネットショップで、高額な商品を販売する方法についてをいくつかご紹介したいと思います。
インターネットで高額商品を販売することが難しい理由
インターネットで高額商品を販売することが難しい一番の理由は、インターネット販売における「信頼性」がまだまだ低いという点にあります。
楽天市場やAmazonといったショッピングモールでさえ、販売する店舗によって、その信頼性には差があります。
1000円程度の消耗品であれば、どのネットショップで買ってもあまりリスクはありませんが、販売価格が1万円以上の商品となると、どこで買うかも重要な選択肢のひとつとなります。
販売価格が高額な商品を売るためには、ユーザーとの信頼関係の構築が重要となります。
検索して見つかった商品ページを見て、「このネットショップは信頼できそうだ」という第一印象を如何に早期に与えられるかどうか、ここが重要なポイントです。
顔の見えないネット販売という特性上、どのような商品ページ、ネットショップデザインにすれば、ユーザーは、「信頼できるお店」と捉えてくれるかを考えた店舗設計も必要です。
高額商品は、ネット販売と決して相性が悪い商品ではなく、むしろ、「価格、価値の根拠」がしっかりと伝えられて、「販売者の信頼」が獲得できれば、価格が高い商品であっても飛ぶように売れる場所でもあります。
では、実際にインターネット上で販売されている「高額商品」とは、具体的にどんな商品かについてご説明いたします。
ネットで販売されている高額商品の事例
では、実際にインターネット上で販売されている「高額商品」について、具体的な事例をご紹介いたします。
今回は、インターネットショッピングモールの最大手である楽天市場で、実際に販売されている高額商品を事例としてご紹介いたします。
インターネット全体では、更に高額な商品(保険や家など)がありますが、実際にクリックして購入に至るような商品とはことなり、資料請求や直接の面談などで購入を決めるケースがほとんどだと思います。
今回は、インターネットで決済まで完結する商品として、楽天市場内の高額商品を事例として取り上げてみました。
楽天市場で実際に販売されている高額商品の事例
- 高級腕時計
- 高級ブランドバッグ
- ピアノ
- オーディオ機器
- 宝石・ジュエリー
- カメラ機材
- 自動車・バイク
- リフォーム(浴室など)
- 家具・インテリア
- 健康器具
- ビンテージギター・楽器
- 物置
- 専用工具
- 純金
- 両替機
上記の商品は、楽天市場で実際に販売されている販売価格が高額な商品の一例となります。
高級時計や高級ブランドバッグは、具体的には時計であればROLEX、バッグであればカルティエなどが、販売価格が高額な商品が多数存在しています。
また、ピアノやオーディオ機器、ビンテージギターなどの楽器なども、商品が一点ものであり、非常に長い期間にわたってメンテナンスされていたりと、価格以上の価値がある商品も存在します。
自動車やバイクなどは、本体価格自体が高額になるため、一般的な高額商品となりますが、どちらもメーカーのカタログや専用ウェブサイトも用意されていることがほとんどなので価格の根拠の説明はあまり必要ないと思います。
高額であってもインターネット上で販売され、実際に購入されている商品は存在していますので、売り方、販売戦略をしっかりと行えば、高額商品であっても売れる可能性は十分にあります。
高額商品をネット販売するための5つの秘策
高額な商品をインターネットで販売するために、有効と思われる秘策を5つに絞ってご紹介いたします。
高額だから売れない、ということではなく、高額の理由がわかれば、高額でも購入するというユーザーは必ず存在します。
(1)価格の根拠を説明し価値を伝える
インターネットでミネラルウォーターを購入する際に、ユーザーが重視するポイントの多くは、「商品の銘柄」「安いこと」「送料無料かどうか」です。
インターネット通販では、「クリスタルガイザー」というミネラルウォーターが楽天デイリーランキングをはじめ、多くのショッピングモールの総合ランキングトップ5に入る常連商品です。
クリスタルガイザーを購入しているユーザーの多くは、べつに「クリスタルガイザー」が欲しいわけではなく、「安いミネラルウォーターで送料無料」であれば、いろはすでもエビアンでも何でもいいのです。
安い商品であれば、価格の根拠は記載しなくても、安いからという理由で売れるでしょうが、高額商品の場合は、そうはいきません。
「なぜこの商品は、10万円の販売価格がついているのか」ということを、商品の素材や作り手のこだわりなどを詳細に説明する必要があります。
また、市場価格というものを考えた際に、特定ジャンルの商品でありながら、市場価格と大幅に差がある場合は、その根拠の説明は必要不可欠です。
例えば、卵などは、スーパーマーケットで購入すれば、10個1パック200円前後です。
高級な卵であっても、6個300円程度で購入できますが、これが例えば、10個1万円という高級な卵が存在した場合、その商品価格の理由を説明しなければ、売れることはまずありません。
「なぜ、卵1個が1000円もするのか?」
例えばですが、日本に3羽しか存在しない特殊な鶏が、一月に5個程度しか生まない卵だとしたら、「希少価値」が高い商品だと言えますよね。
日本に3羽で、1ヶ月に5個の生産であれば、1ヶ月に15個しか存在しない商品となります。
「毎月限定15個のみの販売」というキャッチコピーを添えた場合、卵1個が1000円だとしたら、ユーザーは「高い」と感じるでしょうか?
むしろ、これだけ希少性が高い商品であれば、ヤフオクなどのオークションサイトで販売すれば、ユーザー間での値上げ競争が行われる可能性も十分に高い商材だと思います。
これはあくまでも架空の商品ですが、「価格の根拠」がしっかりと明記され、ストーリーを持っていれば、その商品がいくらでも「欲しい!」と思ってくれるユーザーはインターネット上に必ず存在します。
価格の根拠、価値の根拠を明確にして、価格以上の付加価値を感じてもらえるようなキャッチコピーを考えられることをおすすめします。
ネット販売で売れるキャッチコピーの作り方については、以下のページにまとめていますのでこちらも参考にしてみてください。
(2)商品のストーリーを掲載する
インターネットショッピングが一般的になってから、ユーザーの消費行動は「モノ」から「コト」へと移り変わりつつあります。
「その商品が欲しい」という単純な欲求から、「その商品を手にいれることで、こんな自分になりたい」という、商品を介しての自分への恩恵を求めるユーザーが増えています。
事実、若い世代では、商品の購入動機が、インスタグラムなどのSNSで紹介された商品や、Youtube上でYoutuberが紹介した商品を購入する傾向が強く出てきているというデータもあります。
若年層ほど、モノからコトの消費を行う傾向が強く、そこには、価格が安いから、最安値だから、ポイントがつくからという要素はほとんど考慮されていません。
一種の「ファンマーケティング」と呼ばれる、「あの人が紹介していたから」「あのモデルが身に着けていたから」というような動機から消費行動が行われているわけです。
これからのEC市場、ネット通販市場では、カタログ的な販売は、ほとんどの場合、Amazonがシェアを獲得していく事になるでしょう。
楽天市場も一部、Amazonを追従するような、商品ガイドラインの改定なども実施していますが、Amazonの商品検索のしやすさや、プライム会員への送料無料対応などには勝てないでしょう。
高額商品を販売するには、「高額である理由、その根拠をしっかりとストーリーにして伝える事」が重要です。
具体的な例をご紹介すると、「土屋鞄製作所」という革の鞄製品で非常に人気のショップがあります。
土屋鞄製作所では、商品ひとつひとつにストーリーを設けて、そのストーリーをインターネット上の商品ページで紹介しています。
「作り手のこだわり」が商品ページから伝わるため、価格がある程度高い商品であっても、完売できるのです。
商品のストーリーをしっかりと商品ページ上に表現する事を行ってみてください。
(3)資料請求などの入口を用意する
販売価格が100万円を超えるような商品の場合、商品ページを見てすぐに購入に至るユーザーの割合は1%以下となるでしょう。
商品ページを見て、商品に興味を持ったユーザーが次に行う行為としては、実際にその商品を購入した利用者の声、「レビューの確認」だと思います。
レビューを掲載することももちろん重要ですが、新商品などでレビューが無い商品の場合、ユーザーの商品購入の検討材料は、商品ページの情報のみとなってしまいます。
インターネット上の情報だけで、100万円の商品を購入するかどうかを決めるというのは、よほど富裕層の方でもないかぎり、ほとんどの場合は、その商品ページから離脱して終わりとなるでしょう。
そうした、せっかく興味を持って来店してくれたユーザーに対して、ハードルの低い依頼を行ってもらうことで、ユーザーとネットショップをつなぎとめる役割を果たせる方法があります。
「資料請求」という方法です。
新築の住宅や自動車など、販売価格が100万円以上になる商品の場合、資料請求というアクションはユーザーが求める行動のひとつです。
商品の詳細な資料やカタログがある場合は、商品ページ内に「資料請求」ボタンを用意してあげるようにしましょう。
(4)利用者の声を集めて可能な限り掲載する
ネット通販で売れる商品を作るためのセオリーでもあるのが、ユーザーの声、レビューを沢山あつめて、商品ページに掲載する手法です。
Amazonなどは、特にレビュー重視で商品を選ぶユーザーも多いため、オーディオ機器などで悪いレビューが沢山ついていると、レビューを見ただけで「買い控え」される傾向があります。
楽天市場などのシステムであれば、★5のレビューも★1のレビューも同じ扱いとして掲載されます。
一部の販促システムなどを導入すれば、「★2以下のレビューは、表には表示させない」というような裏技もありますが、これはユーザーに対して正直な対応とは言えませんよね。
悪かった点は、しっかりと受け止め、次回以降の店舗改善に活かすことも重要な店舗運営業務です。
★5のレビューがより多く集まるように、商品の性能改善、店舗運営、顧客対応の改善を行うようにしましょう。
(5)商品価格にふさわしい売場デザインを行う
販売価格が高額な商品は、その価格に見合った売場作りも重要となります。
例えばですが、あなたがフリーマーケットを見に行ったとして、路上で100万円の値札が付いた、アクセサリーが販売されていたとして、その場で購入できますか?
フリーマーケットでは、手作りの商品やリサイクル商品などが中心であるため、利用するユーザーの価格帯も1000円~3000円程度が即決できるラインだと思います。
フリーマーケットで高級アクセサリーを購入しないのと同じで、ネットショップのデザインがあまり良くない、テンプレートのままで、何の意匠も感じない簡素なデザインだった場合、高額商品をそのネットショップから購入するユーザーはほとんどゼロに近いと思います。
高い価格であれば、高いなりの表現方法が存在します。
特に最近では、ユーザーの消費傾向が「モノ」から「コト」に変わりつつあります。
ユーザーが欲しいのは、その商品自体ではなく、その商品を購入することで自分が得られる「体験」が欲しいのです。
商品にみあった、売場作り、店舗デザインから商品ページデザインへのこだわりをしっかりと表現するようにしましょう。
高額商品の販売についてのまとめ
今回はインターネットで高額な商品を販売する際について、高額商品販売の秘訣などもご紹介しました。
インターネットは、日本全国、さらに言えば世界のどこでも商品の販売が可能な場所です。
販売価格が高額であっても、その価格の根拠がしっかりと説明されていて、販売する方法や店舗デザインなどブランディングも確立されていれば、その商品を欲しいと思うユーザーは必ず存在します。
インターネット通販だからこそ、高額な商品でも「売れる」と思いますので、販売戦略をしっかりと練って売場作り、商品ページ作りに反映させてください。
今回の内容が、ネット販売で高額商品を販売したい方の参考になれば幸いです。