「商品はカートに入っているのに、なぜか注文につながらない」「アクセスは増えているのに、思ったほど売上が伸びない」。ECサイトを運営していると、このような状況に悩むことがあります。
そんなときに確認しておきたいのが、「カゴ落ち」です。
カゴ落ちとは、お客様が商品をカートに入れたものの、購入を完了せずにサイトから離れてしまうことをいいます。
売上が伸びないと「もっと広告を出そう」「SEOを強化しよう」と集客を増やすことに目が向きがちです。しかし、すでに商品をカートへ入れてくれたお客様が購入直前で離脱しているのであれば、先に購入導線を改善した方が売上につながるケースがあります。
- カゴ落ちとは何か
- 自社ECのどこで離脱しているかを調べる方法
- カゴ落ちが発生する主な原因
- 今日からできるカゴ落ち対策
- カゴ落ちしたお客様を取り戻す方法
- GA4で確認したい数字
カゴ落ちとは?
カゴ落ちとは、ECサイトを訪れたユーザーが商品をショッピングカートへ追加したにもかかわらず、購入を完了せずに離脱することです。
たとえば商品を見て「これを買おう」とカートへ入れたものの、送料を見て購入をやめたり、会員登録が面倒になって離脱したり、希望する決済方法がなく購入を諦めたりするケースがあります。
つまり、ECサイトでは単純に「売れた・売れなかった」だけを見るのではなく、購入までのどこでお客様が離脱したのかを見ることが重要です。
商品を見る → カートに入れる → 購入手続きを始める → 配送・決済情報を入力する → 注文を完了する
この途中で大きく人数が減っている場所を見つけることが、カゴ落ち改善の第一歩です。
カゴ落ち率の考え方
カゴ落ち率は、一般的には次のような考え方で確認できます。
たとえば100件カートへ追加され、そのうち30件が購入された場合、単純計算では70件が購入に至らなかったことになります。
ただし、「カゴ落ち率が何%なら合格」と数字だけを追いかける必要はありません。商品単価、商材、購入までの検討期間、送料、顧客属性などによって状況は変わります。
平均値だけを見るのではなく、自社の数字が以前と比べてどう変化しているのか、どこで離脱しているのかを確認することが大切です。
30秒診断|あなたのECサイトはどこで離脱されている?
カゴ落ち対策というと、すぐに「カゴ落ちメールを送ろう」「クーポンを出そう」と考えてしまいがちですが、その前に確認してほしいことがあります。
それが、購入までのどこでお客様が止まっているのかです。
| 症状 | 疑いたいポイント | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| カートには入るが購入手続きへ進まない | 送料・合計金額・配送条件 | カート画面を確認 |
| 購入手続きの途中で離脱する | 会員登録・入力項目・スマホ操作 | 購入フォームを確認 |
| 決済画面で離脱する | 決済方法・エラー・安心感 | 決済環境を確認 |
| 注文直前まで進むのに購入されない | 最終金額・配送予定・返品条件 | 購入直前の情報を確認 |
ECサイトでカゴ落ちが起きる10の原因
カゴ落ちが起きる理由は一つではありません。ここではECサイトで確認しておきたい代表的な10の原因を整理します。
1.送料・手数料など予想外の費用が発生した
商品ページでは「3,980円」だったのに、購入画面まで進むと送料や手数料が追加され、想定していた金額より高くなる。このような状況は購入をためらう原因になります。
- 送料がカートまで進まないと分からない
- 送料無料条件が分かりにくい
- 決済直前に手数料が追加される
→ 対策:送料・手数料をできるだけ早い段階で表示しましょう。
2.会員登録が面倒だった
初めて利用するECサイトで、購入前に会員登録、パスワード設定、メール認証などを求められると、商品は欲しくても手続きを面倒に感じる人がいます。
- 購入には必ず会員登録が必要
- パスワード設定の条件が複雑
- 登録完了までの手順が多い
→ 対策:可能であればゲスト購入も検討しましょう。
3.購入までの入力や操作が多すぎる
住所、電話番号、生年月日、アンケートなど入力項目が多かったり、何ページも画面遷移が続いたりすると、購入完了までに疲れてしまいます。
特にスマートフォンでは、小さな画面で文字を入力するため、PCでは気にならないフォームでも大きな負担になることがあります。
→ 対策:「この情報は本当に注文時に必要か?」という視点で入力項目を減らします。
4.商品価格や合計金額が想定より高かった
お客様は自社ECサイトだけを見ているとは限りません。他のECモールや競合ショップと比較しながら購入を検討していることもあります。
単純に値下げする必要はありません。価格に見合った理由や、自社で購入するメリットが十分に伝わっているかを確認してみましょう。
→ 対策:価格だけでなく、送料無料条件、特典、保証、配送、サービスなどを含めた購入価値を伝えます。
5.カートや決済画面でエラーが発生した
購入ボタンを押しても進まない、クーポンを入力するとエラーになる、決済処理が完了しない。このような技術的な問題があれば、購入意欲が高いお客様まで失ってしまいます。
→ 対策:EC担当者自身が定期的にテスト購入を行い、注文完了まで問題なく進めるか確認しましょう。
6.安心して購入できるか不安になった
初めて利用するECサイトでは、「このショップは大丈夫だろうか」「カード情報を入力して問題ないだろうか」と不安になる人もいます。
運営会社情報、問い合わせ方法、配送、返品・交換、セキュリティなど、購入判断に必要な情報が確認しやすい状態になっているか見直しましょう。
→ 対策:情報量を増やすことより、「安心して注文できる根拠」を見つけやすくすることが重要です。
7.商品が届く時期が分からない・遅い
「いつ発送されるのか」「いつ届くのか」が分からないことも、購入を迷わせる原因になります。誕生日プレゼントや季節商品など、必要な日が決まっている商品では特に重要です。
→ 対策:「通常○営業日以内に発送」など、購入前におおよその発送・到着時期が分かるようにします。
8.返品・交換条件が分かりにくい
実物を確認できないECでは、「サイズが合わなかったらどうしよう」「イメージと違った場合は返品できるのか」と不安になることがあります。
→ 対策:返品・交換条件を隠すのではなく、購入前に確認しやすい場所へ掲載しましょう。
9.スマートフォンから購入しにくい
商品ページはきれいでも、カートに進むと入力欄が小さい、ボタンが押しにくい、画面が崩れる、といったケースがあります。
管理画面やPCだけで確認せず、実際のスマートフォンから購入してみてください。
→ 対策:商品を探すところから注文完了まで、自分自身でスマートフォンから操作してみましょう。
10.希望する決済方法がなかった
最後まで購入しようとしても、普段利用している決済方法がなければ離脱する可能性があります。
だからといって、すべての決済方法を導入すればよいわけではありません。
→ 対策:自社の顧客層や購入単価を確認しながら、必要な決済方法が不足していないかを見直します。
今日からできるカゴ落ち対策12選
ここまで紹介した原因を踏まえて、EC担当者が確認したい対策を12項目にまとめます。
すべてを一度に変更する必要はありません。自社で離脱が大きいところから優先順位を付けて改善することが重要です。
| 対策 | 改善するポイント |
|---|---|
| 1.送料・手数料を早く表示する | 購入直前の「思ったより高い」を減らす |
| 2.ゲスト購入を用意する | 初回購入のハードルを下げる |
| 3.入力項目を減らす | 購入手続きの負担を減らす |
| 4.スマホから購入してみる | 実際の購入体験を確認する |
| 5.決済方法を見直す | 顧客が使いたい決済を確認する |
| 6.配送予定を明確にする | 「いつ届く?」という不安を減らす |
| 7.返品・交換条件を明確にする | 購入前の不安を減らす |
| 8.エラー・表示速度を確認する | 購入できない状態をなくす |
| 9.購入画面の不要な情報を減らす | 購入途中の離脱を防ぐ |
| 10.安心材料を分かりやすくする | ショップへの不安を減らす |
| 11.カゴ落ちメールを活用する | 購入を中断した人に再訪してもらう |
| 12.数字を見ながら改善する | 改善施策の効果を確認する |
特におすすめしたいのは「自分で購入してみる」こと
カゴ落ち対策の中でも、すぐに実施してほしいのが自社ECサイトでのテスト購入です。
- 商品を探す
- 商品ページを見る
- カートへ入れる
- 購入手続きを始める
- 住所を入力する
- 配送方法を選ぶ
- 決済する
- 注文完了画面を確認する
途中で「分かりにくい」「面倒だな」「これは不安だな」と感じた場所があれば、お客様も同じように感じている可能性があります。
カゴ落ち対策は「防ぐ」と「取り戻す」に分けると分かりやすい
カゴ落ち対策を整理すると、大きく「カゴ落ちを防ぐ施策」と「カゴ落ちしたお客様を取り戻す施策」の2種類があります。
| 防ぐ | 取り戻す |
|---|---|
| 送料・手数料の表示 | カゴ落ちメール |
| フォーム改善 | リマーケティング |
| 決済改善 | リマインド |
| スマホUX改善 | 再訪促進 |
| 配送・返品情報の改善 | 条件に応じたオファー |
最初に取り組みたいのは「防ぐ」方です。送料が分からない、フォームが使いにくい、決済エラーが起きるといった問題を残したまま、カゴ落ちメールだけを送っても根本的な改善にはなりません。
購入導線を改善したうえで、それでも購入を中断したお客様に再訪してもらう。この順番で考えると、カゴ落ち対策が整理しやすくなります。
カゴ落ち後のお客様に再訪してもらう方法については、カートリカバリーの記事で詳しく解説しています。
カゴ落ち対策は何から始めればいい?
ここまで読んで「結局、何からやればいいの?」と思った方は、次の5ステップで進めてみてください。
- 現在の購入経路を確認する
- どこで大きく離脱しているか確認する
- 離脱原因を一つ仮説として決める
- 一つ改善する
- 数字が変化したか確認する
一度に10個も20個も変更すると、何が購入率の改善につながったのか分からなくなります。
一番大きな問題を一つ見つける → 改善する → 結果を見る。まずはこの繰り返しで十分です。
GA4でカゴ落ちを確認するなら「売上」だけを見ない
カゴ落ち改善では、最終的な売上だけを見るのではなく、購入までの各段階を確認します。
GA4のEC向けイベントには、商品閲覧の「view_item」、カート追加の「add_to_cart」、購入手続き開始の「begin_checkout」、配送情報の「add_shipping_info」、支払い情報の「add_payment_info」、購入完了の「purchase」などがあります。
商品閲覧 10,000
↓
カート追加 800
↓
購入手続き開始 500
↓
購入 300
この場合、「300件売れた」で終わるのではなく、どの段階から数字が大きく減っているのかを確認します。
商品ページからカートへの移動が少ないのであれば、そもそもカゴ落ち以前に商品ページ側に問題がある可能性があります。一方、カートには入るのに購入手続きへ進まないのであれば、カート画面や送料などを疑います。
GA4の「購入経路」レポートを利用すると、商品表示、カート追加、購入手続き開始、購入といった購入ファネルを確認できます。
GA4のECイベントは利用しているECシステムや設定状況によって実装状況が異なります。分析する前に、必要なイベントが正しく計測されているか確認してください。
カゴ落ち対策でよくある質問
Q.カゴ落ち率は何%なら問題ですか?
業界全体の平均値だけで良し悪しを判断するのはおすすめしません。商材、価格帯、顧客属性、購入までの検討期間などによって条件が異なるためです。
まずは自社ECサイトのカゴ落ち率が以前と比較してどう変化しているのか、どの段階で離脱が増えているのかを確認しましょう。
Q.カゴ落ちが多い一番の原因は何ですか?
すべてのECサイトに共通する一つの原因があるわけではありません。送料・手数料、会員登録、購入フォーム、決済、配送、サイトへの不安など複数の原因が考えられます。
「一般的には何が多いか」だけではなく、自社のお客様が実際にどこで離脱しているかを確認することが重要です。
Q.カゴ落ちメールは効果がありますか?
購入を一時的に中断しただけのお客様に、商品を思い出してもらう方法として活用できます。
ただし、送料が高い、決済できない、フォームが使いにくいといった根本的な問題がある場合は、メールだけで解決しようとせず購入導線そのものを改善しましょう。
Q.カゴ落ちメールにクーポンを付けた方がいいですか?
必ず付ける必要はありません。常にクーポンを配る運用にすると、値引きを待つ購入行動につながる可能性もあります。
まずはリマインドだけで反応を確認し、必要に応じて対象者やタイミング、オファー内容をテストするとよいでしょう。
Q.スマホ対応していればカゴ落ち対策は十分ですか?
レスポンシブ対応しているだけでは十分とは限りません。実際にスマートフォンから住所入力や決済まで操作して、入力しにくい場所や押しにくいボタンがないか確認してください。
Q.広告を増やすのとカゴ落ち対策では、どちらを先にすべきですか?
購入導線に明確な問題がある場合は、広告費を増やす前にその問題を改善することをおすすめします。
購入しにくい状態のままアクセスだけを増やしても、離脱するユーザーまで増えてしまう可能性があるためです。
まとめ|新しいお客様を集める前に、購入直前のお客様を逃していないか確認しよう
ECサイトの売上が伸びないと、どうしても「もっとアクセスを増やさないと」と考えてしまいます。もちろん集客は重要です。
しかし、商品を見てもらえていて、カートにも入れてもらえている。それなのに購入されていないのであれば、集客以外に改善できるところが残っている可能性があります。
- 送料や手数料は購入前に分かるか
- スマートフォンから購入しやすいか
- 入力フォームは長すぎないか
- 必要な決済方法が用意されているか
- 配送予定日は分かるか
- 返品・交換条件は分かりやすいか
- 安心して注文できる情報が揃っているか
- 購入途中でエラーが発生していないか
まずは自分がお客様になったつもりで、商品を探すところから注文完了まで一度購入導線を確認してみてください。
「カゴ落ちが原因なのか、商品ページなのか、そもそも集客が足りないのか分からない」という場合は、ECサイト全体を一度整理して確認することも大切です。
売れるネットショップの教科書では、ECサイトの購入導線、商品ページ、集客などを確認し、改善すべきポイントを整理する無料EC診断を実施しています。