ネットショップの客単価を上げる方法【決定版】
ネットショップで客単価を上げるメリット
ネットショップの運営において、
客単価を上げるメリットとしては、
ネットショップ運営の効率が上がるというメリットがあります。
例えば、100円で販売している商品を1000人の顧客に販売した場合、
売上は 100円×1000人=10万円 となりますが、
受注処理作業は1000件分、
商品の梱包、発送作業は1000個分必要となり
作業労力は膨大となります。
商品の販売価格が5万円の商品を2人に販売した場合
売上は 5万円×2人=10万円となります。
受注処理作業はたったの二人分で済みますし
商品の梱包、発送作業も2個分で終了します。
それでも売上金額は 同じ10万円です。
客単価を上げることは、薄利多売の販売方法で失っていた
多くの時間的リソースを獲得することが可能です。
また、客単価が上がることは、
売上を大きく引き上げるメリットもあります。
例えば、月間1000アクセス、転換率10%のネットショップがあるとします。
これまでの客単価が1500円だったと仮定して、
客単価4000円への引き上げに成功した場合、
売上は以下のように大きく変わってきます。
売上の公式=アクセス人数×転換率×客単価
これまで
1000(人)×0.1×1500(円)=150,000円の売上
客単価アップ成功後
1000(人)×0.1×4000(円)=400,000円の売上
同じアクセス数であっても、売上は2.6倍以上にアップしました。
受注処理作業や出荷作業などは
同じであるのに売上は倍以上確保できる。
客単価を上げる施策を実施することは
ネットショップの運営において
非常に重要かつメリットの大きいことが
お分かり頂けたと思います。
では実際にECサイトで客単価をアップさせる方法を
紹介していきたいと思います。
ECサイトの客単価を上げる方法厳選9選
ネットショップの客単価をアップさせる具体的な方法を
9つに絞ってご紹介いたします。
クロスセル
クロスセルとは、一つの商品を購入した顧客に対して、
関連する別の商品を提案する方法のことです。
もっとも有名なクロスセルは
マクドナルドなどのハンバーガーショップで
ハンバーガーを購入した際に店員から言われるこのセリフでしょう。
「ご一緒に、ポテトはいかがですか?」
また、無人のクロスセルとしては
コンビニエンスストアやスーパーマーケットの
いわゆる「レジ横」のスペースに設置される
ついで買いを期待した商品の陳列方法があります。
コンビニなら、100円程度のスイーツやガム
スーパーなら、飲料製品やごみ袋、サプリメントなどが
レジ横に陳列されているケースをよく目にしますね。
ネットショップのクロスセルとしては、
「レコメンドシステム」などをAmazonなどで
目にすることがあります。
「この商品を買ったひとは、こんな商品も買っています」
クロスセルはネットショップの売上アップ、客単価アップ施策として
非常に有効な施策のひとつです。
アップセル
クロスセルとならんで、ネットショップの客単価アップ施策として
有効な方法が「アップセル」という施策です。
アップセルとは、ある商品を購入検討している顧客に、
より上位商品を提案する方法のことです。
ネットショップだけでなく、
多くの販売シーンでアップセルは行われています。
リアルの販売でよく目にするアップセルとしては、
スーツや、シューズなどの販売の際に
「2着目(2足目)から50%OFF」
といった割引販売の方法を見たことはないでしょうか。
アパレルショップなどでは、この二着目以降○○%OFFという
アップセルの施策を行っているお店が本当に多いです。
アップセルは、特に高額商品の販売時に有効な
施策でもあります。
例えば、マンションの購入を検討している顧客に対して、
「今検討中のお部屋より、上層階のお部屋なら夜景が最高にきれいですよ」
「少し金額が上がりますが、こちらの物件ならコンシェルジュが常駐していて便利ですよ」
など、どうせ買うならより良い商品にしたいという心理をついた
提案がとてもささるのが高額商品へのアップセル施策です。
マンションや住宅の購入は、「一生に一度の買い物」である場合がほとんどです。
一生に一度といえば、「結婚式」などのブライダルイベントも同じく
高額な料金が発生するケースといえますね。
結婚式を挙げる際、式場選びから、料理プラン、花嫁のウェディングドレスなど
様々な選択をしなくてはなりませんが、その選択の都度、アップセルが行われています。
「一生に一度の記念にいかがでしょうか」
「きっとご来賓の方もお喜びいただけると思いますよ」
など、言葉巧みというと語弊があるかもしれませんが、
より高額、高品質な商品へのアップセルが行われますが、
多くの顧客は、この「一生に一度」という言葉の魔法にかかってしまうことになります。
高額商品の購入を検討する顧客は
「失敗したくない」
という心理が働くため、失敗しない選択を行いやすい状態にあります。
ネットショップでも高額商品を販売されている店舗さんであれば、
アップセルは非常に効果的に客単価アップにつながります。
送料無料の閾値を設ける
ネットショップの販売の際、多くのネットショップで
採用される方法のひとつとして、
「○○円以上の購入で送料無料」
という販売価格を引き上げる施策があります。
大手ドラッグストアが運営するネットショップでは
2000円前後の購入で送料無料
という送料無料の閾値(しきい値)を設定しています。
また、大手マーケットプレイスであるAmazonでも
プライム会員以外に対しては、
2000円以上の購入で送料無料となる閾値を設けています。
2000円程度の客単価であれば、送料無料はサービスの範囲ともいえる
低いしきい値設定だと思いますので真似をするのは
なかなか難しいネットショップの方が多いのではと思います。
例えば、平均客単価が2000円前後のネットショップの場合、
「4000円以上の購入で送料無料」
というしきい値を設けた場合、
商品の購入数が通常は「1個」だったのに対して、
送料を無料にしたいために「2個以上」購入される可能性が高くなります。
ネットショップの運営において
「送料無料」
というのは、顧客にとっては最優先事項ともいえる
このネットショップで購入するか否かを決定するポイントとなっています。
本来は商品を発送している限り、送料を無料、ゼロ円で送付することは不可能です。
商品によっては、一部の価格に送料分を含んで販売するという
方法をとることも有効な販売方法です。
また、送料込の販売価格に設定しておいて、
商品単体で「送料無料」と明記する方法も
ネットショップの販売方法ではとても有用な方法と言えます。
ギフト商品を用意する
ネット通販でユーザーが検索する商品の中で
人気のある商品のひとつが「ギフト需要に関する商品」です。
現在のようにネットショッピングが普及する以前は、
お中元やお歳暮は、「カタログギフト」や百貨店での注文が主流でした。
楽天市場などでは、このギフト商品の需要がとても高いショッピングモールで、
楽天デイリーランキングでは、季節需要のギフト商品が必ず上位にランクインしています。
5月は、「母の日」がありますので、楽天市場のランキングの
上位の70%は「母の日ギフト商品」で埋め尽くされている状況です。
ギフト商品はネット通販との親和性が高い理由としては
多くの商品の中から比較検討できることと、
商品を直接相手に送付できる利便性の高さにあります。
また、ギフト商品は、客単価が3000円以上である場合が多く、
5000円~10000円などの価格帯の商品も売れ筋商品となりやすいメリットがあります。
ネットショッピングを行う際、自分のための購入であれば
「より安い商品」を探すユーザーが多いでしょう。
逆に、誰かへのプレゼント、贈り物を探している場合、
「安い商品」は、相手に対して「失礼にあたる」可能性を考えます。
何かのお返しの場合、いただいたお祝いの半額、いわゆる「半返し」といった
文化が日本には存在していますので、1万円のお祝いをいただいた場合、
客単価は必然的に5000円以上となるわけです。
ギフト商品は、いくつかのランクに分けて商品を用意しておくと
ユーザーはちょうど真ん中の価格帯を選びやすいという
「松竹梅の法則」が発動するケースがあります。
松竹梅の法則を利用する
ギフト商品を用意するという方法の最後に出てきた
「松竹梅の法則」ですが、具体的には
3つの価格帯の商品を用意する方法のことです。
リアルの販売でも松竹梅の法則を利用した
販売方法を目にすることがあります。
例えば、料亭などで、コース料理をメニューに
掲載する際、
○3000円コース
○5000円コース
○1万円コース
の3種類が用意されていた場合、
多くの顧客は、「5000円コース」を選ぶという法則が
「松竹梅の法則」です。
ただし、この松竹梅の法則が客単価をさらにアップさせる
可能性を秘めていることをご存じでしょうか?
多くのお客さんは、真ん中の5000円コースを選ぶのですが、
一定数のお客さんは、「1万円コース」を選んでくれる場合があります。
全体での割合はかなり低いですが、1万円コースを選ぶ
顧客がいるのは事実です。
では、さらに高価格帯のコースを用意しておくというのは
客単価をアップさせる方法として有効でしょうか?
答えは「YES」です。
超高額商品を用意する
超高額商品を用意する施策というのは、
通常では「こんなに高い商品誰も買わないだろう」という
固定観念から多くのお店で行わない施策です。
でも、超高額だから買わないというのは、
販売者側の思い込みにすぎず、
超高額商品であっても、その商品に魅力を感じる
顧客は、インターネット上のどこかに必ず存在しています。
ある人にとっては、ただでもいらないと思われる商品が
別のある人にとっては、いくらお金を出しても手に入れたい商品であるということもあり得ます。
あるジュエリーショップでは、
商品の値段をつける際、
1万円の値段を付けた商品が
全く売れなかったのに、
ある時同じ商品を10万円で販売した時に
買い手がみつかったというエピソードが実際にあります。
高い商品を探している顧客がいることを覚えておきましょう。
そして、超高額の商品をネットショップに登録しておきましょう。
ただ、顧客を騙すような価格設定はおすすめできません。
あくまでも商品の価値に見合った価格設定を行いましょう。
また、超高額の商品を用意することで、
通常の販売価格の商品が「安く感じる」という現象が起こります。
100万円の商品の隣に、1万円の商品が並べられていたとしたら
1万円の商品は、少し安く感じられませんか?
100円の商品の隣に1万円の商品が並べられていた場合、
1万円の商品はかなり高額な印象を受けますよね。
この現象は、「アンカリング効果」と呼ばれる心理効果が原因です。
アンカリング効果とは、「最初に見る数字や印象が、その後の判断に影響を与える」という心理現象です。
最初に100万円の商品を見た後に、1万円の商品を見たとき
顧客の印象は、1万円の商品がとても安いと感じるはずです。
さらに、最初に2万円の商品を見た後に、1万円の商品を見ても
さほど安いとは感じないでしょう。
この現象は心理学では、「コントラスト効果」と呼ばれている現象です。
二つの事象の間にある「差」が大きくなればなるほど
二つの事象はより、際立った印象を与えるという心理効果です。
ネットショップで客単価をアップさせるには、
こうしたアンカリング効果やコントラスト効果も
販売戦略のひとつとして利用するとよいでしょう。
優良顧客へ高品質商品を提案する
これはネットショップに限らず実店舗にも
いえる客単価を上げる施策のひとつです。
米国のAmazonでは、プライム会員が一般会員の
2倍以上の売上を作っているそうです。
また、楽天市場でも全体の60%以上は
ダイヤモンド・プラチナ会員が売り上げを作っているという
データがあります。
要するに、ネットショップの売上の大部分は
一部のヘビーユーザー、プレミアム層が
作ってくれているという法則が存在しているわけです。
よく買い物をしてくれる顧客は、ちょっとしたきっかけがあれば
さらに買い物をしてくれるのです。
ネットショップでは「メルマガ」による販促活動を行うことができます。
メルマガを購読し続けてくれているユーザーは、
優良顧客であり、お得意様といえる客層です。
こうした優良顧客へ、限定のセールの案内メルマガを配信したり、
特別な商品(オマケや付加価値をつけた限定商品)などを用意して
メルマガで集客を行えば、一定数は購入へと動いてくれることでしょう。
1:5の法則というのをご存じでしょうか。
新規の顧客を獲得するのは、既存顧客の5倍のコストがかかるという
マーケティング上の統計的な法則のことです。
優良顧客、リピーターを育てることが
客単価の向上にはもっとも低コストで行える施策といえます。
値上げする
単刀直入すぎるのですが、客単価をアップする強制施策は
商品の販売価格を上げること、もしくは「割引販売をやめる事」が有効です。
ただ、多くのお店で「値上げをしたら顧客が離れるのでは?」という
不安を持っているかと思います。
安ければ買うという顧客は、より安い価格の商品が
他の店舗で販売されていれば、すぐにそちらのお店に流れるでしょう。
安く売るということは、結局そういった価格だけを目指してくる
顧客を集める方法に過ぎないといえます。
また、安くても売れないネットショップもたくさんありますし、
逆に高くても売れているネットショップも存在しています。
低価格戦略は、大手企業の戦略です。
小さな企業や個人事業主のネットショップでは
低価格を沢山販売する薄利多売戦略は
結果として、利益を圧迫するだけの戦略であり、
大手企業に勝つことができない戦略を選んでしまっているわけです。
安売りや割引をやめても顧客が離れていかないためには
「付加価値を付けたうえで値上げを行う」必要があります。
値段を上げる、割引をやめる代わりに
サービスを手厚くする、特典を付ける
セット商品を作るなどの対応が重要となります。
また値上げの幅も重要なポイントです。
多くの企業が値上げを行う際に、
「10%以内の値上げ」を繰り返し実施する
という手法をとっていることをご存じでしょうか。
人気のコーヒーショップであるスターバックスも
毎年のように値上げを繰り返していますが、
顧客が離れたという話は聞いたことがありません。
スターバックスは、値上げをする際に
ごくわずかな値上げ(20円前後)を繰り返し実施しています。
そのため、利用者は値上げされたことに気付かずに
スタバを利用し続けているわけです。
こうした、顧客の心理を利用した値上げも
客単価アップには有効な施策と言えます。
オリジナル商品・セット商品を作る
商品をあるテーマなどに合わせて
セット販売として売る方法は
客単価アップには非常に有効な方法です。
ネット販売で人気の商品のひとつに
「防災バッグ」という商品がありますが
ご存じでしょうか。
防災バッグとは、大き目のリュックサックの中に
カイロや懐中電灯、乾パンや飲料水、携帯ラジオや
手動充電機などを入れてひとつのセット商品にしたもので、
販売価格も1万円以上の商品が飛ぶように売れています。
楽天市場のランキングでも防災バッグは上位常連の商品です。
本来の商品単価はそれほど高いものではなくても
こうした、「テーマ」に合わせたセット商品として
販売した場合、非常に高利益率の商品を作ることができます。
商品のセット販売は、オリジナル商品としては、組合せるだけで
作ることができるため非常にオススメな販売方法です。
客単価を上げる方法のまとめ
ネットショップの客単価アップの方法として、
様々な施策を具体例とともに紹介してきました。
日用品などの型番商品は、過当な価格競争に
さらされがちな商品で、Amazonなどでは、
Amazon本体の販売価格が異常に安い商品が多数あります。
価格が安いことは、ユーザーにとっては大きなメリットですが、
ネットショップ運営者からすれば、価格で動く顧客は
リピーターになりにくい顧客であるとも言えます。
筆者も以前、Qoo10というモールである商品を
ネット最安値で販売したところ、月間で200万円以上の
売上をつくることができました。
その後、販売価格を通常価格に戻したところ、
200万円売れていた商品は、ほとんど売れなかったです。
売れても1万円程度の売上しか作れませんでした。
安売り戦略は、大手企業の得意技であり、
薄利多売は結局、手間暇かかるわりに利益がほとんど残りません。
客単価を上げながら、優良顧客層を大切に育て続けることが
ネットショップの運営、経営を安定させる方法だと思います。
参考になれば幸いです。