売れるネットショップの教科書に寄せられたよくあるご質問について、現役店長が回答するコーナーです。
【質問】作成した商品画像が無断で他の店舗に使用されていました。相手に画像の利用を止めさせたい場合の対処方法を知りたい
ネットショップを運営していると、自分が作成した商品画像を他の見ず知らずの店舗が勝手に使っているという場面に遭遇することもあります。
特にオリジナル系の商品なら、他のネットショップが販売できないため、あまり起こりにくいかもしれませんが、型番商品、メーカー既製品の場合は、商品画像のコピー利用は身近に起こる問題です。
当店でも、筆者が作成した商品画像を他の店舗さんに無断使用されたことがあります。
作成した商品画像や商品説明画像が他のネットショップでコピー利用されていた場合に、画像利用を取りやめてもらう為の対処方法をご紹介いたします。
商品画像等が無断で他の店舗に利用されるトラブル
ネットショップを運営されている方なら、ご自身の店舗で使っていた商品画像が他の見知らぬ店舗に勝手に使われていたといったことに遭遇されたことがある方もおられると思います。
店長も、過去に当店で利用していた商品画像、商品説明画像を、他の店舗に無断で利用されたことがあります。
ネットショップの運営において、商品画像は商品が売れるか売れないかに大きく影響する重大な要素です。
楽天市場
などのショッピングモールであれば、商品名などの検索時に、検索一覧が表示されますが、多くのユーザーは、まず「商品画像だけをサーッと流し見る」傾向があります。
商品画像は、ネットショップ出店者からすれば、「商品の顔」に相当しますし、商品ページに来店してくれるかどうかの判断材料でもあります。
ご自身で一生懸命作成した商品画像や、クラウドワークス
などのアウトソーシングによって、費用をかけて作成した商品説明画像などが無断で利用されれば、誰でも非常に憤りを感じると思います。
今回は、ネットショップ運営者で売れているネットショップが必ずと言っていいほど経験する「商品画像の無断使用への対処方法」について現役店長が解説いたします。
商品画像が無断使用される具体的なケース
では、具体的な事例として、商品画像が他のネットショップ、ECサイトに無断使用されるケースをご紹介いたします。
楽天市場などのモール内での画像の無断使用
もし、あなたが楽天市場に出店していて、楽天市場内で、他の店舗の商品画像の無断使用が確認できた場合は、担当のECコンサルタントに相談することをおすすめします。
特にこのケースに多いのが、メーカー型番商品、いわゆる既製品を販売しているネットショップの商品です。
型番商品は、一般的には、メーカーが製造して、沢山の売場で販売しているため、商品の独自性、オリジナル性というのはほとんどの場合ありません。
逆に、商品画像ひとつとってみても、背景の色が白背景などで画像への文字入れも行わなかった場合、どの店舗の商品画像も全く同じような画像になるケースがほとんどです。
こうした、白背景の商品画像の場合は、誰が作成した画像であるかという点に関しては、ほとんど区別もつきません。
また、商品画像に意匠、デザイン性がなければ、著作権を主張することもできないでしょう。
メーカーの型番商品であっても、イラストを書き加えたり、文字を装飾してわかりやすい画像を作成した場合には、制作者に著作権が帰属することになります。
楽天市場などのショッピングモールの中でのトラブルに関しては、当事者同士ではなく、まずは管理人であるモール、楽天市場なら楽天に解決してもらうように働きかけましょう。
具体的な対処方法としては、担当ECコンサルタントか、RMSのサポートセンターに電話で相談しましょう。
一生懸命作成した商品画像が無断で使用されると、非常に腹立たしい気持ちもよくわかります。
また、場合によっては、クラウドワークスなどのアウトソーシングで費用をかけて商品画像を作成したという店舗さんもおられると思います。
費用をかけて作成しているものを、無断でコピー利用されてはたまったものではありませんよね。
とにかく、まず行うことは、無断で商品画像、商品説明画像などを使用した店舗について以下の情報を控えたうえで、担当のECコンサルタントに相談を行いましょう。
- 店舗名
- 店舗URL
- 会社概要などの情報
- 具体的な商品ページURL
- コピー利用された画像
楽天市場などのショッピングモールであれば、管理者からの警告や注意によって利用を取り下げる可能性は非常に高いです。
メーカー既製品などの型番商品を販売する店舗におおいのですが、商品画像をコピー利用した店舗は、公式提供画像と勘違いして利用したというケースがあります。
大手メーカーの場合、販促物となるバナーや商品画像を販売者に提供していることがありますが、こうしたメーカーが提供するバナーなどは
複数店舗が同じように利用していることもあり、楽天市場などの商品検索の際に、同じ商品画像が沢山並ぶような場合も日常的に起こっています。
悪気のないコピー利用の場合、楽天からの注意が入れば、意外にあっさりと利用を取りやめてくれることで解決する場合があります。
楽天市場などモールのなかでテナント出店しているような場合、管理者からの改善指示に応じなければ「ペナルティ」を与えられる可能性があります。
ペナルティの内容は様々ですが、検索結果に店舗の商品が表示されにくくなるなどの、店舗運営上死活問題となるようなペナルティを与える場合もあるようです。
先月問題になったAmazonが取引先メーカーに対して、「協力金」という名目で、販売価格の5%程度を請求して問題となりましたが、
インターネットショッピングモールを運営する管理者には、その売場で出品している限りは、逆らうとどんな目に遭うかわからないという一種の畏怖が常につきまとってきます。
トラブルの際には、管理者の相談するのが最も解決が早いと思います。
モール以外の自社ECサイトでの画像の無断使用
楽天市場などのショッピングモールでのトラブルであれば、主催者であるモール、楽天に相談するのが良いとご説明しましたが、モール以外の自社ECサイトの場合はどう対応すればいいのでしょうか?
モール以外の自社ECサイトの場合は、対応方法が少しことなってきます。
例えば、相手がインスタントECで人気のBASE(ベイス)などでネットショップを運営し、
そのネットショップ上に、あなたのショップで販売している商品画像を無断使用されたとします。
この場合、BASEに直接問い合わせを行っても、BASEはトラブルの解決を行ってくれることはほぼないと思ってください。
これは、カラーミーショップやMakeshop、ショップサーブなどであっても、ASPサービス系のネットショップの場合は
同様だと思います。
その理由は、楽天市場などのショッピングモールと異なり、ASPネットショップサービスの場合は、
出店者の扱う商品に禁止事項はあるものの、商品画像の無断使用などのトラブルを解決する責任も義務もないからです。
無断使用の相手が自社ECサイトの場合は、出店者に直接、商品画像の無断使用について利用を取りやめてもらうようにお願いする必要があります。
少し骨の折れる対応になりますが、トラブル解決には最初の対応が非常に重要となります。
今回、こうした商品画像の無料使用トラブルの際に、相手に送るメール文面のテンプレートを用意してみました。
以下のページに例文を用意していますので、商品画像の無断使用トラブルで悩まれている方はご利用を検討してみてください。
大切なのは、冷静にまずは、事実確認を行う事、もし事実であれば、可能な限り早急に利用の取りやめを行ってほしいことを伝えましょう。
感情的になると、トラブル解決が長期化したり、場合によっては相手との交渉がこじれ、訴訟問題に発展するという最悪のケースになってしまうこともあります。
トラブルの解決は、まずは冷静かつ客観的な視点から問題をみつめ、感情的にならないように注意することに気を付けてください。
ヤフオクやメルカリなどの売場での商品画像の無断使用
ヤフオクの場合は、商品ページの「違反商品の申告」からの申告か、オークション報告フォームから依頼すればYahoo側で内容を確認し、違反と確認できた場合はその商品ページを削除してくれるようです。
メルカリ事務局に削除申請を行えば、対応してくれるようです。
フリマアプリ系ネット販売の場合、大手であれば管理者がしっかりと対応してくれますから安心ですね。
ドロップシッピング的な「転売」を行っている店舗の無断使用
ここ数年で急に増えてきたのが、「オリジナル商品を販売していて、他の店舗が勝手にうちの商品を販売している」という
ネット販売トラブルです。
これは、オリジナル商品、ハンドメイド商品を販売している店舗さんの場合、
「この商品は自分だけが販売している」ということは明白だと思います。
特にアパレル系などで、自社で撮影依頼を行い、モデルさんに着用してもらった
商品画像などを作成した場合は、自社以外には同じ画像で販売するということは考えられません。
こうした、「自分のネットショップだけのオリジナル商品」のはずの商品が
他のネットショップで販売されている、というケースの場合、「転売」の可能性が考えられます。
販売価格も、自社が販売している商品よりも高い設定になっているはずです。
商品が売れた際には、その商品を転売している店舗が、あなたのネットショップから
注文し、配送先を自分のネットショップで購入した注文者宛にするわけです。
この転売が違法かどうか、ということについては当然ながら「違法」です。
商品の在庫を持たずに販売し、売れたときだけ発送依頼を行う手法を「ドロップシッピング」と言います。
ドロップシッピングは、もしもドロップなどのように、事業者が、ドロップシッピング商品として
商品を提供しているような場合は、違法性はありません。
違法となるのは在庫を持っていない商品、例えば今回のように
他の販売者がインターネット上で販売している商品を自分のネットショップ上の
商品として登録し、注文が入った際に、販売元のネットショップに注文を入れる
「無在庫出品」の手法の場合です。
2015年~2016年にかけて、主にメルカリとAmazonなどの2つのサービスを介して行われていたのが
アマゾン無在庫転売という手法です。
手法は、Amazonで販売されている商品を、メルカリ上にAmazonの販売価格よりも高い価格設定で販売し、
商品の売買が成立したら、Amazonからその商品を購入し、メルカリの落札者宛に送付するという手法です。
Amazonは、ネット通販各社のなかでも、非常に低価格で販売されている商品も存在し、商品によっては
実店舗などで購入するよりもはるかに安い価格で商品を購入できる場合もあります。
市場価格よりも安い商品をAmazonで探しだし、メルカリなどのフリマアプリを利用する
「相場のわからないユーザー」を狙って無在庫販売を行う手法です。
この手法なら、在庫を抱えるリスクも、商品を仕入れるコストもなく、初期費用ゼロ円で始められます。
無在庫販売は、法律的に違法ではないのか?という点についてですが、無在庫販売自体は、一般に「他人物売買」と呼ばれ、民法560条に記載があり、民事法的には一応「有効」な契約です。
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
違法ではないけれど、メルカリでは出品ガイドラインのなかに「無在庫販売」を禁止事項としていますので注意しましょう。
詐欺サイト、フィッシングサイトでの無断使用
これは、筆者が運営するネットショップでも実際にあった事例です。
当店で販売しているある商品で、オリジナル系のため他の店舗からは絶対に出品できない、
しかもオリジナルの商品画像の商品が、全く知らないネットショップで販売されていたのです。
なぜ、他の店舗が絶対に出品できない商品なのか?
その理由は、単純明快なんですが、「店長の顔写真が掲載されていた」のです(笑)
これは、相手は言い逃れはできないですよね?
なぜ、店長の顔写真つきの商品であるのに、商品を出品していたのかというと
おそらくですが、人の手で登録された商品画像ではなく、
一種のスクリプト、プログラムで取得してきた商品画像だからだと思います。
オマケに、当店オリジナル商品を販売していた詐欺サイトは、
調べたところ、サーバーは、海外のサーバーを利用していたのです。
こうした詐欺サイトの目的は、商品の注文者に対して、
商品代金を振り込ませることが目的です。
商品が発送されることはまずありません。
当店以外のネットショップの方も多数このフィッシング系詐欺サイトの被害に遭われているようです。
こうした、詐欺系サイトに、自分のネットショップのオリジナル商品が
販売されていた場合の対処方法は、「警察に通報する」というのが最善策だと思います。
筆者も最初に当店の商品が詐欺サイトに掲載されていたのを確認した際には、
警察に電話で被害の内容を伝えました。
すると、電話口で対応してくれた警察の方が
サイバー犯罪対策に関する情報提供、相談窓口を教えてくださいました。
情報共有のため、こちらにリンクも貼っておきます。
ただ、こうした海外サーバー上にある詐欺サイトの場合、
商品画像を削除してもらうという対応はほとんど不可能に近いようです。
警察の方曰く、こうした詐欺サイトの報告を受けた場合は、
インターネット上の「詐欺サイト」「危険なサイト」として
ドメインURLを登録し、インターネットを閲覧するブラウザを提供する企業などに
警告表示の依頼を行っているということでした。
通報は無駄にはなりませんので、怪しいサイトを見つけられた方は
まずは担当エリアのサイバー犯罪の相談窓口に相談してください。
そして、その上で、自分のネットショップ上に以下のような
注意文を掲載する対応をおすすめします。
弊社が運営するネットショップ上から商品画像、説明文面等をそのまま流用し、
弊社の商品と偽って販売する詐欺行為を行うウェブサイトが存在しております。
詐欺サイトで注文されますと、商品代金振込後も商品が届かない等の被害が発生する可能性があります。
また、お客様の所有するクレジットカード情報やパスワードなどの個人情報が不正に取得される可能性もあります。
弊社が運営するネットショップ・ECサイトは以下の通りです。
このリスト以外には、弊社の商品を販売するウェブサイトはありませんので十分にご注意ください。
【本店・自社サイト】サイトURL●
【楽天市場店】サイトURL●
商品画像の無断使用トラブルは状況の把握が最優先である
悪意を持った無断使用の場合は、断固として利用の差し止め請求を行うべきですが、
最初のアクションは、感情的にならず、まずは「ご確認とお願い」という
一般的なメールの内容を送信することをおすすめします。
最初から「うちの画像を勝手に使って!訴えてやる!」
とダチョウ倶楽部の上島竜ちゃん張りに突っ込むと、
相手も態度を硬化させて
「パックってません!絶対取り下げません!」
と、売り言葉に買い言葉のようなトラブル解決どころか
やりとりが泥沼化して、非常に心的ストレスも大きくなります。
場合によっては、お互いが主張を譲らなくなり、
法的手段を取らなくては解決しないというケースも実際に事例があります。
大切な商品画像を無断で使用されると、非常に憤りを感じることは確かです。
「もしかしたら、うちの商品画像と知らずに使っているのかもしれない」
という可能性も考えられるわけですから、まずは相手に「お尋ね」する気持ちで
メールを送信するようにしましょう。
また、楽天市場などのショッピングモール内での画像無断使用であれば
モール運営側である「楽天」に、トラブル解決をゆだねましょう。
楽天市場であれば、楽天エンパワーメントプラン以外の出店であれば
専任のECコンサルタントが必ず付いています。
担当しているECコンサルタントに相談し、
トラブル解決を図りましょう。
詐欺サイトやフィッシングサイトの場合は、
迷わず警察のサイバー犯罪の相談窓口に問合せしましょう。
問合せの際には、具体的な内容と、相手のネットショップのURLなども
メールフォームに記載するようにしましょう。
商品画像を無断使用した相手に送るメール文例
では、作成した商品画像が他のネットショップに無断使用された場合に、相手に送るメールの例文をご紹介します。
商品画像の無断使用を取りやめてもらう為のメールの文例のテンプレートは以下のページに用意していますのでご利用ください。
商品画像等が無断で他の店舗に利用される際の対処方法のまとめ
商品画像の無断使用について、よくある無断使用のパターンと対処方法をご紹介いたしました。
今回の内容は、あくまでも筆者が行うと良いという方法のひとつにすぎませんので
必ずこうしなければならないという対処方法ではないことをご理解ください。
トラブル解決に重要なことは、感情的にならず、冷静かつ第三者的な視点で
事実確認を行うということです。
事実が確認できれば、しかるべき対応を行いましょう。
間違っても、いきなり「訴えてやる!」というスタンスで相手を刺激しないことです。
また、どうしても相手がこちらの画像取り下げの要求に応じてくれないという場合には
「法テラス」などに著作権侵害に対する対応方法を相談してみてください。
また、商標権侵害については、無料相談できる窓口として
日本弁理士会が、無料の知的財産相談室を常設してくれています。
ご自身のお住まいの地域を担当する日本弁理士会各支部を確認して
どういったトラブルなのかを具体的に相談しましょう。
【参考】日本弁理士会 無料相談のご案内
今回の内容が、商品画像などの無断使用トラブルの解決の参考になれば幸いです。