ネットショップを運営していると、自社で撮影・制作した商品画像が、他のネットショップやフリマアプリ、SNSなどで無断使用されているのを見つけることがあります。
「自分たちで時間をかけて撮影した画像なのに、勝手に使われている」「相手に削除してほしいけれど、どう連絡すればいいの?」「著作権侵害として通報できる?」と困る方も多いと思います。
このようなとき、すぐに相手へ強い言葉で連絡したくなるかもしれません。ただ、最初にやっておきたいのは削除依頼ではなく、証拠を残すことです。
相手へ連絡したあとに画像やページを削除されると、どこで、どのように使われていたのか確認しにくくなるためです。
この記事では、ネットショップの商品画像を無断使用されたときに、EC事業者がどの順番で対応すればよいのかを分かりやすく解説します。
※著作権侵害に当たるかどうかは、画像の内容や契約関係などによって個別に判断されます。具体的な法的判断や請求については、必要に応じて弁護士等の専門家へ相談してください。
- 1 今すぐやること|商品画像を無断使用されたら最初に確認する5項目
- 2 先に結論|商品画像の無断使用を見つけたら、この順番で対応
- 3 商品画像の無断使用は著作権侵害になる?
- 4 最初にやること|無断使用の証拠を保存する
- 5 その商品画像、本当に自社が権利者?
- 6 相手に直接削除依頼するときの進め方
- 7 商品画像の無断使用を止めてもらうメール例文
- 8 楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどで使われている場合
- 9 メルカリで商品画像を無断使用された場合
- 10 自社ECや独自ドメインのショップに無断使用された場合
- 11 詐欺サイト・偽サイトに商品画像を使われていた場合
- 12 「商品を転売されている」だけなら違法とは限らない
- 13 商品画像を少し加工されていたら問題にならない?
- 14 白背景の商品写真なら著作権はない?
- 15 相手が削除に応じない場合はどうする?
- 16 損害賠償や差止めを求めることはできる?
- 17 商品画像を無断使用されにくくする9つの対策
- 18 Google Lensなどで無断使用を探す方法
- 19 商品画像の無断使用についてよくある質問
- 20 まとめ|商品画像の無断使用は「証拠保存→権利確認→削除依頼」の順で対応
今すぐやること|商品画像を無断使用されたら最初に確認する5項目
急いでいる方は、まず次の5つだけ対応してください。
- 無断使用ページのURLを保存する
- ページ全体のスクリーンショットを撮る
- 自社側の元画像・元データを確保する
- その画像の権利者が誰か確認する
- 証拠保存後に削除依頼を行う
特に重要なのは、相手に連絡する前に証拠を残すことです。
先に結論|商品画像の無断使用を見つけたら、この順番で対応
商品画像の無断使用を発見した場合、基本的には次の順番で対応すると分かりやすいです。
↓
2.自社がその画像を利用・管理する権利を持っているか確認する
↓
3.相手に削除を依頼する
↓
4.応じない場合はモール・プラットフォーム等へ申告する
↓
5.悪質なケースは専門家や警察等へ相談する
最初から訴訟や損害賠償を考える必要はありません。単純に「他店の商品画像を使ってしまった」というケースなら、削除依頼だけで対応されることもあります。
一方で、偽サイトや詐欺サイトに画像だけでなく会社情報まで転載されている場合は、通常の削除依頼とは対応を変えた方がよいことがあります。
商品画像の無断使用は著作権侵害になる?
商品画像を他人が勝手にコピーしてネットショップ等へ掲載した場合、著作権侵害になる可能性があります。
著作権法では、著作者に著作物を複製する権利や、公衆送信する権利が認められています。著作物に当たる写真や画像を許可なくコピーしてWeb上へ掲載すれば、これらの権利との関係が問題になります。
ただし、ここには重要な注意点があります。
自社の商品画像であれば、どんな写真でも必ず同じように著作権で保護される、と一律には言えません。
著作物に当たるかどうかは、写真の構図、ライティング、背景、配置、撮影方法などの創作性を含め、個別に判断されます。
そのため、「白背景の商品写真だから著作権は一切ない」という断定も、「自社撮影だから必ず著作権侵害になる」という断定も避けた方が安全です。
最初にやること|無断使用の証拠を保存する
無断使用を見つけたら、まず証拠を残してください。
- 無断使用されているページのURL
- ページ全体のスクリーンショット
- 使用されている商品画像
- 店舗名や出品者名
- 商品ページのタイトル
- 発見した日時
- 自社側の元画像
- 元画像の撮影・制作時期が分かるデータ
- 相手とのやり取り
ページ全体のスクリーンショットを保存するときは、できればURLや店舗名まで分かる状態で残します。
自社側についても、元の高解像度画像、RAWデータ、Photoshop等の編集データ、撮影日時が残っているファイルなどがあると、後から経緯を説明しやすくなります。
その商品画像、本当に自社が権利者?
削除依頼や権利侵害申告をする前に、もう一つ確認しておきたいことがあります。
その画像の権利を本当に自社が持っているかです。
商品ページに掲載しているからといって、自社が必ず著作権者とは限りません。
自社スタッフが撮影した商品画像
自社で撮影したオリジナルの商品写真なら、権利関係を説明しやすいケースです。
ただし、社員が業務で制作した画像などについては、契約や制作状況によって確認が必要な場合があります。
カメラマンや制作会社へ外注した商品画像
外注した場合は、契約書や発注時の条件を確認してください。
「撮影費を払ったから著作権も当然自社のもの」とは限りません。
著作権譲渡の有無や、ECサイト・広告等で利用できる範囲を確認します。
メーカーや卸会社から提供された商品画像
メーカー提供画像を自社ショップへ掲載している場合、画像の権利者はメーカー等である可能性があります。
他店が同じ画像を使っているからといって、自社が「無断使用された」と主張できるとは限りません。メーカー側が複数の販売店へ画像を提供しているケースもあります。
素材サイトの画像を使っている場合
有料・無料を問わず、素材サイトには利用規約があります。
自社が使用許諾を受けている画像でも、著作権自体を取得しているとは限りません。
モデルが写っている場合
商品写真に人物が写っている場合は、著作権だけでなく肖像権や契約上の利用条件も関係することがあります。
相手に直接削除依頼するときの進め方
権利関係を確認できたら、まず相手へ直接削除を依頼する方法があります。
このとき、最初から「犯罪です」「訴訟します」「損害賠償を請求します」と強く書く必要はありません。
まずは事実を簡潔に伝える方がスムーズです。
- 自社で管理している商品画像であること
- 該当する商品ページURL
- 利用許諾していないこと
- 画像の削除を希望していること
- 対応期限
- 完了後に連絡してほしいこと
商品画像の無断使用を止めてもらうメール例文
初回連絡|まずは穏やかに削除を依頼する
○○ショップ ご担当者様
お世話になります。○○株式会社の○○と申します。
貴店の商品ページを確認したところ、弊社が撮影・制作し管理している商品画像が掲載されていることを確認いたしました。
該当ページ:○○○○
弊社から当該画像の利用許諾は行っておりませんので、お手数ですが○月○日までに該当画像の削除をお願いいたします。
ご対応いただきましたら、その旨をご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
最初はこの程度でも十分です。
相手の勘違いや、制作担当者が他店画像と気づかず使っているケースもあるため、まず冷静に事実確認と削除を求めます。
再通知|削除依頼に応じてもらえない場合
○○ショップ ご担当者様
お世話になります。○○株式会社の○○です。
○月○日に、弊社が撮影・制作し管理している商品画像の削除についてご連絡いたしましたが、現在も該当ページへの掲載を確認しております。
該当ページ:○○○○
弊社から当該画像の利用許諾は行っておりませんので、恐れ入りますが○月○日までに削除対応をお願いいたします。
期日までにご対応を確認できない場合は、掲載先プラットフォーム等への申告を検討いたします。
ご対応後、その旨をご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
再通知でも、必要以上に威圧的な表現は避けます。まずは削除してもらうことを目的に対応しましょう。
楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどで使われている場合
相手がモール出店者の場合は、相手への直接連絡だけでなく、モール運営会社の知的財産権に関する申告制度や問い合わせ窓口を利用できる場合があります。
ここで重要なのは、自分が権利者であることを説明できる資料を準備しておくことです。
- 元画像
- 撮影データ
- 制作契約
- 自社ページの公開履歴
- 無断使用ページのURL
- スクリーンショット
プラットフォームの制度や申請方法は変更されることがあるため、申告時には各社の最新公式情報を確認してください。
メルカリで商品画像を無断使用された場合
メルカリでは、他の会員が撮影した画像や、メルカリ外にある画像・文章を無断で使用する行為を禁止しています。
自社の商品写真がメルカリ出品へ転載されている場合は、次の順番で対応すると分かりやすいです。
↓
出品ページ確認
↓
メルカリの正式な申告・問い合わせ
自社ECや独自ドメインのショップに無断使用された場合
独自ドメインで運営されているネットショップの場合は、モールのような統一された申告窓口がないこともあります。
まず相手ショップへ連絡し、それでも対応されない場合には、状況に応じて利用しているECカート、ホスティング会社、サーバー事業者、その他関係サービスなどへの相談を検討します。
ただし、サービス事業者が必ず削除対応してくれるとは限りません。
第三者サービスへ申告するときは、「嫌がらせを受けている」という主張だけでなく、どの権利が、どのページで侵害されていると考えるのかを整理して伝えることが重要です。
詐欺サイト・偽サイトに商品画像を使われていた場合
ここは通常の画像転載とは分けて考えた方がいいです。
たとえば、自社の商品画像だけでなく、商品説明、会社名、住所、電話番号までコピーした偽通販サイトが作られている場合があります。
この場合、単に「商品画像を削除してください」と相手へ連絡するだけでは十分でないことがあります。
- 偽サイトのURLを保存する
- ページ全体のスクリーンショットを残す
- 自社情報の転載箇所を保存する
- お客様への注意喚起を検討する
- 必要に応じて警察のサイバー相談窓口等へ相談する
「商品を転売されている」だけなら違法とは限らない
ここは誤解しやすいところです。
自社から購入された商品が別の場所で転売されているからといって、転売そのものが直ちに違法になるとは限りません。
問題を分けて考える必要があります。
- 自社の商品画像を無断転載している
- 商標を不適切に使用している
- 偽物を販売している
- 自社公式ショップだと誤認させている
- プラットフォームの規約に違反している
- 特定の商品について法令違反がある
「転売されていること」と「商品画像を無断使用されていること」は切り分けて考えてください。
商品画像を少し加工されていたら問題にならない?
元の商品画像に、トリミング、文字入れ、色調変更、ロゴ消去、背景変更、他画像との合成などが行われている場合もあります。
しかし、少し加工すれば自由に使えるようになるわけではありません。
元画像との関係や加工の程度によっては、著作権との関係が問題になる可能性があります。
「加工されているから何も言えない」とすぐに諦める必要はありません。
白背景の商品写真なら著作権はない?
これも一律には言えません。
商品を白背景で正面から撮っただけの非常にシンプルな画像の場合、どの程度創作性が認められるかは個別判断になります。
一方で、構図、ライティング、背景、小物、商品配置、撮影角度、編集などに創意工夫がある写真であれば、写真の著作物として問題になる可能性があります。
したがって、「白背景なら自由にコピーしていい」という考え方は避けるべきです。
相手が削除に応じない場合はどうする?
一度削除依頼をしても対応されない場合は、段階を上げていきます。
1.再度連絡する
最初のメールが見落とされている可能性もあります。期限を明確にして再度連絡します。
2.モール・プラットフォームへ申告する
Amazonやメルカリなど、正式な権利侵害申告制度があるサービスならそちらを利用します。
3.利用しているサービス事業者へ相談する
独自ショップの場合は、利用サービスやサーバー等の窓口へ相談できるケースがあります。
4.弁護士等の専門家へ相談する
売上への影響が大きい、何度削除依頼しても繰り返されるなど、悪質性や損害が大きい場合は専門家への相談を検討します。
5.詐欺・なりすまし等なら警察へ相談する
単なる著作権トラブルではなく、偽サイト、詐欺、なりすましなどが関係する場合は警察のサイバー相談窓口等へ相談します。
損害賠償や差止めを求めることはできる?
著作権侵害が認められるケースでは、状況によって差止めや損害賠償などが問題になることがあります。
ただし、「画像をコピーされた=必ず○万円請求できる」という単純なものではありません。
画像が著作物に当たるか、誰が権利者か、どのように利用されたか、どの程度の損害があるかなどによって変わります。
金銭請求や法的手続きを検討する場合は、自社判断で強い請求を送る前に弁護士等へ相談することをおすすめします。
商品画像を無断使用されにくくする9つの対策
1.元画像を保存しておく
高解像度の原本を必ず保存します。
2.撮影データを残す
撮影日時やRAWデータなどを残しておくと、自社制作を説明しやすくなります。
3.制作データを保存する
Photoshop等の編集ファイルも残しておきます。
4.ウォーターマークを入れる
画像内へショップ名やロゴを入れる方法です。
5.説明画像に自社ロゴを入れる
単純な商品写真より転載しづらくなります。
6.オリジナルの構図を使う
他店と同じメーカー写真だけでなく、自社で撮影した画像を増やします。
7.サイトに画像利用ルールを掲載する
無断転載を禁止していることを利用規約等で明記します。
8.メーカー提供画像と自社制作画像を管理する
どの画像が自社のもので、どの画像が提供素材なのか分かるようにしておきます。
9.定期的に画像検索する
自社の代表的な画像が他サイトで利用されていないか確認します。
Google Lensなどで無断使用を探す方法
自社の商品画像が他サイトで使われていないか確認する方法として、画像検索があります。
Google Lens等で自社の商品画像を検索すると、同じ画像や似た画像が掲載されているページを見つけられる場合があります。
- オリジナル商品
- 自社で撮影した特徴的な写真
- オリジナル説明画像
- 独自の比較表
商品説明文までコピーされている可能性がある場合は、特徴的な文章の一部を引用符で囲んでGoogle検索すると、転載ページを見つけられることがあります。
商品画像の無断使用についてよくある質問
自分で撮影した商品画像をコピーされたら著作権侵害ですか?
著作物に該当する写真を許可なく複製・掲載された場合は著作権侵害となる可能性があります。ただし、著作物性や権利関係は個別の画像ごとに判断されます。
白背景の商品写真にも著作権はありますか?
一律には判断できません。構図やライティング、撮影方法などに創作性があるかなどによって判断が変わる可能性があります。
メーカーの商品画像を他店が使っていたら削除依頼できますか?
メーカーが複数店舗へ画像利用を許可している場合もあるため、まずメーカーの利用条件を確認してください。自社が著作権者でない場合、権利者として申告できないことがあります。
外注した商品画像の著作権は誰にありますか?
契約内容によります。撮影や制作を依頼しただけで、著作権が自動的に依頼者へ移るとは限らないため、契約書や発注条件を確認してください。
メルカリで自社の商品画像を使われた場合はどうすればいいですか?
証拠を保存したうえで、メルカリの問い合わせや権利侵害品の削除申立て制度を確認してください。
画像を加工されたら削除依頼できませんか?
加工の程度や元画像との関係によりますが、文字入れやトリミングなどをしただけで自由に使えるとは限りません。
相手が削除依頼を無視したらどうすればいいですか?
再通知、プラットフォームへの申告、専門家への相談など、段階的に対応します。
商品を転売されているだけでも違法ですか?
転売そのものが直ちに違法とは限りません。画像の無断使用、偽物、商標侵害、虚偽表示などとは分けて考える必要があります。
詐欺サイトに画像を使われている場合はどうすればいいですか?
URLや画面画像などの証拠を保存し、必要に応じて警察のサイバー相談窓口等へ相談してください。自社サイトで偽サイトへの注意喚起を行うことも検討します。
まとめ|商品画像の無断使用は「証拠保存→権利確認→削除依頼」の順で対応
自社の商品画像が他店に無断使用されているのを見つけると、気持ちとしてはすぐに相手へ抗議したくなると思います。
ただ、実務ではまず落ち着いて、次の順番で進める方が安全です。
↓
自社の権利を確認する
↓
相手へ削除を依頼する
↓
応じなければプラットフォーム等へ申告する
↓
必要なら専門家へ相談する
また、「自社の商品ページに掲載している画像=すべて自社が著作権者」とは限りません。
自社撮影、外注撮影、メーカー提供素材などを整理し、日頃から画像の権利関係と元データを管理しておくことも大切です。