「商品ページは見られているのに、注文が増えない」「カートには商品が入っているのに、購入されない」。ネットショップの運営で、こんな状況に悩んだことはありませんか?
こうした場合、広告を増やしたり商品を値下げしたりする前に、商品閲覧から購入完了までのどこでお客様が離れているのかを確認することが大切です。商品ページからカートへ進まない場合と、決済画面で購入を完了できない場合では、対策がまったく異なります。
この記事では、ECサイトの購入ファネル分析を使い、カート落ち・決済離脱の原因を調べる方法を解説します。GA4で確認できる指標、離脱率の考え方、実際の購入テスト、数字に基づく改善優先順位まで、担当者が実践できる手順をまとめました。
この記事でわかること
- ECサイトの購入ファネルとカート落ち・決済離脱の違い
- 各段階の到達数・離脱率を正しく比較する方法
- 商品ページ・カート・決済それぞれの点検項目
- 5,000人から560人が購入する架空データの実践分析
- 売上への影響と改善工数で優先順位を決める方法
※本記事の数値・改善例は説明用の架空データです。GA4のレポートは計測設定やファネルの条件によって表示値が変わります。情報確認:2026年10月20日。
- 1 ECサイトの購入ファネル分析とは?何がわかるのか
- 2 購入ファネルで確認したい5つの指標と離脱率の計算方法
- 3 GA4で購入経路・決済経路を確認する方法
- 4 どの段階で離脱したかによって確認する原因は異なる
- 5 商品閲覧からカート追加までの離脱が多い場合
- 6 カート追加後に購入手続きへ進まない原因
- 7 購入手続き開始後に離脱される原因
- 8 実践例|購入ファネルを分析して改善箇所を特定する
- 9 スマホ・PC・流入経路・新規顧客別に離脱を比較する
- 10 エビス店長流|どの離脱箇所から改善すべきか
- 11 購入ファネル改善の効果を検証する方法
- 12 購入ファネル分析でよくある7つの失敗
- 13 ECサイトの購入ファネル分析でよくある質問
- 14 まとめ|購入ファネル分析は売上を逃している場所を見つけるためのもの
- 15 あわせて読みたいECサイト分析の専門記事
- 16 参考にした公式情報
ECサイトの購入ファネル分析とは?何がわかるのか
購入ファネル分析とは、商品閲覧から注文完了までの過程を段階に分け、各段階に進んだユーザー数や途中で離れた割合を比較する分析です。サイト全体の購入率だけでは見つけにくい「どこで購入が止まっているか」を確認できます。
ECサイトで基本になる流れは、商品閲覧 → カート追加 → 購入手続き開始 → 購入完了です。実際には複数の商品を見比べたり、後日戻って購入したりする行動もあるため、すべてのお客様が一本道で進むわけではありません。

カート落ちと決済離脱は同じではない
カート落ちは、一般に商品をカートへ入れた後、購入を完了しない状態を指します。一方、決済離脱は購入手続きを始めた後、支払い情報入力や注文確定までの途中で離れる状態を指して使われます。どこを起点に離脱率を計算しているかによって数字は変わるため、比較前に分母と対象期間をそろえることが大切です。
ECサイトの売上やアクセスを含む全体分析はECサイトのデータ分析完全ガイド、GA4のレポート全般の確認方法はGA4でECサイトを分析する方法で詳しく解説しています。ここでは購入途中の離脱箇所と、改善の判断に絞ります。
購入ファネルで確認したい5つの指標と離脱率の計算方法
まず確認したいのは、商品を見たユーザー、カートに追加したユーザー、購入手続きを始めたユーザー、購入を完了したユーザー、そして各段階間の離脱率です。
| 指標 | 何を確認するか |
|---|---|
| 商品閲覧ユーザー | 商品を見た人の数 |
| カート追加ユーザー | カートに商品を追加した人の数 |
| 購入手続き開始ユーザー | チェックアウトへ進んだ人の数 |
| 購入完了ユーザー | 購入イベントに到達した人の数 |
| 段階間離脱率・到達率 | どの段階で人数が減るか |
同じ条件のファネルで集計した場合の基本式
段階間離脱率=(前段階の到達人数-次段階の到達人数)÷前段階の到達人数×100
段階間到達率=次段階の到達人数÷前段階の到達人数×100
例えば、カート追加1,000人に対して、購入手続き開始が700人なら、その区間の離脱率は30%です。ただし、商品閲覧イベントの発生回数と購入イベントの発生回数を直接割っても、同じ離脱率にはなりません。ユーザー数、到達順序、期間などをそろえて比較します。
また、全体で離脱率が高く見えても、商材の価格、検討期間、流入経路によって違いがあるため、一律の「正しい離脱率」で良否を決めないようにしましょう。
GA4で購入経路・決済経路を確認する方法
購入経路レポートで離脱段階を把握する
GA4の購入経路レポートでは、一般に「セッション開始」「商品閲覧」「カート追加」「購入手続き開始」「購入」の5段階を確認します。今回の記事で使う4段階の説明図は、このうち商品閲覧以降を取り出したものです。GA4のメニュー表示や利用できるレポートはプロパティの設定によって異なる場合があります。
最初に、どの段階でユーザー数が減っているか確認します。その後、デバイスや国、ユーザー属性など利用可能な内訳を比較し、特定の環境だけで離脱が増えていないかを調べます。
決済経路レポートでチェックアウト内部を調べる
購入手続き開始後に問題がある場合は、GA4の決済経路(チェックアウト経路)レポートも役立ちます。配送情報の追加、支払い情報の追加、購入といった段階を確認し、どこに変化があるかを見ます。ただし、必要なイベントが送信されていないと実際の動きを正確に表せません。
オープン・クローズドファネルと計測漏れに注意
クローズドファネルは原則として指定した開始段階から進んだユーザーを対象にする一方、オープンファネルでは途中から進んだユーザーも分析対象になるため、値が異なります。レポートごとの仕様を確認し、異なる条件の数字をそのまま比較しないようにしてください。
特にview_item、add_to_cart、begin_checkout、purchaseといったイベントが実際の画面操作に合わせて送信されているかが重要です。GA4上で離脱が急増しても、まず受注管理データと突き合わせ、計測漏れと実際の購入減少を区別しましょう。
GA4のeコマース計測についてはGoogle公式のeコマース計測ガイドも参考になります。
どの段階で離脱したかによって確認する原因は異なる
数字から離脱箇所を特定したら、その段階に合った原因候補を点検します。ここで大事なのは、データからわかるのは離脱が目立つ場所であり、離脱の理由そのものではないということです。
| 区間 | 主な原因候補 | 点検する内容 |
|---|---|---|
| 商品閲覧→カート | 商品情報・価格・購入操作 | 画像、説明、仕様、送料表示、ボタン |
| カート→手続き | 追加費用・ログイン・迷い | 送料、会員登録、クーポン、導線 |
| 手続き→購入 | 入力負担・決済不具合 | 決済、住所入力、エラー、スマホ動作 |

商品閲覧からカート追加までの離脱が多い場合
商品ページを見た人がカートに追加しない場合、まず商品の魅力や購入条件が伝わっているかを確認します。商品画像が少ない、サイズや仕様がわかりにくい、配送予定が確認できないといったことが購入検討の妨げになる可能性があります。
商品画像・説明・レビューを点検する
お客様が商品を選ぶ際に必要な情報が揃っているか確認します。写真の枚数を増やせば必ず購入率が上がるわけではありませんが、商品の使用場面、寸法、素材など、購入前の疑問を解消できる情報は重要です。
価格・送料・在庫と購入ボタンを確認する
価格の比較だけでなく、送料の表示位置、配送可能日、在庫表示、スマートフォンでのカートボタンの押しやすさを確認します。商品閲覧数が多くても、比較検討目的のユーザーが多い場合はカート追加率が低くなることがあるため、流入元や商品カテゴリーも分けて確認しましょう。
カート追加後に購入手続きへ進まない原因
カートに商品を追加したものの購入手続きへ進まない場合、カート画面で初めてわかる追加費用や手間がないかを調べます。
- 送料・手数料が予想以上に高くないか
- 配送日や在庫について不安が残らないか
- クーポン入力欄などで操作が止まっていないか
- 購入のために会員登録やログインを要求していないか
- 「購入手続きへ進む」ボタンがスマホでも見つけやすいか
カートに入れた後、ほかの商品を比較したり購入を保留したりする方もいます。すべてのカート放棄を不具合と考えず、以前との変化や特定端末での偏りがないかを調べることが重要です。
購入手続き開始後に離脱される原因
チェックアウトに進んでから離脱する人が増えている場合は、決済や入力フォームを優先的に点検します。すでに購入意思を持った方が操作を完了できていない可能性があるためです。
決済方法・エラー・入力フォームを確認する
希望する決済手段がない、決済エラーが出る、住所入力が難しい、エラーメッセージが不明瞭といったことが原因候補になります。配送先や決済情報を実際に入力して、自分でも購入完了まで進められるか確認しましょう。
スマホだけで購入しにくくなっていないか
パソコンでは正常でも、スマートフォンのキーボードがフォームを隠したり、注文確定ボタンが表示範囲外に出たりする場合があります。ECカートの更新やプラグインの変更後に急に離脱が増えたなら、変更履歴とエラーログも確認してください。
決済エラーなど購入自体ができない問題があれば、離脱率の大小に関係なく優先して修正します。購入できる状態を取り戻すことが先です。
実践例|購入ファネルを分析して改善箇所を特定する
ここでは月間の商品閲覧ユーザー5,000人がいる架空のネットショップを考えます。下の数字は、同一期間・同一のクローズドファネル条件で各段階を順番に通過したユニークユーザー数と仮定します。実在する店舗のデータではありません。
| 段階 | 到達ユーザー | 前段階からの離脱 | 離脱率 |
|---|---|---|---|
| 商品閲覧 | 5,000人 | ― | ― |
| カート追加 | 1,000人 | 4,000人 | 80% |
| 購入手続き開始 | 700人 | 300人 | 30% |
| 購入完了 | 560人 | 140人 | 20% |

離脱率が最も高いのは商品閲覧からカート追加
この例では商品閲覧からカート追加への離脱率が80%と最も高く、4,000人が次の段階へ進んでいません。ただし、商品を見るすべての人に購入意思があるわけではなく、80%という数字だけで商品ページの問題とは判断できません。
離脱率ではなく、改善余地と影響額を一緒に見る
一方、購入手続き開始から購入完了への離脱は140人です。人数は少なく見えますが、決済画面に明らかなエラーが発生しているなら優先順位は高くなります。「離脱人数」「原因の確認しやすさ」「売上への影響」「改善に必要な工数」を組み合わせて判断することが大切です。
購入完了が40件増えた場合の売上を試算する
仮に購入完了者が560人から600人へ増え、追加40人がそれぞれ1回注文し、平均注文単価が7,500円で変わらないなら、売上増加額は40件×7,500円=30万円です。ただしこれは売上増加額の試算であり、原価・決済手数料・送料などを差し引いた利益ではありません。また改善すれば必ず40件増えるという予測でもありません。
スマホ・PC・流入経路・新規顧客別に離脱を比較する
全体の数字だけを見ていると、一部のユーザーにだけ起きている問題を見逃すことがあります。可能な範囲で次の切り口を比較しましょう。
| 比較軸 | 確認したいこと |
|---|---|
| スマホ・PC | 特定端末の画面・入力・決済不具合 |
| 自然検索・広告・SNS | 流入意図の違い、購入段階ごとの偏り |
| 新規・リピーター | 会員登録の負担や再購入のしやすさ |
| 商品カテゴリ・価格帯 | 商材ごとの検討期間や購入行動の違い |
例えばスマホだけ購入手続き完了率が低下しているなら、まずスマホ実機で動作確認します。広告から来た新規ユーザーとメールから来たリピーターの購入行動が違っても、直ちにどちらが優秀とは判断できません。サンプルが少ない場合は、数日間の小さな変動で施策を変えないようにしましょう。
エビス店長流|どの離脱箇所から改善すべきか
すべての離脱箇所を同時に改善する必要はありません。私がおすすめしたいのは、次の順番で優先順位を決めることです。
改善の判断手順
- ① 決済できない・ボタンが動かないなど、明らかな障害は最優先で復旧する
- ② 対象人数と注文への影響が大きい段階を探す
- ③ 実機テスト・ログ・顧客の声などで原因の仮説を確かめる
- ④ 少ない工数・費用で検証できる施策から着手する
- ⑤ 施策実施後に同じ条件で結果を比較する

例えば、送料が原因かもしれないからと全商品を送料無料にすると、売上は増えても利益が減るおそれがあります。まず料金表示のタイミングや、送料条件のわかりやすさを点検する方が適切な場合もあります。
購入ファネル改善の効果を検証する方法
改善後は「カート追加率が上がった」だけで成果と判断せず、購入完了者数と実際の注文件数・売上も確認しましょう。購入のしやすさが改善しても、利益まで増えたかどうかは別に確認する必要があります。
| 記録項目 | 記録例 |
|---|---|
| 課題 | スマホの購入手続き開始後の離脱が増加 |
| 原因の仮説 | フォームの入力エラーがわかりにくい |
| 実施内容 | エラーメッセージと入力案内を修正 |
| 確認する指標 | 該当段階の到達率、注文数、売上 |
| 比較条件 | 同一デバイス・同一期間幅・同じファネル条件 |
検証期間中に広告配信やセールなど別の施策が変わっている場合、改善前後の差がすべてフォーム修正の効果とは限りません。可能ならA/Bテストなどを使い、変更が成果に与えた影響を検証します。
購入ファネル分析でよくある7つの失敗
- 離脱率が高い段階を無条件で優先する:改善可能性や売上への影響も見る
- イベント発生回数をユーザー数と混同する:指標の定義を合わせる
- 計測漏れを見落とす:実際の注文数とイベント計測を照合する
- スマホ・PCを区別しない:環境ごとの不具合を確認する
- 価格帯・商品特性を無視する:比較検討の長さは商材によって違う
- 理由を調べずに値下げする:利益への影響も確認する
- 改善後の検証をしない:施策と日付・成果を記録する
ECサイトの購入ファネル分析でよくある質問
購入ファネル分析とは何ですか?
商品閲覧、カート追加、購入手続き、購入完了などの段階ごとに到達人数や離脱率を比較し、購入途中のどこで問題が起きているかを調べる方法です。
カート落ち率はどう計算しますか?
例えば「カートに追加したユーザーのうち購入完了しなかった割合」を調べるなら、同一の計測条件・期間・ユーザー集計に基づき、(カート追加ユーザー数-購入完了ユーザー数)÷カート追加ユーザー数×100と計算できます。ただし、この値とGA4で表示される特定段階の離脱率は集計ルールによって一致しない場合があります。
GA4で購入経路が表示されないのはなぜですか?
必要なレポートが公開されていない、イベント設定が不足している、対象期間に該当イベントがないなどの可能性があります。GA4のレポートの有無だけでなく、view_itemやadd_to_cartなどが正しく送信されているかを確認しましょう。
カート追加率が低い場合は何から確認しますか?
商品画像・説明、価格・送料、在庫、購入ボタンの見やすさを確認します。ただし、流入元や商材によってカート追加率は異なるため、まず以前のデータや同じ条件の商品群と比較するのがおすすめです。
決済離脱が多いのはなぜですか?
決済手段の不足、入力フォームの負担、追加費用、エラーなどが原因候補です。数字だけで特定せず、スマホ実機で購入テストを行い、エラーログや問い合わせも確認しましょう。
楽天市場やAmazonでも購入ファネル分析はできますか?
各モールが提供するデータの範囲で分析できます。ただし、自社ECのようにGA4イベントを自由に設定できるとは限らず、確認できる段階や指標は各モールの管理機能によって異なります。
離脱率の目安はありますか?
商品カテゴリー、価格帯、デバイス、ファネルの定義などによって異なるため、単一の平均値だけで良否を決めないことが重要です。まずは自社の同条件での過去データを基準に、変化を調べましょう。
まとめ|購入ファネル分析は売上を逃している場所を見つけるためのもの
ECサイトで「カートに入るのに売れない」と感じたら、まず商品閲覧・カート追加・購入手続き開始・購入完了の各段階を確認してみましょう。どこで人数が減っているかを調べてから、原因候補を確認し、改善施策を決めるのが基本です。
- 段階ごとのユーザー数と離脱率を同じ条件で比較する
- 商品ページ・カート・決済で原因候補を分けて調べる
- 購入できない不具合は離脱率にかかわらず優先修正する
- 改善後はGA4だけでなく実際の注文数・売上も確認する
サイト全体の売上が落ちた原因を確認したい場合はECサイトの売上減少を分析する方法、各集客経路の売上貢献まで確認したい場合はECサイトの流入経路分析も参考にしてください。
アクセスはあるのに購入されないお悩みはありませんか?
「どの画面で購入を逃しているのかわからない」「カート落ちが増えたが、何から改善するべきかわからない」という場合は、数字と実際の購入導線を合わせて点検することが重要です。売れるネットショップの教科書では、ECサイトの売上改善に関する無料相談を受け付けています。
あわせて読みたいECサイト分析の専門記事
- ECサイトのデータ分析完全ガイド:全体の数字から課題を見つける
- GA4でECサイトを分析する方法:各レポートの確認方法
- ECサイトの売上減少分析:売上が落ちた原因を切り分ける
- ECサイトの流入経路分析:SEO・広告・SNSの成果を比較する
- ECサイトの商品別売上分析:売れ筋・利益商品の販売優先順位を考える