
ショールーミングとは、実店舗で商品の実物を確認したあと、その場では購入せず、ECサイトで商品を購入する消費行動のことです。家電量販店でテレビの画質やサイズを確認してからネットショップで購入したり、アパレル店舗で試着したあとにECサイトで別カラーを注文したりする行動が代表例です。
以前は「実店舗で接客だけ受けて、売上をネットショップに奪われる問題」として語られることが多くありました。しかし現在は、実店舗とECを別々の販売チャネルとして考えるのではなく、店舗で商品を体験してもらい、自社ECを含めて購入につなげるという考え方が重要になっています。
つまり、2026年のショールーミング対策は「ネットで買わせないこと」ではありません。店舗で興味を持った顧客を他社ECへ流出させず、自社の店舗・ECの中で購入してもらう仕組みを作ることがポイントです。
- ショールーミングとは何か
- ウェブルーミングとの違い
- ショールーミングが起きる原因
- ショールーミングが起こりやすい商品
- 実店舗でできる7つの対策
- 店舗から自社ECへ購入をつなぐ方法
- OMO・オムニチャネルとの関係
- 確認したいKPI
- 1 ショールーミングとは?
- 2 ショールーミングとウェブルーミングの違い
- 3 なぜショールーミングが起きるのか?
- 4 ショールーミングが起こりやすい商品
- 5 具体例|アパレル店で起こるショールーミング
- 6 ショールーミングは実店舗にとって悪いこと?
- 7 ショールーミング対策7選
- 8 まず取り組むべきショールーミング対策の優先順位
- 9 やってはいけないショールーミング対策
- 10 ショールーミング専用店舗という考え方もある
- 11 ショールーミングとオムニチャネル・OMOの関係
- 12 ショールーミング対策で確認したいKPI
- 13 ショールーミングについてよくある質問
- 14 まとめ|ショールーミングを「他社への流出」から「自社ECへの送客」に変える
ショールーミングとは?
ショールーミングは英語で「Showrooming」と表記します。実店舗を商品の確認場所、つまりショールームのように利用し、実際の購入はECサイトで行うことから、このように呼ばれています。
典型的な購買行動は、実店舗へ来店 → 商品を確認 → スマートフォンで検索 → 価格・口コミ・在庫を比較 → ECサイトで購入という流れです。
ただし、ショールーミングが起きる理由を「ECの方が安いから」とだけ考えるのは不十分です。店舗に欲しいカラーやサイズがない、自宅へ配送してほしい、ポイントを使いたい、口コミを確認してから決めたいなど、さまざまな理由があります。
ショールーミングとウェブルーミングの違い
ショールーミングとあわせて覚えておきたいのが「ウェブルーミング」です。ウェブルーミングは、WebやECサイトで商品情報を調べたあと、実店舗へ行って商品を確認し、そのまま店頭で購入する行動を指します。
| 購買行動 | 商品を調べる・確認する場所 | 購入する場所 |
|---|---|---|
| ショールーミング | 実店舗 | ECサイト |
| ウェブルーミング | Web・ECサイト | 実店舗 |
現在の消費者は「店舗だけ」「ECだけ」で買い物をするとは限りません。Webで調べて店舗へ行き、店舗で確認して帰宅後にECから注文するといったように、複数のチャネルを行き来しながら購入を決めています。
なぜショールーミングが起きるのか?
ECの方が価格を比較しやすい
スマートフォンがあれば、店頭にいながら商品名や型番を検索し、複数のネットショップの価格を簡単に比較できます。同じ商品であれば、より安い販売店やポイント還元率の高いショップを探したいという行動は自然です。
店舗に欲しいカラー・サイズ・在庫がない
実物を確認して気に入っても、「欲しいカラーだけ売り切れている」「自分のサイズがない」ということがあります。この場合、顧客は商品名を検索し、在庫のあるECサイトを探します。
つまりショールーミングは、単純に安いショップを探しているのではなく、実店舗で満たせなかった購入条件をオンラインで探しているケースも少なくありません。
ECなら自宅まで届けてもらえる
家具、家電、大型商品、まとめ買いなどでは、実店舗で商品を確認しても、その場で持ち帰るより自宅へ配送してもらった方が便利です。この場合は、店舗が「確認・体験する場所」、ECが「注文・配送する場所」として役割分担されています。
ポイントやクーポンを使いたい
ECモールや自社ECでポイント還元、会員クーポン、送料無料キャンペーンなどがあると、実店舗で商品を確認してからオンライン購入へ移る理由になります。特に店舗とECでポイント制度が分断されている場合は、顧客がより得なチャネルへ流れやすくなります。
口コミやレビューを確認してから買いたい
実物を見ただけでは分からない情報もあります。耐久性、長期間使った感想、サイズ感、故障しやすさなどをレビューで確認してから購入する人も多く、店舗で商品を見たあとにスマートフォンで口コミを探す行動も一般的です。
ショールーミングが起こりやすい商品
特にショールーミングが起きやすいのは、実物を確認してから購入したい商品です。
- 家電
- アパレル
- 靴
- 化粧品
- 家具・インテリア
- アウトドア用品
- スポーツ用品
- 高価格帯の商品
例えばアパレルなら試着、家具ならサイズや素材感、家電なら画質・音・操作感など、ECの商品写真や説明だけでは判断しにくい要素があります。一方、価格、在庫、レビュー、ポイントなどはECの方が比較しやすいため、「確認は店舗、比較・購入はEC」という行動につながります。
具体例|アパレル店で起こるショールーミング
例えば、顧客が店舗でジャケットを試着し、気に入ったものの希望するMサイズが売り切れていたとします。店舗スタッフが「在庫がありません」で終わらせれば、顧客はその場でGoogleやECモールを検索し、他社から購入する可能性があります。
一方、「オンラインにはMサイズがあります。このQRコードからそのまま注文できます。自宅配送も可能です」と案内できれば、店頭では売れなくても自社ECの売上として残せます。
この違いが、現在のショールーミング対策で最も重要なポイントです。
ショールーミングは実店舗にとって悪いこと?
顧客が店舗で商品説明を受け、その後に他社のECサイトから購入すれば、実店舗を運営する企業にとっては問題です。店舗には家賃、人件費、商品展示、接客、在庫などのコストがかかっているため、そのコストを負担した企業に売上が残らないからです。
一方、自社ECで購入された場合は考え方が変わります。店頭売上としては計上されなくても、会社全体では売上が発生しています。
そのため、現在はショールーミング自体を防ぐのではなく、「他社ECへの流出を防ぎ、自社ECへつなぐ」という発想が重要です。
ショールーミング対策7選
1.店頭から自社ECへすぐアクセスできるようにする
商品棚やPOPにQRコードを設置し、その商品の自社ECページへ直接アクセスできるようにします。「オンライン在庫を見る」「別カラーを見る」「自宅配送はこちら」といった導線を作ると分かりやすいでしょう。
顧客が自分で商品名を検索し始めると、Googleショッピング、Amazon、楽天市場、競合ECなど多くの選択肢が表示されます。検索される前に自社ECへ誘導できるかがポイントです。
2.店舗とECの在庫を連携する
店頭に欲しい商品がない場合、「売り切れです」で終わらせないことが重要です。オンライン在庫をスタッフが確認できれば、「店舗にはありませんが、自社ECには在庫があります。この場で注文できます」と案内できます。
店舗欠品を「失注」にせず、EC購入へ切り替えられる仕組みを作りましょう。
3.店舗とECのポイント・会員情報を共通化する
店舗ではポイントが使えるのにECでは使えない、EC会員なのに店舗では別会員扱いになる、といった状態は顧客にとって不便です。
理想は、店舗でもECでも同じ会員ID、ポイント、購入履歴を利用できる状態です。顧客にとって「どこで買ったか」ではなく、「同じ企業から買った」という体験を作ります。
4.店舗価格とEC価格の差を確認する
自社店舗より自社ECの方が大幅に安い状態が続いていると、企業自身がショールーミングを促してしまうことがあります。すべて同価格にする必要はありませんが、価格差がある場合はその理由を説明できるようにしておきたいところです。
例えば、EC限定クーポン、店舗限定サービス、即日持ち帰り、接客サポートなど、チャネルごとの価値を明確にします。
5.店舗でしか得られない価値を作る
価格だけでECと競争すると、実店舗側は不利になりやすくなります。専門スタッフへの相談、試着、サイズ測定、商品比較、実演、カウンセリング、修理・メンテナンスなど、来店したからこそ得られる価値を作ることが重要です。
6.店舗スタッフのEC貢献も評価する
店舗スタッフが丁寧に接客した結果、顧客が帰宅後に自社ECで購入した場合でも、店頭売上だけを評価しているとスタッフの成果にはなりません。そうなると「ECへ案内すると自分の売上が減る」という矛盾が生まれます。
店舗とECを本当に連携させるなら、スタッフ経由のEC購入を計測し、EC送客も評価対象にするなど、評価指標も店舗単体から企業全体へ変える必要があります。
7.購入後まで店舗とECをつなげる
ECで購入した商品でも、店舗で相談できる、交換できる、修理を依頼できるといった体験を作れば、顧客の安心感は高まります。特に高価格帯の商品では、購入時の価格だけでなく「買ったあとに困らないこと」も選ばれる理由になります。
まず取り組むべきショールーミング対策の優先順位
すべてを一度に実施する必要はありません。特に中小規模のEC・実店舗では、まず「他社へ流出させない基本導線」から整えるのがおすすめです。
| 優先度 | 取り組み | 目的 |
|---|---|---|
| 最優先 | 店頭から自社ECへの導線 | 他社EC検索へ移る前に自社ECへ誘導 |
| 最優先 | 店舗・EC在庫の確認 | 店舗欠品による失注を防ぐ |
| 高 | 店舗とECの価格差確認 | 自社ECへの不自然な流出を防ぐ |
| 高 | 会員・ポイント連携 | チャネルをまたいだ購入をしやすくする |
| 中 | スタッフのEC送客評価 | 店舗側から積極的にECへ案内できる環境を作る |
| 中 | アフターサービス連携 | 購入後まで店舗とECをつなぐ |
やってはいけないショールーミング対策
ショールーミングを防ぎたいからといって、消費者の比較行動そのものを妨げるのはおすすめできません。
- 店内でスマートフォンを使いにくくする
- 商品型番を意図的に隠す
- 価格比較をする顧客を嫌がる
- 他店価格を調べる顧客へ否定的な態度を取る
- ネット購入を一律に悪い行動として扱う
現在の消費者に「比較しないでください」と求めるのは現実的ではありません。スマートフォンだけでなく、検索エンジンやAIを使った商品比較も今後さらに一般化していく可能性があります。
比較を止めるのではなく、比較されたうえで自社が選ばれる仕組みを作ることが重要です。
ショールーミング専用店舗という考え方もある
ショールーミングを防ぐのではなく、逆に店舗自体をショールームとして設計する方法もあります。
例えばアパレルなら、試着用の商品を中心に展示し、店頭には大量の在庫を持たず、購入はECから行って自宅へ配送します。店舗は「体験・接客」、ECは「注文・決済・配送」という役割分担です。
| 実店舗 | EC |
|---|---|
| 商品を体験する | 商品を注文する |
| 試着・相談する | カラー・サイズを選ぶ |
| スタッフから説明を受ける | 決済する |
| ブランドを体験する | 自宅へ配送する |
この形なら、店舗在庫を抑えながら、ECでは多くのカラーやサイズを販売できます。ショールーミングは「店舗売上を奪う問題」ではなく、店舗の役割そのものを変える方法にもなります。
ショールーミングとオムニチャネル・OMOの関係
ショールーミング対策を進めると、最終的には「店舗とECを別々に考えない」という発想につながります。
例えば、店頭で確認 → 自社ECで注文 → 自宅へ配送 → 共通ポイントを付与 → 次回は店舗で相談という流れです。
顧客にとって重要なのは、「店舗で買ったか」「ECで買ったか」ではなく、便利で安心して買えることです。企業側も店舗売上とEC売上を分断して見るのではなく、顧客単位・企業全体で売上を見る必要があります。
ショールーミング対策で確認したいKPI
店舗とECを連携する場合、店頭売上だけで成果を判断すると、本当の効果が見えなくなることがあります。
例えば、次のような流れで数字を確認します。
| 段階 | 確認するKPI |
|---|---|
| 来店 | 店舗来店数 |
| 商品接触 | 接客数・商品閲覧数 |
| EC送客 | QRコード・商品ページアクセス数 |
| 会員化 | EC会員登録数 |
| 購入 | 店舗経由EC購入数・CVR |
| 売上 | 店舗+EC合計売上 |
| 継続 | リピート率・LTV |
「店舗で売れなかったから失敗」ではなく、来店した顧客が最終的にどのチャネルで購入したのかを見ることが大切です。
ショールーミングについてよくある質問
ショールーミングとは簡単にいうと何ですか?
実店舗で商品の実物を確認し、その場では購入せず、ECサイトから購入する行動です。
ショールーミングの反対は何ですか?
WebやECサイトで商品を調べてから実店舗へ行き、店頭で購入する「ウェブルーミング」です。
ショールーミングは違法ですか?
ショールーミングは消費者の購買行動を表す言葉です。実店舗で商品を確認したあと、別のECサイトで購入する行動そのものを違法行為として表す用語ではありません。
ショールーミングが起こりやすい商品は?
家電、アパレル、靴、家具・インテリア、化粧品など、サイズ・質感・操作感・使用感を実際に確認してから購入したい商品で起こりやすい傾向があります。
ショールーミングを防ぐにはどうすればいいですか?
完全に防ぐことを目指すより、店舗と自社ECの在庫、会員、ポイント、商品情報などをつなぎ、店頭から自社ECへ購入を誘導する方が現実的です。
小規模な店舗でもショールーミング対策はできますか?
できます。大規模なシステム導入から始める必要はなく、商品POPに自社ECの商品ページへつながるQRコードを設置する、店頭欠品時にオンライン在庫を確認する、EC注文なら自宅配送できることを案内する、といった施策から始められます。
まとめ|ショールーミングを「他社への流出」から「自社ECへの送客」に変える
ショールーミングとは、実店舗で商品を確認したあと、ECサイトから購入する購買行動です。以前は実店舗の売上を奪う問題として捉えられていましたが、現在は消費者が店舗とECを行き来しながら購入すること自体が珍しくありません。
そのため、大切なのはショールーミングそのものを止めることではなく、店舗で商品を知る → 実物を体験する → 自社ECで購入する → 店舗・EC共通の顧客として継続購入してもらうという流れを作ることです。
まずは、店頭の商品から自社ECへすぐ移動できる導線を作り、店舗に在庫がないときでもオンライン在庫を案内できるようにしましょう。そのうえで会員・ポイント連携、店舗スタッフのEC貢献評価、アフターサービスなどへ広げていくと、店舗とECを一体で運営しやすくなります。
ショールーミングは、単なる「ネット通販の問題」ではありません。実店舗とECをどのようにつなぎ、顧客を自社の中で循環させるかを考えるための重要な購買行動として捉えましょう。