「ECコンサルを依頼すると、本当に売上は変わるのか」「実際にはどのような改善をするのか」「自社と近い事例を見てから相談したい」。ECコンサルを検討している企業にとって、仕事内容や料金と同じくらい気になるのが、実際の改善事例です。
ただし、ECコンサルの事例を見るときに、単純に「売上が○倍になった」という数字だけを見るのはおすすめできません。ECの成果は、商材、売上規模、広告費、販売チャネル、運営人数、実施期間などによって大きく変わるからです。
重要なのは、どのような課題があり、何を改善し、誰が実行し、その結果どのような変化が起きたのかを見ることです。
この記事では、実際のEC運営・支援経験をもとに、売上改善、SNS活用、楽天市場、複数店舗運営などの事例を紹介しながら、ECコンサルによってどのような改善が考えられるのかを解説します。
ECコンサルの仕事内容から確認したい方は、「ECコンサルとは?仕事内容・費用・選び方・依頼するタイミングを解説」もあわせてご覧ください。
- 1 結論|ECコンサルの改善事例は「課題→施策→変化」で見る
- 2 ECコンサルで改善対象になる主な6領域
- 3 改善事例1|年商2,000万円規模から3億円規模へ成長したEC
- 4 改善事例2|SNSフォロワー約1万人・月商300万円規模につながった生鮮EC
- 5 改善事例3|楽天市場で半年間に売上230万円
- 6 改善事例4|約10店舗を少人数で運営した複数店舗EC
- 7 改善事例5|何を改善すべきか分からない状態を整理する
- 8 成果が出た改善事例に共通する5つのポイント
- 9 逆に、EC改善が進みにくいケース
- 10 ECコンサルの成果は「売上」だけで判断しない
- 11 他社の改善事例を見るときの注意点
- 12 自社に近い改善事例はどう探す?
- 13 ECコンサルを依頼する前に準備したいこと
- 14 改善事例を確認したあと、契約前に見るべきこと
- 15 ECコンサルの改善事例についてよくある質問
- 16 まとめ|改善事例は「売上」ではなく「改善プロセス」で見る
- 17 自社の場合、どこを改善すべきか知りたい方へ
結論|ECコンサルの改善事例は「課題→施策→変化」で見る

ECコンサルの改善事例を見るときは、成果の数字だけではなく、その前後のプロセスを見ることが重要です。
| 見るポイント | 確認したい内容 |
|---|---|
| 課題 | 何がボトルネックになっていたか |
| 施策 | 何を改善したか |
| 実行体制 | 誰が施策を実行したか |
| 期間 | どのくらいの期間で取り組んだか |
| 変化 | 売上・CVR・業務などがどう変わったか |
| 再現性 | 他社でも応用できるポイントは何か |
課題 → 優先順位 → 実行 → 数値確認 → 再改善
ECコンサルの価値は、改善案を一度出して終わることではありません。現在のボトルネックを見つけ、優先順位を決め、実行後の数字を確認しながら次の改善につなげることにあります。
ECコンサルで改善対象になる主な6領域

ECサイトの売上は、一つの要素だけで決まるものではありません。売上が伸びない場合は、次の6領域のどこに問題があるのかを整理すると分かりやすくなります。
集客 → 購入 → 客単価 → リピート → 利益 → 業務効率
集客改善
SEO、広告、SNS、楽天市場やAmazonなどのモール内検索を改善し、商品を知ってもらう機会を増やします。
購入率・CVR改善
アクセスはあるのに売れない場合は、商品ページ、購入導線、スマートフォン表示、価格、送料、レビューなどを確認します。
客単価改善
セット販売、まとめ買い、関連商品、アップセル、クロスセルなどによって、1回の購入金額を高める方法を検討します。
リピート改善
新規顧客を獲得するだけではなく、メルマガ、LINE、CRM、定期購入などを通じて、既存顧客との関係を強化します。
利益改善
売上だけでなく、広告費、値引き、送料、粗利などを確認し、利益が残る販売構造になっているかを見直します。
業務効率改善
複数店舗を運営している場合は、受注処理、在庫管理、商品管理、出荷などの業務負担も大きくなります。売上を伸ばすだけでなく、運営を効率化することもEC改善の重要なテーマです。
改善事例1|年商2,000万円規模から3億円規模へ成長したEC
EC運営・支援経験の中には、年商2,000万円規模だったEC事業が、その後3億円規模まで成長したケースがあります。
ただし、これは一つの施策やECコンサルだけによって売上が伸びたという意味ではありません。EC事業の成長には、商品、販売チャネル、運営体制、販促、顧客ニーズなど複数の要因が関係します。
当初の課題
EC事業が成長していく過程では、売上を増やすことだけでなく、販売チャネルの拡大、商品管理、受注対応、販促施策など、運営上の課題も増えていきます。
実施したこと
- 販売チャネルごとの運営改善
- 売上につながる施策の優先順位整理
- 商品・販促施策の継続的な改善
- 複数店舗を運営できる業務体制の整備
- 数字を確認しながら改善を続ける運用
期間・実行体制
短期間の単発施策ではなく、事業成長にあわせて継続的に改善していったケースです。EC担当者が実際の運営業務を行いながら、販売状況を見て施策を修正していく形で進めました。
変化
事業規模が大きくなるにつれて、単純にアクセスを増やすだけではなく、販売チャネル、商品施策、業務効率などを含めた総合的な改善が重要になりました。
再現ポイント:ECが成長するほど「一つの施策」ではなく、複数の課題に優先順位をつけて改善することが重要になります。
改善事例2|SNSフォロワー約1万人・月商300万円規模につながった生鮮EC
北海道の生鮮商材を扱うケースでは、SNSを活用し、約1万人規模のフォロワーを獲得しながら、月商300万円規模の販売につながった事例があります。
課題
SNSではフォロワーを増やすこと自体が目的になりがちです。しかし、ECではフォロワー数が増えても、商品に興味を持ち、ECサイトを訪問し、購入してもらえなければ売上にはつながりません。
実施したこと
- 商品が伝わるSNS発信
- 投稿からECサイトへの販売導線設計
- 商品訴求の改善
- ユーザーが購入したくなるタイミングを意識した情報発信
期間・実行体制
SNSは一度投稿して成果を判断するものではなく、継続的な発信と改善が必要です。投稿内容や反応を見ながら、ECへの導線を整えていきました。
変化
フォロワー獲得だけではなく、SNSをECへの集客チャネルとして活用することで、販売につながる流れを作ることができました。
再現ポイント:SNSでは「フォロワー数」ではなく、投稿から商品・ECサイト・購入までの導線を見ることが重要です。
改善事例3|楽天市場で半年間に売上230万円
福岡の飲料商材では、楽天市場での販売に取り組み、半年間で売上230万円となったケースがあります。
楽天市場のようなモールでは、自社ECとは異なり、楽天内検索、商品ページ、キャンペーン、価格、レビューなど、モール特有の要素を考える必要があります。
課題
楽天市場へ出店しただけでは、商品が自然に見つかるとは限りません。検索対策や商品ページ、販促などを組み合わせて改善する必要があります。
実施したこと
- 楽天市場内での検索を意識した商品設計
- 商品ページの改善
- キーワードの整理
- 販促施策との連動
- 販売状況を見ながら継続的に改善
期間・実行体制
半年間という期間の中で、楽天市場で販売を行いながら、商品や販促の改善を進めました。
変化
楽天市場では、SEOだけ、広告だけ、セールだけを見るのではなく、複数の施策を組み合わせる必要があることが分かります。
再現ポイント:モールECでは「検索対策」と「商品ページ」と「販促」を切り離さず、一つの販売導線として考えることが重要です。
改善事例4|約10店舗を少人数で運営した複数店舗EC
複数店舗運営では、売上を増やすほど業務量も増えていきます。
実際のEC運営では、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社EC、当時のポンパレモールやWowma、その他クーポン系サイトなど、約10店舗を同時に運営していた経験があります。
課題
店舗数が増えると、受注確認、在庫、商品情報、発送、問い合わせなど、同じような作業が店舗ごとに発生します。
売上が増えているのに、運営業務が増えすぎて新しい施策に手を付けられない状態になることもあります。
実施したこと
- 受注業務の一元化
- 複数店舗の運営フロー整理
- 作業優先順位の明確化
- 商品・在庫管理の効率化
- 属人的な作業の削減
実行体制
複数店舗を少人数で運営するためには、担当者の作業量を増やすのではなく、システムと運用ルールで処理できる業務を増やすことが重要でした。
変化
EC改善というと売上施策に目が向きやすいですが、売上規模が大きくなるほど、業務効率が事業成長のボトルネックになることがあります。
再現ポイント:店舗数が増えたら「人を増やす」だけではなく、受注・在庫・商品管理を一元化できないかを先に検討します。
複数店舗の受注管理については、「受注管理システム比較」も参考にしてください。
改善事例5|何を改善すべきか分からない状態を整理する
ECコンサルでよくある相談の一つが、「売上が伸びないが、何を改善すればよいのか分からない」というものです。
例えば、月商300〜500万円程度あり、広告も利用し、SEOやSNSにも取り組んでいるのに売上が横ばいというケースを考えてみます。
よくある状態
- 広告費を増やすべきか分からない
- SEO記事を増やすべきか分からない
- 商品ページを直すべきか分からない
- SNSを強化すべきか分からない
- 担当者が複数施策を同時に抱えている
最初にやること
このような場合、いきなり新しい施策を増やすのではなく、まず現在の数字を確認します。
アクセス → CVR → 客単価 → リピート → 広告効率 → 利益
例えばアクセスが十分あるのにCVRが低いのであれば、さらに広告費を増やすより、商品ページや購入導線の改善を優先した方がよい可能性があります。
逆にCVRは高いのにアクセスが不足しているのであれば、SEOや広告、SNSなどの集客施策を優先します。
改善ポイント
ECコンサルの役割は、新しい施策を大量に提案することだけではありません。
「やらないことを決め、何から改善するかを整理すること」も重要な支援の一つです。
再現ポイント:施策を増やす前に、売上を分解して「最も大きなボトルネック」を一つ見つけます。
成果が出た改善事例に共通する5つのポイント

商材や販売チャネルが違っても、改善が進みやすいECにはいくつか共通点があります。
- 課題が数字で整理されている
- 改善の優先順位が明確になっている
- 社内に実行担当者がいる
- 施策後の数字を確認している
- 一度で終わらず改善を続けている
1.課題が数字で整理されている
「なんとなく売れていない」という状態では、改善策を決めることができません。アクセス、CVR、客単価、広告費、リピートなどを確認し、どこに問題があるのかを整理します。
2.改善の優先順位が明確
SEO、広告、SNS、商品ページ、CRMなど、すべてを一度に改善する必要はありません。売上への影響が大きいものから順番に進める方が効率的です。
3.社内に実行担当者がいる
どれだけ良い改善案があっても、実行されなければ成果にはつながりません。ECコンサルを利用する場合も、誰が施策を実行するのかを決める必要があります。
4.施策後の数字を確認している
商品ページを変更した、広告を変更した、メルマガを配信した、という事実だけでは成果とは言えません。施策前後の数字を確認し、次の判断につなげます。
5.改善を継続している
ECでは、一つの問題を改善すると次の問題が見えてきます。そのため、単発の施策よりも、継続的に改善を積み重ねることが重要です。
ECコンサルを利用しても成果につながらないケースについては、「ECコンサルで成果が出ない原因とは?売上が上がらない理由と見直しポイント」も参考にしてください。
逆に、EC改善が進みにくいケース
ECコンサルを依頼すれば、自動的に成果が出るわけではありません。
- 提案を受けても実行しない
- KPIを決めていない
- 社内担当者が施策を実行できない
- すべての施策を同時に進める
- 短期間で大きな成果を求めすぎる
- 社内承認に時間がかかりすぎる
ECコンサルは、施策を提案するだけで売上を作るものではありません。コンサル側と社内担当者が役割を分け、実行と検証まで行うことが重要です。
ECコンサルの成果は「売上」だけで判断しない
ECコンサルの成果を見るとき、多くの企業が最初に確認するのは売上です。しかし、売上だけでは改善の中身を正しく判断できない場合があります。
| 改善領域 | 確認したい指標 |
|---|---|
| 売上 | 売上高・購入件数 |
| 購入 | CVR |
| 客単価 | 平均注文単価 |
| 広告 | ROAS・CPA |
| リピート | リピート率・LTV |
| 利益 | 粗利・広告費・送料 |
| 業務効率 | 作業時間・処理件数・ミス |
例えば売上が増えていても、広告費が大幅に増えて利益が残っていなければ、必ずしも良い改善とは言えません。
また、受注処理時間が大幅に短縮できれば、その時間を商品企画や販促に使うことができます。
EC改善では、売上・利益・業務効率をあわせて見ることが重要です。
他社の改善事例を見るときの注意点

ECコンサル会社のホームページでは、「売上○倍」「CVR○%改善」といった事例が紹介されていることがあります。
参考にはなりますが、数字だけを見て自社でも同じ成果が出ると考えるのは危険です。
- 改善前の売上規模
- 商材
- 粗利
- 広告費
- 運営人数
- 販売チャネル
- 実施期間
- 実施した施策
- 市場環境
例えば、月商100万円から300万円になったケースと、月商1億円から1億2,000万円になったケースでは、同じ「売上増加」でも意味が異なります。
改善事例を見るときは、成果の大きさだけではなく、どのような条件で、その成果が出たのかを確認してください。
自社に近い改善事例はどう探す?
改善事例を見るとき、「自社と同じ業界かどうか」だけで判断する必要はありません。
むしろ重要なのは、課題の構造が近いかどうかです。
- 売上規模が近い
- 販売チャネルが近い
- 抱えている課題が近い
- 社内の人数が近い
- 実行できる体制が近い
例えば商材が違っても、「広告費を増やしているのに売上が伸びない」という課題が同じなら、改善プロセスは参考になる場合があります。
「同じ業界の事例」よりも「同じ課題の事例」という視点で見ると、自社に応用できるヒントを見つけやすくなります。
ECコンサルを依頼する前に準備したいこと
ECコンサルへ相談するときは、完璧な資料を準備する必要はありません。
ただし、最低限次の情報があると、課題を整理しやすくなります。
- ECサイトURL
- 直近の売上
- アクセス数
- CVR
- 広告費
- 利益状況
- 社内の運営体制
- 現在困っていること
詳しくは「ECコンサルに相談する前に準備すること|必要なデータ・質問・社内体制を解説」で紹介しています。
改善事例を確認したあと、契約前に見るべきこと
自社に近い改善事例が見つかったとしても、その事例だけでECコンサル会社を決めるのはおすすめできません。
- 費用
- 最低契約期間
- 支援範囲
- 担当者
- KPI
- 実行支援の有無
- 解約条件
料金については「ECコンサルの費用相場はいくら?月額料金・料金体系・依頼できる範囲を解説」、契約期間については「ECコンサルの契約期間はどれくらい?3か月・6か月・1年の違いと契約形態を解説」も参考にしてください。
会社選びについては「ECコンサル会社の選び方|失敗しない7つの比較ポイントを解説」で詳しく解説しています。
ECコンサルの改善事例についてよくある質問
ECコンサルを利用すれば必ず売上は上がりますか?
必ず売上が上がるとは限りません。ECコンサルは課題整理や改善提案を行いますが、実際の成果には施策の実行、商品力、市場環境、社内体制などさまざまな要因が関係します。
ECコンサルはどれくらいで成果が出ますか?
課題や施策によって異なります。商品ページ改善のように比較的短期間で確認しやすい施策もあれば、SEO、CRM、リピート施策など一定期間の検証が必要なものもあります。
小規模なECでもコンサルを利用する意味はありますか?
売上規模だけで判断する必要はありません。社内で何を改善すべきか判断できない場合や、広告費など一定の投資を行っている場合は、第三者の意見が役立つことがあります。
売上以外の改善も相談できますか?
ECコンサルの支援内容によりますが、広告効率、利益、業務効率、受注管理、社内体制などが対象になる場合もあります。
自社と同じ業界の事例がなくても大丈夫ですか?
必ずしも同じ業界である必要はありません。商材よりも、売上が伸びない原因や運営上の課題など、課題構造が近い事例の方が参考になる場合があります。
スポット相談だけでも改善できますか?
課題整理や改善優先順位の確認が目的で、自社で施策を実行できるのであれば、スポット相談だけでも活用できます。
詳しくは「ECコンサルはスポット相談できる?単発相談が向いているケースと注意点」をご覧ください。
改善事例だけでECコンサル会社を選んでもいいですか?
事例は重要な判断材料ですが、それだけで決めるのはおすすめできません。担当者、支援範囲、実行体制、費用、契約期間、解約条件なども確認してください。
まとめ|改善事例は「売上」ではなく「改善プロセス」で見る
ECコンサルの改善事例を見るときは、「売上が何倍になったか」だけを見るのではなく、どのような課題があり、何を改善し、誰が実行し、どのように検証したのかを見ることが重要です。
課題を見つける → 優先順位を決める → 実行する → 数字を確認する → 次の改善につなげる
この流れを継続することで、売上だけでなく、CVR、客単価、リピート、利益、業務効率なども改善していくことができます。
ECコンサルの価値は、単に「答えを教えてもらうこと」ではありません。自社だけでは止まっていた改善を、次の一手へ進めることにあります。
自社の場合、どこを改善すべきか知りたい方へ
他社の改善事例は参考になりますが、同じ施策をそのまま自社に実施すれば同じ成果が出るとは限りません。
商品、顧客、売上規模、販売チャネル、運営体制によって、優先して改善すべき場所は異なります。
売れるネットショップの教科書では、ECサイトの無料診断を行っています。商品ページ、SEO、集客、購入導線、CVRなどを確認し、現在どこにボトルネックがあり、何から改善するべきかを整理します。
無料診断を受けたからといって、ECコンサルを契約する必要はありません。まず自社の課題を整理し、社内だけで改善できるのか、スポット相談で十分なのか、継続支援が必要なのかを判断する材料として活用してください。