ネットショップと実店舗の違いを徹底比較!ECのメリットやコストを解説
2018年の国内のBtoCのEC市場規模は18兆円規模にまで成長しているEC市場はリアルビジネス市場をも超える成長となってきています。
ビジネスを始める際に、物販を行う場合、実店舗で販売する方法と、ネットショップを構築してネット販売する方法がありますが、実店舗とネットショップの開業の違いについてご存知ですか?
何となくのイメージで、「実店舗は初期費用がかかりそう」とか「ネットショップは専門のスキルが必要だと思う」といったイメージを持たれている方もおられると思います。
今回は、ネットショップの運営歴15年以上の現役ネットショップ店長が、ネットショップと実店舗の違いを徹底比較してみたいと思います。
また、ネットショップと実店舗のメリット・デメリットなども詳しくご説明したいと思っております。
ネットショップと実店舗の違いとは?
ネットショップと実店舗の違いについて、具体的な項目別にそれぞれの違いをご説明いたします。
営業時間の違い
ネットショップと実店舗では、営業時間に大きな違いがあります。
まず、ネットショップですが、基本的に24時間365日、いつでも注文を承る事が可能です。
実店舗の場合、店舗の事業内容によって異なりますが、コンビニエンスストア以外の業態であれば、朝8時~夜23時までの間で営業する事になるでしょう。
また、年中無休営業をする以外は、実店舗の場合は定休日や休業日の設定も必要になります。
営業時間という点においては、ネットショップの方が非常に優れていると思います。
出店場所・立地の違い
出店場所や立地の違いについてですが、まずネットショップの場合、出店場所は「インターネット上」となります。
これは、厳密に言えば、楽天市場
やAmazonなどにショップをオープンする場合は「インターネットショッピングモール」への出店となります。
BASE (ベイス)
、カラーミーショップ
などでネットショップを出店する場合は、自分のネットショップとしてインターネット上に存在する形となります。
ネットショップにおいては、場所の制約はなく、全国どこの人でも出店したネットショップから商品を注文する事が可能です。
実店舗の場合は、都道府県、市区町村など、細かい地域に絞られた特定の場所での出店となります。
自分で土地を持っているのであれば、その場所にお店を構えるという事もできますが、土地を持っていない方であれば、テナントを契約する形となります。
人通りの多い商店街に出店する場合や、ショッピングモールに出店する場合は、ある程度客足が期待できますが、大通りから裏手に入った場所や山奥の一軒家のような賃貸物件の場合は、出店してもなかなか一目につく事がありません。
実店舗の場合は、基本的に来店してくれたお客様に対して、商品を販売するという形になりますのでかなり制限のある出店となります。
出店に関する立地条件に関しては、ネットショップの方が、国内全ての人が対象となるので、かなり優位性があると言えるでしょう。
初期費用・イニシャルコストの違い
初期費用、イニシャルコストとは、実店舗やネットショップを開業する為に必要となる「開業資金」のことを言います。
実店舗を開業する際に必要となる初期費用としては、テナントの契約料、内装のリフォーム費用、機材や設備投資、什器の購入、スタッフの制服、看板やチラシ、ホームページの作成費用など様々な費用が考えられます。
実店舗を出店する場合には、業態にもよりますが、最低でも200万円~300万円くらいは必要とされています。
ネットショップを開業する場合に必要となるものは、現在においては、STORES.jp
や
BASE (ベイス)
というサービスでネットショップを開業するならスマホ一台、メールアドレスさえあれば、初期費用はゼロ円、無料から開業する事も可能です。
しいて言えばパソコンはあったほうが作業がはかどりますので、パソコンとインターネットにつながる環境があればネットショップを作り、開業する事は可能です。
モールで人気の楽天市場
に出店を希望される場合に関しては、初期費用が6万円、出店プランによって異なりますが、比較的出店しやすいプランであれば、月額利用料が2万円~5万円程度かかります。
ただし、月額利用料の支払いが年払いや半年払いとなっているため、楽天市場の出店初期費用としては30万円程度のまとまった資金が必要となります。
初期費用に関して言えば、実店舗は300万円程度、ネットショップは無料~30万円程度あれば開業可能と思います。
運転資金・ランニングコストの違い
運転資金、ランニングコストとは、実店舗やネットショップを開業した後に、その店舗を運営していく為に必要となる維持費のことです。
実店舗にせよ、ネットショップにせよ、開業すれば終わりではなく、開業してからが本番なのです。
実店舗の運営にかかるランニングコストとしては、テナントの家賃、水道光熱費、人件費、商品の仕入れ代金、チラシなどの広告費などが考えられます。
ネットショップの場合は、出店するサービスによって異なりますが、先に紹介した無料のネットショップSTORES.jp
や
BASE (ベイス)
であれば、利用するオプションなどによって追加料金を考えても、無料~2千円程度のランニングコストとなります。
もちろん、仕入れを行えば仕入れ費用はかかりますが、ネットショップの場合、ドロップシッピングという無在庫販売の手法もあります。
また、ネットショップは最初のうちは、自分ひとりで運用する形が多いため、人件費も自分の給料分だけで済みます。
ランニングコストに関しては、実店舗は店舗規模によって異なりますが、ネットショップの方が圧倒的に低コストで済む事に違いはありません。
集客方法の違い
ネットショップと実店舗で集客の違いについてご説明いたします。
実店舗の場合、お店の前を通りかかった人を呼び込む事が基本的な集客となります。
ただし、京都の清水寺の前のような観光地や、ショッピングモールなどへの出店でない限り、お客様から店舗めがけて来店してくれるという可能性は限りなくゼロに近いと思います。
その為、実店舗が行う集客方法としては、新聞などの折り込みチラシなどの広告を利用したり、ホームページやブログ、SNSなどで情報を発信したり、雑誌や地方誌、ホットペッパーのようなクーポンマガジンへの掲載などの方法が考えられます。
ネットショップの集客方法についてですが、こちらも出店する場所によって異なりますが、共通して言える事はインターネット上の沢山の商品ページの中から自分のネットショップの商品ページに辿り着いてもらわなくてはならないという事です。
実店舗ならふらっと立ち寄ってくれる突発的来店も考えられますが、インターネット上にポツンとあるネットショップは、自分で呼び込みの施策を実施しなくては、来店者ゼロ人のままです。
その為、ネットショップで行う集客方法としてよくある方法は、GoogleやYahooなどに広告を出稿する方法や、ブログやウェブサイトでSEO対策を行う方法、ツイッターやFacebook、インスタグラムなどのSNSで情報を発信して来店を促す方法などが考えられます。
集客においては、実店舗もネットショップもどちらも費用をかけたり、手間や人手をかけたりしなくてはお客様を集める事はむずかしいと思います。
接客方法の違い
接客方法に関しては、実店舗は、来店したお客様に直接話しかけて、接客を行う事ができます。
お客様からの質問や希望などをその場で受け答えができるので、商品の購入率は接客の仕方次第で大きく引きあがる可能性があります。
ネットショップの場合、基本的にはお客様に接客を行う事はできないのですが、最近ではチャットツールなどを利用してリアルタイムで接客する事も可能になりました。
ただし、商品を実際に手に取って見ているという訳ではないですし、チャットツールもお客様からのチャットへの呼びかけがあって初めて接客できるというツールが大半ですので、接客面においては実店舗の方が圧倒的に有利であると思います。
商品情報の提示方法の違い
商品に関する情報の提示方法について実店舗は、来店したお客様に直接話しかけて、商品の魅力や使い方、その商品に関するストーリーや、関連する商品などの情報を伝える事ができます。
来店したお客様がどんな商品を探していて、どんな商品があれば購入したいと考えているかをその場でヒアリングできるのも実店舗の強みです。
また、店頭に在庫がなくても、関連する商品をメーカーなどから取り寄せできるかどうかなどをお客様とのコミュニケーションを通じてお伝えする事もできます。
よくある販売手法で「アップセル」や「クロスセル」という手法がありますが、実店舗の場合は、例えばパソコンを購入した方に、関連するマウスやパソコンケース、液晶フィルムやマウスパッドなどを同時に提案する事で売上アップに繋がる事があります。
ネットショップでは、商品情報は、商品ページ上の画像や説明文が全てとなります。
詳しい説明文を記載していても、お客様によっては面倒に思って読んでもらえないまま、商品ページから離脱される事も少なくありません。
ネットショップでは情報は実店舗よりも多く伝えられるのに、その情報の多さがお客様には負担に感じられてしまう事もあります。
ただし、ネットショップでは、動画なども掲載可能な仕組みがあるため、商品の使用方法などを短い動画にまとめる事で視聴を促す事もできます。
商品ページについても、雑誌の特集記事のように、綺麗な写真とキャッチコピーなどでお客様の関心を捉える事が出来れば、商品ページが接客の役割を果たしてくれる傾向もあります。
もちろんこうした売れる商品ページを作るには、綺麗な状態で撮影された商品写真が必要ですし、その写真を加工するフォトショップなどのグラフィックソフトのスキルやHTMLやCSSといったウェブに関する知識とスキルが必要となる為、誰でも簡単にという訳にはいかないでしょう。
情報の伝え方に関しては、実店舗は実店舗の強みが、ネットショップはネットショップの強みがあると言えると思います。
店舗スタッフの違い
実店舗とネットショップでの店舗スタッフの違いについてご説明いたします。
まず実店舗の店舗スタッフの場合、接客のスキルが重要となります。
お客様に対して、お客様が欲しい商品やサービスを的確なタイミングで提供できるスキル、コミュニケーションを円滑に行うスキルが重要となります。
ネットショップのスタッフの場合、直接お客様とお話して接客する事はありませんが、ネットショップを運営していると店舗の電話番号にお客様から質問のお電話がかかってくることがあります。
また、メールでの質問やお問合せも日常的に行われるため、メールや電話対応のスキルが重要となります。
多くのネットショップでは、商品登録作業や注文の処理を行う受注処理作業などもスタッフが行う必要がある為、パソコンで処理を行うスキルは必須と言っても過言ではありません。
実店舗スタッフとネットショップスタッフの両方に共通して言えるのは、販売している商品に関する知識はしっかりと勉強しておくことが求められます。
お客様からの質問や疑問に正確に答えられる事は、どんなスキルよりも優先度の高いスキルだと思います。
あとは、ネットショップのスタッフに関しては、CSVファイルなどを取り扱うケースが非常に多い業務なので、エクセルのスキルも重要だと思います。
店長スキルの違い
実店舗とネットショップの店長のスキルの違いについてですが、これに関しては、どちらも「経営者」としてのスキルが重要となります。
実店舗の場合は、売上目標を達成させる事、店舗運営を維持し、売上を積み重ねながら、お客様に満足してもらい、次回来店につなげていく事が重要です。
ネットショップに関しても、実店舗に重要な事と違いはほとんどありませんが、見ている範囲がネットショップの場合は、パソコンの中に多くあるという傾向があります。
売上は数字で分かりますが、来店して何人が商品を買わずに帰ってしまったかなどは、実店舗ではなかなか計測する事ができないですが、ネットショップではデータとして分析する事が可能です。
実店舗の店長の場合は、スタッフへの配慮など対人的スキルが重要ですが、ネットショップの店長の場合、データを分析するマーケティング的スキルが重要となります。
なんとなく感覚で商売を行う事が最も危険な経営方法だと思いますので、店長の方は自分の役割をしっかりと理解しておくようにしましょう。
ECサイト・ネットショップのメリット
ECサイト・ネットショップを出店するメリットについてネットショップ運営歴15年以上の現役ショップ店長がご説明いたします。
時間や場所の成約が無い
ECサイト、ネットショップを出店する最大のメリットが、時間や場所にしばられないで全国、全世界を対象に販売する事ができる事です。
ネットショップは、24時間、365日いつでも営業して注文を承る事が可能です。
もちろん、店舗スタッフが寝ている間などは、お客様からのお問合せや質問にお答えする事は出来ないのですが、お客様はメールで質問される事が多いため、翌朝出勤してから、お客様の質問などに回答する事でその問題は解決できます。
また、インターネット上にあるのがネットショップですから、お客様は沖縄県に住んでいても、北海道に住んでいても誰でも購入対象となります。
商品を発送する際に、離島エリアとなると送料が高額になるというデメリットもありますが、その点は仕方のない所でしょう。
また、ネットショップのメリットとして夏休みや年末年始など人が休みの期間に、自分も休暇を取りながら注文を受け付けることができるというメリットもあります。
実店舗の場合、人が休む期間はかき入れ時で店頭に立たなくてはなりませんが、ネットショップは店頭に立つ必要がないので、休みながら物を売るという事ができるわけです。
今はスマホも普及していますから、お客様からのお問合せに対して、スマホからお返事するという事で対応も可能です。
時間も場所も制限されないのがネットショップの最大の強みでしょう。
開業から運営までインターネットで完結
ネットショップの場合、ショップを作り、開店するまでの間、インターネット上だけで完結させることが可能です。
もちろん本格的に事業としてショップをオープンさせる場合は、開業届の提出が必要となりますが、副業などでネットショップをオープンさせるのであれば開業届は必要ありません。
ただし、ネットショップで得た利益の金額によっては確定申告の義務がありますので注意して下さい。
ネットショップの開業サービスで、インスタントECと呼ばれるサービスなら個人でも無料で即日ネットショップを開業する事ができます。
日本国内で現在、利用者が後を絶たないECサービスはSTORES.jp
と
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の二つでしょう。
どちらのインスタントECサービスもメールアドレスさえあれば、即日ネットショップを作る事ができるのでおすすめです。
ビジネス実現のコストが低い
ネットショップを開業させる方法としては、STORES.jp
のようなインスタントECサービスなら、即日無料で自分のネットショップを持つ事ができる事は、これまでにも何度がご説明してきました。
有料のASP、ECカートサービスなどを利用する場合でも、一般的な機能を一通り兼ね備えたECシステムを利用する場合でも月額にして1万円程度で十分運用が可能です。
ネットショップは実店舗と異なり、インターネット上に店舗がある為、家賃や土地代という問題もなく、立地も天候も関係がありません。
コストらしいコストとしては、商品の仕入れとパソコン回りのソフトウェア、ツールなどの料金くらいで済みます。
ネット販売を開始して、運営する間のランニングコストも実店舗と比べると圧倒的に低いのがネットショップのメリットです。
一人でも開業できる
実店舗の場合、業種にもよりますが、スタッフを雇用する必要があるケースの方が多いと思いますが、ネットショップは規模が小さい開業直後は自分ひとりで開業できるのが強みです。
また、実店舗で物販を行う場合は、常に店頭にスタッフが常駐しなければならないですが、ネットショップの場合、店頭、パソコンの前に常駐する必要はありません。
自分が店頭にいなくても、ネットショップはお客様からの注文を承る事ができるのです。
規模が大きくなれば、発送作業などに人手が必要になるでしょうから、その時初めて人を雇うという選択になると思います。
気軽に一人で始められるのもネットショップのメリットだと言えます。
万が一失敗しても負債を抱えにくい
これが意外に思われる方もおられるかもしれませんが、ネットショップをはじめ、ネットビジネスは、撤退が容易であるというメリットがあります。
実店舗ビジネスの場合、テナントを契約して、リフォームして、機材をそろえ、スタッフを雇いと様々な固定費が発生するため、利益が出る前に撤退すると、大きな借金が残るというリスクがあります。
ネットショップの場合、出店するモールや利用するカートサービスにもよりますが、そこまで高額なサービスに手を出さなければ、損失はせいぜい100万円以下で収まると思います。
無料のネットショップで出店して、商品はドロップシッピング、無在庫販売で行う場合は、損失そのものがほとんどありません。
大量に商品を仕入れて在庫過多となるような場合には、実店舗と同じように損失が大きくなる恐れもありますが、大抵の固定費がかからない仕組みが多い為、ネットショップをやめても借金になるというケースはほとんどまれだと思います。
ECサイト・ネットショップのデメリット
ECサイト・ネットショップを出店する事で考えられるデメリットについてご説明いたします。
ショップを作るだけでは売れない
ECサイト、ネットショップの出店に関するデメリットで、最も大きいデメリットが「ただ出店しただけでは売れない」という事です。
ネットショップを開始する前は、様々な成功事例を見聞きして理想に胸を膨らませる方が本当に多いものです。
理想と現実には大きなギャップがあり、実際にネットショップを立ち上げて、商品を販売しはじめたとしても、そのままでは商品が売れるのは相当先のことになるでしょう。
もしかしたら、待てど暮らせどあなたのオープンしたネットショップには誰一人として来店してくれない可能性の方が大きいのです。
楽天市場
やAmazonなどのインターネットショッピングモールの場合は、出店して商品を出品すれば、ショッピングモール内のテナントで出店しているので、多少お客様の来店はあるかもしれません。
それでも、ただ商品を並べただけでは、同じ商品をより安く販売しているネットショップにお客様は流れていく事になるでしょう。
ネットショップはSTORES.jp
や
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などのおかげで開業こそ個人でも簡単に無料でできるようになりましたが、販売する、売れる事はむずかしいビジネスなのです。
商品の仕入れや発送の手間がかかる
ネットショップで販売する商品は、事前に仕入れを行う必要があります。
仕入れた商品が売れれば商品の発送が必要となりますが、沢山売れれば、その数だけ商品の発送作業が発生する事になります。
また、売れているならまだいいのですが、もしも仕入れた商品が全く売れなかった場合不良在庫となり負債になってしまうリスクがあります。
実店舗を持たれていて、ECサイトも併設する場合なら、在庫管理をしっかり行う必要がありますが、店頭の売れ残りを訳アリ商品として割引販売する事で在庫を捌くというテクニックもあります。
とにかく、ネットショップは売れたら売れた分作業が発生するという事を念頭に置いておいてください。
特定商取引に関する法律の為、身元を公開しなくてはいけない
たまに副業でネットショップを開設される方がおられますが、副業のネットショップの場合でも特定商取引法に関する表記義務があります。
特定商取引法とは、ネットショップやネット販売、通信販売などを行う事業者による、トラブルを防止し、消費者の利益を守ることを目的とした法律のことです。
なかでも、訪問販売や通信販売などのような、消費者トラブルが起こりやすい「取引類型」を対象としています。
特定商取引法に関する記載として、以下の内容を掲載する必要があります。
- 販売業者
- 運営統括責任者
- 所在地
- 電話番号
- メールアドレス
- 商品代金以外の必要料金
- 申し込みの有効期限
- 不良品
- 販売数量
- 商品の引き渡し時期
- お支払い方法
- お支払い期限
- 返品期限
- 返品送料
- 消費税について
- 返品条件等販売に関する重要事項
要するに、販売者がだれで、どこから商品が発送され、電話番号やメールアドレスは何かを掲載しなくてはならないのです。
身元を隠して商品を販売したい、ネット販売したいというのであれば、メルカリやヤフオク!などのサイトを使った方がよいでしょう。
もちろん、メルカリやヤフオク!でも落札後には落札者に自分の身元を伝える必要がありますが、最近では匿名配送なども対応しているので、身元を公開しないまま取引もできるようになりました。
片手間でやっても儲からない
ネットショップやECサイトは、開設して商品を並べただけでは「自動販売機」のようなショップになります。
本物の自動販売機なら、道端で通りがかった人が買ってくれるかもしれませんが、ネットショップの場合は商品が売れることは難しいと思います。
売れているネットショップは、専業で朝から晩までパソコンに張り付いて顧客対応をしているショップが大多数のビジネスモデルです。
そんな本気のショップがしのぎを削りあっているEC市場に、ずぶの素人の上、販促も行わず、ただ商品を並べただけという状況ではほとんど商品が売れる事はないと断言できます。
やるからには本気で取り組む事が何よりも大切です。
価格競争になりやすい
ネット販売では、色々な場所に同じ商品が異なる価格で販売されている状態となっています。
特に型番商品、ナショナルブランド商品と呼ばれる、メーカーが製造している商品の場合、その販売者は多数存在します。
例えばコカ・コーラのペットボトル飲料、これは、インターネット上では、様々な飲料店が販売しています。
また、コカ・コーラ社は、ドロップシッピングサービスを展開しているため、飲料店以外のアパレルショップや雑貨ショップなどでも飲料製品が販売されている状態となっています。
これは、楽天市場
やヤフーショッピングではよく見かける光景ですね。
当然ながら、商品自体はどのネットショップでも全く同じものになりますから、ユーザーが選ぶポイントは「価格」と「送料」、「発送予定日」あたりになるでしょう。
ネットショップでは、型番商品は価格競争が前提となるため、同じ商品を販売しているショップが既に存在している場合は、その店舗の価格よりも安く販売しなければ商品が売れにくいという実情があります。
価格競争から脱却したいというお声はあちこちで聞きますので、価格競争から脱却する方法についても以下のページにまとめております。
実店舗のメリット
実店舗を出店するメリットについてご説明いたします。
お客様と直接コミュニケーションを取れる
実店舗を出店するメリットにおいて、もっとも大きなメリットはお客様と直接コミュニケーションをとる事ができるという点です。
接客業をされたことがある方なら、直接お客様とお話して商品を選んでいただく事で得られる喜びを体験されたことがあると思います。
お客様が何を求められていて、どんな商品に興味があるのか、どんな不満があるのかを直接顔をみてお聞きできるのは最大のメリットと言えるでしょう。
もちろん、時には厳しい意見をいただく事もあるかと思いますが、それも改善点として対応していく事で顧客満足度が上がっていくわけです。
商品を手に取って見てもらう事ができる
ネットショップと異なり、実店舗の場合は、商品をお客様が手に取って確認する事ができます。
手触りや大きさ、ファッションなら試着して自分に合っているかどうかなどを直接確認していただく事ができるのも実店舗の強みです。
ネットショップの場合、靴などはサイズが明記されていたとしても、実際に届いて履いてみると少し小さかったなどの理由で返品される場合があります。
フィッティングができるというのはネットショップと異なり実店舗の強みと言えるでしょう。
また、コーディネイトなどを提案する事でクロスセルができるのも実店舗が得意とすることですが、最近ではネット通販でもクロスセルやアップセルの提案ができるマーケティングオートメーションツールが存在しています。
直接接客できるので商品の良さなどを伝えやすい
ネットショップの場合、商品の良さを伝える場合は商品画像や商品説明文、商品情報をより詳細に写真とキャッチコピーで伝えるようなランディングページ的なものを活用する場合がありますが、実店舗の場合は、接客しているスタッフがその商品について直接説明ができます。
商品の素材やストーリー、どんな使い方をするのかなど事細かに説明する事で、お客様の購買意欲を高める事に繋がります。
ネットショップの場合は、お客様がその商品に興味を持ってもらい、自分の意思で商品ページを読み込んでもらわなくては商品の魅力やストーリーが伝わることはありません。
また、実店舗は直接接客ができるので、お客様が探されていた商品よりもより機能が高い商品であったり、お客様が求めている商品よりももっと低価格で十分機能が備わっている商品を提案する事も可能です。
お客様と直接接する事ができるのは、お客様が求める商品を一緒に探す事ができ、顧客満足度の向上につながるメリットがあります。
実店舗のデメリット
実店舗を出店するデメリットについて、考えられる事をご説明いたします。
家賃や機材費、人件費などコストがかかる
実店舗の出店において、最大のデメリットはやはりコストが高いという面でしょう。
出店する業種にもよりますが、飲食店などを開業する場合は、テナントの契約料から始まり、機材の購入費用、居ぬきで使う場合でもリフォーム工事料からスタッフ募集のための広告費用など様々な初期費用が必要となります。
また、材料費や光熱費も営業を続けている限りかかりますし、雇う人の人数分人件費もかかります。
実店舗は、初期費用がかかりやすい上に、儲けが出るまでに時間がかかる傾向があるという特徴があります。
店舗で販売する為人手が必要
小さなお店であれば、店長として自分ひとりで店舗運営する事も可能でしょうが、自分だけで経営すると、常にお店に立たなくてはならなくなります。
人間ですから休みも必要ですし、病気になる事も考えられますから常にお店にい続けるというのも難しい事もあります。
交代要員的に人を雇うという必要もあるでしょう。
人を雇うには、当然ながら人件費が必要となります。
一人で運営できるネットショップと異なり、出店には人手も必要となるのが実店舗ビジネスです。
営業時間内でしか販売ができない
ネットショップは24時間、365日いつでも営業する事ができますが、実店舗には「営業時間」があります。
営業時間にしか商売ができない為、営業時間外には売上が作れないというのが実店舗のデメリットと言えるでしょう。
この点に関しては、ネットショップは本当に便利なビジネスモデルだと思います。
場所などの立地に左右される
ネットショップの場合は、出店する場所がモールか自社ECサイトであるかという違いはあっても、立地そのものに関するビハインドはありません。
実店舗の場合は、立地こそ全てと言っても過言ではない程に立地、どこに出店するのかという事が重要となります。
人通りの多い場所であれば、集客しやすいメリットがある反面、土地代や家賃が高くなる傾向があり、コストが増える事になります。
かといって、家賃の安さで、人通りの少ない裏路地でお店を開いても誰にも気づいてもらえない可能性が高いです。
ホームページやインターネット広告を使って店舗情報を露出させたとしても、やはり立地、アクセスが良くなければ人は来店してくれない傾向があります。
逆に、立地が悪くても商品力があり、口コミで広まった店舗も少ないながら確かに存在していますから、商品力に自信のある方は、立地よりもブランディングなどでカバーするという方法もあるかもしれません。
出店までに時間と手間と費用がかかる
実店舗を開業する為には、業種ごとに定められた営業許可証を取得する必要があります。
食品を販売する場合は保健所に「食品販売業の営業許可申請」をする必要がありますし、お酒を販売する場合は税務署で「一般酒類小売業免許」の申請を行う必要があります。
中古品などを販売するリサイクルショップなどであれば、警察署で「古物商許可申請」をする必要があります。
これらは実店舗だけでなくネットショップで販売する場合にも必要な申請となります。
ネット販売の場合は、許可申請が下りれば、あとはインターネット上で開業作業を進める事になりますが、実店舗の場合は、許可が下りた後に、店舗の出店場所探しからはじまります。
物件を探し、良い物件が見つかるまでにも時間がかかる事になるでしょう。
また、自己資金が豊富にある方であれば開業資金はそこまで困らないかもしれませんが、一般的には、開業時の資金を銀行などに融資で依頼するケースが多いと思います。
筆者も、過去に日本政策金融公庫に融資をお願いしたことがありますが、事業計画書や様々な書類の準備などに手間と時間がかかった覚えがあります。
資金調達を行い、開業資金のめどが立てば、店舗の準備、改装や機材の購入、材料の仕入れなどを行う事になります。
スタッフも必要であれば、求人をかけなくてはなりません。
お店が最終的にオープンできる準備が整ってようやく税務署に「開廃業届出書」、「青色申告承認申請書」の提出となります。
ここまでにかかる時間は人によって異なりますが、STORES.jp
でネットショップを開業するように即日開業とはいかないでしょう。
初めてネットショップを開業する際のおすすめの方法
では、今回は初めてネットショップを開業される方の為に、ネットショップ運営歴15年以上の現役ネットショップ店長である筆者が、ネットショップを初めて開業するためのおすすめの方法をご説明したいと思います。
ネットショップを初めて開業される場合、法人や個人に関わらず、「初期費用を抑える」という事を最優先に考える事をおすすめいたします。
ネットショップの新規開設で最も失敗するケースは「まとまった予算がある人」が「予算に合わせてネットショップを構築する」というケースです。
ネットショップは、2019年9月時点では、無料でも十分に機能が備わったサービスが多数存在しています。
STORES.jp
や
BASE (ベイス)
はその最たるサービスで、無料でここまで機能が揃っていて、しかもインターフェイスが簡単なECサービスは他では見た事がありません。
どんな商品を販売するにせよ、自分でネットショップを開業するのであれば、最初は無料のECサービスから始める事が最良の選択だと思います。
恐らくですが、最初のうちは、有料のASPカートサービスを使っても、無料のECサービスを使ってもどちらにせよ商品はほとんど売れないでしょう。
これは、楽天市場
やAmazonのようなショッピングモールへの出店と異なる理由があるのです。
なぜ、自社ECサイトは売るのが難しいのか?その理由は以下のページに詳しく書いておりますのでご興味のある方はご一読いただければ幸いです。
そして、無料で始められるネットショップについては以下のページに詳しくまとめております。
ネットショップと実店舗の比較のまとめ
今回はネットショップと実店舗の違いをそれぞれのメリット・デメリットから徹底比較してみました。
最近では実店舗を経営されている方が、ネットショップ、ECサイトを開業して「オムニチャネル」として営業されるケースも増えています。
実店舗は初期費用やランニングコストなどが負担になりやすい傾向がありますが、実店舗だからできる接客という強みがあります。
ネットショップは誰でも簡単に出店、開業できるようになりましたが、その反面で売るのが難しいという実情もあります。
それぞれにメリット、デメリットがあり、どちらの方が良いかという事は一概には決める事はできません。
読者の方がこれから販売する商品の特性に合わせて、実店舗、ネットショップの出店を使い分けていただければと思います。
ただし、ネットショップは開業コストはゼロに近いというメリットがあり、実店舗を営むにしてもECサイトがあってデメリットになる事はないと思います。
是非、気軽に出店可能なネットショップから事業をスタートさせてみる事も検討してみて下さい。
最後に、今回ご説明した、実店舗とネットショップの違いを一覧表で比較してみますのでこちらも参考にして下さい。
実店舗とネットショップの違いの比較表
実店舗 | ネットショップ | |
---|---|---|
営業時間 | 営業時間内のみ | 24時間365日営業可能 |
出店場所・立地 | 立地に左右される | インターネット上どこからでも購入可能 |
初期費用 | まとまった資金が必要・資金調達の必要性もある | 無料から始められる |
ランニングコスト | 人件費や家賃光熱費、材料費など | サーバー代など月額1万円程度 |
集客方法 | ホームページやチラシ、広告、SNS | SEO対策や広告、SNS |
接客方法 | 直接接客できる | 電話やチャット、メールなど |
商品情報の提示方法 | 直接説明できる | 商品ページに詳細に記載する必要あり |
店舗スタッフ | コミュニケーションスキルが重要 | パソコンスキルが重要 |
店長スキル | 経営全般・人事・経理・キャッシュフローなど | 経営全般・データ・マーケティングなど |
最後までお読みいただきありがとうございました。