コンバージョンとは【Conversion】
英単語の意味は変換、転換、交換。インターネットの分野においては、成約という意味で使われることが多い。
ECサイトの場合、商品の購入、企業ウェブサイトであれば、入力フォームからのユーザーのアクション(お問い合わせ、資料請求、セミナー申込みなど)の成約をコンバージョンと呼ぶ。
ウェブマーケティングにおいては、成約に至る確率を「コンバージョン率、CVR(Conversion Rate)」で表す。
【目次】
インターネット上におけるコンバージョンとは
インターネット上で公開されている企業ウェブサイト、ECサイト、
ブログコンテンツやSNSなどはその存在において、それぞれに「目的」があります。
企業サイト、コーポレイトサイトであれば、その存在自体が目的であることもあります。
ECサイトやサービス紹介サイトなどであれば、
そのサイトの目的は商品、サービスの「購入」となります。
今回は「コンバージョン」について
いくつかの事例とともにご説明させていただきます。
コーポレイトサイトのコンバージョンについて
企業ウェブサイトであれば、
第一の目的は「信頼性」の表現です。
今や一部上場企業から個人経営者まで、
自社のウェブサイトを所有することは
当たり前になりました。
インターネット上に、自社サービスに関する
ウェブサイト、ホームページがない企業は
「存在していない」と言っても過言ではないほど、
ウェブサイトの所有、運用は重要です。
企業サイトの目的としては、
自社の存在の証明だと思います。
どういった企業で、どんなサービスを提供しているのか。
所在地はどこで、創業からこれまでの沿革はどういう道を歩んできたか。
経営者の理念は何か?社会貢献を行っているか?
どういう取引先を求めているか?新規採用を行っているか?
などなど、公開できる情報はたくさんありますが、
企業ポリシーや、ブランディングの一環として、
コーポレイトサイトは非常に重要な位置にあります。
こうした、企業サイトのコンバージョンが一体何かという点については
各企業が、何を成約、コンバージョンとするかによって変わります。
よくある事例としては、
- サービスに関する資料請求
- 求人への応募
- 商品、サービスへの問い合わせ
- セミナーへの申し込み
など、いわゆる入力フォームを介して、
アクセスしてきたユーザーが、
目的の「アクション(フォームへの入力完了)」が
行われた際に、コンバージョンと設定する
ケースが多いです。
Googleアナリティクスを使えば
この、コンバージョンの設定も可能で、
全体で何人が、ウェブサイトに訪問して、
訪問者のうち、お問い合わせフォームに来たのが何人、
入力画面に進んだのが何人、
最終の完了ページまで進んだのが何人(コンバージョン)
という細かな動きを記録し、確認することができます。
例えば、お問い合わせフォームに進んできたのが100人で、
入力画面には50人が進んだとします。
その後、完了ページにきたのが、2人だった場合、
コンバージョン率としては、
2÷100=2%
となります。
コーポレイトサイトのコンバージョン例
ここで気になる点は、
入力画面に進んだのが 50人いたのに、
完了画面では、たったの2人になっている点です。
入力画面を見て、50人中48人が離脱したわけです。
ここで予想される問題としては、
「お問い合わせフォーム」のページに問題があるのではないか?
ということです。
各種入力フォームの平均完了率は、以下の完了率という調査結果があります。
各種入力フォームの平均完了率について
- EC系購入サイト・・・65%
- 資格教育系資料請求フォーム・・・24%
- 人材系会員登録フォーム・・・14%
- 不動産系見学予約フォーム・・・12%
- 流通小売系会員登録フォーム・・・48%
ウェブサイトの入力フォームという仕組みは、
もともと、コンバージョン率で言えば
高いものではありません。
むしろ、フォームのページでの
離脱率の方が平均的にも高いです。
こうした、ウェブサイト上の入力フォームの完了率を
高めるための施策として、EFO(入力フォーム最適化)という考え方があります。
【EFOとは】
Entry Form Optimizationの略。ウェブサイト上の入力フォームにおける最適化のこと。ウェブサイト上での資料請求や会員登録、ネットショップ上での商品の購入の際に個人情報を入力する必要がある場合、以下にユーザーにストレスなく、入力を完了してもらえるかをレイアウトやシステムによって最適化すること。
いかにユーザーに「入力させないか」
または、
いかにユーザーが「入力したくなる」仕組みをつくるか
という、フォーム項目の最適化施策です。
よく言われる悪い入力フォームの例としては
以下の事例があります。
●入力フォームの項目が多すぎる
→入力する前に、めんどくさいと判断されてしまった
●必須項目が多すぎる
→必須項目が多すぎる場合や、手動で記入するテキストエリアばかりのフォームは面倒な印象を与える
●不明なエラーが続出する(エラーの場所がわからない)
→エラー項目が「赤色」などで目立ち、その上で何が問題なのかエラーの内容が表示されないフォームは入力を途中でやめて離脱されやすい
●入力内容の意味がわからない
→アンケートフォームなどに多いですが、質問の意図、意味が不明な場合、ユーザーが入力を止めてしまうことになります。せっかく途中まで入力してもらったデータも、離脱されてしまえば、完了になりません。
コンバージョン率の悪い入力フォーム例
こうして、Googleアナリティクスなどで
アクセス解析を実施し、日々状況を確認することで、
コンバージョン率を落としている原因を特定し、
問題点を改善していくことが
ウェブサイト運用においては非常に重要なポイントとなります。
ECサイトのコンバージョンについて
ECサイト、ネットショップのコンバージョンは
とてもシンプルに「商品の購入」が成約、コンバージョンとなります。
EC業界では、成約よりも転換、転換率という言葉を
コンバージョン、コンバージョン率と呼んでいます。
ネット通販における、売上の公式にも
含まれる「転換率」はネットショップの運営において
非常に重要な要素です。
売上=アクセス人数×転換率×客単価
転換率は、何人が来店して、その内何人が購入したか
という確率となります。
例えば、図のように10人の訪問者数だったとします。
このうち、2人は実際に商品を購入してくれました。
コンバージョンに結びついたわけですね。
残りの8人は何も購入することなく、
ネットショップのページから離脱していきました。
ネットショップのコンバージョンの例
今回の例はわかりやすくするために10人中2人の購入という
コンバージョン率を設定しましたが、
ネットショップの運営において、
コンバージョン率が20%というのは、
一般的な指標から考えてもちょっとありえない数値です。
楽天市場の事例では、食品・グルメジャンルで、
特に楽天ランキングなどの常連店の人気商品でさえ、
コンバージョン率は10%前後といわれています。
自社ネットショップであれば、同じグルメジャンルの
店舗であっても、コンバージョン率は3%程度まで
落ちるというデータもあります。
筆者が支援している企業様の場合、
日用品を販売しているネットショップですと、
転換率は月平均で12%前後です。
日用品、消耗品などは、リピート率も高い商材です。
水やティッシュペーパーなどは、価格面が
非常に重視されるため、他店舗よりも
安い価格で販売していれば、比較された上で
購入に至る確率が高まります。
そのため、転換率も高くなりやすいです。
別の店舗さんで、オリジナルの商品(ハンドメイド)を
販売されている方の場合は、転換率が1%程度まで落ち込みます。
日用品などの消耗品と比較して、ハンドメイドの商材は、
「生活必需品」ではない場合がほとんどだと思います。
何かしらキーワード検索で商品ページにたどりついたとしても
その商品が検索してきたユーザーにとって「必要」と思えない限り、
検索直後に商品が購入される確率、コンバージョン率は非常に低くなります。
むしろ、一度たどり着いた商品ページで「ちょっといいかも」と
思わせるように、商品画像と商品説明を魅力的に作り込むことが重要です。
ページ訪問時は、「すぐには買わないけど、お気に入り登録しておこう」
と思わせるような商品の見せ方を工夫してみることをオススメします。
コンバージョン率が高い商品ページについて
インターネットのネットショッピングにおいて、
検索=即購入
という流れで商品が購入されるケースは稀です。
むしろ、楽天市場やヤフーショッピングの「タイムセール商品」
などは、こうした、検索から即購入という流れにつながりやすいです。
理由は簡単で、
●販売時間が限られていること
●商品価格がその期間だけ非常に安いこと
の二つです。
検索して商品ページにたどり着いたユーザーに対して、
比較検討させる時間を与えないというのも
重要な手法と思います。
タイムセール商品は、転換率が非常に高くなる
商品の代表とも言えます。
リアル店舗でいうところの「チラシ商品」ですね。
今日はこの卵が100円(先着100名限定)です!
というチラシが入った場合、
来店した顧客がまず買い物かごに入れるのは
この「卵」でしょう。
在庫がゼロになるまで、真っ先に売れていく商品ですね。
また、楽天市場やヤフーショッピングが
タイムセールに出している商品という信頼性も
即購入につながりやすいポイントだと思います。
楽天市場をはじめ、ヤフーショッピングや
ポンパレモールでは、こうした「タイムセール」や
「企画セール」などを常時行っています。
楽天市場の6時間タイムセールについて
楽天市場では、高ポイント還元の企画として、「楽天スーパーDEAL」が人気の企画ですが、
6時間限定タイムセールも、その入り口バナーが楽天市場のトップページに常時表示されており、
楽天市場のメインコンテンツともいえる企画です。
楽天スーパーDEALが高ポイント還元を強みとしていれば、
6時間限定タイムセールは、「低価格」を強みとしています。
ポンパレモールでいうところの「最低価格保証」企画と
近い印象です。
6時間タイムセール枠は、広告枠でもありますが、
ある程度商品に自信のある場合は、担当のECコンサルタントに
相談すれば、エントリーすることが可能です。
場合によっては商品価格のみで楽天市場のトップページ掲載が
叶うため、非常に有効な露出企画でもあります。
【参考】楽天市場|6時間限定タイムセール
ヤフーショッピング|ウルトラセールについて
ヤフーショッピングは、毎月月末に、ウルトラセールを開催しています。
お買い物リレーという楽天市場の「お買い物マラソン」と同様の企画、他店舗買い回りで、
最大ポイントが9倍までアップするという企画があり、
その企画を軸として、セール品の購入やヤフーカードへの入会、
ヤフープレミアム会員への登録など、様々なサービスへの登録実施で、
最大39倍のポイントが還元される企画です。
楽天市場の一大イベントである楽天スーパーセール時でも、ここまでのポイント還元率は過去に例がありません。
ヤフーショッピングは、店舗出店者の出店料を無料にする施策からはじまり、店舗運営者、ヤフーショッピング利用者に対するモール持ち出しの
ポイント還元企画も豊富で、国内EC市場における、ショッピングモールとしては、勢いでは楽天市場をしのいでいるという印象があります。
ポンパレモール|最安値企画について
Amazon、楽天市場、ヤフーショッピング、ポンパレモールの中で、「最低価格」をポンパレモールが保証しているタイムセール企画です。
差額分については、ポイントで還元されるそうです。差額をポイントで還元してもらう方法は、ポンパレモールサポートデスクへの申請で可能となるようです。
【参考】毎日更新!全国送料無料!最低価格保証!ポンパレモール
タイムセールは、広告というよりも
「選考型」の入稿が必要な枠となります。
担当のECコンサルタントに、自分のネットショップの
商品でタイムセールに入稿したら当選しそうな
商品がないかを相談してみるといいと思います。
コンバージョン率をアップさせる方法について
コンバージョン率(CVR)を高める方法としては、
成約に必要な見込み客、潜在顧客からのアクセスを増やすことにあります。
ネットショップでいえば、いくらCPC広告やリスティング広告を利用して
アクセス数を増やしたとしても、そこに「見込み客」が含まれていなければ
コンバージョン率の上昇には結びつきません。
例えば、ブライダルサロンが、新規の挙式予定者を獲得するために
集客のための広告を出稿したとします。
この時重要なのは「ターゲットを絞る」ということです。
無作為に、広告予算だけを組んで、リスティング広告などを
実施した場合、新規挙式予定者以外のターゲット層にも
広告が表示されてしまうことになります。
このあたりは、Googleのアドセンスなどにも言えることですが、
ウェブ広告のターゲットの絞込みの難しいところです。
フェイスブック広告によるコンバージョン率アップの方法
SNSで利用者の多い、Facebook、フェイスブックについてですが、
こちらも露出できる広告機能があります。
Facebook広告のメリットとしては、
表示させる広告(テキストや動画などから選ぶことが可能)に対して、
ターゲットの属性として以下の項目が設定可能です。
- 地域
- 年齢層
- 性別
- 興味のある内容
例えば、先のブライダルサロンを例にあげれば、
ターゲットは「新規挙式予定者」です。
地域は、ブライダルサロンの所在地(今回は京都とします)
年齢層は、20代~40代
性別は、男女(どちらかといえば女性の方が重視される傾向にあります)
興味のある内容 これについては、上記の3つの項目において、
結婚式場を検討していそうなユーザー(潜在顧客)が
興味を持っているだろう、ジャンルを選択する必要があります。
比較的若い女性層とターゲットは重なるはずですので、
「ショッピング」「ファッション」「コスメ」
などのジャンルは共通項と言えるでしょう。
ダイレクトに「ブライダル」というジャンルがあれば、
必須で選択しておく必要があります。
あとは、「結婚」や「適齢期」「婚活」「妊娠」「出産」など、
女性が重視する項目もターゲットの属性として
加えていくことで、広告を表示させるユーザー層を
絞り込むことが可能です。
Facebookよりもインスタグラムの方が、
若い女性の利用者が多いという発表もありますので
インスタグラムの表示広告を利用することも重要だと思います。
コンバージョン率と関連する指標について
コンバージョン率の話をする際に
必ずと言っていいほど、同時に出てくる指標があります。
参考までに簡単にご説明いたします。
コンバージョン数(CV)
インターネット上の分野において、目的が達成(成約)に至った数。
コンバージョン率(CVR)
全体のアクセス人数に対して、設定した目的が達成(成約)に至った割合のこと。コンバージョンレートと呼ばれることもある。
コンバージョン獲得単価(CPA:Cost Per Acquisition)
1件のコンバージョンを獲得するのにかかった広告コスト(成果単価)のこと。
ウェブ広告の指標の中で最も重要な指標です。ウェブ広告の効果の測定において、CPAの数値が、広告費(コスト)よりも下回っていれば、CPAが良い状態といえます。
ページビュー(PV)
ページビュー(PV数)とはウェブサイト内のページが開かれた回数のこと。ブラウザにウェブページ(HTMLページ)が1ページ表示される=1PVと計測します。
ユニークユーザー数(UU)
ユニークユーザーとは(UU数)、特定の集計期間内において、ウェブサイトに訪問したユーザーの数のこと。集計期間内に同じユーザーが何度もウェブサイトを訪問しても、ユニークユーザー数は「1」「1UU」と計測されます。
注文獲得単価(CPO:Cost Per Order)
CPOとは、注文一件を獲得するのにかかったコスト(広告費)のこと。広告費や販促費用など、受注獲得のためのコストの総額を、計測した期間内で獲得した受注数で割った数値が、注文獲得単価(CPO)となる。
クリック単価(CPC:Cost Per Click)
CPCとは、インターネット上の広告の掲載料金の方式で、ユーザーが1回クリックする際にかかる料金のこと。主な例として、Googleの検索結果などで表示される広告がクリックされると、1回のクリック毎に広告費用が発生する仕組み。クリックされる度に課金されることから、クリック課金型広告、クリック保証型広告などと呼ばれ、通称はCPC広告と呼ばれる。楽天市場の検索結果上部の「背景色が付いた商品」はCPC広告を利用した商品である。また、Googleなどの検索連動型広告はキーワードによっては、クリック単価が数百円~数千円などになる高額広告となっているため、検索からの一人あたりの顧客獲得費用が、非常に高額化している傾向にある。
クリックスルー率(CTR:Click Through Rate)
CTRとは、インターネット上の広告の効果計測の指標の一つで、広告がクリックされた回数を広告が表示された回数(インプレッション数)で割った数値のこと。クリックスルーレートと呼ばれることもあり、この数値が高いほど、閲覧ユーザーは広告への反応率が高いと言える。単純にクリック率と呼ぶこともある。
参考になれば幸いです。
【参考】
コンバージョン率とは|コトバンク