独占禁止法とは
独占禁止法とは
独占禁止法の正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」と公正取引委員会では定めています。
独占禁止法の目的とは、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることとされています。
市場のメカニズムは、事業者の創意工夫でより安く優れた商品が市場に提供されることで、売上を伸ばし、消費者は自分のニーズに合った商品を自由に選択できます。
独占禁止法には、以下のような規制が公正かつ自由な競争の促進を目的として行われています。
- 私的独占の禁止
- 不当な取引制限(カルテル)の禁止
- 事業者団体の規制
- 企業結合の規制
- 独占的状態の規制
- 不公正な取引方法の禁止
- 下請法に基づく規制
独占禁止法の目的の結果として、国民、商品者の利益確保という目的があります。
また、国民経済の民主的で健全な発達も、求められる結果として明言されています。
次に、独占禁止法に違反した場合についてご説明いたします。
独占禁止法に違反した場合
公正取引委員会の公式サイトによると、独占禁止法に違反した場合、以下の措置が取られることが明言されています。
- 違反行為をした者に対して、その違反行為を除くために必要な措置を命じます。これを「排除措置命令」と呼んでいます。
- 私的独占、カルテル及び一定の不公正な取引方法については、違反事業者に対して、課徴金が課されます。
- カルテル、私的独占、不公正な取引方法を行った企業に対して、被害者は損害賠償の請求ができます。この場合、企業は故意・過失の有無を問わず責任を免れることができません(無過失損害賠償責任)。
- カルテル、私的独占などを行った企業や業界団体の役員に対しては、罰則が定められています。
EC市場における独占禁止法の事例
EC市場における独占禁止法違反の事例としては、2018年3月にニュースとなった、Amazonの取引先メーカーへの「協力金」の要求問題が挙げられます。
【参考】Amazonが取引先に協力金を要求!?アマゾン出店者はどうなるの?
Amazonは2017年頃から、直販しているメーカー企業に対して、協力金という名目で、販売価格の約5%程度を請求していたことがわかりました。
公正取引委員会は、当件に対して、2018年3月15日にアマゾンジャパンに立ち入り検査を実施しています。
【参考】アマゾンに立ち入り検査!取引先への協力金要求が原因?独禁法違反?
Amazonは、日本において、ネット通販の王者たる流通状況にあり、2017年の流通総額は1.3兆円と言われています。
アマゾンのように大きな力を持った企業に対し、商品を販売してもらっている立場の取引先は、言われるがままの対応を取らざるを得ない状況が、独占禁止法の違反に当たるのではと言われています。
独占禁止法についてのまとめ
今回は、公正取引委員会によるアマゾンジャパンへの立ち入り検査を受けて、独占禁止法について簡単にまとめてみました。
独占禁止法は、その名前は耳にするものの、具体的にどんな法律なのかを調べるまでは良くわかっていませんでした。
独占禁止法の目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることであり、ひいては国民の利益を守ることにあります。
アマゾンも、これまでは非常に好調でしたが、2017年秋頃からのヤマト運輸との物流面での決裂から、今回の公正取引委員会による立ち入り検査という事態になり、暗雲が立ち込め始めたといった感じでしょうか。
それでも、アマゾンが日本国内において、楽天市場以上のネット通販規模であることはほぼ間違いありません。
アマゾン出店者の立場としては、アマゾンは、取引先メーカーに協力金などを求めず、価格の値上げを正当に行うべきだと思います。
アマゾンを利用する一消費者としての立場は、値上げされると困るという面もありますが、物流コストがここまで値上げされている現在、商品価格への転化も仕方がないと思います。
Amazonの台頭で楽天市場
もこれまでのように国内ネット通販最大手の看板は掲げられなくなってきていますから、もう少し顧客還元、出店者還元を踏まえたモール運営を行ってほしいところです。
今回の記事の内容が、独占禁止法についての参考になれば幸いです。