シュリンクフレーションとは?シュリンクフレーションの意味と事例
シュリンクフレーションとは
シュリンクフレーション(shrinkflation)とは、小売りされる商品の価格はそのままで、商品の内容量が少なくなる(収縮)経済現象の事です。
シュリンクフレーションとは、実質値上げや隠れ値上げといった表現をされることもあり、消費者に分かりにくい形で値上げ(内容量の収縮)を行う行為を「ステルス値上げ」と呼ばれることもあります。
シュリンクフレーションという言葉は、経済用語のスタグフレーションとの対比として提唱されたことが最初だと言われています。
シュリンクフレーションは、アメリカの経済学者であるピッパ・マルムグレンの造語とされる説もあります。
今回は、日本経済でも問題になっているシュリンクフレーションについて実際の事例などをご紹介したいと思います。
シュリンクフレーションの主な事例
シュリンクフレーションの主な事例としては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける商品には特に事例が多く見受けられます。
例えば、コンビニのお弁当やおにぎりなどは、数年前と比較すると、明らかに内容量が少なくなっています。
また、少なくなったことがパッケージ上からはわからないように、容器を底上げしている商品もあります。
シュリンクフレーションが起こる主な要因としては、増税や原材料費が高騰するなどのコスト増を受けて、本来であれば、商品価格を値上げするところを、値上げによる購買の減少を恐れるがゆえに、商品価格をのそのままにして、内容量を減らすという行為によって、実質的な値上げを行っているケースが多いようです。
具体的なシュリンクフレーションの実例として、あるお菓子の内容量の減少についてご紹介したいと思います。
商品名については、ここでは記載しませんが、非常に美味しいクッキーとして人気の高い商品です。
人気クッキー商品の内容量の変遷
年月 | 容量 | 価格(税別) | 備考 |
---|---|---|---|
2005年 | 30枚 | 323円 | 1枚11.0g(合計330g) |
2007年 | 28枚 | 323円 | 1枚10.5g(合計294g) |
2008年 | 24枚 | 323円 | 1枚10.5g(合計252g) |
2011年 | 22枚 | 323円 | 1枚10.5g(合計231g) |
2014年 | 20枚 | 323円 | 1枚10.5g(合計210g) |
2016年 | 20枚 | 323円 | 1枚10.0g(合計200g) |
この商品の場合、2006年には内容量が30枚入りだったのですが、2016年には20枚入りと10枚も減っています。さらに1枚当たりの重量も11.0gから10.0gに減っていることが分かります。
さらにこのクッキー、1枚当たりの重量も11.0gから10.0gに減少しているため、価格自体は変わっていないにもかかわらず、内容量は130gも減っています。
食品業界では、このシュリンクフレーションが特に顕著で、他の商品としては、牛乳、インスタント食品、調味料などもシュリンクフレーションが行われている商品が多いです。
EC市場におけるシュリンクフレーションについて
食品や小売り業界では、シュリンクフレーションが一般的に行われている状況ですが、EC市場ではどうでしょうか?
EC市場、ネット通販市場も、2017年に起こった物流運賃の一斉値上げによって、コスト増となる店舗運営者が非常に増えました。
当店でも同じく、物流コストがアップしたことで、大きな損失となりました。
これは、当店のケースとなりますが、おそらく同じようにシュリンクフレーション対応されている店舗さんもおられると思います。
当店では、「1000円ポッキリ送料無料」という商品を楽天市場
などのショッピングモールで、検索対策商品として登録しています。
楽天市場では、楽天スーパーセールや、楽天お買い物マラソンといったビッグセールが開催される際には、買い回りによって、ポイント還元率がアップするというイベントを開催しています。
楽天の買い回りイベント時の適用条件が、「1000円以上の商品」という規定があるため、ポイントを沢山還元させることを目的としたユーザーは、より多くの店舗で商品を購入する必要があります。
沢山のネットショップで商品を買うには、「1000円ピッタリ」の商品が、もっとも低コストで買い回りできる商品となるため、多くのユーザーが検索キーワードとして「1000円ポッキリ」といったキーワード検索を行う傾向があるのです。
こうした理由で、ある種の「入口商品」として、1000円ポッキリ送料無料商品を登録されている店舗さんは多いと思いますが、送料無料といっても、メール便や郵送などの送料を「価格に反映させている」店舗さんも多いと思います。
物流コストがアップしたことで、この1000円以内に含まれる商品代金を削る、すなわち内容量を少なくするという対応をされている店舗さんもいらっしゃると思います。
EC市場におけるシュリンクフレーションの事例としては、こうした送料コストを賄う為に、商品の内容量を減らして対応するケースが実際にあります。
シュリンクフレーションのまとめ
今回は、社会的な問題としても、話題となっているシュリンクフレーションについて、実際の事例と、EC市場における事例をご紹介いたしました。
シュリンクフレーションは、メーカー各社が値上げをしない為の苦肉の策のように言われることがありますが、事実上、内容量を減らしているのですかられっきとした値上げだと思います。
消費者は必ずしも値上げを「悪」と捉えているわけではなく、以前までのクオリティが劣化、減少する事の方に不満を感じていることもあります。
競合メーカーなどとの価格競争もあり、値上げに踏み切ることができないという事情もあるのかもしれません。
それでも、現在の社会は、不透明さや顧客を欺く行為は、TwitterなどのSNSなどで簡単に拡散されてしまうため、やはり正直ベースの商売を行う事が最良だと筆者は考えます。
今回の記事の内容がシュリンクフレーションについて調べられている方の参考になれば幸いです。