楽天市場の売上が落ちてくると、「楽天ではもう売れないのでは?」「Yahoo!ショッピングやAmazonへ力を入れた方がいいのでは?」と考えることがあります。
私自身、ネットショップを運営していた2018年に、まさに同じ判断をしました。当時は楽天市場がネットショップ全体の売上の約半分を占めていましたが、限られた人員で約2万商品を管理しており、楽天市場への商品登録や運営業務へ多くの時間を使っていました。その結果、Yahoo!ショッピングやAmazonなど、ほかの販路へ十分なリソースを割けていない状態でした。
そこで私は、楽天市場の優先順位を下げ、Yahoo!ショッピングなど他の販路にも運営リソースを振り分ける判断をしました。
ただし、2026年現在、この経験をそのまま「楽天よりYahoo!の方がよい」という結論にはしません。
大切なのは、楽天市場で売れなくなった原因を数字で特定し、改善余地を確認したうえで、限られた人員や予算をどの売場へ配分するのが最も効率的かを判断することです。
この記事では、実際に私が楽天市場の売上を見直したときのデータも紹介しながら、楽天市場で売れない原因、売上が落ちたときに確認したい数字、そしてYahoo!ショッピングなど他モールへ注力すべきかの判断方法まで解説します。
- 楽天市場で売れないときに最初に見る数字
- 楽天市場の売上が落ちる7つの原因
- 2018年に私が楽天市場の優先順位を下げた理由
- 楽天市場から撤退する前に確認したい数字
- 楽天とYahoo!ショッピングのどちらへ注力するかの考え方
- 多店舗展開するときの運営体制の作り方
楽天市場で売れないとき、まず「売上」だけを見ない
楽天市場の売上が前月比20%減ったとします。
この数字だけを見ると、「最近楽天で売れなくなった」と感じてしまいます。しかし、売上だけでは原因は分かりません。
楽天市場が公式に案内しているR-Karteでも、店舗売上は次の3つの要素で構成すると説明されています。
売上 = アクセス人数 × 転換率 × 客単価

つまり売上が落ちたときは、まず「アクセス人数」「転換率」「客単価」のどこが変化したのかを分けて確認する必要があります。
たとえばアクセス人数だけが30%減っていて、転換率と客単価が維持されているなら、商品ページを全面的に作り直すことが最優先とは限りません。検索流入、広告、イベント、露出など、アクセス減少の原因を調べた方がよいでしょう。
反対にアクセス数は変わらないのに転換率が下がっている場合は、商品価格、送料、レビュー、商品画像、納期、競合商品などを確認する必要があります。
楽天市場で売れない・売上が落ちる7つの原因
1.楽天市場内のアクセス人数が減っている
最初に確認したいのがアクセスです。
売上が減ったときに、転換率や客単価がほぼ変わっていないのであれば、アクセス減少が主な原因である可能性があります。
楽天市場内の検索順位が下がった、広告からの流入が減った、イベント時と通常時を比較している、季節需要が終わった、競合商品の露出が増えたなど、アクセスが減る理由はさまざまです。
特に注意したいのが、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなど大型イベントのある月と通常月を単純比較することです。
イベント月のアクセス数が非常に多ければ、翌月にアクセスが減るのは必ずしも異常ではありません。売上が落ちたときには「前月より減った」だけではなく、前年同月、通常月、イベント期間など条件を揃えて確認してください。
楽天市場内の検索流入を改善したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
2.検索結果には表示されているがクリックされていない
検索順位だけを見ていても十分ではありません。
楽天市場内の検索結果では、商品画像、価格、ポイント、送料、レビュー、配送条件など、競合商品とさまざまな情報が並びます。
仮に検索結果の上位へ表示されていても、競合商品の方が「安そう」「レビューが多い」「早く届きそう」「何の商品か分かりやすい」と感じられれば、クリックされません。
この場合、SEOだけを続けても売上改善につながらない可能性があります。
検索ユーザーの立場から、自社商品が競合商品と並んだときに「なぜこちらをクリックするのか」を確認することが大切です。
3.アクセスはあるのに転換率が低い
アクセスがあるのに売れない場合は、商品ページや購入条件を確認します。
- 商品画像で特徴が伝わっているか
- 商品説明が分かりやすいか
- 価格に納得感があるか
- 送料が購入の障壁になっていないか
- レビューや実績など安心材料があるか
- 配送予定日が分かりやすいか
楽天市場では店舗ごとにページを作り込めるため、情報量を増やすことはできます。しかし、情報を増やせば転換率が上がるわけではありません。
購入者が知りたい情報を、必要な順番で分かりやすく伝えることが重要です。
4.客単価が下がっている
アクセス数と転換率に大きな変化がなくても、客単価が下がれば売上は減ります。
単品購入が増えた、セット商品が売れなくなった、低価格商品の構成比が増えた、まとめ買いが減ったなどを確認してください。
客単価を上げるために単純な値上げをする必要はありません。
- セット販売
- まとめ買い
- 関連商品の提案
- 送料無料条件の見直し
- アップセル・クロスセル
重要なのは、客単価だけを無理に上げることではなく、粗利を残しながら購入者にとってもメリットのある買い方を作ることです。
5.楽天スーパーSALEなどイベント依存になっている
大型セールでは非常に売れるのに、通常時になると売上が大きく落ちる店舗もあります。
イベントで新規顧客を獲得すること自体は問題ではありません。しかし、値引きやポイント施策がなければ商品が動かない状態になると、売上は作れても利益が残りにくくなります。
イベント期間中に購入した人が、その後通常価格でも再購入しているかも確認したいところです。
イベント売上だけではなく、イベント後のリピート率や通常日の売上まで見ることで、その施策が本当に店舗成長につながっているのか判断しやすくなります。
楽天スーパーSALEの対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
6.商品数は多いが「売れる商品」へ集中できていない
私がECを運営していた当時、取扱商品は約2万点ありました。
商品数を増やせば、検索される機会も販売機会も増えるように思えます。しかし、商品登録には画像、商品説明、価格、在庫、カテゴリ、検索対策など多くの作業が発生します。
2万商品を登録しても、そのすべてが同じように売れるわけではありません。
売れていない商品へ大量の時間を使うより、売上・利益を作っている商品や、今後伸ばせる商品を特定し、画像・広告・SEO・レビュー獲得などのリソースを集中させた方がよい場合があります。
商品数を増やすことと、売上を増やすことは同じではありません。
7.楽天市場へ運営リソースを使いすぎている
これは、楽天市場そのものの問題ではありません。
EC運営では、人員も時間も予算も有限です。
楽天市場の商品登録に毎月150時間使っている会社と、Yahoo!ショッピングの運営に30時間使っている会社があったとして、楽天の方が売上が大きいからといって、必ず楽天へ追加の時間を投入するのが正解とは限りません。
重要なのは売上額だけでなく、その売上を作るために、どのくらいの広告費・モール費用・人件費・作業時間を使っているかまで確認することです。
ここまで見て初めて、「楽天をさらに伸ばすべきか」「別の販路へリソースを振るべきか」を判断できます。
実例|私が2018年に楽天市場の優先順位を下げた理由
ここからは、実際の数字を使って説明します。
2018年10月、私が運営していた店舗の楽天市場での月商は、営業終了直前の時点で約584万円でした。前月比では約16%減です。
この数字だけを見ると、「楽天の売上が悪化した」と考えてしまいそうです。
しかし、当時のRMS店舗カルテを見ると、アクセス人数は9,566人で前月比約61%減。一方、転換率は11.43%で、前月比約87%増となっていました。
| 項目 | 2018年10月当時 |
|---|---|
| 楽天月商 | 約584万円 |
| 前月比売上 | 約16%減 |
| アクセス人数 | 9,566人 |
| アクセス前月比 | 約61%減 |
| 転換率 | 11.43% |
| 転換率前月比 | 約87%増 |
| 取扱商品数 | 約2万点 |
一見すると異常な数字ですが、理由がありました。
前月には楽天スーパーSALEがあり、セールサーチへ登録した商品へアクセスが集中していました。さらに、その商品が途中で完売したため、「アクセスは来るのに購入できない」という状況が発生し、前月の転換率を押し下げていたのです。
そのため10月の売上が減っていたからといって、私は「楽天市場で急に商品が売れなくなった」とは判断しませんでした。
むしろ数字を分解すると、通常営業として極端な異常が発生しているわけではないことが見えてきました。
この経験から今でも重要だと思っているのが、「売上だけで店舗を判断しないこと」です。
2018年当時の私の問題は、楽天市場の売上が584万円だったことではありません。
限られたスタッフで約2万商品を管理し、楽天市場へ商品登録・運営リソースを集中させていた結果、Yahoo!ショッピングやAmazonなど、ほかの売場を十分に育てられていなかったことでした。
そこで「楽天をやめる」のではなく、楽天に偏っていた運営リソースを見直し、他モールへ振り分ける判断をしました。
楽天市場から撤退する前に見るべき数字
楽天市場で売れなくなったと感じても、すぐに撤退する必要はありません。
私なら、少なくとも次の数字を揃えてから判断します。

| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 売上 | 月商だけでなく前年同月・通常月とも比較する |
| 粗利 | 売上から原価・値引き等を引いて実際に利益が残っているか |
| 販促コスト | 広告、ポイント、クーポンなどを含めて確認する |
| 運営工数 | 商品登録・広告・受注・顧客対応などに何時間使っているか |
| 1時間あたり粗利 | 運営に投下した時間に対して、どれだけ利益を生み出しているか |
特に見てほしいのが、1時間あたりの粗利です。
たとえば楽天市場で月100万円の粗利が残っていても、そのために200時間使っていれば1時間あたり5,000円です。
一方、Yahoo!ショッピングで粗利50万円でも、月50時間しか使っていないなら1時間あたり1万円になります。
楽天:粗利100万円 ÷ 200時間 = 5,000円/時間
Yahoo!:粗利50万円 ÷ 50時間 = 10,000円/時間
もちろん、これだけで販路を決められるわけではありません。売上規模、成長余地、既存顧客、ブランド戦略なども考える必要があります。
それでも「売上が大きいから、このモールへもっと人員を投入する」という判断より、利益と運営負荷を一緒に見る方が、限られたリソースを配分しやすくなります。
楽天よりYahoo!ショッピングへ注力した方がよいケースは?
2018年当時、Yahoo!ショッピングは現在とは料金体系が大きく異なっていました。
そのため、昔の記事にある「Yahoo!は固定費・売上ロイヤリティが無料だから出店しやすい」という前提を、2026年現在そのまま使うことはできません。
2026年現在はYahoo!ショッピングの料金体系も変更されています。そのため、「楽天よりYahoo!の方が安い」という理由だけで販売チャネルを変更するのはおすすめしません。
次のような条件を確認したうえで判断しましょう。
- 楽天での成長余地が小さくなっている
- Yahoo!ショッピングで自社商品の需要が確認できる
- 楽天に比べて少ない工数で運営できる
- Yahoo!・PayPay・LINE経由のユーザーと商品相性がよい
- 広告費やモール費用を含めても利益を残しやすい
- 運営リソースを移したときの伸びしろがある
逆に「楽天の売上が落ちたから、とりあえずYahoo!へ」という移動はおすすめしません。
販路を変えても、商品そのもの、価格、ページ、物流などに問題があれば同じことが起きるからです。
それでも楽天市場を簡単に捨てるべきではない
この記事の旧版では、当時の私自身の状況から「楽天市場への注力を下げる」という強い判断を書いていました。
しかし2026年現在、これをすべての店舗へ当てはめることはできません。
楽天市場は現在も国内最大級のECモールの一つであり、多くのユーザーと店舗が利用しています。そのため、
楽天で売れない = 楽天市場そのものが売れない
とは考えない方がよいでしょう。
まず自店舗のアクセス・転換率・客単価を確認し、原因を特定する。それでも投資対効果が低ければ、ほかの販売チャネルと比較する。
この順番が重要です。
楽天とYahoo!、どちらに注力すればいい?
楽天市場とYahoo!ショッピングのどちらが優れているかを一律に決めることはできません。
自社の商品によって販売実績も競合状況も異なるためです。
比較するときは、最低でも次のように自社実績を並べてみてください。
| 比較項目 | 楽天市場 | Yahoo!ショッピング |
|---|---|---|
| 月間売上 | 自社実績 | 自社実績 |
| 粗利 | 自社実績 | 自社実績 |
| 広告・販促費 | 自社実績 | 自社実績 |
| モール関連費用 | 自社実績 | 自社実績 |
| 月間運営時間 | 自社実績 | 自社実績 |
| 転換率 | 自社実績 | 自社実績 |
| リピート状況 | 自社実績 | 自社実績 |
| 今後の成長余地 | 自社で評価 | 自社で評価 |
ここまで並べると、「売上額が大きいモール」と「今後追加投資したいモール」が必ずしも同じではないことがあります。
ネットショップ運営では、売上を競うことよりも、限られた資金と人員から最も多くの利益を生み出せる売場を育てることが大切です。
多店舗展開するなら、売場を増やす前に運営体制を整える
「楽天が厳しいならYahoo!にも出店しよう」「Amazonにも出そう」と考えること自体は悪くありません。
ただし販売チャネルを増やすと、商品登録、価格変更、在庫、注文、出荷、問い合わせなどの管理先も増えます。
3店舗で同じ商品を販売しているのに、それぞれの管理画面を開いて在庫を変更している状態では、販路を増やすほどスタッフの作業も増えます。
販路を増やす → 人手を増やす
ではなく、
業務を整理・一元化する → 販路を増やす
という順番がおすすめです。
現在は受注管理・在庫連携・商品管理などを一元化できるシステムもあります。複数モールへ展開する場合は、売上機会だけでなくバックヤードの工数まで含めて設計してください。
楽天市場で売れなくなったときの判断手順
ここまでをまとめると、楽天市場の売上が落ちたときは、いきなり広告を増やしたり撤退したりする必要はありません。

- アクセス人数・転換率・客単価のどこが変化したか確認する
- 前年同月・イベントの有無など比較条件を揃える
- 商品ページ・検索流入・広告・価格・送料・レビューなど原因を改善する
- 楽天市場での利益と運営工数を確認する
- Yahoo!ショッピング・Amazon・自社ECなどと比較する
- 最も利益を伸ばせる販路へリソースを再配分する
原因特定 → 改善 → 採算確認 → 他モール比較 → リソース再配分
「最近楽天が売れない」という感覚だけで、大切な販売チャネルを捨てないようにしてください。
まとめ|「楽天かYahoo!か」ではなく、EC全体で利益を考える
私が2018年に楽天市場への注力を下げる判断をしたとき、楽天市場の月商は約584万円ありました。
それでも他の販売チャネルへ時間を振り分けました。
理由は、楽天市場が嫌になったからでも、Yahoo!ショッピングの方が必ず売れると思ったからでもありません。
限られたスタッフと時間を、どこへ使えばネットショップ全体を成長させられるのかを考えた結果です。
2026年現在も、この考え方は変わりません。
楽天市場で売上が落ちたら、まずアクセス人数、転換率、客単価を確認してください。その上で、広告費、粗利、運営時間まで含めて、楽天市場をさらに改善する価値があるのか、Yahoo!ショッピングやAmazonなど他の販路へ投資する方がよいのかを判断します。
大切なのは「楽天かYahoo!か」という二択ではありません。
自社の商品・人員・予算にとって、どの売場の組み合わせが最も利益を生み出せるか。
ここを考えることが、複数モールを運営するうえでは非常に重要です。
楽天市場の売上低下の原因が分からない場合は無料EC診断をご利用ください
「楽天の売上が下がっているけれど、原因がアクセスなのか商品ページなのか分からない」「楽天を改善するべきか、他モールを伸ばすべきか判断できない」という場合は、一度ECサイト全体を数字から整理してみてください。
「売れるネットショップの教科書」では、ECサイトを客観的に確認する無料EC売上診断を行っています。
売上・商品ページ・集客・運営体制などを確認し、まずどこから改善するべきかを整理します。
※2018年の売上・アクセス・転換率等の数値は、当時実際に運営していた店舗データをもとにしています。現在の楽天市場・Yahoo!ショッピングの仕様や料金体系は当時とは異なるため、最新情報をご確認ください。