
ECの売上が伸びると、うれしい反面、受注処理の負担も一気に増えていきます。注文確認、入金確認、メール送信、在庫更新、出荷指示、送り状発行、追跡番号の登録、発送完了メールなど、1件ごとの作業は小さくても、毎日数十件・数百件と積み重なると大きな業務負担になります。
特に楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECなど複数店舗を運営していると、店舗ごとに管理画面を開き、注文を確認し、在庫や出荷状況を合わせるだけでも多くの時間を使います。そこで重要になるのが、EC受注処理の自動化です。
ただし、自動化というと「すべての注文を完全に無人で処理する」と考えがちですが、実際にはそこまで極端に考える必要はありません。重要なのは、通常の注文はシステムに処理させ、確認が必要な注文だけを人が見るという仕組みを作ることです。
この記事では、ECの受注処理を自動化する方法を、注文取込からメール、在庫連携、出荷、発送通知まで7つのポイントに分けて解説します。
EC受注処理の自動化とは?
EC受注処理の自動化とは、ネットショップに注文が入ってから発送が完了するまでに発生する定型業務を、システムによってできるだけ自動処理することです。
一般的な受注処理では、注文データの取得、注文内容の確認、決済・入金状況の確認、在庫の確保、注文確認メール、倉庫への出荷指示、送り状作成、追跡番号登録、発送完了メールといった業務が発生します。
つまり「注文を取り込むだけ」では、受注処理の自動化とはいえません。注文が入ってから発送が終わるまで、人が触らなくてもよい工程をどこまで減らせるかが重要です。

すべてを自動化する必要はない
受注処理を自動化するときに最初に理解しておきたいのが、すべての注文を100%自動処理する必要はないということです。
通常注文であれば自動処理できても、住所不備、備考欄に個別要望がある注文、ギフト対応、特殊な配送方法、決済エラー、大量注文、欠品など、人による確認が必要な注文もあります。
| 自動化しやすい業務 | 人が確認したい業務 |
|---|---|
| 通常注文の取込 | 住所不備 |
| 注文条件による振り分け | 欠品 |
| 定型メールの送信 | 高額注文 |
| 在庫数の反映 | ギフト・個別要望 |
| 倉庫への出荷指示 | 特殊配送 |
| 追跡番号の反映 | 決済エラー |
| 発送完了メール | その他例外注文 |

理想的なのは、通常注文は自動処理し、例外注文だけ人が確認するという状態です。自動化の目的は「人を完全になくすこと」ではなく、人が判断しなくてもよい仕事を減らすことです。
まず確認|今の受注処理はどこまで手作業?
自動化を始める前に、現在の受注業務を書き出してみましょう。
- 各モールへログインして注文確認
- 注文CSVのダウンロード
- Excelへの転記
- 注文確認メールの送信
- 入金確認
- 在庫数の変更
- 配送方法の確認
- 倉庫への出荷指示
- 送り状データの作成
- 追跡番号の登録
- 発送完了メールの送信
この中に「毎日ほぼ同じ判断をしている作業」があれば、自動化できる可能性があります。自動化はシステムを先に選ぶのではなく、今の業務でどこに時間がかかっているかを把握することから始めるのが重要です。
EC受注処理を自動化する7つのポイント
① 複数店舗の注文を自動で取り込む
最初に自動化したいのが、注文情報の取込です。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECなど複数店舗を運営している場合、それぞれの管理画面を開いて注文を確認しているだけでも時間がかかります。
さらに、CSVをダウンロードしてExcelへまとめている場合は、注文確認、CSV取得、データ加工、転記という作業が毎日発生します。
受注管理システムを利用すると、複数店舗の注文情報を一つの管理画面へ集約できます。これだけでも「どの店舗に何件注文が入っているのか」を一画面で確認できるようになり、受注処理のスタート地点を統一できます。
受注処理を自動化するなら、まず注文情報を一か所へ集めることが第一歩です。
② 注文内容を条件で自動振り分けする
注文を取り込んだあと、すべての注文を担当者が1件ずつ確認していては、大きな効率化にはなりません。そこで次に必要になるのが、注文条件による自動振り分けです。
- 通常注文
- 代引き注文
- 前払い
- ギフト注文
- 備考欄あり
- 日時指定あり
- 離島配送
- 高額注文
そして、問題のない通常注文は自動で次の処理へ進め、確認が必要な注文だけ担当者へ回すという流れを作ります。
ここが受注処理自動化の大きなポイントです。すべての注文を見るのではなく、見る必要がある注文だけを見る状態を作ります。
③ 注文確認メールを自動送信する
EC運営では、注文受付、入金確認、発送準備、発送完了など、多くの定型メールを送ります。これらのメールを1件ずつ手動で送っていると、受注件数が増えるほど作業時間も増えます。
定型的なメールは自動送信しやすい業務です。
ただし、欠品、住所不備、個別問い合わせ、特殊な配送依頼などは自動化せず、人が確認した方が安全です。メールも、定型対応は自動、個別対応は人と分けるのが基本です。
④ 在庫数を自動で連携する
複数店舗を運営するECでは、受注処理と在庫管理は切り離せません。
たとえば実在庫が10個しかない商品を、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングでそれぞれ10個ずつ販売可能な状態にしていると、短時間に複数店舗で注文が入った場合に売り越しが発生する可能性があります。
そのため、注文が入ると在庫が減り、他店舗の販売可能在庫にも反映される仕組みが必要です。
受注処理だけ自動化しても、在庫更新が手作業のままでは、業務の一部しか効率化できません。今後、複数モール運営を拡大するのであれば、受注管理と在庫連携をセットで考えることが重要です。
⑤ 倉庫への出荷指示を自動化する
受注処理の中で、意外と工数がかかるのが倉庫への出荷指示です。
注文情報をCSVへ出力し、倉庫用データへ加工し、メールやシステムで送信し、倉庫側で取り込むという作業をしているECもあります。
この工程を自動化できると、受注から出荷までの流れが大きく変わります。
注文 → 受注管理 → 倉庫 → 出荷までをシステムでつなげることができれば、出荷件数が多いECほど自動化効果は大きくなります。
⑥ 送り状・追跡番号・発送通知まで連携する
商品を倉庫へ出荷指示しただけでは、受注処理は終わりません。
出荷後には、送り状番号の取得、追跡番号の登録、モールへの出荷実績反映、発送完了メールといった処理が必要です。
ここまで手作業のままだと、出荷件数が増えたときに再び担当者の負担になります。
受注自動化を考えるときは、注文を取り込むところだけではなく、発送完了まで一連の業務として見ることが重要です。
⑦ 例外注文だけ人が確認する
最後に最も重要なのが、例外処理の考え方です。
受注処理を完全自動化しようとすると、特殊な注文まで無理に自動処理することになり、逆にトラブルの原因になります。
通常注文は自動化し、住所エラー、備考欄あり、高額注文、ギフト、特殊配送、決済エラー、在庫不足など、例外条件に当てはまる注文だけを人が確認します。
つまり、受注処理の自動化で大切なのは、自動化できる注文を増やすことではなく、人が確認する必要のある注文を明確にすることです。
受注処理を自動化すると何が変わる?
受注処理を自動化すると、単純に作業時間が短くなるだけではありません。大きなメリットは、EC運営そのものを標準化できることです。
- 受注処理の作業時間を削減しやすい
- 入力・転記ミスを減らしやすい
- 確認漏れを防ぎやすい
- 出荷スピードを安定させやすい
- 担当者による処理のばらつきを減らせる
- 売上増加時に人員を増やしすぎず対応しやすい
たとえば毎朝CSVを加工する、注文確認メールを送る、在庫数を変更する、倉庫へデータを渡す、追跡番号を登録するといった作業が減れば、担当者はその時間を商品ページ改善、広告運用、商品企画、CRM、顧客対応など、売上につながる仕事へ使えます。
重要なのは、自社の業務の中でどこまで自動化できるかを確認することです。
EC受注処理を自動化する前に整理すべきこと
受注管理システムを導入すれば、現在の業務がそのまま自動化されるわけではありません。むしろ、自動化する前に現在の業務ルールを整理することが重要です。
- 商品コード
- 店舗ごとの受注ルール
- 決済方法
- 配送方法
- 在庫管理方法
- 倉庫・出荷元
- ギフト対応
- 備考欄への対応
- メールテンプレート
- キャンセル・返品時の処理
たとえば、楽天市場とAmazonで同じ商品なのに商品コードが違う場合、在庫連携や商品管理が複雑になります。また、担当者ごとに受注処理方法が違う場合、その状態をそのままシステムへ移すだけでは効率化できません。
自動化を進めるときは、現在の業務を整理する → 標準ルールを決める → システムへ設定するという順番で進めるとスムーズです。
受注処理の自動化はどこから始める?
「いきなり全部を自動化するのは難しそう」と感じる場合は、段階的に進めるのがおすすめです。
| STEP | 自動化する内容 |
|---|---|
| STEP1 | 注文情報を一か所へ集める |
| STEP2 | 確認不要な注文を自動振り分けする |
| STEP3 | メール・在庫を自動化する |
| STEP4 | 倉庫・出荷を連携する |
| STEP5 | 追跡番号・発送通知まで自動化する |

最初から100%を目指す必要はありません。毎日30分かかっている作業を一つなくすだけでも、月20営業日なら10時間の削減になります。
小さな自動化を積み重ねることが、結果として大きな業務改善につながります。
受注管理システムを使うと自動化しやすい
楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど複数店舗を運営している場合、モールごとに個別設定を行うだけでは自動化に限界があります。そこで利用されるのが、受注管理・一元管理システムです。
代表的なサービスには、ネクストエンジン、GoQSystem、LOGILESS、TEMPOSTAR、CROSS MALLなどがあります。
サービスごとに、注文取込、自動処理、在庫連携、メール、物流連携、料金体系が異なります。そのため、単純に「自動化機能が多いサービス」を選ぶのではなく、自社が自動化したい業務に対応しているかを確認する必要があります。
ネクストエンジンとGoQSystemも比較して判断する
受注処理の自動化を検討すると、ネクストエンジンやGoQSystemが候補に入ることがあります。
どちらも受注管理や自動処理に対応していますが、料金体系や機能、運用方法には違いがあります。
どちらが適しているかは、月間受注件数、店舗数、必要な自動処理、在庫連携、倉庫連携、料金体系によって変わります。そのため、機能だけでなく年間コストまで比較して判断するとよいでしょう。
EC受注処理を自動化するタイミングは?
受注管理システムを導入するタイミングに、明確な「月○件以上」という基準はありません。同じ月500件でも、商品構成や配送方法によって業務負担は大きく変わるからです。
判断材料としては、次のような状態が増えてきたら、自動化を検討するタイミングです。
- 毎朝複数モールへログインしている
- CSV加工が日課になっている
- 注文確認に毎日1時間以上かかる
- 在庫調整を手作業で行っている
- 出荷ミスが増えてきた
- セール時に残業が発生する
- 受注件数が増えるたびに人を増やしている
- 担当者が休むと業務が止まる

特に重要なのは、受注件数だけでなく受注処理に何時間使っているかです。
毎月30時間を受注処理に使っているなら、そのうち10時間でも削減できれば、担当者は別の重要業務に時間を使えます。システム費用だけを見るのではなく、削減できる業務時間まで含めて導入効果を判断することが重要です。
自社の場合、受注管理コストはどのくらい?
受注処理を自動化する際は、システムの月額料金だけでなく、現在の作業時間、人件費、受注件数、今後の増加見込みまで含めて判断する必要があります。
特にネクストエンジンを利用している、または検討している場合は、受注件数によって料金が変わるため、年間コストで比較することが重要です。
EC受注処理の自動化に関するよくある質問
EC受注処理はどこまで自動化できますか?
注文取込、条件による振り分け、メール送信、在庫連携、倉庫への出荷指示、出荷実績反映、発送通知など、幅広い業務を自動化できます。ただし、自動化できる範囲は利用するシステムや店舗、物流環境によって異なります。
小規模ECでも受注処理を自動化する意味はありますか?
あります。ただし、受注件数が少なく、現在の手作業でもほとんど負担がない場合は、システム導入による削減効果が小さい可能性があります。
受注件数だけではなく、現在どれだけ時間を使っているかで判断するとよいでしょう。
注文確認メールは自動化できますか?
多くの受注管理システムで対応できます。ただし、住所不備や欠品、個別対応が必要な注文まで一律に自動送信するのではなく、例外条件を設定して運用することが重要です。
楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの注文をまとめて管理できますか?
複数モールに対応した受注管理システムを利用すれば、一つの管理画面へ注文情報を集約できます。対応モールや連携方法はサービスごとに異なるため、導入前に確認が必要です。
在庫管理も一緒に自動化できますか?
受注管理と在庫連携に対応したシステムであれば可能です。複数店舗で同じ商品を販売している場合は、注文発生時に他店舗の在庫へ反映する仕組みを作ることで、売り越しリスクを減らせます。
受注管理システムとWMSの違いは?
受注管理システムは主に注文情報や顧客情報、受注ステータスなどを管理します。WMSは倉庫内の在庫、入荷、ピッキング、梱包、出荷などを管理するシステムです。
両者を連携することで、注文から倉庫出荷までの流れを自動化しやすくなります。
自動化しても人の確認は必要ですか?
必要です。すべての注文を自動処理するのではなく、通常注文は自動化し、住所不備や特殊注文、決済エラーなどの例外注文だけを人が確認する運用が現実的です。
まとめ|「例外だけ人が見る」状態を目指そう
EC受注処理の自動化で大切なのは、すべての作業を完全に無人化することではありません。
重要なのは、注文取込、振り分け、メール、在庫、出荷指示、追跡番号、発送通知といった定型業務をシステムに任せ、確認が必要な注文だけを人が見る状態を作ることです。
受注件数が増えるたびに人員を増やす運営では、売上が伸びるほど固定費も増えていきます。一方、受注処理を標準化・自動化できれば、少人数でもより多くの注文に対応しやすくなります。
これから自動化を進めるなら、まず毎日の受注業務を書き出し、「毎回同じ作業をしている部分」から自動化してください。
そのうえで、複数店舗の注文取込や在庫連携、倉庫への出荷指示まで効率化したい場合は、受注管理・一元管理システムの導入を検討するとよいでしょう。