楽天市場の二重価格の表示ルールとエビデンスについて
楽天市場の二重価格表示
ネットショップで商品を販売する際に、「メーカー希望小売価格」などを掲載したうえで、
店舗の販売する「販売価格」を表示するケースがあります。いわゆる「二重価格表示」の事です。
楽天市場では、2014年4月頃にこの「二重価格表示」において、
一部の店舗へ「不当」な二重価格の表示提案を行ったことで
大きな問題になったことがあります。
以降、楽天市場では、二重価格表示については、バックヤードである
RMSからの設定だけでは、商品ページに表示されることはなくなりました。
消費者庁からの指導により、二重価格表示には、厳格な表示ルールと
エビデンス(証明書)の発行が必要となりました。
今回は、楽天市場で商品を販売する際に、「二重価格表示」を行う際の
ルールと設定方法、エビデンスの条件などをまとめました。
二重価格表示とは
二重価格表示とは、楽天市場をはじめ、ネットショップで商品を販売する際に
値引き前の「元値」と値引き後の「販売価格」を同時に掲載することです。
二重価格の表示によって、現在の販売価格が、元値に対して、
どれだけの値引き率になるのかがわかります。
二重価格表示のメリットは、まさにこの「値引き率」の表示により
初めてネットショップの商品ページに訪れたユーザーに対して、
販売中の商品が「お買い得かどうか」を一見して伝えられる点にあります。
販売者、売り手側からすれば、商品の販売価格については
業務上、シビアに競合他社と比較したり、リアル店舗の価格と
比較したりするため、現状の販売価格が「安い」のか「高い」のかがすぐにわかります。
逆に買う側である消費者、ユーザーにとっては、
例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで
見慣れた飲料製品やお菓子などであれば、その商品価格が
「安いか高いか」はすぐにわかるでしょうが、
一般的でない「専門の工具」や「希少な商品」の場合は
その販売価格自体がわからないケースも多いです。
二重価格は、そういった一般消費者の「価格の基準」の意味でも
非常に重要な表示項目となります。
二重価格の種類について
楽天市場ので商品を販売する際に、比較対照価格を用いて二重価格表示をする場合、
「比較対照価格の表示」としては、以下の2種類が主な種類となります。
楽天市場におけるそれぞれの比較対照価格の条件について楽天市場の公式アナウンスを元にまとめてみました。
(1)当店通常価格
当店通常価格とは
最近相当期間にわたって楽天市場の当該店舗において販売されていた価格。
当店通常価格の表示条件について
直近2週間でその価格での販売実績があり、かつ、以下のいずれかにあてはまるものであること。
過去8週間のうち合計で4週間その価格での販売実績がある
販売期間が8週間未満の場合、合計で販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があること
(2)メーカー希望小売価格
メーカー希望小売価格とは
メーカーにより小売業者の価格設定の参考となるものとして設定され、あらかじめ、メーカーによる新聞広告、
カタログ、ウェブサイト、商品本体への印字等により公表されている価格のこと。
メーカー希望小売価格の表示条件
出店店舗が、それぞれの商品ページ上に、所定のルールに従ってメーカー希望小売価格が
設定されているというエビデンスを掲載すること。
楽天市場で二重価格表示を可能にする設定ルール
(1)当店通常価格の設定方法について
ネットショップで、通常販売していた商品を、楽天スーパーセールやお買い物マラソンなどの
イベント時に、セール価格に変更する場合、「当店通常価格」を比較対照価格として
二重価格表示を行うことが可能です。
条件としては、直近2週間(14日間連続)で販売していた実績があり、尚かつ、以下の二つの条件のいずれかに当てはまる場合、
当店通常価格での二重価格表示が可能となります。
- 1:過去8週間のうち合計で4週間その価格での販売実績がある
- 2:販売期間が8週間未満の場合、合計で販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績がある
注意するべき点としては、商品を非表示(倉庫)に入れていた期間は、販売実績にならないことです。
また、サーチ非表示(闇市)の状態も、同じく販売実績となりません。
(2)メーカー希望小売価格の設定方法について
楽天市場で、メーカー希望小売価格を比較対照価格として二重価格表示を行う際には
メーカーが発行する「エビデンス」が必要です。
エビデンスとは、簡単に言えば、「証明書」の事です。
メーカー希望小売価格は、当然ながら、メーカーが定めた小売価格ですので
その根拠となる価格は、メーカーが発行する資料(カタログやウェブサイト)にしか証明することはできません。
RMS上でのメーカー希望小売価格の設定手順について
R-Storefront > 1-1商品登録・更新 > 商品個別登録 > 商品基本情報
エビデンスについては、非常に厳格な指定ルールがありますので後程詳しくご説明いたします。
二重価格の元値を証明するエビデンスとは
エビデンスとは、メーカーがメーカー希望小売価格を証明するカタログや
ウェブサイト上の表記、その他一般消費者に対して発行されている価格が掲載された資料のことを言います。
エビデンスがない場合、RMS上のメーカー希望小売価格の欄に
価格を記載しても、商品ページには表示されることはありません。
また、エビデンスは、メーカーの許可を得ていない場合についても
二重価格表示を行うことができませんので注意が必要です。
一時期、画像加工ソフトウェアなどを利用して、
メーカーが発行したカタログの販売価格などを
書き換えるという詐欺行為を行う店舗が存在し、
処罰されるという事件がありました。
いわゆる型番商品とよばれるネット上でも
JANコードやISBNなどで検索すれば、
価格.comなどで市場価格がわかる商品の場合は、
ある程度価格帯というものが一般ユーザーでも
認知することができます。
問題は、あまり市場流通がない希少な商品や、
オリジナル商品などです。
メーカー自体が、自分のネットショップの場合、
カタログなども自社制作である場合があります。
通常価格が一般消費者に認知されていない商品こそ
この二重価格表示において、非常に厳しい審査を
強いられることになります。
エビデンスのルールについて
楽天市場では、エビデンスとして認められる資料の前提として「予め公表され、消費者に広く示されているもの」であることが必要と定めています。
以下のいずれかの資料のみが「エビデンス」として認められます。
- 1:メーカーのサイトでメーカー希望小売価格または消費者向け販売価格として 明確に表示されていることがわかるページのキャプチャ画像
- 2:メーカーが作成した消費者向けのカタログでメーカー希望小売価格または消費者向け販売価格として 表示されていることがわかるもののキャプチャ画像
(カタログの①表紙と②該当ページ、③発行者がわかるページすべて) - 3:メーカーの新聞・雑誌広告で、メーカー希望小売価格または消費者向け販売価格として 表示されていることがわかるもののキャプチャ画像
- 4:メーカーによって希望小売価格が印字されていることがわかる商品本体 または商品本体に付いた商品タグを撮影した写真
(ブランド名やメーカー名が印字されているものに限ります)
エビデンス掲載の際の注意事項としては、カタログやウェブサイトのキャプチャを使用する場合は、メーカーに使用許諾を取る必要があります。これは
著作権の問題のためです。エビデンスとして、カタログやウェブサイトのキャプチャを使用する際には、必ずメーカーに許諾を取りましょう。
エビデンスの掲載方法について
メーカーの許諾を得て、商品ページにエビデンスを掲載する際には、どのような手順で掲載すればいいでしょうか。
楽天市場で、エビデンスを掲載する際には、掲載場所は「PC用商品説明文」に掲載する必要があります。
RMS上でのエビデンスを掲載する手順について
R-Storefront > 1-1商品登録・更新 > 商品ページ設定 > 商品個別登録 > 商品基本情報
掲載する場所については、
「PC用商品説明文」に「エビデンスの画像、もしくはURL」と「指定されたテキスト」を掲載します。
エビデンスの画像あるいはURLによるリンクを掲載
メーカーより取得した、エビデンスを画像(JPGやPNG、GIF)、もしくはPDFなどのファイル形式で、
楽天RMSのR-Cabinetもしくは楽天GOLDにアップロードします。
「PC用商品説明文」にエビデンスとして掲載可能なファイル形式は jpg(jpegは不可)、gif、png、pdf、htmlです。
リンクするファイル名にも指定があり、ファイル名には「evidence」という半角英字を必ず含める必要があります。
エビデンスの種類をテキストで記載する
エビデンスの種類を下記4つから選択し、テキストで正確に記載してください。
- 1:メーカー希望小売価格はメーカーサイトに基づいて掲載しています
- 2:メーカー希望小売価格はメーカーカタログに基づいて掲載しています
- 3:メーカー希望小売価格はメーカー広告に基づいて掲載しています
- 4:メーカー希望小売価格はメーカー商品タグに基づいて掲載しています
注意点としては、上記のテキスト文言は、システムによる自動チェックが入るため、
テキストの間にHTMLタグ(改行タグ、スペースタグ)や 記号(カンマなど)、スペース(全角半角問わず)を入れることは禁止されています。
エビデンスとして認められないもの
楽天市場が、エビデンスとして認めていない資料は以下があげられます。
それぞれ、なぜエビデンスとして認められないかをご説明いたします。
(1)サイトのキャプチャ画像
- メーカーかどうかがわからないサイト
- BtoBサイトや卸売サイトなど、事業者向けのサイト
- メーカー以外のサイト(輸入代理店など)
- 「参考上代」や「参考価格」など事業者向けの価格しか掲載されていないサイト
(2)カタログ等のキャプチャ画像
- 発行者がメーカーかどうかわからない資料
- メーカー以外が発行・掲載したもの
- 事業者向けの資料(例:参考上代、参考価格等と書かれたもの)
- 取引伝票や納品書
(3)広告等のキャプチャ画像
- メーカー以外が掲載したもの
- 事業者向けのもの(例:参考上代、参考価格等と書かれたもの)
- 掲載紙、掲載誌や発行年月がわからないもの
(4)商品本体またはタグの写真
- 内容が手書きのもの
- メーカーが印字したかどうかわからないもの
- メーカー名やブランド名の印字がないもの
メーカー希望小売価格として比較できない価格
以下のような価格をメーカー希望小売価格として二重価格表示することはできません。
- (1)参考小売価格、参考上代など、業者向けの価格
- (2)プライベートブランド商品の価格や、小売業者が自ら設定した価格
- (3)予め公表されていない(消費者に広く示されていない)価格
楽天市場の二重価格表示についてのまとめ
現在、楽天市場で商品販売時に二重価格表示を実施するためには
販売実績やエビデンスの提出、審査などという厳格な基準が設けられているため
かんたんに掲載することはできません。
ただし、簡単でない代わりに、二重価格の表示許可が出れば、
商品の値引き率などがわかりやすくなり、消費者にとっては
お買い得商品であるかどうかの判断基準がわかりやすくなるというメリットがあります。
また、二重価格表示は、転換率向上にも大きく貢献します。
手間はかかりますが、二重価格表示が可能な商品があれば
メーカーにエビデンスを提出してもらい、許諾申請もパスした上で
二重価格表示対応を実施しましょう。
参考になれば幸いです。